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22-3

牧場の加工場増築の話が一段落ついたところで、ヨカルに来た目的を果たしに元王城へと向かう。

勅書効果は抜群で、すぐに元王太子の牢屋に案内してもらえた。


牢には他にも人が入っていたが、元王太子の牢だけは別室になっていた。

囚人服に手枷という姿だったが、確かに見た顔だ。

前会ったときは確か豪華な鎧姿だったかな?

クッソ威張り散らした態度だったのを覚えている。



「ごきげんはいかがかな?王太子サン。」

「貴様は…私の命令を待っているわけではなさそうだな。」

「そうだね。渡された腕輪はあの日に隷属効果を打ち消した。」

「…ならば何故今さらここに来た。

そしてその手に持った物を私に向けているのは何故だ?」

「これ?ケータイ。録画してんの。

録画と言ってもわからないか。要はアンタのその悔しさ一杯の顔を声つきでそのまま絵にする道具だよ。

そしてここに来た目的はただひとつ。二度もテメーの都合で召喚して、挙げ句自滅したアホの気持ちを聞くためさ。"ねえ、いまどんなきもち?"」


最ッ高に悪い笑顔だったのだろう。

ギリギリと苦虫を噛み潰したような顔でにらみ返してくる元王太子。


ざまあ。



ハァ、コイツが死んでも元の世界に帰れない悔しさに涙が出てきた。

クソが。一生呪ってやる。


もう頭と胴が分かれている元国王もだ。

できることなら轢き殺してやりたかった。


変な物を轢くバイクがかわいそうだから実際はやらないだろうけどさ。



撮った動画を"※胸糞注意"をつけて学生たちに送る。

これですこしは気が晴れるといいんだけども。




気分を変えよう。

こんな気分じゃ牧場のことを考えることが出来ない。


(商品価値のない激渋とはいえ)丹精込めて作ったワイナリーの中の人には申し訳ないが、気分転換の道具にさせてもらおう。


久々に引っ張り出したワイン貯蔵キットを"※5分1年"を"※1分5年"にして、20〜25年物の高級ワインへ変える作業をする。

体を動かして嫌なことを忘れさせるのはどこの世界でも有効だな。


ワインへの八つ当たりのお詫びにユーク村でも始まった激渋ワイン貯蔵による高級ワイン化のプレゼンをする。


王城へ納める需要がなくなり、路頭に迷うところだったワイナリーはこの話に飛びつき、貯蔵庫の建設が始まった。

収穫の秋までに完成させると息巻いている。


最低でも20年、毎年貯蔵庫を増やすことになるけどわかってるのかな。

緯度が高いから




ワイナリーから戻ると牧場の加工場が妙な雰囲気に包まれていた。

なんでかと問うと、サプリメントに目をつけた商人ともめているらしい。

販売所の店頭の方を見ると、確かに前後左右に広い商人風の人間がじーさんと口論しているようだった。


「どったの?」

「ああ、ヨネツキさんかい。

いやね、この商人さんがホエイサプリメントを専売させてくれと言ってきてるんだよ。」

「専売?大きく出たね。売るあてはあるの?」


有用性など全く知られていないものだ。

責任問題のことも考えればいきなり専売させてくれといわれても困るのは当然と言える。


「もちろん。謳われている効果が本当にあるのであれば、保存食や飼料として優秀ですからな。」

「本当にあるのであれば、なら試してからでもいいじゃん。」

「いやいや、それがどうもわたくしのカンが権利ごと買えと申しておるのですよ。」


商人のカンか。

錬金術師の人件費だけ乗せて売るつもりだったし、多少の色だけつけて権利売った方が廃棄のこと考えなくてよくなるな。


じーさんも売れるかわからないものを全量買うって話は乗りたいようだし。


「じーさんが良ければ契約結んじゃっていいよ。」

「わかった。飲もう。」


契約書を読み、そんな不利になる文面がないことを確認。

サインを書くのは俺じゃなくてオーナーのじーさんだ。


この後どうやって使うかはわからないけれど、

錬金術の工程で使いやすい顆粒状にしてるから、スープに溶かして飲めば良いだけの手間いらずだし

栄養面でもチーズ作りでタンパク質が抜けた分は干し肉などで補うだろうから問題も起きないだろう。

…そもそもアテにしていないだろうし。




勇者君から例の動画の返信が来た。


"マジドン引きですけど、少しは晴れた気分です。"


うん。ドン引きはわかってた。

死人に鞭打つ所業だからね。


"これで一段落付くわけですね。"

"後始末が残ってるけどな。"


勇者君も賢者君も、返信してこない子たちも、もう帰れないのはわかっている。

早急に後始末をつけたいのであれば死ぬしかないのだ。


それができないから、これからどうしようという会議を未来研究所でしようという話になった。

俺達の後に召喚された中二の子も呼べれば良かったのだけど、もうドモク共和国に入国して連絡は付けられないらしい。


せめて連絡できるようにしとけば良かったと賢者君が嘆いていた。

そうだねとしか言い様がないのがもどかしい。


ハーカンク内でケータイを使えるようにするには俺の"※"が必要だからねぇ。

なんならドモク行って探してこようか?


中二ぐらいだと事の大きさ理解出来ないかもしれないからネットは封印で、地図・電話・SEN・Saezuriだけ動かせるようにすればいいでしょ。


モチベ維持のためブクマ、評価、感想、レビューお願いします。

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