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13-1機能美を詰めると

バングランド帝国からケディデア王国に戻って配送の仕事を再開…できなかった。

いや、配送自体は行っているんだけども、バイクのシートに括り付けられる小型の荷物しか扱えないのだ。


おかげで小物の長距離配送しか受けることが出来ない。

これじゃあサス付き馬車はまだまだ先だなぁ。



そう思っていた矢先、バングランド帝国から先日の報償金が送られてきた。

1万ペイペ(約22万円)もの大金だ。ケディデア王国に送金する際、両替手数料と税金を引かれて6千エーペ(約17万円)になったがそれでも相当な額だ。


これで中古ならギリギリ買える額になった。


意気揚々と中古屋に行ったが、サス付き馬車は人気があるため中々出てこないと言われてしまった。

うーん。新車に手を出すか?



新車にするとどれだけ掛かるのかは知らないけど、

中古ですぐ捌ける程の人気なら新車とそんな変わらない価格だと思うけど、一応調査しよう。


まずは生産ギルドに向かう。

馬車だろうが何だろうが、生産物は此処で全て扱うからだ。


ギルド職員に相談の形で話すと、サスペンション自体がピンキリなのでなんとも言えないという回答が返ってくるだけだった。

知りたければ工房に行くと良いと言って相談を打ち切られ、追い出されるようにギルドを出た。



こんな不親切なギルドの紹介先なんざ期待できないと、今度はドワーフがたむろす酒場に足を向ける。


辻商売でやったアルコール度数の引き上げを餌に話を聞くと、

安く買いたいなら材料がすぐ手に入る場所に行くと良いとアドバイスをして貰った。


欲しいのは頑丈なのだから、鋼鉄製だな。

そうなると材料は鉄と…なんだ?

鋼鉄を検索すると色々出てきたが、数パーセント程度とあったので、

材料のほとんどを占める鉄の原料、鉄鉱石の鉱山がある場所になるな。



今度は通運ギルドの連中がよく向かう酒場に行く。


「鉄鉱石運ぶと言ったらどこの街になるかな。」

「そりゃおめえ、ケディデアで鉄鉱石っつったらエユデンだ。」

「油田?」

「違う、エユデンだ。王都の近くにある王直轄地でな。モヴァノ教が開拓を始める前からある由緒正しい鉱山都市なんだぜ。」


本当だ。モヴァノ教開拓地特有の番号が無い。


「サンキュー。良い情報くれたお礼にエールをごちそうしよう。」

「ヘヘッ、毎度。」



あとは配送しながらその街に向かうだけだ。

バイクで最短距離ぶっ飛ばしても2日は掛かる位置にあるからのんびり行こう。




遠くに山が見えたと思ったら、いつの間にか登っていて、知らない間に別の山に移動していた。

長距離を走ったことのあるドライバーやライダーはそんな体験をしたことがあるだろう。


遠くに見えていたはずの山を登っていることに気づいたのは昨日だった。

峠の馬車修理屋に併設している食堂(めっちゃ割高)で一息ついた時に、

ここが四方を山で囲まれていて、実は今まで走っていたのは4日前から見えていた山の下り坂ということに気づいたのだ。


それがどうしたと言われるとどうしようもないんだが、アレだ。

そんな険しい道の店がぼったくり価格なのは当然として、

とんでもないものに使用料を支払わされるので覚悟をして峠を越えろということだ。


いやもう、井戸の使用料は反則だろ。

取るのはまだわかるけど、1桶50エーペ(約1400円)はボリ過ぎだろうよ。


でも国営の施設なので誰も文句が言えないのだ。

まったく、あくどいことをしやがる。



さて。そんな悪徳峠(俺命名)を越えてはるばる来ましたエユデン。


よく見れば山のあちこちに穴が空き、そこから手押し車で貨物を運ぶ工夫の姿が見える。

しかし、気になったのはその足下。

二本の線が並行して走っている。


レールだ。

目を凝らすと、板状の鉄を貼り付けた木の棒に円柱と三角錐の中間のような車輪でえっちらおっちらと押しているのが見える。


レールって蒸気機関と関係なかったっけと、ケータイのweb辞典(※ハーカンク対応)で調べる。

ははぁ。フランジってやつが開発される手前の状態なのか。



街に入り、通運ギルド事務所に入る。

商業ギルドや製造所に直接向かっても良いのだが、ちょっと待てと思い至り

通運ギルドにある事を聞こうと思う。


「修理屋?」

「ええ、腕が良いと評判の修理屋さんを教えて欲しいんです。」

「馬車持ってないのに?」

「新しく買おうと思って、どこのメーカーが良いかを聞きたくて。」

「なるほど。そういうことならアッジっていう修理屋がいいね。

あそこはフリーでやってるからいろんなとこの修理してるし

オーダーメイドもやってくれるところだよ。」


場所を教えてもらい、そこへ行く…前に。そんなに良いところなら評価サイトとかでも星が多いだろうなとふと思って。

"※ハーカンクの情報を表示する"地図アプリでユーザによる評価・評判を入力できる機能があるのでそれを見てみよう。

誰が評価してるのかは知らないけど渋ワインの店が評価☆4.2だったし、そこそこ信頼は出来るんじゃ?


…☆3.9だった。

微妙な数字だなー。

んで、評価コメントは―


"お金を積めば優先して対応してくれます。☆4"

"何でも修理してくれるけど修理費用が高いので星2☆2"

"知らないメーカーでも対応してくれるので助かりました☆5"


…いたって普通の評判だ。

悪い評価は修理費くらいだな。


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