第1幕
見渡す限りの草原、少女が今立っている場所はなだらかな山なりになっている頂上で吹き抜けるそよ風が肩まで伸びている美しい黄金色の髪を靡かせている。 暫し宝石のように透き通っている蒼い瞳を閉じて空気を感じていたが徐に瞼をそっと開くと空へと白く細い腕を空へと伸ばして空を手でつかんだ
「気持ちいいー!
えっ?何この声?」
・・・。
ぼくの名前は生田みやじ22歳、男であった。長期で休暇が重なった為に趣味の田舎巡りに相棒の飼っている猫を抱えて家を出発。猫の名前はミャー、体は平均より小さく性格はのんびり屋で甘えん坊、いつもぼくを見ると擦り寄ってきて抱き上げてやるとダランとずっと大人しく抱かれている可愛いぼくの恋人…ダメかな?本気で思っている。
無事に目的地へついて泊まらせてもらえる場所の交渉をする、いつもミャーを見ると反応はYESは少なくNOばかり、見つからない時の方が多くて今回もそれでフラッと近くに見える山に登っていったんだ
舗装されてない道を歩いていた時だった、急にミャーが身を捩り飛び降りるとぼくの前で木や草の方に普段やらない威嚇声を出している
「ミャー、どうしたの!?」
その直後、何か大きな音がしてきたと思ったらミャーが吹っ飛んだ!? 大きな猪だった。
「ミャー!?」
猪への驚きよりも反射的にミャーへとそのまま飛び込みミャーをキャッチする、そのまま地面に転がるはずなのだが飛んだ先に道は無く斜面になっていて一瞬の衝撃で意識が途切れて、もう意識が戻ることはなかったのだった。
瞼が下がった意識無い暗い中で意識があるような感覚が芽生えて目を開けると頭に声が響く、耳鳴り?にしてはハッキリとした声だった
『そなたは次の人生に何を望む?』
「どちら様ですか?」
わけがわからずに質問されているが質問をする
『そなたは死んだのだ、次の生に何を望む?』
「ミャーは大丈夫だったのですか?」
とりあえず一番心配なミャーについて知りたい、でもこの声の人には関係ないのじゃないか…
『最後だ!貴様は来世は何がしたいんだ!』
「ええぇぇ!怒ってる?、えぇと、何が?何が? 何ができるのですか?」
『・・はぁ…』
なんか呆れられた感じがしたような…
『できる限り叶えてやりたいと思う
希望場所、性別、種族、能力とな』
種族?犬とか猫になれるのかな?、ミャー…。・・・能力?
「あ、あの、動物とかと仲良くなれる能力はありますか?」
『可能であるぞ、それが望むものでよいか?』
「はい、大丈夫です
それで・・・」
ミャーのことをもう一度きこうと思っていたら言葉を遮られる
『では、贈るぞ。世界に捧げし魂に祝福を!』
少女となったみやじは座り考えていた、ここは何処でこれからの生活をどうしようかと、少女や子供になったことなんてどうでもよかった。てっきり地域は違っても同じような場所に生まれ変わるとばかり思ってしまっていたから、最悪誰かにお願いしようとしていたがこの状況は困る
とりあえず立ち上がり周りをグルリと見渡すが何も見えない、今着ている服は白いワンピース、大変似合っている、ポケットにも何も入っていなくて泣きたくなった
「~~ぁ~~~~!」
「ん?」
何か聞こえた気がして辺りを見るが何もない
「みゃ~~じ~~!」
「上か!。 !!??」
声が大きくなってした方が空からだと上を見ると今の自分と同じくらいの少女がぼくの名前を呼びながらゆっくり下降してきていた、両腕を広げて抱き締めますのポーズの少女。 どうしようかと悩み、受け止めることを選択する
「みゃーじ♪」
「うん、君は・・・、うん!?…うわぁ!?」
抱き受け止めて少しすると、まるで急に少女の意識が失ったような重さになりそのまま後ろに倒れてしまった、少女の体格で人一人を支えるのは無理だよね。
しかし少女は気にした様子もなくぼくの胸に頭をスリスリしているのでそのままに考える、少女の頭には見覚えのある色、質感の耳が生えていた、人間じゃないのが存在しているんだ… それよりもこの子は
「ミャー?」
「はい、みゃーじ、ミャーです!」
顔をヒョコリと上げてパァッっと笑うと前世の時に飼っていた猫のミャーだと肯定してきた、混乱ばかりのこの状況だけれどこの子がミャーなのはストンと胸に降りてきて理解出来ていた。
「みゃーじ、小さくなりましたね!」
「ぼくも小さくなったけどミャーも大きくなったからね。ミャー…だよね、ミャー!」
実感が湧いてくると涙が出てきてミャーに抱き付く
「何で泣いているです?」
「ミャーとね、会えてよかった…」
「はい!これからはみゃーじはみゃーが守るです」
「もう無理しないで、絶対に」
暫くそのまんま二人でじゃれ合っていたが冷静になってくるとこれからどうすればよいか困ったものだと思い直した
「ミャーはどうやってここに来たの?」
「ふわぁー!って」
「あれは気持ち良さそうだね♪
何か言葉みたいなの聞いた?『どんな人生をおくりたいか?』みたいなの」
「はい!『何かお願いある?』って聞こえて答えたです」
「軽い…、でもわかりやすくていいなぁ
なんて答えたの?」
「みゃーじと一緒にいれて、みゃーじを守りたいって、他にも色々言った。そしたら動物だと都合悪いね、じゃあまだ終わってないみたいだから待っててねって、適当に詰めちゃう!って」
「やっぱり軽いね、あれって一つじゃなくてもいいんだね?」
元が猫だからそういう時にズバズバ言えたのかな
「多くて二つお願いだけど…猫だからいいよね?って言ってたよ!」
「そ、そうなんだ?、よかったね」
やっぱりダメだったみたい、猫だと都合悪いから種族を変えるのに、与えるものがそれでいいわけないんじゃ…まぁ、あっちの都合だからいっかな、こうやって会えたし
「ミャーがぼくの名前を知っていてくれて嬉しかったけどね、み・や・じだとね男の名前になっちゃうと思うんだ、あまり変えるとミャーが困ると思うからこれからは『みや』にしようと思うんだ、分かるかな?」
あっ、『ぼく』も止めた方がいいのかな
「はい! みゃーじはみゃーじじゃなくて、みぃやになるってことですね!」
「ミャーは本当に賢いね!」
褒めてあげると褒めてとまた頭をこすり付けるので頭を撫でてあげた
永遠に進まない状況にいい加減どうするかなと考え始めた時、ミャーが耳をピクピクさせるとある方角を見つめ「ぅぅぅっ!」っと唸り出す。 これ見たことある、何か来たんだと自分も警戒する
数秒経って遠くの場所から地面を揺らす音が聞こえると見上げるほどの巨体で左右に2本ずつ牙の生えた猪が見える、向こうはこちらに走って向かって来ていた、あれは何だ!?と思いながら距離がある内に何処かへとミャーに叫ぶ
「ミャー、逃げよう!」
「いいえ!、みゃー…、みぃやを守ります!!」
「やめてくれ!!」
もうミャーを失いたくなかった、出来なくても逃げて欲しかった。が、ミャーは立ち向かって構えている、あの巨体だから速い、遠くに見えてたがもう目の傍まできているじゃないか
猪は近くまで来てわたしたちに気付いたみたい、少し軌道修正して向かって頭を下げている
「ふぅぅー!!にゃ!!」
「グゥゥオゥぉ!?」
何が起きたかわからなかった、瞬きする、その閉じる時にはミャーが消えていて次に開いた時には猪がいた場所で拳を振り上げ猪が前方上空へと飛んでいた
「みぃや!やりました♪」
「っ!? ミャーがやったの?」
「はい♪」
「ミャーすごいね、とても信じられないよ」
また褒めてをするのでとりあえず褒めてあげる
先に倒れている猪は動かない、死んでいるんだろう、今更ながらに体が震えてきた…
「みぃや!?」
「大丈夫…、ミャー、大丈夫…、予想だけど慣れないといけないと思う」
猪をジッと見つめていた、長く感じた短い間、色々な感情と共に大きく息を吐く
「ふぅ、ミャーありがとね!」
「はい!みぃやは守ります」
「うん、よろしくお願いします」
全て受け入れよう、わたしは決意するとすごい速さで向こうの空から何かやってくる影が! そんな考えている間もなく近くに、通り過ぎるのかと思っていたらすぐ目の前に降り立つ、それは二足立ちするかなり大きいトカゲ、赤い厚そうな皮膚で背中に大きな翼がある
「!?、ミャー!」
「平気みたいです」
「え?」
安心しているミャー、トカゲの大きな背中で見えないが何か空気を吸っているようだった、数秒後にとんでもない光景が! 猪がいた方に火が吹き出される、近くに居るのに熱は感じるけど熱くないくらいだったので、この巨体を考えると加減してそうだったがとても怖かった
「あれは竜、赤竜です。
自分から人を襲うことは少ない生物ですね」
「ミャー…、よく知ってるね」
「ついでにと知識も全部くれたんです」
「ついででって、もらっていないものを探す方が大変だね」
赤竜は少し焦げた猪を食べていて知性が高いと感じた。
食べ終えると羽を広げこちらに見向きもしないで飛び上がる
「風圧がすごい、ミャー平気?」
いつの間にか前に立って壁となり軽減してくれているミャーは髪や服が荒れるだけで微動だにせずに堂々と立っている
「みぃやは平気ですか?」
「うん、ミャーが守ってくれてるから」
ミャーはそれが嬉しいみたいでニコリと顔を向ける、あぁ可愛いなぁっと思う。
「・・・ところで、赤竜はどうして行かないのかな?」
「はい、こっち見てますね」
飛び上がったまではいいのだが、しばらく浮揚していて行き先を決めて進むのかと思いきや、身体をこちらに向けて、まるでわたしたちの話を立ち聞きしているかのようにその場に留まっていた。襲うならとっくにしているだろうし、ミャーの説明もあり恐怖はないが不気味である
どのくらいか見つめ合っていたが赤竜は動かないので手を振ってみたら
「ごぅぅ…」
赤竜が寂しげに声を出したではないか、もしかして指示を待っていた!? お別れと伝わったのか赤竜はゆっくりと背を向ける
「ちょ、ちょっと待って!」
「!!、ぐるぅ♪」
どうしてか赤竜を呼び止めると気付いたのかさっきの場所にゆっくりと降り立ち伏せをするようにして視線を下げてわたしたちに顔を近づけてきた、一瞬怯みながらもミャーの手を左手で握り右手で赤竜の頭を精一杯背伸びして撫でてあげる、その感触は硬い中にある肉感でなんとも言えない触り心地だったが赤竜は嬉しそうに太い尻尾を振り回していた
もしかして餌付け?とも思ったがあの望みを思い出し動物?と頭を抱えてしまう
「ミャー、『動物』についての知識はある?」
「いいえ、ないです…」
「知らない方が普通だから落ち込まないで!」
赤竜どうすればいいんだろう…これからも決まってないのに…、さっきの猪は襲ってきたから全てに適応されるわけじゃないからここにいるのは危険だよね
「何もないからどうしたらいいのかわからないや」
「ぐるぅ? ぅぅぅ!!」
「みぃや、赤竜が家に来ないかと」
「言葉わかるの!?」
「はい! みぃやもわかるから引き留めたのかと思いました」
「あれは寂しそうだったから…」
赤竜は後ろを向いて声を出す、ミャーが乗ってと訳すのは言われないでもなんとなくわかった
「ちょっといいですか」
ミャーがわたしを肩にしがみ付かせて一飛びで赤竜の背中に乗る、お腹が冷えた感じに変な気分になりながらミャーにお礼を言うと赤竜は飛ぶ態勢に入り飛翔する
「きゃぁ!」
声が女の子だなと自分で感じながらミャーが支えてくれると安定して景色を楽しむ余裕が
「この辺は緑だね! 赤竜は何処へ行くの?」
「住拠みたいですね」
「鳥の巣みたいな?」
ミャーが鳥の巣はわからないみたいで首を傾げている、可愛いくてよくやっていたようにお腹にスリスリする。ここでふと思う、猫ならいいけど人なら犯罪ではないかと、気持ち的にはいやらしい気持ちなんて全くないけれど扱いは変えないとダメかな?気持ち良さそうなミャーに聞いてみる
「ミャーは今は人?だけどこういうの嫌かな?」
「いいえ! 嬉しいです!」
「そっか、なら人前だけ気を付けようかな」
「はい!」
多分ミャーもじゃれ合いのひとつとして考えているし同意の下ならいいよね、ミャーに触れているだけで落ち着くし
草原も抜けて山を越え進むと絶対元の世界には無いなぁと思える細く高い石があちこちに聳え立っている場所にでた。それはまるで暗くないアニメで見るような魔王が住む城に続く場所のよう。
「赤竜はこんな所に住んでいるんだね」
「もうすぐそこだそうですよ」
聳え立っている中に根元がとても広く上にいくほど細くなり途中で切られその断面がへこんでいるような岩がある、その中央に降り立つと姿勢を低くしてくれたのでミャーが今度はわたしを抱き上げて飛び降りた
「赤竜、ありがとね」
「ありがとうですよ」
「ぐぉぉ♪」
赤竜は嬉しそうに一鳴きすると犬のように休む態勢になるとわたしたちを眺めている
「ちょっと周りを見ていいかな?」
赤竜さんに許可をもらうと端に移動しようと登る、登る、登る・・・
「ハァハァハァ…、竜の…大きさで上からさ…見た広さと深さが変わった…みたい…」
「みぃや平気ですか…」
少女の体で体力が無く疲れやすいのかもしれないけど、体感では前とあまり変わっていなく感じる、単純に足場の悪さと高低差かな。
「ダメみたい…、ミャー助けてくれる?」
「はい!みぃや!」
頼むとそれは本当に嬉しそうに引き受けてくれるよ、申し訳なさよりもミャーに頼りたいって思っちゃう。
わたしを抱えるとピョンピョンと縁まで行って細い場所に立つ、怖いよ!だけど一歩前はほぼ垂直で立ったらズリズリしていきそう…、ミャーと手を繋いで見ると空からでは見えなかったが見たこと無い生物がチラチラといる
「人が住めそうな場所じゃないね」
「はい…、でも人になってみぃやと一緒に居れればそれでいいです!」
嬉しくて手に少し力をいれる、赤竜の所へ戻ると自分の柔らかい首の内側の所へわたしたちを入れてくれて包み込まれる、もう寝るようだね 時間は分からないけど今日はこのまま眠ろっか。
眩しい光に照らされて目が開くと赤竜が慌てたように元の場所に頭を戻す
「起きたから大丈夫だよ、ありがとう♪」
「みぃや、おはようございます」
「うん、おはよう
ミャーは起きてたんだね」
「はい、ずっとみぃやを見てました」
「そっか♪」
ラブラブなわたしたちを優しく見守ってくれる赤竜さん、そういえば!
「赤竜の名前ってなんていうの?」
「ぐぉぉうぅぐぁ」
「みぃや、レイルブライルです」
「カッコイイ名前だった!
レイルブライルってい・・・」
良い名前って言おうとしたら胸の中で何か繋がる感覚がした
「??何だろう??」
「カッコイイか、ありがとう」
「え?レイルブライル、喋れるの?」
「ハテ?何のことだ?」
「みぃや赤竜の言葉は何も変わってないですよ」
「じゃあ、私が変わったんだ。言葉が理解出来るよ」
「そうなのか!それは良い」
「そうだね」
フフフ・・とお互い笑い合っていたら、レイルブライルは真面目な顔になる
「シテ、ミィヤとミャーでいいか?」
「「はい」」
みやだけどミャーがそう呼んでいたから思ったんだろう、どっちでもいいよ
「猫人と人間に思えるがソチらも魔王様に挑戦しに来たんか?」
「びょうじんって何です?魔王様?」
「猫人は猫の特徴ある人間だ
フム?違うのか、ではワシと戦う理由も無いな、正直助かったわい」
「戦うならミャーがやるです!」
「やらねばならぬならやるが、出来れば遠慮したい。 ヌシには勝てる気がせんし、ミィヤとは仲良くしたいと思い昨日様子を見に行った。…その後は心感じるままに招待してしもうたがな…」
とりあえず敵対はしないみたいでよかった、わたしもレイルブライルとは仲良くしたい
「では迷い子か?あり得ぬ話だがな」
なんて説明したらいいのだろう…、正直にあそこで生まれ変わりましたと言うべきなのかな?
「いいえ!ミィヤとミャーは猪に負けて生まれ変わってあの場所に転生したのです」
ミャーが正直に言ったよ!?、レイルブライルが口をあんぐりと開けてしまったよ!、ミャーが本当に賢い、猫の時も説明出来る程に知性が高かったんだね、なんか恥ずかしい・・・。
レイルブライルが復活して少し何か考えている
「では、、、ヌシらはこの地にの事は何も知らないということだな?」
「「はい」」
「ではな、よく考えて聞いてくれ
ヌシらがいた場所は『レヴィレトの草地』という場所で人間には『第4の地』と呼ばれた場所だ、巨大な猪がおったのがあの草地の主だ」
あの猪は主って!、倒しちゃったけど大丈夫なのか!?
「暫くすれば次の者に置き代わるよ」
よっぽど顔に出ていたのか心配だった答えをすぐにくれた…、恥ずかしい
「ホッホッホ、それでだが、第4の地と人間に呼ばれるからには幾つもある、それは魔王様の場所に辿り着く為に通らなければならぬ場所の順番だ。
ここは、ヌーラの地・試練の場所と最終関門になっていて主はもちろんワシだ」
「レイルブライルと戦いにならないでよかった…、ここが最終ならその魔王様は先にいるんだね?」
「そうだ、会いに行くか?」
「えぇ!?」
「敵対する気はないが行くあてが無いなら早めに挨拶しといた方がよいと思ってな、ここに居る人間なんか襲いかかってくれと言っているようなものだしな」
たしかに…、多分流れからみるに人間と魔王様って敵対していて人間がこの5カ所の地を抜けることで倒そうとしているんだね、挨拶した方がいいかも
「・・・みぃやはミャーが守るです」
「ありがとう♪ レイルブライル…さん、お願いします!」
「ウム、承る。呼び捨てでよい」
レイルブライルの背中に乗って更に奥へ進むと周りに枯れ木がありその中央に洋風の青屋根に灰色壁の大きなお城が建っていた、明るいしその色あいから妖しさ皆無の王子様のお城って感じだ。 レイルブライルはたくさんある窓から鍵のかかっていない一カ所の前でわたしたちを入らせるとそのまま小さくなって一緒に入ってきた
「小さくなれるの!?」
「強い竜は小型化出来るぞ?」
これは常識みたいだね…、城内も赤い絨毯が中央に敷かれていて…(以下略)
すぐ近くに二足立ちするトカゲ二体がいる豪華な扉の前まで歩く、明らかにわたしたちに気付いているが何も動きは見せない
「通してもらおう!」
「ぐぇぇ!!」
トカゲが呼びかけも無く重そうに扉を開けると中へと歩を進めた
「言った通りに」「「はい!」」
・・・。
わたしたちは軽く下を向きつつレイルブライルが飛ぶ後に続いて歩く、ある程度歩くとレイルブライルは翼を不自然に二回パタパタさせるのでそれを合図に立ち止まり膝を屈める
うわぁ、震えてるよ止まらない…、数歩先でレイルブライルも止まって地面についた気配がした
「赤竜、そいつらは何だ?」
魔王様?は普通に言葉がわかる、しかし幼い声だ
「魔王様、この…「レイルブライル、我のことは名前で呼べと言っただろう?」」
「客人の前でしたので失礼しました
モルモンモール様!」
「ぶふっ! あっ…」
思わず笑ってしまったよ、多分こっちでは普通の名前のはずだろう、ヤバイ!殺される…
「今、何に笑ったんだ?」
威圧がヤバイ!殺気を感じる。態勢は崩さずそのままにいると、すぐ前に人が立つ気配がした
「みぃやはあなたの名前が面白かったのですよ、ありがとうございます」
ミャー!やめて!?
「申し訳ありません!!」
「そうかそうか、それはよかった!
赤竜、、、ヤレ!!」
「ハァ…どうしたもんかな
命令とあればやらねばならぬな…」
部屋に合わせ大きくなる
「ミャーやめてね?」
ミャーは分かっていますとばかりに頷くと一瞬でレイルブライルの後ろに回り尻尾を掴む、しかしレイルブライルは焦ったように反応し尻尾を振り上げ下ろした
「一番大丈夫だと思ったですけど…」
「何!?」
その時には既に反対に回りお腹に拳を振り下ろす瞬間であった、レイルブライルは吹っ飛んで壁にあたり一部に大きな穴を開けた
「ぐぎゃぁぁぁ!」
一番近くにいた見張りをしてた二体は音を聞きすぐに入ってきたがまばたきする一瞬で入口に飛ばされ戻っていた。
「みぃやは挨拶しに来ました! まだ襲ってきますか?」
「っ? は? 赤竜!?」
そこで初めて魔王様?を見た、小さな少年だ、キラキラの金髪で黒真珠のような瞳、まるで(略)
「警備薄い?これが普通なのかな?」
駆けつけてくる奴もいないし、ミャーが相手とはいえ側に付けていた警備が何の反応も無く一斉に突っ込んできたと、魔王様は未だ混乱にあるのでミャーに伝えてレイルブライルの所へ向かう、何か動きがあればミャーが動くので安心している
「レイルブライル?」
呼びかけに反応は無い、気絶していた。危険が無いように頭の後ろに回り後頭部をさする
「困っているから起きてくれるといいんだけど」
と起きてと願っていると目が開いて後ろに飛び退き姿勢が崩れ尻もちをついてしまった
「ぅぅー、治してくれたんか?ありがとう
やはりあやつには敵わんかったな…」
「治した?」
「違うんか?治癒されていったぞ?」
「分かりませんが元気でよかったよ」
「フム?、あぁ、命令だがスマナイな」
「分かっているから大丈夫だよ!」
魔王様と入口を警戒しているミャーの所に小さく戻ったレイルブライルと戻る、未だ増援は無いようだ、魔王様人望無いの?、魔王様状況理解したのか目に涙を溜めてこっちを睨んでいる、かわいいね
「魔王様って強いの?」
「魔王様ことモルモンモール様は力はあまり無いが・・・・愛らしいのだ」
「たしかに!。上に立つのは無理やり屈されるよりは愛でる者に付いていきたいよね、理想でしかないけど」
「・・・、我々は力が正義だから、現魔王様に託されてから殆どがそれにより離れ、その考えを持つ者は今残っている少数だ、どちらでも無い者もいるがな」
「力なら争いはなかったの?」
「もちろんあったが、賛同者は最も力ある4者だったからな! ねじ伏せた」
それで誰もいなくなる状況でもやって実行してしまうのはすごい考えだなぁ、取り戻したかったり不満あるなら力で取り戻せってことだし
「ところで魔王様は人間に見えるけど違うの?」
「ウム、人間ではない」
もしかしてあれで大人だったりするのかな?
「お前らはなんでお喋りをしてるのだ!?」
放置していた魔王様からつっこまれてしまったので改めて膝を着いた
「魔王様、ご挨拶に参りました
みやと申します。 れ、レトルトの草原?にそちらのびょうじんのミャーと共に違う地より飛ばされ参り、レ、赤竜に保護され友となり連れてきてもらいましたしだいでございます」
だ、大丈夫かな?挨拶何て分からないよ…間違っている気がする…。ドキドキ返事を待っていたら、魔王様は頭から煙を出していた
「わ、わけのわからぬことをいうな!」
「モルモンモール様、彼女らは目的無き旅で我に出会ってここに来たのですよ」
「そ、そうなのか! そうならそうと言え!
何も言わぬから壁が壊れたでないか」
旅で気軽に入れる土地でなかったのでは!?
「申し訳ありませんでした」
「わかればよいのだ!
では、赤竜、どうしたらいい?」
「彼女らは目的が無い旅故にいつ遊びに来るか分からないので全員に顔を覚えていてもらいたい、なので招し…、集まってもらってよろしいか?」
「いいぞ、すぐ来てもらうがいい!」
レイルブライルは優しい雰囲気のまますぐさま出て行く、たしかにかわいいがこれは独特過ぎる体制だね、ユルユルで何も知らない、一般民のわたしには受け入れてさえもらえば楽だけど。
「名前は何だ?」
「みやです」「ミャー」
「笑うなよ? 我はモルモンモールだ、名前で呼ぶがいい!」
「はい、モルモンモール様、、あ?」
「何だ?」
「いえ、何でもありません」
また、何か繋がる感覚が…、もしかして名前を呼ぶことがキーワードなのかな、レイルブライルの言葉が分かるようになったのもたしか・・・
その時、ひとつの影がさした
「まっおうっさっっまー♪
本日もちんまくかわいいですね♪」
「むぎゅ…」
現れたのは女性で人間?また魔王様みたいに違うのだろうか。…胸でもがいている、苦しそうだ…
ミャーに視線を送ると同じことを考えたようで目が合いいいかな?と思ってしまう、が自重して成り行きを見守っていると女性は満足したのかグッタリと意識を手放した魔王様を膝に乗っけて座りこちらを見た
「!?、あら!貴女もかわいいですね!」
座ったばかりだが魔王様の腋で持ち上げ元の場所に置くとこちらに手を広げてやってやってくるではないか、さて、正直勘弁だけど避けるのもどうかと思うしミャーが動くかもしれないね、一応上を向いて構えておこう。 果たして・・・
「あら?うれしいですわ♪、あぁ本当にかわいい娘ね♪」
屈んだ女性にそのまま抱かれて顔を近くで見合わせる事となり頬を撫でられる、意外に優しかったのであの胸にさえ気を付けていれば苦しいことは回避されるのだろう、抱かれた後に手を回されている以外の軽い衝撃があった、ミャーがくっ付いている、邪魔しない程度に・・・可愛い
「お名前は?」
「みやです」
「そう、みやちゃんね
貴女は私たちに恨みは無いの?」
この世界に来たばかりだし何か柵があるのだとしてもわたしには関係ない
「無いです」
「そう♪」
放してくれる、もしかして愛でているように見えて何か有れば…、今更ながらに油断し過ぎたと思った、そんな気持ちが伝わったのか
「何もするつもりは無かったわ、赤竜ちゃんに言われた時から信用しているし魔王様だけを残すわけないわ
それに後ろの娘もいるでしょ?」
この人もいい人だった!とても安心したよ
話のままに次はあなたねとミャーに聞くと女性が自己紹介する
「私はレイトル平原を担当してい…「ミュリミュルミール!いつも抱き付くなと言っているだろう!!」・・・レイトル平原の主でミミュルです♪」
復活したね…、名前から魔王様と同じ種族だと思ったよミミュルね、多分嫌なんだろう
「ミミュル………、ミュリミュルミール…あ」
正式な名前を呟くと繋がった気がした、何に役に立つかは分からないけれど大事なことだろうと思う
レイルブライルがカピバラの二倍ほどの生物を連れて帰って来た
「ぶぶぶぶ!ぶぶ、ぶっぶぶぶ~!」
「そうだ、そこにいる娘たちがそうだ」
「ぶぶぶ、ぶぶぶぶ」
「ああ」
何言ってるか分からない、カピバラって鼠だっけ?ぶぶぶ言ってて何か笑える
「ミャー分かる?」
「はい! 彼女は研究者みたいです」
「女性か、研究者ってなんか怖い」
下手したらなんかされそう…、終わったみたいだ、魔王様に頭を下げてる。カピバラさんの名前をまず教えてもらおう
「ぶぶぶぶ!ぶぶぶ、ぶぶぶぶぶぶぶぶぶ?ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ?ぶぶぶぶぶぶぶぶ?ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ?ぶ?ぶ?」
うわぁ!、いきなり長文来た!?
「名前はトナタ、よろしく。ところで平原通ってないよね?赤竜に勝ったの?あの穴どうやってあけた?人間なの?雄なの雌なの?」
敵意は無さそうでよかった!、でもさすがイメージ通りの研究者だ、いきなり質問攻めとは
「トナタ・・・、あれ?」
「ぶぶ?」
名前を呼ばれて不思議そうなトナタ、今までと同じならこちらの言葉は何故か伝わるのだから疑問にされれば当然の反応だよね、繋がった感じがしなかったの、本名じゃないの? ミャーは相変わらずわたし優先だからはやめに返さないと
「え、えっと、わたしたちはレール草原?に直接移動して来たから通ってないよ、赤竜に勝ったのはこっちのミャーだよ、あと、何だっけ?年齢は…9歳?」
年は分からないから見た目から大体だ
「ぶぶぶ!?、ぶぶぶぶ!ぶぶぶぶぶぶぶぶ?」
あぁ、ずっと聞いてるとぶぶぶが嫌になってくる…
「ミャー助けて…」
「はい!」
「みやちゃんおいで♪」
「・・・ミャー!いってくる…」
ミミュルに慰めてあげると席を作られたので断り辛いな、ミャー速く終わらせてね
ミミュルのお膝に座る、恥ずかしい。
「みやちゃん、あの娘ね質問ばかりで大変でしょ?」
「質問もですけど、言葉がわからないで耳が…精神が変な感じなんです。トナタって名前合っていますか?」
ミミュルはわたしの返しに驚いたようだった
「名前?トナタちゃんで合っているわ
赤竜ちゃんの言葉はわかるのよね?」
「はい…」
「どうしてかしら…」
ミミュルにも不思議なようだった、発音は違っても言葉は同じで理解出来るのがまちまちということは無いとのこと。
やっぱり分からないんだ…、レイルブライルとは繋がりで伝わっているだけに過ぎない。魔王様とミミュルは言葉は伝わる言葉だったが名前を呼べばすぐに繋がり、レイルブライルも言葉は分からなかったが名前を呼んですぐだった、しかしトナタさんは無理…深く考えるのは苦手だ…なるようにしかならない、困ったらミャーに助けてもらえばいいや!
なんか物事の考え方が周りで吸収していく感じ、親にどう育てられるかで子供が変わるようなものかな
「あ、ミャーありがとう!、こっち来て」
「みぃや♪」
何も考えないで戻ってきたそばから自分の膝の上にミャーを誘う、言ってからミミュルの顔を見ると頷いてくれる、よかった。座り辛いが自分は寄っ掛かりミャーを抱いて支える
「うぅ~ん♪、最高ね、魔王様、魔王様も来て下さい」
「嫌だ!しかも場所ないじゃないか!」
魔王様の隣ではトナタさんに報告されているレイルブライル(魔王様じゃないんだ)。
「私頑張ります!」
少しわたしたちを横にズラすような仕草でその隣を示した。そしたら魔王様がピタリとくっ付くようになるね、別にいいけどミミュルはかなり無理があるよね?
「いい!いらない!」
「ふふふ♪照れちゃって♪」
いえ、そうは見えませんが。あぁ…ミャーが可愛い
・・・。
わたしたちは結局どうするか、設定通り旅するのか人間の住む場所に行くのかも決まっていない
「フム、とりあえず頼みたいのだが内容が内容だけに断ってくれても構わない
ミィヤとミャーに少し間、入口、第1関門の主をやってもらいたい」
「それはいい!」←トナタ
「何故人間に!?」←魔王様
「やるならあなたの地ではないかしら?」←ミミュル
まさか主をやれなんて言われるとは思ってなかった、正直にわたしはなんの実力も無いけど大丈夫かってことと、人間を殺さないといけないなら絶対嫌だなって思う
「ミィヤが優しいということは分かっている
思っていることは戦いのことだろう?」
「は、はい…」
「勘違いしているみたいだが、人間は『追い返す』だけでいい」
「そうなんですか?」
「実際、そんなことになるのは殆どがヌシらがいたレヴィレトの草地だけだ」
え!一番危険な場所にいたの!?
「で、では何をやればよろしいのでしょうか?」
「言った通り、来た人間をミャーの実力で適度に痛めつけ、追い返せばいい」
「・・・ミャー?」
ミャーを見ると自分はいいよ、判断は任せると頷く
「分かりました
それで、住む場所ってあるのですか?」
「ありがとう! 住む場所はあやつが移動するから大丈夫」
さっそくレイルブライルに乗って移動することとなった、魔王様も含めて皆付いてくる、お城は大丈夫なのか…。それに魔王様とミミュルは羽も無いのに飛んでいた、途中でミミュルが魔王様を回り込んで捕縛していたけどね
・・・。
第3の地は短い洞窟でそこを抜けると第2の地と第1の地である、共通なのはこの地が第2で入口辺りにある門壁が出迎えの第1であるから。
「ぶ!ぶぶぶぶ!」
「ドゥドゥ?」
「ぶぶぶぶぶぶぶぶ、ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ、ぶぶぶぶぶぶぶぶ!ぶぶぶ」
「ドゥ…、ドゥドゥドゥドゥ!
ドゥドゥ!!」
やばい!気持ち悪い。考えてみれば、ここにも当然主がいるよね? それが骨…骸骨だった…、しかも喋る違和感、自分の中ではカタカタ音を鳴らすだけの喋らないイメージしかないから余計に、骸骨は魔王様に向け礼をとるとわたしたちが来た方へ走って行ってしまった、結構速い
「ミャー今なんて?」
「トヒタヨツヘ は レヴィレトの草地への異動になったと」
「とひ…何とかって?」
「さっきの者の名前です」
「そっか…」
覚えられない、もう忘れた…
それにしても、立派な城壁…ちがう門って言ってたね。入口で間違いなさそうな骸骨さんがいた場所は四角い砦だね、窓というか穴はこちら側にしか無いみたい
「ミヤ!ミャー!ここを任せてやる、困ったことがあったら後ろにミュリミュルミールがいるから呼べばいい!」
「了解しました!」「みぃやを守ります!」
ミャーそれは今ちがうよ…
魔王様たち3人が帰っていった。それだけ!?って思ってしまうけど話をつける人も任命するのを見届ける人も大切な事だと来てもらったことに感謝する
唯一残ったミミュルに色々聞きたいね
「私はね、ここ、メルミルの地に居るから呼んでくれればすぐに抱きに来るから安心してね♪」
「あ、ありがとうございます」
子供好きにも程度があるが話せる人が近くに居るのは安心だ
「まずは中に入りましょう」
砦…門の上からでも入れるが説明のために下に降りて入る。
入るとひたすら四角の壁の縁を緩やかに上がる階段が続いていた、ひたすら長く上がるのは嫌だなっと思う
「あれ?穴を抜ければ素通りできますよ?」
奥に続く向きにある窓は高い位置にあるわけでもなくちょっと高い程度で背が高い人ならジャンプすれば届くくらいであった
「そうなのよ♪ よく気付いたわね!?
今まで気付いた人間はいないのに」
この門について説明してくれた、挑戦者はひたすらに階段を上り、頂上(の1階下)で主と戦い勝つことが出来たら次への道を教える となっている
「そこでね『最下層まで降りよ』とかっこよく言うの。 そして主は去った後に、逆に頂上から屋根に上がり門壁に降りて掛かっている下まで続く坂を滑り降りて中央で挑戦者を待ち構えるの」
「なんか、大変そう」
「慣れよ♪ そしてあの窓を指して『あそこから行くがよい』と決めるのよ♪」
届かないなら協力してあげてねと追加する
「・・・え? 戦わないでいいのでは? 気付いた人いないの?」
「えぇ♪ ミヤちゃんすごいわ♪」
何も言えなかった、負けてかっこよく言うの嫌だな…、でもお仕事だしやらないと
「みぃや、負けないから大丈夫です!」
「一応、始めの場所だから毎回勝ち続けるのはやめて欲しいかも…、貴女の実力だと誰も進めないから」
「魔王様を守る戦いではないの!?」
「そうなのだけれど、それだと赤竜ちゃんまで全員出番が無くて」
娯楽扱いなんだ…、万が一にも赤竜負けて魔王様まで行ったらどうすんの!?
「それはないと思うけれど、魔王様は空飛べるから~、私の胸に逃げてくるわ♪」
・・・それはないな。ホントに娯楽みたい、ゲームの主催者側になったみたいだ
「分かりました、頑張ります」
「うん♪ 因みに・・」
ミミュルは入口の外まで歩いて行くと壁の一部をサワサワと擦る
「周りには誰もいないことを確認してね、二人もやってみて、ここをこうすると・・・」
ミミュルが消える、慌てていると冷静な声でミャーが同じことを勧める、やってみてって言われてたのに恥ずかしい…、同じように擦ってみると目の前は誰かのお部屋みたいな場所だった
「どこ?ここ?」
「うふふ♪慌てない慌てない♪」
「み、ミミュルさん?」
「ミャーちゃんも来たわよ」
「ミャー!」
駆け寄り抱き締めて肩にスリスリする
「みぃや♪ 人前ではやらないのでは?」
ミャーもふにゃふにゃになっちゃった、咄嗟に寂しくなったからやっちゃった
「ミャーに会えたから…」
「みぃや!」
静かに離れながらミミュルの温かい視線を感じる、これは!反射的に上を向くとわたしとミャーを巻き込むように抱いてきた
「かっわいっいー♪」
「むぅ…ぅぅ」
「ミミュルさん!ミャーが」
「???、んー?」
少し離して確認する、その間にミャーは学習し軽く上を向いた、何もないとわかると再びギューッて。ミャーなら逃げられるだろうけど、しないのはえらいね
暫し付き合っていると音が聞こえた
「あら?お客様ね、まだ説明してないのに…、だから倒しちゃていいわ」
「みぃや守るです!」
「は、はい!」
音がでるしさっきの転移したのも技術がすごい、なのに移動は自力…
緊張しながら隠し階段で階下に降りた、降りるとすぐに収納される。
1時間……やってこない…、ヒマだな…
「みぃや、来たです!」
「!?」
カチャカチャと音が聞こえる、やばい緊張してきた。
とりあえず中央に立っていると階段から4人組の男がゆっくり警戒しながら上がってきた
「子どもだ?こんな所に」
「あっちは猫人だ?小さいけど」
「あぁ、気を付けろ、こんな場所にいるんだから砦の主で間違いないだろう
本当に不意打ちは無いんだな、罠も無かったしな」
ボソボソと話し合っている、ミャーは耳がピクピクしていて可愛い、
まとまったのか4人はわたしたちの前に出てくる
「かわいい相手だな! 予想外だ」
あぁ!ただ戦うだけじゃない!?、会話があるのか!!
「あ、ありがとう、ございます
私は弱いので下がりますね、無視して下さい…」
「みぃや、頑張りました! 何かあってもすぐ行きます」
「うん♪」
階段があった反対側へと行き座った、すっかり少女然となってしまったが抵抗はない、ミャーに目を向けた
「は?、1人なのか?罠か」
「ミャー1人が相手します、みぃやには攻撃しないよう、無視したら命はないです」
ミャーかっこいい! でも、万が一でもミャーに危険が無いなら命は取らないでね…
チラチラとわたしを見る4人、わたしは降参のポーズをしておく
「わ、わかった…」
力無いことが伝わったのかミャーだけと対峙するとそれぞれ構える、始まるのか…
最初に動いたのは前男2人が手に持った剣と槍で絶妙にミャーに迫るのを身を捩り躱す
あ、ミャー手加減してる
その隙を逃さぬようにもう1人が槍で横から突き、後ろから矢が飛んでくる
「これが戦いかぁ…目の前だと怖いね…」
始めの2人も連続で振る、これは無理と思うがミャーは既に後ろにいた男の弓を弾いていた
「えっ? あ!」
「いつの間に!?」
弾かれた男も気付かなかったらしく少し間があってから仲間の方に駆けた
普通はね接近されておいて逃げられないよ
「態勢を崩すな、お前は一旦下がれ!」
弓の男は引かせてリーダーっぽい剣の男が大きく一撃をミャーに振る
あれ?避けない?
果たして、ミャーは手を翳すと剣を手の平で受け止めた、これには迫っていた槍の2人も足を止める
ミャー頑丈にもなっているんだ、あのミャーの声の者、やり過ぎは本当に大丈夫なの?
3人の男はビックリしながら武器を意識的に地面に落とした
「降参します」
タタタっと弓の男も集まってきて敗北を宣言した
「わかった、ありがとうございました」
ミャー礼儀正しい!?えらいえらい!すぐにやりたい。・・・けど、自分も近寄る
「ありがとうございました♪♪」
「「「「は、はい!!」」」」
男たちは武器はそのままに階段を降りて行ってしまった、初仕事完了?わたし要らない?
「みぃや♪」「ミャー♪ありがとう!」
誰もいないのでイチャイチャしているとさっきと違う音がして隠し階段が出た
「お疲れさま♪、この音がお帰りになられましたの合図だよ、階段を出すにはここを擦ってね」
「はい!」
部屋に戻る
「さっきのはかなりの実力者ね、どうだった?」
「私…要らないのではないでしょうか?」
「だそうよ?」
「みぃやがいないとやる気でないです!」
「頑張ってね?」
「はい…」
そんなに頻繁には来ないらしい、挑戦者の人数は4人までと決められていて一回にそれ以上は来ない 人間の組織の決まりで一日に何グループも来ることは無いと
「今日は絶対来ないからゆっくりしてね」
もう少し遅かったら骸骨さんが相手だったのに…。頻繁にないならすぐに経験出来てよかったのかな…
ここにあるものは自由に使っていいと、ミミュルさんは戻るみたいなので負けた時のルートの確認を兼ねて下まで見送り別れた
部屋に布団がいっぱいあったので今日はそのまま一式敷いて横になる。自分が入って布団を上げるとミャーが入ってくる、なんだか懐かしい
「ミャーが大きいからこうだね♪」
ミャーの定位置はお腹辺りだったが、同じ身長なので横並びになった
「なんかいろんなことがあったね」
「みぃや後悔してます?」
「うーん…、わからないかな? 引き受けた、このこともよくわかってないし
でもね、ミャーとなら何をやっても後悔なんてないよ」
「よかった! これからも守るですよ♪」
「よろしくね♪」