表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/57

13-3

最後はブランデーとウイスキーの両方だ。

ただし大樽ではなく小樽で作る。


小売りが目的だからね。

酒に目がないドワーフなら、この機を逃さないはずだ。


何人来るかはわからないけど、

とりあえず手押しカートに載せれる限界の4つを持って行くことにした。



おや?人の山が出来てる。

人垣という意味ではなく、漫画みたいに伸して積んであるのだ。

これは、バトルロワイヤルが繰り広げられたんだな。


「まってたぜ、兄ちゃん。」

「うーん。競りにしようと思ってたけど、こりゃあアンタに1つは優先して売らないと収まらない感じだね。」

「おうよ。あんなもん飲まされて黙ってられる奴ぁドワーフじゃねえ。」

「そうすると残り3樽だね。アンタに売る値段はその3樽の平均てことで。」

「チッ。しゃあねえ。」


酒場の店員が水をぶっかけて伸された連中を起こす。


「競りだとよ。」

「オークションか。意地の悪い奴だ。」

「そうじゃそうじゃ。」


やかましくなってきたのでワーワー言うと売らないぞと言ったら黙った。

変なところで統率を見せるな。



「さて、じゃあまず一昨日に店に買ってもらったブランデーからいこうか。スタートは3千からね。」

「5千!」

「6千!」

「6千5百!」

「1万!」

「1万5千!」

「2万!」

「ぐっ、2万1千!」

「3万!」


うお、いきなりアッジの修理屋に言われた上乗せ額に乗ったぞ。

小樽1つにそこまでやるのか。ちょっと甘く見てたわ。


「さ、3万1千!」

「3万5千!」

「…」


ブランデー小樽が3万5千エーペ(約100万円)で売れた。

どんだけこのために金を引き出してきたんだ。



「じ、じゃあ次は昨日の片割れ、色の薄い方(10年物)だ。スタートは同じく3千。」

「2万!」


さっき3万行ったからか、高額スタートになったぞ。


「3万4千!」

「3万4千5百!」

「…」


「次、色の濃い方。」

「3万!」

・・・



「平均すると3万6千エーペだけど払える?」

「…無理だな。手持ちは2万だ。まからんか?」

「駄目、さっき言質取ったからね。ないなら購入権放棄だよ。」

「ぐぬぬぬ…仕方があるまい。」


「じゃあ最初の奴と同じブランデーだ。これはおっちゃんの手持ちだった2万からスタートするよ。」

「3万5千!」

・・・



4樽が15万エーペ(約400万円)に化けた。

これならそこそこ良い馬車が買えるかもしれない。




翌日、あらためてアッジの修理屋に向かった。

バイクの後部シート横と、シート上に固定したカートに括り付けた計6樽を物納チャレンジ用として持ってきている。


「まずは物納の査定をお願いします。」

「まった!」


樽から試飲の分を取り出そうとしたとき待ったがかかった。

声の主は職人のドワーフだ。


「それは昨日の酒か!?」

「あれ?昨日の競りに居た?正解、これなら物納にぴったりでしょ。」

「おう、それなら試飲なんていらねえ!儂が買い取る!」


昨日の競売で買えなかったのに予算あるのかな。

…と思ったら、職人ドワーフ全員が一致団結して全買い取りと相成った。

あの場に全員居たんかい。

ドワーフの酒に対する執着すげーなー。


さて、物納となった酒6樽。その値段、なんと"無し"。

正確に言えばリミットなし、カスタムし放題オプションつけ放題の完全フリーだ。


さすがに頭金として手持ちの金を出したが、ちょっとおかしい値付けである。


ヒューマンの職人は眉をひそめていたが、アレはハーカンク(こちら)ではそうそう飲めない特別製だからね。

あーあー。酒盛り始めちゃってらあ。

これ営業妨害にならんかな。大丈夫かな。




さて。売買契約は無事(?)結ばれる事になったわけだが、今度はカスタマイズで頭を悩ますことになった。

車体のベースはアッジの修理屋のものではなく、オンサ製の鋼鉄を使った乗合馬車用の最上級モデルで考えてみる。


サスペンションは当然最上級のもの。

問題は本体部分だ。

装飾はいらないので最高級のものは選ばなくて良い。

でもって頑丈な方が良いのは確かだが、シャーシが鋼鉄製なのですでに重量的に軽くしないといけない。

最悪、バイクの馬力を"※"で無理矢理引き上げるが、あんまり負担を掛けたくない。


うーむむ。



悩んでいるのを見かねて、先日のヒューマンの職人がアドバイスをくれた。

それであーじゃもこーじゃもと話をしている中、


「ウチのモデルでやるなら軽量化してやるぞ。もちろんフレームには手をつけねえ。」


この言葉が決定打となり、アッジのBTO(ビルド・トゥ・オーダー=受注生産)に変更した。

メンテナンスのしやすさ?ハハ、何のことでしょうねえ。


かくして、カスタマイズ内容はこうなった。

・鋼鉄製の駅馬車用大型シャーシ

・最新式の重ね板バネによるリーフ式サスペンション

・小型馬車用木製車体

・幌付き荷台


「…なんというか…荷台が後ろ側になった変わり種の駅馬車だな。」

「…そうですね。」


想像図がトラックみたいになった。

おかしいな。どこで間違ったんだろう。



ともかく、これで発注完了と。後は野となれ山となれってやつだ。

完成は半年先を見てくれと言われたので、もう暫くはバイクのみで行動しないといけないのかな。


モチベ維持のためブクマ、評価、感想、レビューお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ