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12-1ナス科の地上絵

バングランドに観光として入国手続きを終え、ワイモB11-1516にバイクを走らせる。

入管に「そんな所に目玉は無いぞ」とツッコまれたが「知人と待ち合わせている。」と言ったら、それ以上何も言われなかった。

実際顔見知りに会いに行くので嘘は言っていない。



そして2日ほど走ってワイモに到着したが、ずいぶん寂れた村だ。

本当に合っているのか?


「ヨネツキさん、こっちー。」


いた。賢者君だ。

誰も住んでいない民家を借りていると言って案内してくれたそこは、長屋だった。


「全員の移動は認められなくてさ、俺一人なんだ。」


会話は聞かれないようにしたが、監視はされていると言った。

どうも、待遇はあまりよろしくないらしい。


「それで、勇の奴が言う緊急事態なんだけど…

このバングランド帝国の建国が関係しているんで、そこから話すよ。


聞いたことあるかは知らないけど、実はこのバングランド帝国、新興も新興で。

つい7年前にミカカ連邦から独立したばかりの国なんだ。


それで、独立の時ミカカ連邦の主食である米を廃してジャガイモを食べようと奨励した。

栽培期間の短さから二期作ができるんで収穫量が増やせるといって、

水田はみんなジャガイモ畑となり、国の後援もあって5年の間に完全に切り替わったんだ。


ところが一昨年あたりからだ。ジャガイモが急に不作となったり病気になったりで、相場が高騰した。

今年はさらに悪化して、半分近くが駄目になった。おかげで相場はずっと高止まり。


それで、収穫が減るのなら、その分だけ新しい土地を確保しようと軍が暴走しはじめているんだ。」


「…アホなのかな。」

「アホだろうと上がそう言ってる以上は実行しかないんだよ。」


なるほど。確かに危機的状況であることは伝わった。

しかし、不作ねえ。ちょっと調べるか。


「…ケータイ見つめて、何やってんの?」

「検索。」

「はあ!?ちょっと待って、ネット繋がるの?」

「例の能力で無理矢理ね。」

「マジか…それなら俺のケータイにも付与していただけませんかね。」


両手で差し出される賢者君のケータイ。


「悪用するなよ。それじゃブラウザアプリ起動して…ホイ。いいよ。」

「うはーっ。これが出来なくて苦労したんだよ。

ヨネツキさん、あんがとッ。ヨネツキさん呼んだ勇の奴にも感謝だな。」


「それで、ジャガイモなんだが。」

「うん。」

「ナス科は連作障害が激しいんだそうだ。」

「えっマジ?」


早速自分のケータイで検索をする賢者君。


「うわーマジだ。」

「ジャガイモは2年休ませるとかネギ植えるとか、大豆やトウモロコシなんかも書いてあるね。」


検索すると、まーいろんな情報が載っているが、総じて書かれているのは病原菌対策が重要ということらしい。

たとえば"北の大地で連作できるのは、寒くて病原菌があまりいないため"とか、土地柄も関係しているのもあった。


さすがに情報が多すぎるので、持ち帰ってまとめたいという賢者君。

どこ持ち帰るのさ。

ここが君の借りている家じゃないのかい。


「そうだった。」


気が動転していたらしい。

まあ、いきなりネット解禁されたし、知らないことのオンパレードだったからしょうがないかな。




賢者君が監視員であろう制服さんを呼んで何やら話している。

バングランド公用語とミカカ公用語が入り交じってるけどお互い通じているようだ。

それにしても長いな。暇だから次買う馬車の案でも考えていよう。


「ヨネツキさん。すんません。」

「ん?そっちの話、終わった?」

「ええ。至急中央に情報を持って帰るんだそうで。それで、俺も行かないと駄目って。

あと、この情報はヨネツキさんからもたらされたということにしたんで、

有益なことがわかり次第報償を出すってのも言ってました。」


「報償?どういうことさ。」

「バングランドは投資が国是なんすよ。

それは情報についても同様で、"有益な情報を出した者には他国の人間であろうと相応の報償金を出す"んだってさ。」

「それで優秀な人間を囲い込んで逃がさないってか?まるでどこぞの人民共和国だな。」

「実際そうだと思う。国民…臣民に対してやってることとか、他国に喧嘩売ってる所とか。」

「おお、やだやだ。」


そんなところに保護を求めてしまったんじゃあ、苦労するだろうなぁ。

それでもヨカル王国よりはずいぶんマシなんだけどさ。




「それじゃ、すんませんが。

この家は今日は泊まっていっても大丈夫なんで自由に使ってください。」


と、慌ただしく帝国中央に戻ってしまった制服さんと賢者君。

もう夕方だけど大丈夫か?

というか、俺、この何も無い部屋で寝んの?


それは嫌なので、賢者君には申し訳ないが大きな街に移動して宿に泊まることにした。




いやぁ、バングランドにしてはちょっと値が張るだけあって、中々に快適な宿だった。

まさかサウナがあるなんてなぁ。


まあ、サウナ入ってる間に財布の中身抜かれてたんで、犯人の従業員捕まえてタコ殴りにしたけど。


そういえばその後従業員全員がビビって変にかしこまられたり、謎の割引で宿泊料タダになったりしたけどなんでだろうなぁ。


従業員タコ殴りしたときに裏帳簿見つけたのがそんなにマズかったのかなぁ。


モチベ維持のためブクマ、評価、感想、レビューお願いします。

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