第14幕
朝早くから声がするなと思っていたらまだまだ夜が明けていなかった
「みぃや、起きましたか?」
「うん、目が覚めたよ。おはよう、ミャー♪」
「みぃや♪ いっぱい来た、ずっといる」
ミャーは1回外へと見てきたようで今起こす直前だったみたい、顔がすぐ目の前に。ポポちゃんもいるし何があったか説明してくれた。
今、ポーポー門の外で色んな種族の人がここ5分くらいで急に集まってきたようで色々話し合っている最中だとか
「レイルブライルを呼んでおいて下さい」
「わかった」
何か攻め込まれようとしているのか…、協会から控える宣言が出たばっかりなのに
「みぃや、落としたよ♪」
「落とした?」
「うんっ♪」
「ありがとね♪」
「うんっ♪」
よく分からなかったけど、ポポちゃんが外関連で何かやってくれたことは間違いないので褒めてあげると喜んで擦り寄ってくる。
「みぃや、いってきます!」
「ミャー、気を付けてね…
何かあったらポポちゃんに繋いで、すぐに行くから絶対呼んでね?」
「はい!絶対に無茶はしません!」
ミャーは1番欲しい回答を贈ってくれたから安心出来る
「いってらっしゃい♪」
「はい♪」
・・・何が起こるのかな
「ポポちゃん、ミャーを見守っていてね?」
「うんっ♪任せて♪」
ポポちゃんはスゥっと笑顔で消えていったのだった。
・・・。
ミャーは下の正面入り口から堂々と出ていくと一斉に視線が集まる。その中からサソリのような見た目の奴が一気に出てきてミャーへとその太く尖った尾を振り戻し突き刺そうと駆けるが大して進む前に周りの者が気付いた時にはその中へと吹っ飛ばされていて人の悲鳴でない声があがる
「大丈夫ですよ、加減はしています」
一触即発かと思われたが騒いでいた者は静かになりミャーへと殺意の目を向けていた
「ピィ!ピピピィ!(もー!いきなりだね!)」
襲撃者たちのすぐ上を飛んでいた嘴の長い鶏くらいの大きさの紅の鳥が声を出す、すると周りの者が少し下がった
「いきなり向かって来たのはそのサソリですよ?」
「そうだね!!
猫さんが今の主?」
「はい、あとみぃやです」
「ふふ!知ってるよ、聞いただけ
猫さん・・ミャーだったかな? 門ごと破壊するつもりだったんだけどかなり強固に・・というより届かなかった、悔しいよ!!」
「頼もしい友達のおかげですよ」
「情報では2人だったはずだけど、まぁ居るものは考えても無駄」
紅の鳥は言葉を切ると体全体が発光していく、それを合図に下がっていた者が一斉に歩を進めようと地を蹴り出した、・・が
「ピィィー!!?」
大きな悲鳴で何事かと進軍が止まりそちらを見ると魔王領入り口の方に飛ばされて横たわる紅の鳥が出来ていた、これには他の者も動揺が大きく混乱しているようでミャーへと無計画に突っ込む者や呆然と止まっている者、紅の鳥へと安否を確認しに行く者に分かれた
ミャーは襲ってくる奴らを一瞬で無力化している中で暗い中に強い風が発生した
「ミャー、大丈夫か? みぃやから聞いたぞ!
心配はしていないが随分と数が・・・アヤツは天形鳥か」
「知ってるのですか?」
「ウム、元々ポーポー門を任された絶対の門番、実力もロクラスブレイルの奴にちょいと劣るくらいだ」
「レイルブライル、ロクラスブレイルじゃなくてロクルラスブレイルみたいです」
「ハッ? アヤツは自分で・・・ソウカ、ありがとう」
レイルブライルの登場に戦意が残っている者はいない、残っている者もなにやらミャーの対策を聞いていたが遥か上の実力に無意味であることも悟りひれ伏す
「ポポちゃんみぃやをいいですか?」
「うんっ♪」
・・・。
レイルさんがやってきて外で何か起きていると伝えるとすぐに加勢すると出て行ったのを見送ってすぐ、ポポちゃんが現れてミャーが呼んでることを教えてもらって入り口に移動する
「ミャー!」
「みぃや!」
「~♪♪」
ミャーに抱き付こうとお互いに近付いたところでポポちゃんが間に入って幸せそうにするので頭を撫でてあげる、ミャーも同じに感じたみたい♪
・・・外を見てみると、ザッと20名ほどの多種多様な方たちが従うように姿勢を低くしていて2名が端で倒れていた
レイルさんが小さくなって傍に来ると自分が来た時には終わっていたと感心した風に頷く
・・・それで、何をすればいいのかな?
「みぃや、お願いします!」
雑!? とりあえずミャーを信じて前にでると何を話そうかを考えた
「私はみぃやです、ここで2人で主をしています!
えっと・・・、それで、こんな時間に皆さんは何をしに来たのでしょうか?」
静まり返って少し気まずい…、少し経つと代表者なのか大きな爬虫類が前に出てきた
*「フェイニィ様の代わりに発言します
我々の場所を取り戻すためにきました!」
ミャーがすぐに翻訳してくれる、やっぱりこの魔王領を取り返そうと攻めてきた人たちか
「魔王様に言えば受け入れてもらえるよ?」
*「嫌です!自分より弱い者には従いません」
「そうですか、ではお帰り下さい」
今はこれが今の魔王領だから考えが受け入れられないなら出て行って下さい!
「魔王様に直談判したい人がいたら代表者を出せば連れて行きますよ」
爬虫類は下がり他のみんなと何か話している
「レイルさんありがとね♪」
「ウム、しかし代表というフェイニィは危険な奴だ、このまま引き下がる奴ではないぞ」
因みに誰か聞くと端で倒れていた綺麗な色の鳥だった、ミャーが一撃で気絶させたみたい
話し合いが終わったのかさっきの爬虫類が出てくると、しおらしい態度で首を横に振った
「いえ、フェイニィ様無しで話すことではないので帰ります」
「そうですか、分かりました」
そのまま背を向け、倒れている2名を担ぐとぞろぞろと素直に帰っていった
また来るなと思いながら部屋に帰りレイルさんも含めて4人でお風呂で癒やされお礼を言うのだった。
その翌日
*「そっちが決めた決まりとかで来てやりました! 覚悟する!」
鳥さんが来ました、直談判しにでなく単独でルールを守って来ました、よくお金持ってるね、よく考えたら言葉通じないのでは? それにやっぱりこの決まりを作ったのは魔王領側なんだね、新しい変更点に触れてないかな? 鳥さんは正当な理由を持っているしね大丈夫だったのだろう。
フェイニィはセリフを言うとすぐに嘴を向けて突っ込んでくるのでミャーがみやを持ち上げてピョンっと元々フェイニィが居た方へと躱す
「ピィィー!!」
発光しながら壁ギリギリで反転すると嘴に電気を纏い一気に速度をあげる、ミャーはそのまま少し前に出た位置で横にズレて足を振り上げフェイニィへとかかと落としを決めた
「ミャー、さすがにちょっと怖かったよ?」
「ごめんなさい、みぃや」
そう言いつつも安心していてるのがミャーにも分かっているから形だけの言葉を交わす
鳥さんは苦しそうにもだえているけど意識はあるようでミャーを一直線に見ている
*「ぐっ…ミャー…は…なん…て力な…の…
お…、う…、そ…」
ミャー、上手いけどさすがに言葉になっていないのは訳さないでいいよ。
復活するまで暫く待っていたらポポちゃんが来客を告げるのでわたしが部屋で迎えると申し訳なさそうな表情のトナタさんだった
「ぶぶぶ!ぶぶぶぶぶぶぶぶぶ?
ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ?」
ミャー…相手が悪かったです、言葉が分かりません!困りました
「トナタさん、今、綺麗な鳥さんが来ていてミャーが下に居るので分からないのですよ…ごめんなさい…」
「ぶぶぶ!」
分かってますみたいな感じを出すと下への階段を出しに動くトナタさん、そのまま降りていくので慌てて付いていくと階段の下でピタリと止まっているトナタさんがいて動けなかった
「どうしました?」
「ぶ…」
うん、反応無い! 自分で確認した方が速いと横から飛び降りると離れた位置にミャーと鳥さんがいて、鳥さんがミャーの足元に翼でミャーの足を抱えスリスリとしている・・・懐かれたの?
ミャーと視線が合うと困ったように助けてと求められている気がした、しかし同時に来ないでとも思っているのを感じる
「どうしよう?」
・・・。
フェイニィがみやに気付くとミャーから離れ低空飛行でみやへと近付いていく、そこに突然質問の嵐を受けることとなる
「ぶぶぶ?ぶぶぶぶぶぶ?ぶぶぶぶぶぶぶぶぶ?ぶぶぶぶぶぶぶぶぶ?ぶぶぶぶぶぶ?ぶぶぶぶぶぶ!ぶぶ?」
「ピィィ!!!」
鳥さんのは絶対『うるさい!』だ…
「トナタが元凶です、情報からどう対処して、ミャーにどれくらい対抗できるか試していたみたいです」
理由はともかく原因は予想通りだから驚きは無い、それにこれについてはトナタさんにどうこうするつもりもないしね・・・・それより…
「鳥さんは大丈夫?」
「はい!攻撃的なことはしないと約束させました」
「それはよかった」
なんかまだまだ時間かかりそうだし部屋にいようかな、ポポちゃんお願いします♪
・・・。
トナタさんと鳥さんの言い合いが落ち着いたのかお部屋に2人がやってきた、もちろん2人とも勝手知ったる場所だろうけれど鳥さんは物珍しそうに見回していた
*「知っての通りの天形鳥、ミャーの高みでは誰が相手でも無駄と結論付けられました!」
うん、知らないんだ…、トナタさん実験しているのを隠そうともしないなんて、わたしたちが気づいているのに気づいているのかな、黙認しているけど気分はよくないよ?
*「なんで、あんたに紹介されないといけない!
フェイニィだ、こいつに利用されたのは悔しいけど認めざる得ない力を見れた
・・あなたも認めてあげる!」
ちょっと癖があって理解しにくいけどミャーの力が認められ、わたしもついでだろうけれど認めてくれるということか
「ありがとうございます、フェイニィさん」
意外というか本当に繋がった感覚になった、さっきトナタさんもミャーを認めるしかないみたいに言ってたからもしかしてと名前を口に出してみたけどやはり変化は無い
*「実際戦ってどんな感覚だった?どこに隙を見いだせそう?天形鳥は来ないのか?」
「うるさい!! ミャー様に隙なんて無い!
あんたが出て行ったら帰ってもいいよ!」
フェイニィさんはトナタさんをひどく嫌っているようだ、・・・それにしても帰ってもいいなんてモルモ様を嫌ってはいないのかな
「ミャー様、本人を前にすごいね」
「はい、体験者を前に興味の方が強いんですね」
「ミャー戦ってあげたら?」
「はい!ですね?」
言い争っていてもフェイニィには聞こえているのかトナタさんに伝えている
「ブッ!?ぶぶぶぶぶぶぶぶぶ!!」
思いっ切り体をブルブルと揺らして拒否した動作をするとミャーに頭を下げていた。
トナタさんはそのまま帰っていったのでフェイニィさんに昨日の事を聞いてみることにした
「昨日の皆さんはどうしたのですか?」
「帰った! もう一度ミャー様を倒すって言ったら帰っていった」
スススっとミャーの傍に行くと肩へとスリスリとしながら「その考えは愚か」と自分が間違っていたと考えが変わったようだ
今自分が行くのは違うよね…我慢っと思っていたらポポちゃんが現れ擦り寄ってきてくれた
フェイニィさんは暗くなるまでずっとベッタリしていて帰っていったよ、ミャーによっぽど惹かれたんだね
「ミャー、いいかな?」
「はい!」
「少し寂しかったよ」
「はい、ミャーも」
ミャーのために正座で座るとすぐにミャーが横になって頭を乗せてくれる
「・・・ミャー♪」
「・・・みぃや♪」
ミャーの頭から顔にソッと手を動かすとくすぐったそうにする・・・可愛い♪
「ねぇ、ミャー?」
「はい」
「トナタさんのはもう終わり?」
「わかりません、・・けれど、変わりません」
「そうだね、ミャーお願いね♪」
「はい♪」
ミャーはみやのお腹にウリウリと顔を埋めるかのようにしているのだった
その日から数日に1回はフェイニィが遊びにくるようになるのだった