第2幕
生まれ変わって三日目、落ち着いて寝られたことで気付いたことがある、生活するにあたっての体に起こる一部の現象が無かった
「ミャーはお腹空いた?」
「いいえ」
「ミャートイレ行きたい?」
「いいえ」
「不思議だね、私も全然だよ」
部屋に何があるか探ってみていると姿見があったので自分の容姿を確認する、可愛いかった
「ミャー私って可愛い?」
「はい!みぃやは一番可愛いです!
ミャーはどうですか?」
「もちろん世界一だよ!」
すぐにイチャイチャ、バカップルだと自分でもすごく思う、恋人…ではないのか? そんな些細なことはどうでもいいとミャーと仲良くじゃれ合うのに集中する。
水道は普通にあったし、擦るとつくコンロもある(仕組みはわからない)、電気は無いが夜でも明るかった。
『ピーーーポーン』
昨日挑戦者が来た時鳴った来客音だ
「今日は来ないはずじゃ!?」
そうは言っても降りないとやばい、仕事内容的に仕方ないといえ朝から物騒だね…
「朝だけでみぃやといれるならそれの方がいいです♪」 たしかに考え方を変えれば一日警戒が要らないのか、ミャー賢い!
下に降りて待つこと10分…来た…速い!
・・・昨日の4人が遅いのか?罠とか無いし…
挑戦者は頭髪が無い強面の男
「お? おうおうおぅっ!お前らか?」
「ひっ!?」
ミャーがすぐにわたしの前に出てくれた
「子供だけどホントに天使みたいだな?」
「て、てんし?」
何のこと?なんでわたしたちを知ってるの…
「昨日な魔王討伐に出たやつらが天使に出会ったって言って崇拝していてな、なんか宗教的な感じだったんだ。気持ち悪くて、受付朝一に申請して討伐ついでに顔を拝みに来たってわけよ」
「昨日の挑戦者が…」
「みぃやは渡さない、守ります!」
信仰みたいな考えの意味がわからないミャーはみやを庇う
「そっかそっか、なら勝負に勝ったら渡してもらおうかな?」
見に来ただけでわたしを求めに来たわけじゃないのにどうしてその条件になるの!?
「下がっています…」
「いいですよ! すぐに終わらせます」
ミャーが怒ってる!? 本気でいくのは不味いからね、手加減してね?
男はニヤリと笑って構える
「言質はとったぞ?
いつでもかかってこい!」
「あ…」
予想通り、勝負は一瞬でついた。ミャーは男の背中を蹴った、それはもう全く動かない的にきれいに一撃を入れたよ。男は受け身もとれずに前に吹っ飛ぶ、壁までいかなかったのは手加減した証だろう
「だ、大丈夫?」
「みぃや、終わりました♪」
動かない男はまるっと無視か…、一人だし魔王様討伐に出れるから強いのだろうけど
暫くみぃやの頭を撫でているとピクピクと唸りながら立ち上がった
「ぅ…ぅ…ぅ…ぅ…」
「なに…」
いきなり顔をあげるとミャーを凝視する
「惚れた、付き合って下さい!」
ミャーに告白した!?
「いいえ!みぃやと居るので嫌です!」
盛大にふられた!?、ガーンとショックを受けて項垂れたよ…。
しかし、嬉しいよミャー!、付き合ってが言葉通りでいるって答えたんじゃないよね? うぅ…
「みぃや、顔が赤いですよ」
「ミャーが可愛くって…」
「みぃや♪」「ミャー♪」
「・・・・!尊い…」
今なんか聞こえたような…
「また来る!」
男は去っていく、もう来ないで!?
・・・。
ミャーは昨日の4人組が言ってた言葉を思い出したかのように伝えてくれた、ひそひそ話をしていた内容だ。
「情報があってマニュアルがあるのかな?」
「対応のためにも見ておいた方がいいと思います」
会話や応対するのに必要だと思い、まずはミミュルさんに聞きにいこうと動く
・・・。
ミルミルの地だっけ? 何処にいるのかな、呼べば来てくれるみたいだけど
と思っていたら、向こうからミミュルさんが浮いてきていた、二人で少し上を向く
「みぃやちゃん♪ミャーちゃん♪」
予想通りの行動になんか安心
「私に会いたいって気がして来てみたんだけど、本当にいてくれたの♪
どうしたの?」
なんか伝わってる!? 今さっき決めた行動なのに
動揺しているわたしと違いミャーは今日の男の話をしてからさっきの話をしている
「もう挑戦者がきたの! 連日は珍しいわね
二人ともとぉってもかわいいから呼び込んじゃったんじゃないの♪」
茶目っ気たっぷり、冗談で真実を口にしたミミュルさん、笑えないよ…
「じょうだんよ♪大丈夫でしょう、連続して挑まれることも偶にあるのよねぇ、滅多に無いわ!安心してね♪
情報ね、たしかに看板があるの! 一度目を通した方がいいかもしれないわね 貴女たちはかわいい女の子だから会話の機会が多いかもしれない、私たちの大半は問答無用で襲ってこられる事ばかりだから失念していたわ…」
骸骨や竜がいたら殺される!や対話は出来ないから…が普通だと思うよね、言葉も…発音?も違うみたいだしね
「敵対してたら耳を傾けたり、敵からの情報を鵜呑みにしないからですよ」
そうか!さすがミャーだ、わたしが思っていることがわかっているみたい。他種族でも言葉が通じるのはいそうだもんね、常識が違うから思いつかなかったよ。
初めて行く方向、砦に続く道を辿るとに、2分くらいの所に別れ道があり、道を塞ぐくらい大きな看板が立っている
『 注意!!!
この先、非道な悪魔だらけの魔王領である!
入りたい者は協会の許可を得ること(詳しいことはヘルメス協会まで)』
ふむふむ、非道な悪魔だらけのか…訂正したいなぁ
「大丈夫よ、これが他から見た私たちの姿像なの」
「そうなんですね…」
「知っておいて欲しかったの
じゃあ戻るわよ♪」
「え?」
ミミュルさんは引き返していく、なんで!?
丁度中間辺りに看板がある、さっきあったかな?
「うふふ♪ この看板はね外から来た人にしか見えないのよ」
「だから、一回さっきの看板まで行ったんですね!」 この世界は不思議だなぁ、書かれている内容はと・・・。読めなかった…さっきの看板は読めたのに…
「ミャー読んで?」
「はい!」
『魔王様に挑みし者よ、この先には四つの地を越え、五人の主を倒せし者に魔王様の城に入場する権利が与えられるであろう!
主は不意打ちなどしないので正々堂々正面から戦おう! 道中、罠や仕掛けは設置しないから安心して万全を期して挑んでくれたまへ!
*主は代わることもあり
ポーポー門→メルミルの地→向こう洞窟→レヴィレト草地→ヌーラの地→魔王城』
「ミャー朗読上手いね!」
「ありがとう♪」
「わかったかしら?」
「はい!しかし誰が書いたのですか?」
「魔王様よ♪」
「・・・」
「皆で意見を言いながらね、我の部分は後から直したわ♪」
なんでもいいや…、とりあえず胡散臭い、これ…罠臭がすごい。あの挑戦者4人は慎重に慎重を重ねて上がってきたのだろう
あと、わたしたちが守る場所の名前が…!
「ありがとうございます
最後にひとつ、魔王様の城って主を倒すのは必要無いですね?」
わたしにそんな権限無いもん、ミミュルさんはニコっと笑う。窓は気づかないのじゃなくて登らないといけなかったのか、余計に負けた時のセリフを言うのが恥ずかしくなってきたよ…
ミミュルさんにお礼を言って別れて暗くなり始める頃、初めて聞く音がなった
「なに!?ミャーどうしよう?」
「みぃやはミミュルに聞いてきて下さい!
ミャーは下にいます」
そうだよね!ミャー頼りになります。急いでミミュルさんに会いに行くとまたしてもミミュルさんがすぐに来る
「何かあったの!? 助けてって求められた気がしたのよ!」
ミミュルさんエスパーですか!?
「来客でもお帰りでもない、『チーン』と音が鳴ったんですよ! ミャーに頂上で待機してもらってます!」
わたしがそれを伝えると険しい表情を和らげて安心したようだった
「説明忘れていてごめんなさいね、みぃやちゃんそれはね仲間からこれから行きますの知らせなの。可能なら返して、無理なら返事無しね
立場上、ポーポー門の主は中々場所を空けることが出来ないからね」
そうだよね、挑戦者が来た日はいいけど来ない日はね…、ってことは!?、拒否しちゃった!?
「慌てないでいいわよ、無理なら仕方ないって皆思っているからね」
「そうですか」
少し安心した時洞窟方面から赤竜のレイルブライルが飛んで来た
「おおっ、無事でよかった!」
「赤竜どうしたのかしら?」
「ウム、ミィヤから強く助けてと感じたから来たんだ」
レイルブライルまでエスパーですか!?
ミミュルさんが驚いてからカラカラ笑いながら今の話をすると納得したようだ
「スマナイな、連絡したのはワシだ」
「レイルブライルだったの? 無視してごめんなさい…」
「気にせんよ、それよりミャーの所に行った方がいいと思うぞ」
そうだった!?ミャーごめんよ!
「本当にミャーちゃん一筋なのね♪」
自重して友達と思われているはずなのに、ましてや女の子同士、なんで!?。 あっ!子供同士の仲・思いの深さみたいな伝わり方か!
「・・・いいづらいのだが…行ってもよいか?」
「レイルブライルごめんね、いいよ!」
なんか優しいお爺ちゃんみたいだよね、レイルブライルは小さくなると付いてくる、急いでミャーに伝えにいったのだった。
・・・。
ミャーにも伝えるとレイルブライルが音の鳴らすやり方を教えてくれた、そして今はミャーと一緒にミミュルさんの膝に座っている。 ミミュルさんもついでに付いてきたみたいだ、布団をもう一式出しておく
「今気付いちゃったんだけど…2人ともごはん食べている…かしら?」
「そ、そうだったな…、この部屋に食べ物はないな…」
おぅ…本当に今気付いた感じだね、普通なら飢えてるよ
「よくわからないけど大丈夫なんですよ、お二人は?」
「そうなのね…?
えっと、私は必要無いわよ、逆に魔王領にて外部から取り込む種族は珍しいと言えるわね」
「ワシはその少数派だがな、一度食せば長い時、必要無いんだ」
食事要らないんだ、レイルブライル猪食べたしね。食事に考えがいかないのは環境のせいだね、仕方ない、むしろよく思い出せたと思うよ。
「言葉も唯一通じたし食事も要らない、なんかミミュルさんたちの種族に私似ているかも」
見た目も近いしと思っていたらミミュルさんは少し悲しい顔をしていた…気がした
「そうね♪でもよかったわ」
その後も和やかに進み、ミミュルさんが今日だけとミャーに私抜きの許可を取っていた
ミミュルさんを中心に両手にわたしとミャーが、そして極限まで小さくなったレイルブライルは前世のミャーサイズ、わたしのお腹の所に来ておやすみしました。
四日目、目が覚めたのは挑戦者の音でだった。寝坊だ!? 急いで立ち上がる
「あら~?今日もなの?」
ミミュルさんは起きたばかりみたい、レイルブライルはいないね。ミャーは既に待機している
「ミミュル、今日負けます」
「そうなのね!、急がないと!」
慌てて帰っていくミミュル、今日負けるの!?、ついにやるのか…、なんだったかな…。時間が無いのでそのまま下に降りる
「…下に降りるといい」「…あそこをみてね……次の地への道だ?あれ?ちがう…」
復習しているが言葉を忘れてしまった
「みぃや来たです!」
「は、はい!!」
登って来たのは10歳くらいの二人の少年、こんな子供でも戦うの!?。おしゃべりしながら来ていた、あの看板信じているのかな?警戒してないよ、わたしたちに気付いた、武器もとらずに駆け寄ってきたよ
「どうしたの?危ないよ?」
「ここには主がいるんだ、逃げた方がいい」
勇ましそうな子がわたしの手を取り階段の方へ引っ張る、力すごく強い!?
パシッと少年の手に小さな手が掴み剥がした
「みぃやに触れるな!」
「猫がなんだ!主がいるんだぞ!」
「みぃやが主です」
ミャーもでしょ?
二人はその瞬間に跳んで下がった、もしかしてあの4人組より強い?
「この子がそうなの?」
「うそだ!弱そうだぞ!」
「はい、私は強くないですが主です、お相手はミャーがします、下がりますね」
「「・・・・」」
「お前が相手なのか?」
「はい!」
「・・・わかった」
二人はボソボソと話す、ミャーの耳が動くと無表情になっているがそこには何故か怒りのようなものを感じたのだった。
少年は二人とも短い剣を持っている、二人とも合図さしたわけでないのに同時に飛び出してすぐにミャーに迫り隙間を無くすようズラシて常に切りつけている
移動も振るのもとにかく速い!
しかしミャーは少しずつ下がるものの全て避けていて安心して見てられる、ある程度躱すと勇ましい少年の剣を掴むと引っこ抜いて正面に放る、クッと少年が下がり、もう一人が振りながらもチラリと少年を見ると自分の剣をわたしに向けて投げてきた
「え?」
気付いた時にはすぐ目の前、ダメだと思ったがすぐにかわいい細く短い尻尾が目の前に現れる
「みぃや、大丈夫です♪」
「ミャー!!、ありがとう♪」
「はい♪」
ミャーは再び少年に顔を向けると肩を震わせていた、少年たちも驚いたようにビクっと震えて肩を抱き合っている、なんか可哀想に…
中心まで歩いて行くとわたしを呼ぶ
「今回は降参します、みぃやが心配なので」
「「は、はい?」」
えっと…ミャー?強引過ぎないか、武器も全て無力化して降参って、最悪の空気だよ~やらないと…深呼吸する
「私たちを下すとは!次の道を授けよう、二人で一番下まで戻るがいい!」
少年たちがポカンとしてる、恥ずかしい!? 速く行って、お願いします!
やっとのことで振り返りながら階段を降りていく二人、わたしたちは屋根に出て下に滑り最下層で待機する
「勝ったの…?」
「あれは完全に負けた、しかももう一人のかわいい子に投げたのはやばかったと反省だな…」
「うん、やめればよかった…」
声が聞こえている、可哀想なくらいに落ち込んでいるみたい、ミャーの殺気がひどかったからな…あ
「ミャー、ごめんね♪」
「みぃや! どうしました?もう来ますよ♪」
うりゃうりゃうりゃとミャーを骨抜きにしていると少年たちが一つ上がった更にその上の途中、正面上からわたしたちを見下ろして固まった。わたしは二人に手招きする
「…みぃや♪」
「「・・・・?」」
「お疲れ様、次の場所はあの窓からいくの!届かないね?ミャー持ち上げて」
「はーい♪」
ご機嫌ミャーだ可愛い!少年たちまだ固まっているけどミャーに対する恐怖は薄れたみたい、抱かれてビクっとしただけですんでいる
「頑張ってねー♪」
かっこよく言えなかったけどまぁいいよね?
お仕事完了♪ ミャーお部屋に戻りましょうか!
その夜にまたあの音が鳴ったので許可を出したらみんなやってきた! 何か問題がって思ったけど違ったみたい
「よくやってくれた!
我の所まで二人の男がやってきた」
ひえっ!お気楽モードだから油断してた、まさかの逆か!
「申し訳ありません!」
「ドゥドゥドゥ」
「そうだな」
「ぶぶ?ぶぶぶぶぶ!
ぶぶぶぶ、ぶぶぶぶぶぶ?ぶぶぶぶぶ?」
「それは我も気になる、教えろ」
魔王様ごめんなさい!二人の言っていることがわかりません!
「モルモンモール様、ミィヤはスケルトンとカッパァニムの言っていることが伝わらないので質問がわからないかと」
助かったよ、かっぱ?種族名なのかな、スケルトンはなんか馴染みあるね、名前忘れたけど…
「そうなのか? ミュリミュルミール!」
「ミミュルですよ みぃやちゃん」
そういえば、最初はみやちゃんだったような? いや、最初からみぃやちゃんだっけ?
「スケルトンは貴女を認めてくれていてね、カッパァニムちゃんの質問は今日の挑戦者のことで、どうやって屈服させて仲間になるように勧誘したのかって」 ・・・・・・ん?、勧誘?
ミャーを見るが首を横に振った
「あの…仲間に誘っていませんが…?」
「そうなの? 私の所にくるなり、仲間になりたいですって言ってきたわよ?」
「それは、ミミュルさんに惹かれたのではないでしょうか?」
「それは無いわね、来て対峙する前には頭を地面につけて懇願していたから」
「・・・それで二人はどうしたのですか?」
「仲間にするのは構わないのだがな、そうすると生活出来なくなるのと人間に敵対するからな、他の人間と同じように負けたということにさせて帰ってもらった」
妥当なところか…、誠意があってもね暮らしはどうしようもないよね
「だからね、いつでも遊びに来てもいいことにしたのよ♪ もちろん口止めはしてますよ
害が無い限りは自由ね♪」
魔王領のフリーパスを手に入れたわけかよかったね二人とも
その夜はみんなが門に泊まる、あり得ないでしょう? 男も女もっていうよりは王様も平民もって感じでね、すぐ寝ちゃった魔王様はその後にソッとミミュルに抱かれ包まれて眠り、起きた時にギャーギャー騒ぐのを楽しく見守るのだった。