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第5幕

 その夜に魔王様とミミュルさんがやってきた

「我もお風呂とやらに入らせてもらおう!」

「連絡無しにごめんなさいね、赤竜ちゃんに聞いて飛び出してきちゃったのよ」

 門を改造しちゃったようなものだからレイルブライルにも報告義務が発生するよね、お風呂に入れるようになった嬉しさばかりに目がいってたけれど怒られないでよかった…

「分かりました、魔王様

それでお二人で入りますか?」

「そんなわけないだろう!」

 魔王様も女性とは一緒には入れませんか

「みぃや、我と入り教えてくれ」

「え?」

「なに、嫌なのか!?」

「嫌じゃないですよ! 大丈夫なのですか?」

「???、問題ないぞ?」

 あれ?相手が子供なら大丈夫とかか?

「分かりました、ではミャーは後でミミュルさんをお願いしていいかな?」

「はい!任せて下さい!」

「ミャーちゃんよろしくねぇ♪、魔王様、ごゆっくり~♪」

 魔王様に移動のことはどうなのだろうか、まぁいいか、ポポちゃんお願いします。

・・・。

 移動のことは特に反応も言及も無く受け入れていた、それよりもお風呂が気になるみたいで、すぐに近付いて確認しにいく。

「ここで服を脱いで下さい、今日の今なんで必要な物が無いですけど」

 魔王様はなんの躊躇もしないで衣服を脱ぐとポイッっと捨ててしまうのでそれを畳んで自分も脱いだ

「ジィー・・・」

「魔王様?」

「ああ、みぃやは本当に綺麗だな」

「あ、ありがとうございます」

 ジッっと見てきたので聞いてみたら、まさかの褒められてしまったよ、美しい景色を褒めるように何も混じっていない純粋な感想だった。洗うのは仕方ないと諦めていたけど提案してみることにする、魔王様はそれをあっさりと承諾、なのでキレイになるように全身を手で擦ってあげた

「では入りましょうか」

「ありがとう! 楽しみだ」

 ポポちゃんが再準備してくれたかは分からないけれどお湯はきれいなままで冷めてもいなかったのでとても気持ち良い。

「魔王様、温度はどうですか?」

「あー、いいな! これは・・・いいな!」

 大丈夫みたい、なんか興味津々の子供みたいにお湯を掬っては落としてを繰り返してる

「みぃや」

「はい?」

「我のことは名前で呼べ」

「分かりました・・・・・・・人間には名前が長いと呼びにくいと感じるので、魔王様のあだ名を教えて欲しいです」

「そうなのか? ・・・・では『モルモ』とでも呼べばよい」

「分かりました、モルモ様!」

 …よかった、ではみぃやがあだ名をつけろなんて言われたらとヒヤヒヤしたけどなんとかなったよ

 モルモ様、モルモ様、よし、覚えやすい。

 モルモ様はそれから機嫌が良さそうで10分ほど浸かってから出るのだった

・・・。

「あら?魔王様ご機嫌ね♪」

「とても気持ちよかった」

「ふぅん♪」

「なんだ?」

「いえ♪ じゃあミャーちゃんよろしくね♪」

「はい!みぃや、行ってきます」

「よろしくね」

「はい!」

 入れ替えにミミュルさんとミャーがお風呂に行くのでモルモ様と待つことにする

 少ししてモルモ様は唐突に切り出した

「みぃや、人間の所…、魔王領(ここ)を出たいか…?」

 尋ねるその顔はとても不安そうだ、肯定すればすぐに許可してくれるような雰囲気がある

「いいえ、モルモ様がいいって言ってくれるならずっとここ(・・)にミャーといる予定ですよ」

「そ、そうか? いいのか? ほんとぉーっに良いのか?」

 ずっと人間と交われないかもしれないもんね、それでも自信を持って応えるよ(・・・・)

「はい!よろしくお願いします。そしてありがとうございます♪」

「あ、ぅ、そ・・うか…

 みぃや!ありがとう!」

 モルモ様と自然に笑い合いました、ミャー共々これからもお世話になります

・・・。

 2人が戻ってくるがミャーは疲れていた

「おかえりなさい、ミャーどうしたの?」

「ずっと離してくれませんでした…」

「すべすべで気持ちよかったわ♪ 次は(・・)魔王様とみぃやちゃんも入りましょうね♪」

 あぁ…お風呂を気に入ってくれたのは分かったけどミャーはずっと密着されてたのか…

「断る!またみぃやにお願いする、ミャーも一緒にいいぞ」

「照れなくていいのに♪」

「照れてない!」

 モルモ様の本心だった、女性とでも気にしないけれどミミュルさんとが避けたかったんだね、本能で危機でも感じているのかな。わたしものんびり入りたいから遠慮したいけど誘われれば断れないと思うな…

・・・。


 次の日に朝からアルトとノールがやってきて注文していた家具が出来たことを教えてくれる

「遠いいのにわざわざありがとね」

「これぐらいどうってことないよ!」

「はい、鍛錬にもなっているので気にしないで下さい」

「無理しないでね」

 はやく街に行きたいけれど今日の挑戦者来ないから出られないんだよね

「2人ともお風呂入ってく? 体を洗うことは出来ないけど、湯に浸かって出るだけなら大丈夫でしょ?」

「どうする?」

「うーん…、少し怖さはあるんだよね」

 未知のものは怖いか……。ただの湯だけど怖いか?どうにか安全と思ってもらいたい

「魔王様やミミュルさんも入ったから大丈夫だよ」

「「!?」」「みぃやたちと入ったのか!?」

 アルトは驚きのあまり固まっている、そんなに衝撃的だった? 2人も誘ったよね?

「私は魔王様と入って、ミャーがミミュルさんとそれぞれ教えながらね」

「「・・・・・・・・・・・・・・」」

 今度は2人とも固まってしまったよ!?

 あーダメだね、これは絶対一緒に入ることはしない方がいいやつだ

「無理しないでね」

 聞こえたか分からないけれどさっきと同じ言葉を投げかけておくのだった。

・・・。

 お昼頃になって漸く挑戦者がやってきた

「「こんにちは!」」

 堂々と入ってきたのはこの前の強いと判断した女性3人組だった、腰上まで伸びた赤髪の女性が一歩前に出ている、動きが速い人だ

「「こんにちは」」

 今日は奇襲はないみたい、武器は構えているけれど突進してくる気配はない

「あの時はいきなりでごめんなさい、噂を鵜呑みにし過ぎていた」

「私も作戦が失敗して、更に仲間がやられていて興奮し過ぎていたの」

 そう言ったのは棒を構えた人、2人に同意するようにもう一人が首を縦に振っていた

 噂?どんな噂かきいてみたい

「あの、その噂ってなんですか?」

 のんびりと話に着いたのが意外だったのか驚いている、3人とも武器を下ろして自己紹介してきた、・・・しかも自分の情報を付けて

「ワタシはレェーリエ、速さには自信があった。この仲間の代表だ」

 真っ赤な髪でつり目の勝ち気なお姉さん印象

「私はフルリーエ、レェーリエと姉妹で妹よ、作戦は私が立てているのよ」

 姉と一緒で姉より少し短い赤い髪でつり目、でも責任感が強そうで堅い印象を受ける

「ヘイスアレリア」

「・・・・(おわりかな?)」

 ふわふわ系の青い髪で半目の女性、2人に比べると身長が低い

「ヘイスアレリアは荷運びや支援をしてくれている」

「なんでばらす?」

 そうだよね、敵に向かって自分の情報を言うバカはいないよね

「レェーリエ」

 こっそりと一番言いやすい名前を呼ぶが当然何も起こらなかった。

 姉妹の2人がジーっとこっちを見ている、もしかして自己紹介待ちじゃないよね? あの棒の人にはしたような気がする…

「みぃや、それです」

 えー…

「みやです、みんなにみぃやって言われています

 ここの主を任されていて、戦闘はからっきしです」

 姉妹から拍手が起こる、何これ? ヘイス…さんの目が更にジト目になってるよ?

「ミャー、みぃやを守ります!、みぃやと同じ主です」

 おぉ!ミャー可愛い!拍手!

「みやとミャーに聞きたいことがあって出向いた、昨日こようとしたが許可が取れずに今日になったが」

「変な4人の男が先にいたけど譲ってくれたのよ」

「・・・・聞きたいことって?」

 変な4人の男って…。彼女達に譲ったのは何か理由があるのかな?

「ワタシたちはこことは離れた街から噂を聞いてやってきたのだが、君たちは凶悪そうに見えないんだ」

 凶悪ですか?魔王領の門番ですし当然の認識なのかもしれないけど、離れた街から来たって言うなら、最近に変わったわたしじゃなくてトーさんのことを言ってたかな?

「とんでもない力を持った猫人が街を滅ぼそうと画策しているとかなんとか」

 違った!?、わたしたちの事だ

「ミャーがですか!?、してないですよ!ずっとここで一緒に防衛したり、次の地に通したりしているだけですよ!」

 殺していませんし、深手までも負わせた人もいないよ

「言葉を信じろと?」

 無理に決まってますよね、こっちとしては守っているだけで誰が来ても変わらないから関係はないんだけど…

「嘘はなさそう」

 みぃやたちをフォローしてくれたのはヘイスアレリア、疑いで見ていた目をやめてレェーリエに進言する

「ワタシもそう見えない。ではあっちの噂も嘘だろう」

「そうね、実際訪れて変化も無いし嘘でしょうね」

 なんだかよく分からないけれど、目に見えて疑いが消えているのが分かる

「私たちは帰るわ、機会があったら会いましょう」

「うん!」「はい!」

 お姉さんたちが来ないことには会うことは無いだろうけどね、最後には3人、特に妹の人が友好的だったなぁ。

・・・。

「長らくお待たせしました」

「何事もなくてよかったですよ」

「はやく行かないと店が閉まっちゃうちゃうからな」

「閉まるのいつ頃なの?」

「うーん、暗くなったら閉まる、後は気まぐれ」

 決まった時間が無いから大体だね、季節があったら冬はすぐ閉まっちゃうね。


「ポポちゃん、少し行ってくるね」

 外に移動してくれると門の入り口にポポちゃんが立っていて笑顔でジッっと見ているので手を振って歩き出した。

 分かれ道までくると時間があまり無いのでミャーがおんぶしてくれる、背中にスリスリあったかい♪

 すると、2人がなんともいえない顔になった、どうしたんだろうと聞いてみたら、ミャーにお使いを頼んだあの日、ミャーはわたしのために急ぐ気満々でアルトを抱っこしノールをおんぶしてしがみ付かせてダッシュしたらしい、恥ずかしさとあまりのミャーの走る速さで怖かったみたいだね、特にノールは振り落とされないように必死だったと。自分より大きい人2人を乗せて走るミャー…それは・・・かっこいいね!

「さすがミャーだね♪」

「はい♪みぃやのためなら!」

・・・。

 街に着くのは速かった、わたしが足枷だったんだなぁって思ったよ、前みたいに危険生物に遭遇が無かったっていうのもあるけど、およそ1時間近くも短縮されてたのは単純に移動速度の違いだよ。

 2人が荷車について協会で聞いておいてくれて、一般で購入も出来るが協会で加入者なら安く買えるらしい、しかしその場合は持ち主登録がされるためにいざ見つかった時に罰則が科せられないよいに本人がした方が良いと言う

「なら、普通に買った方がいいかな?」

 身バレすると襲われる可能性があるから避けた方がいいよね

「でもね値段を聞いてみたら大体800Rくらいするんだって」

「えぇ、高過ぎない!?」

「そうなんだよ、協会で買うと200Rって言ってた」

「安過ぎない!?」

 600Rも値引かれるってあるの?協会で殆ど独占でもしてるのか

「その辺は俺たちに言われても分からないよ」

「そうだよね、ありがとね!」

 どうしようか、ちょっと高いなぁ

「ミャーどうしよう?」

「はい!登録しましょう」

「そうだね♪」

「そんなあっさり…」

 ミャーが言うんだもん、大丈夫

・・・。

 やってきました!ルフェロシュ協会!

「ルフェロシュ協会へようこそ、こちらは登録になりますけれど、お間違えないでしょうか?」

 チラチラとアルトたちを見ているから間違いないとは思っているでしょうね、ただ少女2人ですからね、戦えそうには見えないはずだ。

「はい」

「はい、協会についての説明は必要でしょうか?」

「大丈夫です」

「分かりました、ではこちらに記入をお願いします」

 説明は2人に聞くからいいとして、差し出された紙を見ると・・・・やっぱり読めなかった、蛇みたいなぐにゃぐにゃした形をした文字?がたくさん並んであって下に四角く囲みがあるの繰り返し

「みぃや、貸して下さい」

「ありがとう!」

「名前は…、出身地は…」

 ミャーが敢えて読み上げながら一つずつ書いてくれた、協会の人もアルトたちも不思議そうにしていたがまさか言葉が一緒で文字が違うなんて思っていなかったから仕方ない、ちょっと恥ずかしかった

 書き終わるのを待っていると数頭生物が荷車で運ばれてくるのが見えた

「あの、仕事は聞いています。あの運ぶのが欲しいのですけれど売っていますか?」

「えぇ、ございますよ。しかし、使用料・・10回で25Rでお貸ししておりますが」

「ええと、借りるというのに抵抗があって。

 申し訳ありませんがおいくらでしょうか?」

「そうなのですね、たまにいらっしゃるのですけど珍しいのですよ

 では、購入は、本日登録なさるということで少しお値引きさせていただきまして、200Rとなりますが大丈夫でしょうか?」

「お値引きっていいのですか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「ありがとうございます♪」

 小貨幣を10枚ずつ出していき丁度支払った、ミャーも合わせて紙を出している。確認すると、問題無かったのか少しお待ち下さいと引っ込む

 10分ほど待っていると3枚の紙を持って戻ってきた

「こちらが登録の証明書になります、無くさないようにお気をつけ下さい

 そしてこちらが荷車の登録書です、えぇと、ミャーさんでよろしいですか?御名前を記入して下さい」

 ミャーが軽く見ると名前を書き込む

「では荷車は裏に、回っていただいてその紙を見せて下さい」

「分かりました!」

「これで以上となります、ありがとうございました」

 協会を出て言われた通りに裏に建物があって紙を見せると少し丈夫そうな金属で出来た荷車を引き取る、引くのはもちろんミャー

「みぃやさんは交渉が得意なんですね、先程のやりとりは素敵でした!」

「得意じゃないよ、あたふたしちゃうしね」

「そう見えませんでしたよ」

 タイミングよく他に運び込む人がいたからそうしやすかったからラッキーだった。

「みぃやさんは字が読めないのか?」

「見たこと無かったから、読めなかったんだ」

「まぁ、あまり使うこともないけど、教えてあげるぞ?」

「うーん、ミャーがいるから大丈夫かな。本当に困ったらお願いします」

「わかった」

 それから食材とお風呂で必要と思った物を購入してから家具屋へ受け取りにいった

 結構大きい物だったけどミャーは一人で軽々持ち上げて乗せる、布団は折り畳んで布が何重に包まれていたので汚れる心配も無く乗せられる。

「今日もありがとう、これでご飯でも食べて」

「どういたしまして♪ でもこれはいいよ」

「そう?、また今度お菓子でも…」

「みぃや!」

「あ、お願い!」

「はい!」

「「???」」

 ミャーがお金を受け取りすぐに走り出していくと数分で帰ってきた

「はい、どうぞ」

「「あ、ありがとう」」

 ミャーが二つある箱の内1つを2人に渡すと荷車を再び持ち上げる

「うん、またね♪」

 わたしもさっさと荷車に乗ると帰宅するのだった。


 門に到着すると荷車ごと部屋に送ってくれた

「帰ってきたか?」

「ウム、おかえり」

「モルモ様、レイルブライル、何かありました?」

「またお風呂に入らせてもらおうとだな」

「ウム、そしたらみぃやたちがいなかったもので待たせてもらったぞ」

 呼び出ししないで来たってことか、レイルブライルはあり得ないからモルモ様に途中で連れてこられたんだね

「ポポちゃんお風呂大丈夫?」

「うんっ♪」

「みんなで入りましょうか!」

 さっき買ってきた服を入れる箱とごわごわの布と片手鍋を出すとお風呂に移動する、トーさんはお風呂入るかな?今度聞いてみようか

・・・。

 今回は脱いだ衣類は箱に入れてもらい、布を2人に渡す、片手鍋は2つ用意

「濡らした(これ)で体を擦ることでキレイにして、その後に片手鍋(これ)でお湯を掬って体にかけましょう」

 モルモ様は言われたことを素直にやってくれるが、思っていた通り赤竜(レイルブライル)には後ろに手を伸ばしたり出来ないのでわたしたちが洗ってあげた

「これでいいか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「みぃやの方がいいな

みぃや、任せた!」

 あはははは♪ 良いとか悪いとかって言うところが純粋で許されるポイントだよね、レイルブライルをミャーに任せてもう一度モルモ様を洗いましたよ。

 お風呂が出来て気持ち良いし、ちょっとした交流にもなるし本当にありがとうね、ポポちゃん。

 湯上がりにご飯を作って出してあげて、ミミュルさんの分も含めお菓子を渡してあげました。


 その日の夜に門が襲撃されたのだった

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