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本の悪魔  作者: 大神サトシ
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第一章  一話:悪魔と少女の邂逅

初めまして。大神サトシ(偽名)と申します。

今回の作品が処女作となります。拙い文章ですが、読んでいただけると嬉しいです!

よろしくお願いします。


ページをめくる音がした


ここはどうやら洞窟の、しかも最深部とからしい。ピチャンピチャンと水の滴る音がする。太陽は見当たらないが、光種のおかげでほんのり周りが見渡せる。


「で、お前が召喚者か?」


オレは目の前にいる女に向かって言った。

女は本当に召喚できると思ってなかったのか、問いかけに答えず腰を抜かしてポカーンとマヌケ面をしてやがる。


「おい」


と、もう一度聴くと今度はコクコクと頷いた。そうだろうな。周りを見てもコイツしかいないし。

それでも聞いたのは、コイツがこのオレを召喚できるとはとても思えなかったからだ。

どう見ても4・5歳くらいのクソガキだ。白装束は汚れまくってるし、全身泥だらけだ。しかし…


「その膨大な魔力…お前、勇者か?」


まだ腰を抜かしてるのか、問いかけには答えない。が、ほぼ間違いない。魔力がデカすぎるし、何かしらの術を持ってる気配がする。


と、ようやく腰がハマったのか(こんな言い方はしないか)ものすごい勢いで捲し立てた。


「わ、私がお前の召喚者だ!おお、お前は私に逆らえない!まじゅは私の名に置いて追っ手を皆殺しにしろ!」


ほらみろ、おかげで噛みまくりだ。

ベロを抑えて痛そうにしている姿を見てオレの溜飲も少しだけ下がった。


「オーケーオーケー、こういうのは順番が大事だ。一、まずは落ち着け。二、落ち着いたらお前の名前とここがどこかを教えてくれ。最後に三、お前は誰に追われている?格好をみるにどこかから逃げてきたのか?」


フーッフーッと猫みたいに警戒しているコイツを宥めながらオレは聞いた。

コイツが口を開きかけたその瞬間


「こっちだ!こっちに逃げたぞ!」

「すぐに追え!絶対にこれ以上逃すな!」


と、追っ手としては100点満点の発言が聞こえた。


「チッ、まだ話し中なのに…【最も硬度の高い自伝(モス・カインド3世)】」


と、声のする通路の入り口に巨大な本を出現させた。

幼女が驚いた顔でオレを見ている。これでアイツらがここに入ることはないだろう。


「で、さっきの質問の答えは?」

「…(口を開けたままだ、今んとこマヌケ面しかしていない)」

「オイ」

「え!?」

「え!?じゃねえよ。追手はこれで入ってこれない。とりあえずお前の名前は?」

「…ウル」

「よしウル。ここはどこだ?お前はなんで追われている?」


ウルは未だに警戒している。信じられるか?悪魔(ひと)のこと呼び出しておいて。


「ばしょはわからない…気づいたらここにいた。追われてるのは…わたしが逃げてるから…」


つまり何もわからないということか。冷静に考えると仕方のないことだ。それも歳のせいだけではない。


「お前は勇者だな?さっきのやつらは聖鎧を纏ってたから教会の勇者か。」

「ゆうしゃ…?」

「ああ、勇者ってのは別の世界から召喚されたやつのことだ。世界によっちゃ剣と魔法が使えるやつを指すらしいが、この世界じゃ別世界から召喚されたやつは一括りに勇者って扱いなんだ。呼び方は様々だがな」

「んで、勇者ってのはいろんな理由で重宝されてんだ。たとえば…」


と、本の向こう側が騒がしくなってきた。恐らく本を壊そうとしているのだろう。


「あ、あれ大丈夫なの…?」


「安心しろ。アレは無駄に頑丈な素材でできている。並大抵じゃ傷一つつかねえよ。んで話を戻すが、勇者ってのは…」

ドゴオオオン!!!


と、向こう側から凄まじい音が聞こえた


「ねえ…」


「アイツらもご苦労様だな。…ただ少々うるさいな。仕方ねえ、少し待ってろ。オレがすぐに…」


ピシッ


思わず声を止める


「ねえってば!」

「…ありえねえ」


ピシピシッ

アレは高度だけなら手持ちの中でも最高クラスだ。そこらの聖騎士ごときに破られるものじゃない。


ピシピシピシッ

つまり


「こっちにこい!」


オレはウルを抱えて即座に後ろの壁まで跳んだ


バリィィィン…


フラグをしっかりへし折って現れたのは、銀河の聖鎧に長いマントを羽織った、明らかにそこらじゃいない男だった

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