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1部 0話 プロローグ

私の作品に興味を持ち開いてくれてありがとうございます。

 普通の高生だった女の子が、実は妖怪とのハーフで普通じゃない事を知り、出会いと闘いを通して大きく成長していく作品です。

 ご都合主義やチート最強とは全く縁のない作品なのでそれが好きな人はごめんなさい。

 ですが一生懸命考えて、何度も書き直して一話一話描いている作品なので気が合わなくても出来れば一部の最後まで付き合っていただけると嬉しいです。

 前置きが長くなってしまいましたが、プロローグを楽しんで読んでいってください。

 本当の一話は明日あげます。

 衝撃的な光景だった。

 目の前で起こった情景が焼き付いて離れられない。

 増田雪子は唯一の肉親である父親が、目の前で肉片に変わる所を見た。


 それは一瞬の出来事だった。

 血飛沫が吹き上がり大量の赤い滴が彼女の全身に飛び散る。

 雪子は尻餅を付き、怯えている。


 その証拠に顔は、目を見開いたまま涙を流していて、誰の目から見ても分かるほどに恐怖に満ち溢れた表情だ。

 そして極めつけに、尻餅をついて、又のところから水がフローリングに溜っている。

 

 もしこの場を他人に目撃されたら彼女の人間としての尊厳を失ってしまうだろう。

 だけど、彼女がこうなってしまうのも無理のないこと。

 

 照明は壊れて暗い部屋だが、月明かりによって全体がはっきり見える。


 その目に写る情景は、肉片になった父親の頭部が雪子の足元にまで転がり、目を見開き、口を開けたまま硬直してる表情。

部屋は辺り一面血の色に染まり、返り血が全身の至るところに浴び、真っ赤になった自分の体。


 そして目先にいる、見た目が気持ち悪い未確認生物、その全てが怖いと思ったからだ。

 ほんの数十秒前まで彼女の父親は生きていて、母は他界していていないが、それを除けばごく自然の普通の家庭だった。


 雪子の生活は化け物の一声で全て壊されてしまったのだ。

 バリンという照明が壊れる音がして、部屋が暗くなったと思ったら、父親の叫び声が耳に響いて、気がつけばこうなっていた。


「う、嘘でしょ」

 恐怖で今から逃げ出したい、だけど思った通りに体を動かすことができない。

 そんな中、奇妙な姿をした2体の生物たちの後ろから、20代半ばの容姿の真っ黒な和服を着ている白髪の男が何もない所から姿を表した。


「こいつか、例の女の子供というのは」

「間違いない。この顔、あの女の顔によく似ている」

「微量だが妖気を放っているな」


 男と奇妙な生物2体がおかしな話を続けている。

 雪子には意味不明だったが、1つだけはっきりしている事がある。

 それはこの化け物たちに、やがて自分も殺されるという事だ。



 そう思うと身震いが止まらない。

 逃げたいのに逃げられない、体が重くて自由に動けない。

「それじゃあボスの指示通りこいつを殺してさっさと妖魔界に帰るか」


「な、なんで。なんでこんなことをするの」

「何でこんなことをするのかって、これから死ぬお前に話しても意味のないことだ」


「お前は雪女と人間の間に生まれた子供。つまり半妖だからだ」


「は、半妖。嘘」

 信じられないという表情をする雪子。

 それも当然だろう。雪子にとって妖怪は存在しない架空の生物と今まで思ってきたのだから。


「この女を片付けるのは、お前たちに任せた。特別に俺の刀を貸してやる」

 男の姿をした化け物は腰にある刀を置いて、暗闇の中に消えていき、2匹の奇妙な生き物がその場に残った。


「可哀想に、あの女の子供じゃなければこんな痛い目に遭わずに済んだかもしれない、だがこれが人間の言葉で言う定めってやつだろう」

 その言葉が耳に聞こえた瞬間、妖怪の持っていた剣が振り下ろされる。


 雪子は左足の感覚が無くなったと思い、自分の足を見ると、切断され、出血していた。

「え。わ、私の足がいや、イヤァアァァア」

 頭の整理が追い付かない、さっきまであった左足が1メートル先の地面に転がっているのだから。


「外してしまったか。だが次は、首を切り落とす」

 じわりじわりと迫り来る妖怪。

 その後雪子は殺されるとそう思った時、今までの人生で起きた出来事が頭の中を過ぎった。


その中で幼い頃、今と同じ真夏の猛暑に熱中症で倒れた記憶を鮮明に思い出した。

熱も40度近く上がって死にかけた時、今は亡き母親が雪子の近くに寄り添っていた。


「ママ、気持ち悪い」

「大丈夫、すぐに涼しくなるわ」

そう言って雪子の額に手をかざした母親は氷を生成した。


「頭が冷えて気持ちがいい」

「ママね。氷を作る事が出来るのよ」

「氷を作る」

「そうよ」

そう言って雪子に手のひらの上で氷を生成するところを見せた。


「ママ凄い」

「他の人には内緒にね」

「ママ、私も氷を作ることが出来るようになるかな」

「出来るようになるわ。だって雪子はママの子供なんだから」


「本当に?」

「えぇ。ただ今は無理よ。大人になったらね」

その言葉を最後に雪子は今の現実に戻された。

これが走馬燈という物だろう。


なぜ小さな子度の頃のことを思い出したのか分からなかったが、雪子は無意識の内に右手を前に突き出していた。


すると目の前にあるもの全てが氷始めたのだ。

「な、何をした」

何をしているのか雪子ですら分からなかった。

だけど目の前の化け物が雪子の氷の餌食となり全身膠着して動けなくなったのだ。


「何これ」

理解が追いつかない。切られた右足も何故か元に戻っている。


でもこれは好機だ。

雪子は玄関の扉を開けて外に飛び出すのだった。

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