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運命の番  作者: 時雨
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1 姉と私

 私には2歳上の姉がいる。姉は由々という名前で私は由紀だ。

私と姉は正反対だ。姉は明るく天真爛漫で誰からも好かれるそして美しい容姿の姉、それにそれに比べて私はとろくて何をやってもだめでもう15歳なのにいつになっても大人に見えない子供のような見た目だ。父も母はいつだって姉を優先する。どんなに姉が悪かったって姉を庇って、「貴方は妹なんだからお姉ちゃんのこともちゃんと考えてなさい!!」と私を叱る。そうだ、いつだって怒られるのは私で悪者なのも私なのだ。

 昔から姉とはあまり仲が良くなかった。でも、そのときはまだ、両親は今よりはましなくらいに私のことも見てくれていた。

でも…あのときから……そう…姉がレイヤ様の運命の番と分かってから…私と姉には両親からの愛情の圧倒的な差ができた。レイヤ様とはあやかしの鬼の一族である雷光一族の次期当主である。

 姉はあやかしと人間が共に学ぶ学校、七原学院に10歳から通っており、その学院でレイヤ様と出会った。七原学院は私立の学校だ。私の家はそれほどまでに裕福ではない。だから、姉を学院に入れるには相当の苦労があったのだろう。そんなに苦労してまで姉を七原学院に入れたのは、姉の由々ならあやかしの運命の番になれるかもしれない…それがだめでも、あやかしと縁ができるかもしれないという多大なる期待があったからだろう。あやかしの人と縁があれば人間にとっても、とても有益なことだ。

 そして姉は見事にあやかし界のトップを争う雷光一族の次期当主レイヤ様の運命の番なった。それを知ったとき父も母も大喜びだった。私なんてそっちのけで姉と3人で高級なレストランに食事に行ってしまった。両親にいない者のように扱われ、泣きそうな私を見て姉はクスクスと父や母には見えないように私の顔を見て笑った。

 それからは、私は両親達に冷たく扱われた。あの日のようにいない者のようには扱わないけれど、極力私には話掛けてこないし、私のことは腫れもののように避けている。私は最初どうしたらいいのか分からなくていつも父や母や姉がいないところで泣いていた。「なんでお父さんやお母さんは私をお姉ちゃんのように愛してくれないの?なんで?なんでなの…?」いつもこう思っていた。でも時が経つにつれて姉が特別扱いされて、私が両親に冷たくされるのにも慣れてきてしまってもう諦めていた。どんなに望んでいてもどんなに待っていても私が愛されることはないから。



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