第17幕
カルロシュ協会絡みは大丈夫かな?と昨日の出来事を考えていたら今にしては珍しく2日連続のお客様だった。
「よぉ!久しぶりだな!」
「お久しぶりです
色々ありがとうございました」
「いいんだ! それよりもお願いがある」
「おぉ!たしかにかわえぇなぁー」
いつものわたしたちの絡みが好きなあの人が来たのだけど、何か背負ったイケメンの男がもう一人いた。
「小さい中に気品があり、内から溢れる美しさ!
そして何よりも可愛らしいお胸!」
・・・変態でした…お帰り下さい
「何言ってんだ!!」
「痛っ!? このハゲ!何すんだ!」
「悪ぃな!コイツに悪気はないんだ」
「どちら様でしょうか?」
「コイツはな・・」
「あぁ!この世のものとは思えない可愛らしいお顔にそれを引き立てるようなお耳と尻尾! そして美しくも慎ましやかなお胸!」
・・・説明不要の変態ですね… どんなに褒めても最後の一言で台無しだ。・・また殴られている
「みぃや、追い出しますか?」
「そうしたいけど、一応、説明聞こうか」
「はい」
「ハァ…ホントに悪ぃな!
どうしても会わせてくれって…」
「私たちにですか?」
「おぅ…」
彼の説明では、この人は彼の元仲間で放浪画家だそうだ。 美しいものがないかと相談を受けて、ついついわたしたちが浮かんだことを悟られ追及され続けたという。
「フッフッフ! このハゲに粘り続けたかいがあったわぁ!まさか景色で無く人物だったとは驚きだけど期待以上やわぁ!」
・・・どのくらい粘られたんだろう… 多分1週間とかじゃきかないと思う… ありがとう!
「とりあえずお二人のお名前教えて下さい」
「あいよ!」「あ?あぁ、そうだった」
「何?お前名前も言ってねぇの?」
「俺はなハーゲイだ」
・・・だからハゲって呼ばれているのか
「多分違います…」
分かっております…
「ほんで俺はなぁネコタァや、絵を描いて売ってる。好きなものは小さ…「黙れ!」」
・・・ネチっこそうなのは分かる! ハーゲイさんお疲れ様です!
「みぃやです」
「ミャー」
「嫌われたな」
「「はい」」
「なんでえ?」
・・・。
とりあえずネコタァさんが来た理由は分かった、わたしたちの絵を書くためにわざわざお金を払ってまでこんな場所までやって来たということ。 人はともかくとして絵は気になるなぁ!
「ネコさんの絵を見せてくれませんか?」
「そうだねぇ! って言いたいやけど持ってきてないんや…
それよりネコさんってありがとぉう♪」
・・・名前呼ぶと繋がりそうで… せめて、絵を見てから判断したい
「コイツはあちこちの各街に家を持っているからな」
「お金持ちさんですか」
「みぃやちゃん嫁にくるん?」
・・年の差すごそうですが?
「私たちお金を必要としていないので」
「もしかして、俺のことホントに嫌い?」
「嫌いではありませんよ」
「そかぁ、なんか冷淡な感じだったからなぁあ
ミャーちゃんはしゃべらんの?」
「必要なことがあれば」
ネコタァさんは目を閉じて少し考えているようだ、ハーゲイさんはなんか嬉しそうにこっちを見ているのでミャーと笑ってあげたら拝まれた
「家に来ん?」
これがわたしたちの立場を知っての発言なら度胸あるし、女の子を攫う風にも口説く風にも聞こえるよ
「みぃや?」
「絵は見て見たいかな」
「無理矢理なにかしたら殴ります!」
「おぅ、やっちゃえ!」
「そんなことしないよ? 脱いでは欲しいけどなぁ」
・・・変態にドが付きました
「何言ってんだ!!」
「さっきから頭が壊れそうや…
美しいから脱いで欲しいだけだよ? 小さ・・見たいのもあるけどね」
・・・ハーゲイさんを見て止めたけど正直過ぎる、結局殴られる
「脱ぐのは遠慮します」
「っ~~…そかぁ…では普通に描かせてなぁ?」
「絵を見て判断します」
「なら、認めてもらわんとな♪」
日帰りも出来るけど、どうせならゆっくり泊まりがけで行きたいよね、看板お願いします
・・・。
街に行く道中お仕事もやっていくのだけど
「良いとこ見せて描かせてもらうんや!」
「仕事取らないで下さい…」
「あらぁ?逆効果?」
ハーゲイさんの元仲間というのも本当だったようで、実力を見てやっと信じたのだった。
でもミャーが本気だせば1体たりともやれる暇は無いだろうけどね・・・すごいね♪どや!
アブトの門の所で、サロさん一行を見かけると向こうが気付いたようで集まってくる
「誰?この人らは?」
「信者です」
「みぃやちゃんは魔王領にいるのに男が多いんやね」
「あまり魔王領とかは言わないで下さい」
印象がかなり良くなっていても、全体の人が知っているわけではないだろう、街に来られなくなったら寂しいよ
サロさんたちは自分から簡単に自己紹介して2人も返す
「ネコさんの絵を見に来たんですよ、それで、宿屋で泊まって帰ろうかと思ってました」
「そうなのですか!伺うつもりでしたので、ここで会えてよかったです!」
ネコタァさんが何こいつらって目をしている
「せっかくだから飯でも食べるか!
時間も時間だろ」
ハーゲイさんが昼食を提案するがサロさんたちは昼食を食べないらしいので邪魔してはと一言お礼といつものを渡されると帰って行った
「なんか面白いわぁ! みぃやちゃん描いてええ?」
「はぁ…もういいですよ」
「やたぁ!」
「後でですよ?」
「え?」
準備し始めたから言うと拍子抜けた感じになった
・・・。
「みぃやちゃんとミャーちゃんのご飯は俺が奢たるわ!
ハゲも教えてくれたからついでに奢るな!」
「「ありがとうございます」」
「そうかぁ?ありがとな」
前に来たお店がたくさんある場所で何がええ?って聞いてきたのでおまかせしますと答えると、なんかオシャレな感じのちょっと入りにくいお店だった
・・・こんなお店あるんだ? ハーゲイさん浮いちゃうよ
「ここは美味いよぉ、綺麗で品が高いまるで2人のようなお店なんだぁ!」
「・・・ハーゲイさんいいですか?」
「奢りだから文句は言わない」
「お願いします」
「はい、どうぞ!」
扉を開けると先に通すようにしてくれる
「先に入って下さい」
「あれぇ?」
ちゃんとお席まで案内してもらえてやり方も説明もしてくれた。
・・・高い、普通のお店の4皿分くらいで奢りじゃなければ絶対入らない
「何にするん?」
「おまかせします」「みぃやと違うので」「俺も適当に」
「・・・えー」
雰囲気が暗い、ネコタァさんは適当に違うのを頼んでくれた
「もしかして遠慮してる?
俺、お金持ちさんだから気にしないでいいんだよぉ?」
「読めないので」「何でもいいです」「同じく」
「お店間違えたかな…」
料理が来て食べたらおいしい? ・・おいしいけど、なんかもういいや…って感じ、食べ慣れた物の方がやっぱり美味しく感じるのだろうね
こういうお店で食べさせ合ったりするのも嫌なので、取り分けて渡し合う感じだし。前のお肉のお店の方がずっとよかったですよ、まる。
「ありがとうございました、とってもおいしかったです」「ありがとうございました」
「・・・どういたしまして」
多分、今もお店でも物足りない感が出てたと思うし隠してない、ネコタァさんは疑問な感じ
「俺は後で寄らせてもらうから変なことすんなよ!」
「絵を描くだけだからしないよぉ」
「死ぬぞ」
「ははは!冗談なんて珍しい」
ハーゲイさんはそのまま去っていった
これからネコタァさんの工房に行くのだけど先に宿屋をとらせてもらう
「こんにちは♪サレイナさん」
「ああ!みぃやとミャーじゃないか!
来てくれたんだね、久しぶりだね、元気にしてたかい?」
名前までしっかり覚えていてくれていたようで笑顔で返してくれる
「元気ですよ♪」「はい!元気です♪」
「それはなにより、そちらは・・絵描きの坊やじゃないか!?」
・・・絵描きの坊や?
サレイナさんはネコタァさんを知っているのかしみじみと懐かしむように顔を眺めて大きくなったねぇと呟いていた。しかし、ネコタァさんの方は全くわからないようだ
「おばあちゃんは俺を知ってい・・・痛っ!
なに!……ミャーちゃん何するのぉ、あのハゲじゃないんだから…」
「サレイナさんに失礼ですよ」
「へ、平気なのかい?」
「とりあえず部屋空いてますか、一番小さい部屋をお願いします」
「はいよ!相変わらずの仲良しだね!
70Rだよ」
仕事は仕事、これはこれとすぐに手続きだけはしてくれる。今の時間宿屋はガラガラだ、ちょっとくらいのお話しも大丈夫と旦那のモーグさんを呼んで立たせていた。
以前泊めさせて頂いたお部屋でお話を聞くことにする。
「俺は以前に会っていたのぉ?」
「覚えてないのかい?あんたは小さいといってももう結構な時だったと思うよ。
僕は絵描きになるんだ!街を出るから協会に入るって言ってたんだ・・・懐かしい話だねぇ」
「まだ協会に入っていない時かぁ? 何で知っているんだ?」
「この宿屋で泊まると来たら、あんたがあたしに綺麗だ!結婚してくれと告白してきたんだよ。そして断ったら諦めずに家庭の事情を話したり、夢を語ったりしていたんだ」
まだ旦那さんもいなかった時の、若かりしサレイナさんは家族と宿屋を経営していてそこに絵描きの坊やがやって来て一目惚れしたと。
ネコタァさんはものすごく恥ずかしそうに顔を伏せていたが覚えてはいないみたい
「はっはっは! まさか子供からの告白で胸のことを言われるとは思っていなかったね、未だに鮮明に覚えているよ」
・・・子供の頃からそうだったのか… もしかして最終的に完全に振られた反動で嗜好が逆のタイプに?
「みぃやちゃん、ミャーちゃん、遅くなったらいけないから約束だよ! 行こう!」
「はい、サレイナさんまた後で♪」
「はいよ!土産話でも聞かせてね」
「分かりました!」
とっとと出て行ったネコタァさんが外で待っていて、さっきの話題に触れないよいに振る舞って歩いていたのであった。
・・・。
辿り着いたのは広い庭がある大きな家だった。
「ここがお金持ちさんの家、兼工房やぁ!
帰ってくると自慢のお庭でゆっくり絵を描いてるんよ」
「広いですね!素敵な庭です」
「はい!絵を描くには向いています」
「気に入ってくれたなら住んでもええよ♪」
「「お断りします、絵描きの坊や」」
「うっ… もう堪忍して欲しいなぁ」
そうして諦めたように中にあげてもらうと、全て吹き抜けの部屋でいて工房だった。あちらこちらに絵が壁に掛かっていて立て掛けてありである。
「おかえりなさい、お客様ですか?」
「戻ったよ、彼女らは絵を描かせてくれるんや」
「そうですか、お飲み物でも入れますね♪」
「ありがとう」
迎えてくれたのは20歳過ぎくらいの女性だった
「彼女にはこの工房に住み込みで任せているんやわぁ」
ネコタァさんは色んな場所に行っているから留守を任せている人がそれぞれの工房にいる。
「早速脱いでくれないかなぁ?」
・・・サラッと言ってきたぞ、ただの変態にしか見えないよ。でも、周りの絵を見ると本当に上手い、絵のことはわからないけど上手い
「変態さんか絵描き坊や、どちらがいいですか?」
「・・うそやよ?冗談やから普通に呼んでぇえ?」
自然な雰囲気で言ってるから嫌だね、思ったから言ったみたいな、下心みたいのが感じられないんだよね…。
飲み物の準備が出来たと座る、彼女もわたしたちに興味があるようだけど主人の手前何も言わない。
「うん!みぃやちゃん!それええか!」
何がかと思ったら、カップを持ってるところを描きたいということだった、了承するとカップを口に運ぶ途中がいいと言われてやるがツラい、交渉した時からネコタァさんは真剣だった
「これでいいですか?」
「ありがとう!最高やわぁ!」
・・・。
3分と保ちませんでした…、腕がぷにぷにパンパンです
「ごめんなさい…」
「ええよ、ええよ! 形だけは出来たで
後は、普通にしたのを描かせて欲しいな
あ、ミャーちゃんと隣でお願いするわぁ」
今度は背もたれが長い椅子を2つ並べて2人並んで座る・・・手とか繋いでいたい、ダメかな?
と思っていたらミャーから手を握られた♪ ネコタァさんに合わせる気は無いのだろう、自然と笑顔になっていると
「その表情いいね!ちょっとそのままでお願い」
「え?あ、はい」
意識すると上手く作れなくなってしまう… 不意にミャーの手が離れると床に着いて顔を膝のところに擦り寄せてきた
「みぃや♪」
「あ、ミャー?」
「頭を撫でて下さい♪」
「う、うん♪」
「あ、ちょ・・・・うん」
にへら~♪っと幸せそうなミャーがかわい過ぎるよ!
「うん♪ありがと、もうちょっとだから座ってくれる?」
「はい!」「え? あ、すみません!」
全部でたった10分くらいで終わったよと言われて体を伸ばす
「みぃやちゃん、ミャーちゃんありがとう♪」
「完成したのですか?」
「まだ、かな?後は仕上げだね
他の絵でも見ててよぉ、その間にやっちゃうからさ」
「分かりました、少し見させてもらいますね」
・・・。
近くで見てるとより上手さが伝わってくる、描いてる時のネコタァさんを見ていて分かるけど楽しそうだった。風景が多いけど人物や物の絵も結構あった、そんな中に1枚の作品が目に留まる
「この人って・・」
「はい、そうだと思います」
拙い絵で決して上手でないが描かれていた少女にも見える大人の女性の絵、今と全く違うがよくわかる
「その絵については全く覚えていないみたいです」
「???」
「私、クレアといいます」
後ろから話し掛けられて振り向くとさっきの女性がいて自己紹介する
「いつ描いたかも誰を描いたかもわからない古い作品と言っていました」
「そうですか、とても温かい作品です♪
作品の題名は『一時期の恋心』ですね」
「『絵描きの坊や』」
「そういう想いでは無いと思いますが、お2人は大人っぽいですし、素敵な感性を持っていますね♪」
ミャーと笑ってしまったよ。
・・・。
ネコタァさんが完成したと出来上がった絵を見せてくれる
1枚目はカップを持って笑顔で飲もうとしている絵だった。
・・・麗しい…、本当にそっくりで美しく描かれている、自分の絵ながらに最高の作品だと思う。
2枚目はミャーと椅子に座ってこちらを見て口だけニコリと笑っている作品
・・・ミャーだ!ミャー可愛い!写真のように移したんじゃないかってほど上手い
「みぃや、最高です♪」
同じこと思っているのかな♪
「この繋ぎ合わせたような腕もすごいですし
ネコさんの絵はどれも素晴らしいですね♪」
「はい!そう思います♪」
「嬉しいわぁ♪ 自分の中でも上手く出来たと思ったわぁ。 その可愛らしさを表現するのは緊張したんや…
また描かせてぇーな!」
「はい、いいですよ♪
それで、その絵はどうするのですか?」
「もちろん飾って眺めるでぇ!」
・・売るわけじゃないんだね、よかった
「今度は脱いでちぃ・・・痛っ!ぅ~~~~! 強ぉなっとない…?」
「みぃやを裏切らないで下さい」
・・・上がることも自分で制限をつくっているよね…
遅くならないようにまたそのうち来ると別れて宿屋に戻る、ネコタァさんがいなくてもクレアさんが居れば入っていいことになった。
「ただいま戻りました」
「おかえり! 食事はすぐでいいかい?」
「お願いします」
「はいよ、すぐに持っていくから部屋で待ってるんだよ」
前回は夫婦の部屋に泊まられてくれたんだよね、だからお部屋は初めてだね♪
1人部屋はシングルベッドを置いたら部屋の3分2以上は使うくらいで2人だと少し狭く感じるくらいに閉塞感があり丁度良かった、広くても狭くても密着するのは変わらないけどより近くに感じられる気がする
「ねぇ♪ミャー♪」
「はい♪みぃや♪」
それでも隙間はあるが一つにくっ付いて食事を待っていた。
「お待たせ!2人特製盛り合わせだよ!」
「「おぉ♪」」
1皿に料理2人分ずつまとめて盛ってあった、わたしたち用だと感じる♪
「2人くっ付いているんだね、羨ましいよ♪
料理は少し多めにしておいたからいっぱい食べな!
それで、後で少しだけ来てもいいかい?」
「ありがとうございます♪」「はいです♪」
「んじゃ!ごゆっくり♪」
今日はお肉メインでメシナ草多めの野菜炒めだ
「覚えていてくれたんだね♪ あーん♪」
「はい♪・・・(パクリ)おいしいです♪
みぃやも♪ どうぞ♪」
「ありがとう♪ ・・・(ぱくっ)おいしいね♪」
スープまで一つの器だったけど、こうして一度も自分で食べずに完食したのだった。
・・・。
夕飯時を過ぎて少ししてからサレイナさんがお部屋にやってきた。話題はもちろん今日のこと、絵描きの坊やとどこで出会ったかに、歩いていて見初められたと答えたら笑われた
「あっはっは、いくらなんでも冗談とわかるよ!」
・・・年の差とか子供にとかだろうけど、一部変な方向で通ってしまうのが怖いよね
「ネコタァさんは今でも絵を描いていて、仕事にしてました。それ関係で、私とミャーが素材として気になって誘われたんですよ」
「絵描きになっていたんだねぇ・・・
それよりホイホイ付いて行っちゃ危ないからやめなさい!」
「ミャーがいるから大丈夫ですよ♪」
「いや!あんたら同士相手になっていてもね、危ないもんは危ないから気を付けなさい!」
・・・ミャーの実力を知らないから仕方ない、それよりも、前はやんわりだったけど、しっかりわたしたち恋人として扱われていた!!
「・・はい!」「はい!」
最後にあの時の思い出話のサレイナさんの絵があったことを話すと嬉しそうだった。
サレイナさんは家が無さそうだったわたしたちを心配してたみたい、また無事に遊びに来てくれたことに安心したと・・・ありがとう♪
そして夜、寝る間際になってアルトたちがいるなら挨拶した方がいいんじゃないかと気になったのであった。
・・・。
ミャーを無意識に手繰り寄せて抱え込んで顔に手を回して耳を巻き込みながら手を動かしている
「ミャー・・・可愛い♪」
「はい♪」
そのうちに動かなくなってしまったので、ミャーは静かにみやのお腹に移動して頬を擦りつけてから背中に手を回して抱き付いた
「ミャー♪・・・ミャー?」
「はい♪ みぃや、おはようございます♪」
「おはよう…ミャー♪」
目が覚めてみるとミャーが甘えてわたしにくっ付いていてとても可愛かった!
・・・。
朝食にはお魚3匹、1枚サービスしてくれてこれはミャーが食べた。
「サレイナさん、アルトたちっていますか?」
「いるさ、もう出ているけどね」
「そうですか、ありがとうございます」
「・・もう行っちまうのかい?」
「はい、昨日お世話になったネコタァさんに挨拶したら帰ろうと思います」
「そうかい、また来ておくれ!いつでも待っているからね!」
「『はい♪ありがとうございました♪』」
ネコタァさんの工房までゆっくり散歩しながら歩いていた
「こんな早い時間に2人で手を繋いで散歩してんの?
仲良しだね!いいね! 2人とも可愛いから好きな物を買ってあげるよ、何がいい? 行こうよ!」
なんか、とても懐かしくなるような(前の世界では)古典的な誘い文句を聞いた。
・・しかし容姿と似合わなくて違和感ありまくりです!
「誘拐ですか?口説いているんですか?」
「おっ!かなり頭いい子ちゃんだね! 警戒しないでもただ可愛かったから奢ってあげたくなっちゃっただけだよ♪」
イケイケお兄さん(仮)は、見た目は地味そう(ガリ勉眼鏡君イメージから眼鏡外した感じ)なのに…
「これから行く場所があるので、ごめんなさい」
頭を下げて無視して通り過ぎようとする
「うーん…警戒心強いね?
付いて行っちゃう!」
・・・ストーカー宣言! クレアさんに迷惑かかっちゃうよ! ミャーどうしよう?
するとミャーがイケイケお兄さんの前に出ていくと、何を言うわけでも無くルフェロシュ協会の登録証明書を見せる
「協会に入っているの?」
「はい!」
「そっか…
・・・じゃあさ!一緒にお仕事して飯を食べない?奢っちゃうよ!」
・・・面倒くさい人だ…ネコタァさんとは違った面倒くささだ、もうミャーお願いします
ミャーは了解したとわたしをお姫様抱っこすると一瞬でその場から去ったのであった。
「こんにちは」
「あ、みぃやさんとミャーさん♪
ネコタァさんは少し買い物に行ってますよ」
「もう帰ることを伝えに来ただけだから大丈夫ですよ」
「そうなのですか? 昨日は久しぶりに最高の作品が出来たと喜んでいましたから、私からも感謝いたします♪
早速、飾ってありまして見ていきますか?」
「大丈夫です! あ、一つ聞きたいんですがネコタァさんの絵っていくらくらいですか?」
「そうですね・・・ 物でおおきく変わりますが・・大貨幣からって感じですよ」
・・・た、高い! 買えるけれど厳しい、門に飾るのもいいと思ったけど諦めよう
「そうですか、少し欲しかったけれど、参考にします」
「そ、それなら…いくつでも…持って・・・いきぃ!な! はぁ…ぐ…描かせてもらったお礼や!」
「おかえりなさい」
ネコタァさんはものすごく息切れしていた
「遠くから走って来てました」
・・・わたしたちを見て全速力で来たのか…。 そのせいでまるでわたしが無理矢理言わせているような表現になってる
「とりあえず中に入られてはどうですか?」
クレアさんの提案で中でゆっくりすることになりました。
・・・。
結論としてはもう1枚絵を描かせてあげることで好きなだけ持っていっていいことになりました。
・・・何でもわたしたち2人の絵をハーゲイさんが見て欲しいと言いだしたらしい。800Rでと言ったらしいがネコタァさんは売らなかった。
「この絵の価値は付かへん! 天井無し! 付けられないわぁ!」
とのこと、なので代わりの1枚差し上げたいと相談された。ハーゲイさんにはお世話になっているし好ましい人でもあるので気に入ってもらいたいと、本気で決めたポーズが、さっきやったようなお姫様抱っこだった! ミャーに持ち上げられてお互いの顔を見てる場面
「いいわぁ!どんどん進むわぁ♪ ・・・脱いでればもっと最高やない?」
「本当にお美しい光景ですね・・・!
たしかにそうすることで完成されるかもしれません!」
・・・クレアさんまで何言ってるの!? ネコタァさんは半分は下心だと思うよ…
「ミャーツラくない?」
「はい!みぃやを見ているので嬉しいです♪」
「ミャー♪」
「みぃや♪」
「これ以上の作品がこの先は描ける気がしないなぁ…」
「教会に祀るべきだと思います」
「そやねぇ!」
・・・みぃや教増殖中です…
もうちょっとで完成という時、お客様が来たみたいでクレアさんが対応する
「ネコタァさん、ユーザ様という方が注文した物を引き取りに来ましたが」
「誰やっけ?
ちょっと待ってもらて、もう終わる!」
「分かりました!」
クレアさんが戻って行ってすぐだった、男が入ってくる
「創作中だって! って!」
「勝手に入るなぁ!待ってろっていったろぉな!」
・・・最悪だ…さっき逃げてきたイケイケお兄さん。動けないのに…
「そうかぁ! 邪魔して悪いな端に座っとく」
クレアさんはあわあわと対応して最後にネコタァさんに謝っていた・・・可哀想…
「ええで!完成!てかこれはもう自分のもんや!」
「ハーゲイさんに渡して下さい!」
「ぇぇ…もったなぁ…」
見事そのままを再現したような、そしてそのままでいながら美しさが訴えてくるような不思議で最高の魅力を発している、人生で一番の最高傑作だと断言した
・・・たしかに言葉を失ってしまう程だ…欲しい
「どれどれ? ウワッ!これ買う!
いくら!20000Rくらいか? いやもっとだな!」
「・・・これは、贈り物になるから売れん……贈り物…に…な…」
「献上品かぁ!国宝になるぞ!」
・・ハーゲイなんかにって声が聞こえてきそう。
この男は芸術方面に精通してるのかな? とんでもない値段を言ったぞ!? これが、ネコタァさんの言った価値が付かないってことなのか!?
「ところであんたは?ユーザって聞いたなぁ」
「覚えてないんかい!? もう何度も何度も会って買ってるぞ!」
「あー…あに美しく無いもんに興味無いんよ」
「もっと客を大切にした方がいいぞ・・」
ネコタァさんいい加減過ぎる…
それにしてもイケイケお兄さんはさっきと雰囲気違うなぁ、クラスの友達って感じだ。
ずっと眺めている空気がある、少し恥ずかしくなってくるね
「お疲れさま、お茶をどうぞ」
「「ありがとうございます♪」」
「素晴らしいものを見せていただきました♪ 本当にありがとうございます!」
ただモデルをしただけなのに、ネコタァさんのすごい技術があるからだよ
イケイケお兄さんは自分の取引きそっちのけで眺めていたが、やっと動き出して本題を話していた。
その後に2人ともこっちにやってくる
「まさか、また会うなんてね
さっきは消えちゃたから、何か特技かな?」
「本当にありがとな♪ あいつにやるのが癪だけど良い刺激になったわぁ! ここにあるもん全部持ってけぇ♪」
「嬉しいですけど、受けた2回分ということで2枚でいいです」
「あれぇ?
・・ご飯に行かない!良い物みれて気分いいから奢っちゃうよ!」
「その胸と同じでつつし…いったぁ!?……ちょ………これ…洒落に……」
「大丈夫か!? てか、無視?」
「次言ったら本気でやりますよ?」
「ミャー、やらないでね…」
「ただの脅しです」
「ん…ハゲの言ったことがやっと分かった気がするわぁ…」
「・・・寂しい…」
工房を改めて回り気に入った2枚の絵をもらい見送られて外に出ると、未だしつこく誘ってくるイケイケお兄さんを振り切り家に帰ったのだった。