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21-2

作った大量の天然ゴムと生ゴム、それに硫黄をカゴに入れて"※無限収納"メットインに入れる。

エユデンで発注した馬車ができあがっている頃合いなので、受け取りに行くのだ。


街の宿に泊まれない時にマントを布団代わりにして寝るのもしんどくなってきていたし、

何より馬を模したハリボテが思った以上に股関節にダメージを与えてくるのだ。


いーかげん御者台で休みながらのんびり移動したい。



ミャウ出発当日。

管理人からゴム底靴は街から街に移動する事の多い配送人が、物は試しと購入してくれたと報告してくれた。

通運ギルド内でゴム底靴が流行してくれればケディデア国内、いやキヤリア地方全域でゴム底靴を買ってくれることが期待できる。


そんなゴム底靴だが、生産者であるミャウの村人たちは他

にやることもないので、支払ってもらった資金分だけは生産を続けると消極的な態度だ。

見てろ、鼻を明かしてやる。




ミャウを出て北上し、山を越える。

バイクならそんなにキツくないものの、結構な峠道だ。


峠を越えて平地に着くが、今度はエユデンを囲う山を越えないとならない。

前回来たときは気づかなかったけど、"※ハーカンク対応"地図アプリで見るとカルデラなのね、あそこ。

あれでもエユデンの鉱山て活火山だったと記憶してるけど大丈夫なのかな。


…大丈夫のようだ。どうもトンガラの活火山と勘違いしていたらしい。

それもそうか。活火山とわかって鉱石掘るアホは居ないわな。




エユデンに到着し、そのままアッジの修理屋に向かう。


「馬車ッ!もう出来てますよね。」


事務所ではなく工房に直行し、中を見回すと、奥で一回り大きい馬車が鎮座している。

足回りに鉄をふんだんに使っていることからおそらくは俺の馬車だろう。


「オウ、早かったな。まだ調整箇所が残っているが大枠は出来てるぞ。」


4輪馬車としては最大級の大きさとだという。

貨物満載時にこれを牽く馬の数は4頭を想定している、

下り坂用にトロッコ用のブレーキを装備するほどの非常に重たい鉄製の車体。

はっきり言って高速走行に向いていないし、居住部を確保したために後ろの貨物積載部は思った以上に物が入らない。


その代わり強力な板バネのサスペンションが付いていて、乗り心地を確保している。

一人用の馬車としては過剰すぎるスペックだ。


バイクに合わせて御者台は低い位置に置き、屋根部には難燃性の素材でコーティングした木材で寝台を配置している。

屋根部に寝台を置くのは虫除けのためだ。


寝台に昇るには御者台の左右に取り付けたはしごを使うのだが、フレームを兼ねているのでゴツく出来ている。



他の馬車にはない装備としてバイクとの接続部が挙げられる。

フレームに沿ってカーテンレールを配置し、カーテンをつけることが出来るようにしてあるのだ。

これは停止時に厚い布で覆って雨風を避ける、薄い布で日よけとするため強引につけさせたこだわりのギミックだ。


他にも水浄化装置の設置や棚にもこだわりぬいた一品、いや逸品となっている。


これだけ無茶苦茶詰め込んでいるので値段も相当するのだが、すでに支払い済み(※ただし半分以上は酒の現物払い)だ。

当然アッジの修理屋史上もっとも高価な馬車である。

王様だって持っていないぞ。



「しかし、作ったは良いが本当にその魔道具で牽けるのか?」

「牽くさ。」


バイクの馬力をナメちゃいけない。

カタログスペックで約20頭分の馬力があるんだ。


とはいいつつこのままだと動力車であるバイクの車体重量が足りなくてタイヤが滑って進まないのだが、

そこの所は"※"で強引にカバーする予定だ。



「それよりお土産はどうだい?」

「んあぁ、裸足で歩いてるみてえだ。木や皮の靴とは違って踏ん張りが利く。

おめえさん、どこでコレを手に入れた?」

「ミャウだよ、ここから南の村。国境に近い。」

「ミャウ〜?聞いたことないな。本当にそこでコイツを売ってるのか?」

「正確にはその隣町で売ってるんだけど、数が欲しいならミャウに直接注文した方が早いからね。」


工房の職人にお土産と称して売り込みをするため、ゴム底靴を持ってきていたのだ。

俺の足に合わせた物しか持ってきていないので、ヒューマンしか履けていないが好評のようだ。

背は俺より低いのにデカい足のせいで履けなかったドワーフがブーイングを起こしている。

うーむ。ドワーフ向けの靴も持ってきとけば良かったかな。



さて、馬車には追加の工程としてゴムを履いてもらう。

中に空気を入れたりはしないので、原始的なソリッドタイヤというやつだ。

これはミャウでタイヤのことを調べたときに覚えた。


ゴムだけど衝撃吸収などの効果は得られないので履くだけ無駄かもしれないが、

鉄よりは地面をかむ力が強いだろうということで

車輪に溝を入れ、ゴムを周りにつけて加熱し圧着させる。


重量はさらに増したが誤差の範疇だろう。



そして仕上げだ。

"※"で思いつく限りの耐性を付加していく。

当然"※非破壊"や、"※盗難防止"なども盛り込んだ。

重量があるので"※轍を作らない"事も重要だろう。



粗方付与できたので麓の街への鉄鉱石配送で試運転といこうか。

そう思って久しぶりとなる通運ギルドへと足を向けた。


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