表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/57

9-1まもののむれがあらわれた

野営中、幌馬車の幌が破けてしまったので修理に出そうと大きい街に行く道程。

睡眠不足で半分寝ながら進んでいたらロードキルを起こしてしまった。

何を轢いたんだと馬車を降りて見てみると豚鼻のバケモノ。


以前、モヴァノ教の集落でこのバケモノを解体しているのを見たことがあるので、このめっちゃ重いバケモノを馬車に放り込んで、近辺の集落に行くことにした。



「ほう、こりゃいいオークだ。」

「オーク?これがそうなんだ。」


言われてみれば2足歩行する豚に見えなくもない。

いや、灰色の毛皮に牙があるから猪か。


「解体してくれるなら素材を分けるよ。」

「よし。じゃあ儂が解体しよう。」


そういっておっちゃんが小屋からいろんな刃物をもってくる。


「まずは血抜きからだが…一応処理はしてあるな。」

「重かったから血抜きと内臓は捨ててきたよ。」

「むぅ、内臓も食える部位があったんだが、仕方あるまい。」


木にロープで逆さに吊したオークを、鮮やかな手さばきで解体していくおっちゃん。

いつのまにかほかの集落の人も手伝いに入っていって、1時間と経たずに解体は完了した。


「終わったぞ。それで、素材はどう分けるつもりだ?」

「まず可食部以外は全部いらない。可食部の中でも美味しくないのはパスで。」


いらないモノの条件を満たす素材が別の樽に入れられ、美味い部分が残される。


「これが美味いところだ。」

「ちょっと多いな。持って行くの面倒だしここで焼き肉しちゃうか。」


ぱあっと明るい顔になる集落の人たち。

各々の家から自家製焼き肉のタレを持ち寄ってオークの焼き肉パーティのはじまりだ。




ぐぇふ。もう食えん。

全員で食べても半分しか減らないって、すごい量だったんだな。

あとの肉は好きに持ち帰ってもらうことにしよう。

しばらくお肉見たくない。


満腹すぎて動けなくなってしまったので(おさ)に空き家を無料で貸してもらい、集落で泊まることになった。



そして翌日、出発してすぐ。こんどは餓鬼みたいのを轢いた。

あれかな、ゴブリンかな。

緑色してるしたぶんそうだろう。


轢死体を確認していると丘の上からやかましいと声が聞こえる。見上げると、緑色の群れがいた。

群れからはぐれていたのが馬車に轢かれて怒っている感じかな。

そりゃ怒るだろうけど、急に目の前に来たのが悪いんじゃん。


ブーチク言いながらカウルポケットから矢を抜き、ダーツの要領で投げる。

普通はそんなことするとまっすぐすぐ失速して飛ばないだろうが、

こいつには"※必中"をつけているので投げただけで敵に当たるようになっているのだ。


ギャアギャア喚くだけだったゴブリンだが、矢を受けて倒れた仲間を見て、こちらを明確な敵と認識したようだ。

腕を振り上げてこっちに迫ってくる。


こっちも40本あった矢を投げ尽くしたので、近接戦の用意をする。

以前も使ったマシェットと、新しく買った手持ち式のシールドだ。


シールドにはスパイクをつけて打撃も出来るようにしてあり、振り回すと"※衝撃波を出す"トンデモ品にしてある。


「どーっこいしょー。」


シールドを持った左手でフックを打つ。

それだけでシールドから衝撃波がでてゴブリンを吹っ飛ばしていく。


便利。

だけど吹っ飛ばすだけで致命傷には至らず、また迫ってくる。

特に妙にブカブカの鎧を纏ったやつが重量のせいであんまり吹き飛んでくれないのでちょっと焦る。



シールドで吹っ飛ばしながら一匹ずつマシェットで斬っていき、ようやく最後の一匹となった。

こいつがまた鎧でマシェットが滑ってなかなか致命傷を与えられない。


横の斬撃がきかないので縦方向に斬ると避けられる。

イライラが募ってきて攻撃が大ぶりになったところを突かれて左肩を殴打される。

めっっっちゃ痛い。


無事な右腕を振り上げてゴブリンの武器を跳ね飛ばし、のけぞったところを体重掛けて押し込むように叩き切る。

動かなくなったゴブリンからマシェットを引き抜いて、その場にへたりこんだ。


疲れた。あと肩が滅茶苦茶痛い。

ヨロヨロと立ち上がって馬車の御者台近くに置いてある薬箱を開ける。


湿布薬のような塗り薬を包帯代わりの布に塗りたくって肩に貼った。

布には"※治りが早くなる"としているがどれぐらい我慢すれば良いだろうか。



じっと我慢しているのもアレなので、バイクを自律走行にして街へ向かうことにした。

あ痛たたたたた。馬車の揺れが肩に響く。


こりゃきつい。街に着いたら修理ついでにサスペンションを装着させないと辛いな。


辛い痛みに耐えながらゆっくりと走らせていたら、街に到着する前に肩の痛みが引いた。

どうやら普通の打撲だったらしい。"※治りが早くなる"布を当てていたかいがあったな。




ハーカンクにおいてサスペンションは高級品らしい。

職人の手作りかつ専用の設計をするから非常にお高くなると言われてしまったので諦めた。


しょうがない。おとなしく馬車は幌の補修だけしてもらって、サスペンションはまた今度検索しよう。



大事を取ったのと修理完了が夕方だったため、街に一泊してから出発した。

今度は魔物現れないよな?と、"※ハーカンクの現実を反映する"位置情報ゲームアプリで、周りに敵が居ないことを確認してから出発する。



こんどは進行方向遠くで煙が上っている。

水蒸気の白煙じゃなく黒煙だ。なんだろう、襲撃かな?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ