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17-1通信制限

バングランド帝国に入ってすぐ行ったことは路銀の確保である。

それほどまでに切羽詰まっていた。


この際だからリアシートに乗れば何でも良いと通運ギルドに行くと、

また未来研究所宛の荷物がある。


こんどは何だと思って運ぶ荷物を読むと、"鉄"とだけ書かれている。

今度は鉄で何をするつもりだ?


鉄となると色々応用が利く。

何をしでかすつもりかはわからないが、

さすがに文明を進めるラインが看過できないレベルになってきた。

これは警告しに行った方が良さそうだ。



バイクの"※無限収納"メットインに配送物を入れ、未来研究所に向けて出発した。

途中他の街でも配送依頼があると思い通運ギルドに顔を出したが、あるわあるわ鉄やら銅やらの金属類。


本当になにをやらかすつもりなんだ?




3日後、バングランド中央にほどよく近いアシストスという街の、未来科学研究所に到着した。

配送料の精算を完了し、知り合いだと言って、研究員を呼び出してもらう。


出てきたのは勇者君だった。


「ヨネツキさん!」


研究所を守っている兵士が警戒を解く。


「やあ、なにか色々とやってるみたいだね。」

「ええ。賢人のおかげで進んでいます。」

「そうかい。研究所に入ることは?」

「できますよ。彼にビジターの手続きを。」


研究所の中は和紙作りの真っ最中だった。

聖女君と魔法剣士君も元気そうだ。


「賢者君はどこだい?」

「居るはずですよ。」


トイレに行ってたらしい。

俺の姿を見るなり心配していたんだと肩をバンバン叩かれたが痛いだけなのでやめて欲しい。


「それで、賢者君。前回ケータイに付与したヤツなんだが、一個忘れていたものがあってね。」

「俺は賢人(けんと)だけどな、なになに?」

「それは付与してから教えるよ。口で言っても説明しづらいからね。」

「わかった。ホイ。」


何の警戒もなくケータイを渡される。

よし。それじゃあブラウザアプリに制限を付与させてもらおう。


「これでよし。」

「何を入れたの?」

「通信量による速度制限。使いすぎた場合に低速になるアレ。」

「ゲッ!?」


「ちょっと君たち文明を進ませすぎる様なんでね。すこしだけ制限させてもらった。

それから他のみんなもケータイ出してくれ。

同じ制限でネット出来るようにする。」


今まで賢者君のケータイ頼りだったのが自分でも見れるようになるとあって、

制限付きであっても"※ワイドの情報を見れる"ブラウザにしてもらうのはありがたいようだ。


3台のブラウザアプリに制限を付与し返却する。



さて、次はお説教タイムだ。


「で、大量の金属を集めようとしてたけど、一体何を始めるつもりだったんだ?」

「いやまあ、その…蒸気機関車…」

「たわけ。産業革命起こす気か。」

「そういえば紅茶の国で蒸気機関が発達して産業革命が起こったんだった。」

「そういうヤバいものはやらないって約束だっただろう?」


「でも、成果を出さないとバングランドに居られないんだよ。」

「だったらケディデアに行くしかないな。ドモクは色々とヤバかったから。」

「ヨネツキさんドモク行ったの?」

「ああ、米どころに行って、何故か美味しくなかったんで指導してきた。」

「なんだよ、ヨネツキさんもやってんじゃん。」

「俺がやらかしてるのは食の発展だけだ。文明の発達はやってないわい。」

「食か…ヨカル王国は酷かったからなぁ。

今は毎日カレーだけど、確かにマズメシは俺達も改善してまわったしなぁ。」


「わかったらプロペラと内燃機関と火薬は手を出すな。

それ使うと戦争が酷くなる。」

「電気は?」

「果物に電極ぶっさす程度にしておけ。」

「はは、それ理科でやったやつじゃん。」


「それじゃあさ、高炉とかはやって良いの?」

「ドワーフの技術にプラスアルファをする分には問題無いだろう。

たとえば合金とかだな。カーボンファイバーは作れるならやってみろってところだが。」


「それから、和紙を生産するなら俺もケディデアで同じものを作るからな。

発明が一国に偏るのは余り宜しくない。」

「ドモクは?」

「あの社会主義国は国家主席の指導という形になるから難しいな。

この間の米についての指導が奇跡的な事だと思ってるくらいだ。」

「ふーん。大変だったんだね。」


「人ごとにしてるところ悪いが、君たちも似たような状況だからな?

技術だけ教わってお払い箱になる可能性が非常に高いんだ。」

「それは薄々感じてるよ。

やり口がどっかの共産国家の技術者囲い込みとそっくりだからね。

…そうか、そこに戦争の火種になるのは確かに危険だ。」


「やっとわかったか。」

「ヨカルから逃げることしか考えてなかった。この後みんなと相談するよ。」


普通、こんな会話を間近で聞いてれば逮捕ものなんだろうけど、

喋ってるのはバングランド公用語ではなく、日本語だ。


彼らにわかるとしたら、ケディデア、ドモク、バングランドといった固有名詞くらいだろう。

言葉の壁というのはこういうときに便利だな。



さ、やるべき事は終わったので撤収しよう。

ビジターの腕章を返して、配送物のチェックも…終わってるね。


「それじゃあな、あんまり文明進めるなよ。」


4人に見送られて、ケディデアへ向けて出発した。


モチベ維持のためブクマ、評価、感想、レビューお願いします。

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