外伝③ 篠澤誠司という少年
今回は誠司の話です。野営で焚火を囲いながら語っている様子でお届けします。
ちなみに誠司がハマっている漫画は某戦記です‼‼‼私の人生のバイブル。
ぜひ読んでください‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼殿下最高‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼
2002年2月8日。冷え込む日のお昼過ぎに俺は産まれたんだって。
ちょうどオリンピックの開会式の日だったかな?
父は銀行員、母は看護師。3つ年上の姉、祖父の5人家族だよ。
小学校3年生の終わりまで日本で二番目に大きい都市で暮らしていたんだけど、
父方の祖父と同居するために神山市に引っ越したんだ。
祖父は昔から厳格な人でね、男は剣道をやれ!女は針仕事と家事を覚えろ!なんてある意味偏見もあったんだ。それで俺は5歳から神山市に引っ越す前まで剣道を習っていたよ。神山市に来てからも続けるつもりだったけど、家から通えるところに剣道場無かったんだよね。それでやめちゃった。爺ちゃんには文句言われたけど…。あ、姉ちゃんは言いつけ通り裁縫をやっていたよ。
爺ちゃんと同居してからは色々時代遅れの偏見で肩身が狭かったけど、一度姉ちゃんがちゃぶ台ひっくり返して怒ったことがあってさ…。すっかり大人しくなったよ!
え、怒った内容?…実は姉ちゃん、大の漫画とゲーム好きでね…。もちろん爺ちゃんはそういうの禁止だって言ってたんだけど、隠れて楽しんでいたんだよね。それがバレてさ、もう大喧嘩していたよ。父さんと母さんの静止も聞かずに怒ってさ、「二次元を愛して何が悪いこの老害が‼‼‼」ってちゃぶ台ひっくり返したんだ。あの時の姉ちゃん本当に怖かったよ…。爺ちゃん怖すぎて泣いてたし。この出来事があってからは穏やかに暮らしているよ!俺も漫画結構好きでさぁ…。最近は戦争で国を取られた王子が一人の兵士を連れて国を奪還するために仲間を集めて成長していく少年漫画が好きなんだ。電子版持っているからスマホの充電あれば見せたかったんだけどなぁ…。
あぁ話逸れちゃったね。とは言ってもそんな話すことないんだけど…。
え、裁縫にハマったきっかけ?確か小学校2年生ぐらいの時だったかな、足を骨折してしばらく剣道を休んでいた時があったんだ。その時暇でね、勉強とか本をよく読んでいたんだけどそれも飽きちゃって…。そうしたら姉ちゃんが針と糸持ってきて「一緒に縫って‼‼‼‼」って言って来てさ。確か授業でランチョンマットを作っていた時で、完成したけどもうひと手間加えたくてアレンジしていたんだよ。フェルトで飾りを作って縫い付けていたんだ。きっと姉ちゃんも俺のこと気遣って…くれたんだよな…???
ま、まぁそんなこんなで作業していたら段々楽しくなってさ、そこから羊毛フェルトとか刺繍にも手を出し始めてさ…。姉ちゃんが中学に上がるころにはコスプレの衣装制作を手伝っていたよ。集中できるし自分の好きな模様を入れて一つだけの物ができるって感動するよ。
でも裁縫が趣味っていうと男子にからかわれること多かったんだよね。女々しいとか言われてさ。
…神山市に転校してすぐのころだったかな、クラスの男子グループから趣味を馬鹿にされたんだ。転校してばっかりでまだ馴染めなくてさ、言い返すのもどうしようかっておどおどしていたんだけど…。
そこにクラスの女の子が入ってきてさ、「家庭科のエプロン完成できないってママに泣きついたお前より誠司君の方がしっかりしているし、裁縫も素敵な趣味だぞ」って言ってくれてね…。趣味を偏見なく褒めてくれるのも、日ごろの生活態度を見ていてくれたのもすごい嬉しかったんだ。そこから吹っ切れて趣味は裁縫です、って胸張って言えるようになったしどんどん腕前上げていけたんだ。
本当に彼女には感謝しているよ。…今更だけどお礼に何か縫ってみようかな…。菫の刺繍したハンカチとかどうかな?菫の花言葉みたいに謙虚だけど可愛い子なんだ。喜んでくれるといいなぁ…。
ちょっとアイラ、メモしないで、手紙に全部書くつもりでしょ‼‼‼クラノスまで何度も頷かなくていいからぁ~~~あぁもうこの話はおしまい‼‼‼そろそろ寝ようね‼‼‼‼お休み‼‼‼‼‼
…本当に感謝しているんだよ、ずっともっと仲良くなりたいって思っていたんだ。
中々機会が無いまま別の高校に行っちゃったけど…。あの日、思い切って声かけてよかった。このまま別れたくないって思って公園で話さないかって言っちゃったし。
異世界に召喚なんてとんでもないことになったけど、今はゆっくり話せる時間が増えて正直嬉しいんだ。
……俺はまだ魔法も上手く使えないし戦闘も中途半端だけど、それでも君を守って一緒に帰りたいんだ。
いつか受け取ってくれると嬉しいな、真由ちゃん。
ヒューーーーーーーー‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼粋なことしますねぇ誠司君よぉ‼‼‼‼‼‼