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異世界伝承記  作者: メロンソーダ
王国編
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はじまり

出てくる地名は実際の町と関係ありません。

ちなみに自転車くんはサドルが取られて代わりにブロッコリーが刺さっており、

タイヤはパンク、かごは変形していました。

被害は真由の分も含めて5台ぐらいランダムで選ばれました。

そのぐらい馬鹿な生徒がいる高校を想像してください。



これは異世界で戦い抜いた、すべての旅人へ送る物語である。



7月下旬 神山市

人口30万人ほどの山々の緑に囲まれた地方都市である。

ちょうど世間は夏休みに入る時期であり、各学校では終業式が行われていた。


「真由~!今日帰りカラオケ行かない?久々にぱぁーっと遊ぼうよ!」


真由と呼ばれた少女は友人の声に振り向いた。


「ごめん沙奈~今日この後部活で花壇の手入れあってさ・・・・」


左耳の下で緩く結んだ黒髪とともに項垂れた様子で少女は返事をした。

少女の名は横山真由。どこにでもいる平凡な女子高生だ。


「あぁボランティア部かぁ、わざわざ終業式の日にやらなくてもいいのにねぇ~」


「うぅぅぅ成績悪いからこれで内申点稼ぐしかないんだよぉ」


沙奈によしよしと頭をなでてもらいながら真由は遊べないことに深く悲しんだ。

だって花の女子高生、あと一年しかないなら友人と遊びたいものである。

うだうだしていても仕事は終わらない、真由は夏休みたくさん遊ぼうと

友人と約束をして渋々と花壇へと向かった。


---------------------------------------------------------------------------


結局活動が終わったのは16時頃である。

数少ない参加者達と清掃をしながら遊べなかった事に真由は落ち込んでいた。

まぁ明日から夏休みなのである、講習の後に行けばよいと

気持ちを切り替えぱたぱたと花壇からこぼれた土を箒で掃いていた。


「ねぇ今日の夜の都市伝説番組に神隠し事件のこと出るんだって」


ふとそんな会話が聞こえた。


「最後に神隠しあったの20年ぐらい前でしょ?結局みんなどこ行ったんだろうね」


「小さい子から大人まで、ほんと不思議だよね、神山だけ人数多いらしいし」


この神山市にはとある都市伝説がある。そう、神隠し事件だ。

不定期に老若男女かかわらず突然姿を消すの者がいるのだ。

全世界的に突発的に起きているが、なぜか神山市だけ被害者が多い。

拉致なのか危ない集団に売られたのか、警察の捜査も虚しく未解決事件なのである。

熱心なオカルトファンや再生数を稼ぎたいyoutuberにとっておいしいネタであり、

今でもこうして番組に取り上げられるほど有名事件になってしまっていた。

残された家族のことを思うと面白おかしく騒ぎ立てるのはいかがなものか、

でも知ってる場所とか映るかなー、見てみるかぁと真由は呑気に思いながら手を動かし続けた。


---------------------------------------------------------------------------


帰り道、真由はのんびり歩いていた。自宅から最寄りの高校のため徒歩通学である。

自転車も持っていたが、先月男子生徒のいたずらで壊された。

ほんと治安悪い学校だよなぁ、弁償早くしてよガキがよ~と思いながら

通学路にあるカフェの前を歩いていた。その時


「あれもしかして横山さん?」


ちょうどカフェから出てきた三人組の男子高校生の一人から声をかけられた。

聞き覚えのある声に真由は声の主へと顔を向けた。


「篠澤くん達だ、久しぶり!」


よく見れば中学の同級生達である。

真由の声に全員おぉやっぱりと笑いながら近づいた。


「元気そうだね、今日第三高校も終業式?」


真由に声をかけた篠澤と呼ばれた少年、篠澤誠司は優しく笑いかけた。

誠司は茶色に近い短髪にクラスで三番目ぐらいにモテそうな整った顔立ち、

すらっとした手足や優しい性格と爽やかさを全身で表現したような少年である。


「そうだよ、第一高校もだったんだね~やっぱり超進学校は勉強難しい?」


第一高校は市の中で一番の進学校であり、真由の通う第三高校とは治安も勉学の難易度も真逆である。


「まぁね、でも来年受験だし頑張らないと!」


偉い、偉すぎる・・・・と真由は笑いあう三人をまぶしく感じた。

とてもいまだに進路が定まっていない自分とは大違いである。

そんな自分を恥ずかしく思いながら、みんなで途中まで一緒に帰ることにした。


---------------------------------------------------------------------------


一人、また一人と別れて真由と誠司の二人だけになった。

なんとなくこのまま帰るのも惜しいので近くの公園のベンチで駄弁ることにした。


「そういえば篠澤くんよく私のこと覚えてたね?私地味顔なのに」


しばらく話した後ふと真由が聞くと誠司は照れ臭そうに頬を掻いた。


「いやぁ小学校から一緒だったし…それに一年ぐらいでクラスの人の顔忘れないよ」


くぅやっぱりイケメンは記憶力もいいと真由はよりまぶしく思った。

どのような人生を送ったらこんなイケメン文武両道が誕生するのだ、と

この世のすべてに感謝をしながら話をしているとふと誠司が立ち上がった。


「どうしたの?あ、もう日が沈んでる…」


名残惜しいが帰らねば夜の特番を見逃すと真由はスマホを手に取った。


「横山さん、今まだ17時だよね?」


先ほどまで楽しそうに話をしていた時とは違う誠司の声色に真由はハッとした。

画面に表示されている時刻は現在17時20分である。それなのに、


「もう真っ暗・・・・・?」


真夜中のようにあたりが突然真っ暗になっていたのである。

おまけに先ほど公園に向かって歩いていたはずの道路も、周りにあるはずの建物も

どんどん闇にのまれ見えなくなっていく。


「え、何・・・・・!!?」


悲鳴に近い声を出し震える真由をとっさに誠司が抱き寄せる。

もう二人の周りは暗闇で何も見えない。冷や汗と寒気が止まらない。

恐怖で動悸が激しくなっていく。歯がガチガチと震え声も出せない。


「落ち着いて横山さん、俺がまだいるから、とりあえずスマホで明かりを…」


誠司が声を震わせながら真由を気に掛ける。気丈に振舞うが膝が笑いそうなのを必死に堪えていた。

真由がなんとかスマホの懐中電灯モードをつけようとしたその瞬間、

突然けたたましく響く神々しい鐘の音とともに二人の足元が輝きだした。

鐘の音ですぐ耳元にあるはずの誠司の声も聞こえない、

真由はパニックになっていた。

どんどん足元の光が強くなっていく。あまりのまぶしさに目を瞑ったとき、不思議な声が聞こえた。


―巻き込んでごめんなさい、でもどうか、私たちを助けて―


そうして二人は光に呑まれた。

この転移が世界を救う最後の手段になるだろう。

登場人物補足

横山真由(ヨコヤマ マユ)

神山第三高校の二年生。成績はあまりよくない(学年の真ん中ぐらい)。文系。

趣味は雑誌の立ち読みと購読。新聞も読むのは好き、でも難しい小説は嫌い。

部活はボランティア部。成績が悪いので内申点稼ぎに入部。

進路はまだ決まっていない。多分私立か短大の経済学部かな~とは本人談。


篠澤誠司(シノサワ セイジ)

神山第一高校の二年生。超進学校の第一高校の中でも上位の成績。理系工学部志望。

趣味は手芸。手先が超器用。小学生の頃はよくからかわれていた。今では吹っ切れている。

部活はやっていない。第一高校に手芸部がないので…(´;ω;`)

実は他県出身。小学校四年生の時神山市に転校してきた。その時から中学まで真由とはクラスメイト。

転校前まで剣道を習っていた。今でも時折竹刀を素振りしている。


〇沙奈

神山第三高校の二年生。真由の友達で部活はテニス部。若干部活はサボり気味である。

しばらく出番ありません‼‼‼‼‼

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