第12幕
『ピーーーポーン』『キンコォーン』
同時になるってことは外で出くわしているってことである、とりあえず優先順で挑戦者を待っていないといけないので移動してもらう
するとやってきたのは昨日会ったばかりの猫人3人親子だった。その父親はずいぶんと疲弊している
娘のノーヴェルトウェルナが飛び出して来て回りを見ながら言う
「みぃやとミャーだ!ここがおうちなの?」
「うん、そうだよ。このもう1つ上で暮らしているの」
「そーなんだー!!」
わぁー!っと広い部屋を1周と走りにいってしまう
「こんにちは、今日はどうしたのですか?」
「はい、ノーヴェがみぃやさんたちと別れた後に遊びに行きたい!って言うもので、来ちゃいました♪」
「そうなんですね♪
少し恥ずかしい話ですが注意して欲しいことがあります」
生活の上でのあれこれを3人に伝えると2人は笑顔で了承して、1人は嫌だ!と顔をした。こればかりはどうしようもない、男が拒否するな、無理なら帰るしかないよ。
「それでニアルトさんは何でそんなに疲れているのですか?」
「それね! 決めた時にニアルトクリヴストに相談して教えてもらって許可が必要って聞いたのですよ」
「とーさまえらい!」
「そう、偉いねぇ! すぐに取りに行こうと思ったら日が昇る時間って聞いてね、困っていたら引き受けてくれたのですよ
ありがとう♪」
「ありがとー!」
「ふ、ふふ。どういたしまして!
こい…みぃやさんの為になら頑張りますよ」
要するに、娘たちのために朝早くから里と街を往復してから魔王領まで来たと、それは大変だ!
それにしても、感情は全く入って無かったとはいえ、わたしのためって言えるなんてね。ノーヴェにそのまま好きって言ってもらうために改心したんだね
「挑戦者はニアルトさんでお客様がノーヴェたちのことだったんだね」
「はい!」
それなら部屋の方に移動しようとしたところでニアルトさんがあり得ない提案をした
「少し離れていて下さい!
普段の主の役割を娘に見せてあげて下さい!
みぃやさんお願いしますねぇ?」
ニアルトさんが前に出てきてわたしと対峙して構えるとニタリと反対側から見えないように言い放つ
え?わたしに戦えと!? 普段から戦闘は見学ですよ!
「みぃやたたかうのー?」
「無理だよぉ!」
「大丈夫ですよ、手加減致しますからね?」
やっぱりウザイ! 格好いいところを見せたいのかわたしの不様な姿を見せたいのか・・多分後者だけど娘にまた嫌われるぞ!
「ニアルトクリヴスト…あなたは…」
ネネさんも渋い顔をしているよ、上がった好感度を落とすのが趣味なんですか?
「とーさま!」
「なんでしょうか♪」
「わたしミャーのすごいのまたみたい!」
「え!?」
「はやいの!どーんって!!」
「・・・・」
ニアルトが黙り込んでしまうとミャーが前に出てきてみやを下げさせる、そしてノーヴェルトウェルナに笑顔で言う
「ノーヴェ、見せてあげます♪」
「やったー♪」
この後ニアルトさんは壁ギリギリまで吹っ飛ばされ気絶するのであった
「ミャーさんいれば安心ですね♪」
「ミャーはやい!すごーい♪
とーさまもすごくとぶ♪かっこいい!」
よかったねニアルトさん!娘にすごく喜ばれていますよ。
・・・。
「さすがはミャーさん! ほれぼれする実力です!」
娘に喜ばれてご機嫌な吹っ飛ばされたニアルトさんは移動していたお部屋で目覚めるとミャーを褒めちぎっている
ニアルトさんの相手をミャーがしてくれている横で3人で料理をしていた
「ネネさん、浮気紛いはいいんですか?」
「いいですよ? でもミャーさんにご迷惑でしょうね…」
・・いいんだ、ミャーには申し訳ないけど1番平和的なんだよね…
「みぃや!みぃや!調味料いれちゃっていーい?」
「うんいいよ♪ 少しずつ入れてね♪」
「わかった!」
ノーヴェもよくお手伝いしているとあって邪魔になることはなくスムーズに進めることが出来た、なによりちょこちょことここだ!って場面で出来ることをしにくるのがとってもかわいいよ!
・・・。
完成すると即座にミャーが運びに来てくれて、慌ててニアルトさんも立ち上がりやってくるがその時には既に終わっていてやるせなく戻っていった。
さていただきますと皆さん1口食べるとものすごく驚いていた
「なにこれ!おいしい!!」
「本当においしいです、みぃやさん」
「・・・・・料理の腕は認めます」
「みぃや、いつも最高です!」
何故か一緒に作っていた2人までも感激しているようだ、喜んでもらえて嬉しいけどネネさんが作ったものを食べてもわたしが作ったものと変わらずおいしいよ?
食事も終わりお喋りしているのだけどネネさんは一方的に話しているし、ノーヴェはよっぽどおいしかったのかご飯について話している、ニアルトさんはミャーばかりに鬱陶しいくらい纏っていた
『チーン』
そんな時に訪問の確認がきたので聞いてみる
「ちょっといいかな? 他の主の誰かが来ていいか確認しているんだけどどうかな?」
「いいよ!」「いいですよ!」「そんなふざ・・・はい、どうぞ…」
皆即答、若干1名ミャーの視線で答えを変えた人がいたけど大丈夫と返事を返しておく
さて、誰が来るか分からないので主についての種族くらい伝えておかないと。トナタさんだけカピバラって言って伝わらなかったのをミャーが訂正してくれた。
「来たよ♪」
ポポちゃんが直接知らせてくれたので頭を撫でてあげると嬉しそうに受け入れて、笑顔で去ると入れ替わりにお客様が移動されてきた
「アア、来客中だったか。初めて見る猫人だな、レイルブライルだ」
ミャーが即座に声を重ね始めて通訳が必要だと気付く
「ほんとーにりゅうだ!つよいってりゅうだ!」
大興奮のノーヴェが小さくなっているレイルさんに近付いて抱きしめていた
「ノーヴェ、止めなさい! 失礼ですよ」
「イヤ大丈夫だ、親しみを持ってくれるであれば問題ない」
抱きしめられたまま猫人の子を怖がらせないように小さな声で喋る赤竜、なんと優しいことか
「そうですか? 私はネネです、その子はノーヴェですよ、あ、その子はノーヴェルトウェルナですね! 失礼しました!
ついでにそこで固まっているのは一応夫の
ニアルトクリヴストです、レイルブライルさんを見ただけで情けないですよね?
レイルブライルさんも主と聞いています! 普段どのようなことをしているのですか? ああ、私も少し触らせてもらっていいですか? やはり魔王領の…」
「かーさま!しゃべるのやめましょう!」
「ごめんなさい…、では触ってよろしいですか?」
1番言いたかったことはそれか、レイルさんもポカンとしているよ、1番強いと言われている種族に皆度胸があるなぁ
・・・。
「デハ、ネネ、ノーヴェルトウェルナ、ニアルトクリヴストはその里から来たのだな」
「うん!」「はい!」「・・はい」
隠してある里のこともあっさり暴露、ニアルトさんは情報が出回ることを心配しているのかな
「あの、一つよろしいで御座いましょうか?
あなたたち魔王領の主方は何をなされようとしているのですか?」
「フム? それは人間たちから見たことと捉えてでよいか?」
「はい」
「ソウカ・・ ならば答えは何も無いぞ、この地に住んでいる、お主たちもそうであろう?」
「・・・そうですね、お答え頂きありがとう御座います」
ニアルトさんは納得したようにすぐに引き下がる、やっぱり見下しは無く人間だけに向いていたことが分かる
「ねーねー!りゅうちゃんはミャーにかてるの?」
「りゅうちゃん…」
小型化しているからまさにその呼び名が似合ってしまう
「マァよい、全く歯が立たぬな、出会いと同時に敗北が決まっているようなものだ」
「そうなんだ、ミャーはつよいね!
じゃあ!じゃあね!とーさまは?」
「え?」
「フム、そちらのニアルトクリヴストの実力を知らぬからなんともいえないな」
少し考えるノーヴェは名案が閃いたようにパァっと笑顔になるとニアルトさんの方へ向いた、嫌な予感とばかりにダラダラと焦り出すが果たしてその予感が娘の口から発せられる
「とーさま!りゅうちゃんとしょーぶして!みたいな?」
「ノーヴェルトウェルナの気持ちは分かるけどね、レイルブライルさんの迷惑になるから…」
「りゅうちゃんだめ…?」
レイルさんは困ったようにわたしを見てきたので迷いを晴らしてあげるように頷いてあげた
こうして2人の戦いが始まります、場所はメルミルの地、ミミュルさんも呼び出して紹介しておく、ノーヴェははじめミミュルさんの象徴とでもいう体の部位で呼んだので(本人は受け入れたが)それは止めさせて名前で呼ぶようにさせる。
「ミャーはどっちが強いと思うの?」
「レイルブライルですね、でもそんなに差はないと思います・・・・実力だけなら」
「???」
目の前には元の大きさの3分の2くらいの大きさのレイルさんとニアルトさんが対峙していた。
「いつでもよいからな」
ニアルトクリヴストの耳に赤竜の威圧するような咆哮に聞こえる、最強の相手を前に足が震えているけど娘の期待に応えるためにも
「いかせてもらいますね!」
「あぁ、来い!」
その声に足が竦んでしまい一回立て直す
「とーさま!がんばれ!」
娘からの声援が聞こえると体の震えが止まっていった、気を一層引き締めると赤竜へと一気に地を蹴り跳びながらその腹へと拳を叩き込んだ
しかし、レイルブライルは感心の声をあげるだけで手を振り上げニアルトクリヴストを手で振り払う、それに対して力を集めて一気に手を打ち威力を軽減した。
地面に倒れたがすぐに起き上がり同じように腹へと叩き打つと態勢が崩れぬ内にその腹を蹴り地面へ着くと後ろに回り背中から拳を打ち一気に跳躍! レイルブライルが後から気付いたところにその頭部へと渾身の一撃を見舞わした
「速いな、凄いぞ!」
レイルブライルはその一撃を受けながら、すぐ動けないニアルトクリヴストを掴みポイしたことで決着が着いたのだった。
なるほど、レイルさんにはニアルトさんくらいの攻撃では通らないと…、速さで圧倒していたように見えたけどニアルトさんにとって相性が悪いね。耐久で続けるには体力がどれだけ必要かだね
「ん~ん…」
「大丈夫だよ♪」
あのミャーに言った方がいいと言われて出した声援の後すぐにミャーに抱っこをせがみ寝てしまったノーヴェを撫でながらそう思った。
レイルさんが絶妙な大きさになってニアルトさんを乗っけて戻ってくる、ニアルトさんがなんとか目を開けて見た光景は眠っている娘と話している|ミミュルさんとネネさん《2人》、娘に称賛されると思っていたニアルトさんはガックリとミャーを見た
「寝ていますから静かにして下さい」
あっちは騒いでいて大丈夫だろうと言う視線がレイルさんからきているがニアルトさんは納得してレイルさんへとお礼を言うのだった
・・・。
その後、皆でお風呂へと入る。家族への説明はこうだ
『里で入ったのが忘れられないから特殊な力のある門さんが私の記憶を頼りに作ってくれた』
かなり無理があったけど、瞬間移動を経験しているおかげですぐに分かってくれた
「みぃやちゃんの可愛さは門をも魅力したから出来たのよ♪」
ミミュルさんのこの一言で細かい疑いも無くなり全員が納得、なんで!?
「ミャー邪な視線を浴びたら我慢しないでいいからね!」
「はい!」
ミャーがニアルトさんから変な目で見られることは許せないことだから許可を出しておいた。
「お湯を汚さないように先に体を洗ってから入ってます」
「そ、そうね!」「わかった!!」「・・・」
ノーヴェは素直に頷いたがネネさんは驚いていた
布を皆に渡して一人では難しいレイルさんを手伝ってあげていると後ろで待っている人が・・・。
「はい、レイルさん終わりました♪」
「ウム、ありがとう」
その瞬間を狙っていたか待って見ていた影が後ろから抱き付いてくる
「終わったわね?じゃあ次は私ね♪」
「ミミュルさんは1人で出来るでしょう!」
「だって私はまだみぃやちゃんにやってもらってないんだもん♪」
「分かりましたから離れて下さい」
「照れなくていいのよ♪」
「照れていません」
この感じすごく苦手だよ…、よくその体で人にやらせようとすると思ってしまう、興味が少しでもある人に言ったら危ないよ。
・・・。
「みぃやちゃんのは本当に違うのね…すごいわ…
これはまた頼むしかないわね!」
「お断りします」
「よろしくね♪ 入りましょう♪」
全く聞いた様子が無い、一緒にお風呂から回避しないといけないだろう。腕に引っ付かれながら湯船にくると、楽しそうに入っている4人と端っこで外を向いているニアルトさん、何かやらかしたか?
「やっときた!ここにきて!」
「今行く!ということで」
「…分かったわ、ミャーちゃーん!」
できればミャーの方にも行かないで! そんな叶わないことを願いながらノーヴェの近くに行くと抱っこしてをするので膝の上に乗せて1回ギューっとやった・・・かわいい
「私には無いのですか?」
「みぃやはいつもあえない!ちからないの!だからいまやるの!」
他の人だったら馬鹿にされたようだけどノーヴェが言うとそう聞こえない
「それはそうだね、存分に甘えておかないとですね♪」
「ネネさん!?」
「嫌ですか?」
「そんなことないですよ」
前からノーヴェ、後ろからネネさんが付いている
「ところでネネさん?」
「ん~♪?」
蕩けている!?幸せそう
「ニアルトさんは何故ずっとああなんですか?」
ずっと無言でそっぽ向いて端っこで居心地悪そうに、一応(誰も見てなかったけど)娘の願いを叶えるため頑張ったんですよ
「あ~♪私が見られたくないからです~♪」
「え…、あ、ニアルトさんも一緒に誘ってごめんなさい」
「いえ~♪ああしてくれれば大丈夫ですからね~」
ニアルトさんごめんなさい! ミャーのお仕置き以上に辛いことをさせてしまいましたね
とりあえずノーヴェを撫でて落ち着こう
「ふにゅ♪」
・・かわいい
・・・。
出て乾かすのは今日は自力、さすがに説明がしにくいからポポちゃんに遠慮してもらった、多分すごく悲しんでいると思う…。
そして、拭いた後にはご想像通りにいつものをとねだられてやってあげる
順番待ち・→ネネさん→ミャー
ネネさんもやってもらうつもりでいたらしくとっととニアルトさんを戻してと言われていて仕方ないので拭いてすぐに服と共に移動してもらっていた
「はい♪かーさま!」
「ありがとう♪」
もう抵抗はないらしい、すぐに入れ替わり入る
「あら?いいわね♪ 私もやってもらおうかしら?」
嫌です、3人限定のサービスです!
・・・そんな心の声はもちろん却下…、順番待ちに →ミミュルさん が追加されました…
・・・。
部屋に戻ると約束していた通りにノーヴェがニアルトさんに飛び付いた、それで全回復してしまうニアルトさんは楽でいいなぁ、もう2人一緒には誘わないからね。
それから途中で主2人も帰り日も暮れ始める頃までのんびりしていた(ニアルトさんの前で娘を2人占めしていたので何度か睨まれる)。
「もうそろそろ暗くなりますよ、送っていきます」
「そんな時なんですね! なんだかあっという間っした」
「みぃや…」
「うん、寂しいけれどここは暮らすには向いて無いのが分かったでしょう? また遊びに行くからね♪」
「ひろい!つよい!いいとこ」
走り回るには向いているし戦いを見たいだけならいいかもだけど生活面に関しては必要な物が無かったよね?
「・・たしかに、魔王領に対して思い描いていたものは変わりました」
「噂は噂ってことですね、みぃやさんやミャーさん、レイルブライルさんにミミュルさん、みんな優しい方ばかりがいて悪い魔王様のはずがないですよね」
この親子の中での魔王領への好感が上がったよ、魔王様が来てもよかったかな・・・ニアルトさんとは合わない気がするな
「りゅうちゃんととーさまがどっちがつよいかみたい!」
「え!??」
「また今度見せてもらいましょうね♪」
「うん!」
がんばれニアルトさん…
・・・。
ミャーが2人を抱えて送りに行ってしまってからポポちゃんを呼んでもう1回謝る、やっぱり落ち込んでいた
「ごめんね…、次には理由が出来るからポポちゃんに頼るね!お願い出来る?」
「…! うんっ♪」
「今日もいっぱい助けてくれてありがとね♪」
「うんっ♪」
スリスリと寄ってくるポポちゃんとそこに加わるミャーの帰りを首を長くして待っているのであった。