表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/57

7-2

書き溜めはここまで

結局ノエアの街でも処理しきれなくなったということで、運搬は打ち切り。

エニルで希少部位だけを採取して、残りは捨てることになったそうだ。


やっと通常業務にもどれる。


通運ギルドの職員がボヤいたが、その通常業務が出来る運び屋は今居ないことに気づく。

しょうがない、明日朝イチで依頼の掲示するか。と考えた職員はなじみの酒場に向かった。



で、運び屋たる俺たちは賃金が支払われて懐が暖まったので宿併設の酒場で飲んだくれていた。


「まーったく。狩協の奴らスタンピードの処理しか頭に無いのかよ。」

「そうだそうだ。おかげでオレっちの愛馬がへたれちまってしばらく仕事にならねえよ。」


そんな会話が方々で上がっている。


「それで、ミサオよ。幾らになったんだ?」

「配送料のこと?みんなと同じだよ。1往復200エーペ(約5,500円)。」

「チッ。上乗せされてたなら奢らせようと考えてたが、しゃーんめえ。」

「それくらい自分の金で飲んでくれよ。」


ぐいとエールを呷り、席を立つ。


「さて、明日から普通のお仕事だ。お開きにしようぜ。」

「馬鹿野郎。まーだ宵の口だろうが。」

「俺は眠いんだ。悪いが先に寝させてもらうよ。そんじゃお先。」

「オウ。」




次の日は朝から滞っていた通常業務分の依頼を処理するため、てんやわんやだったらしい。

昼過ぎに通運ギルドの事務所に行ったら半数が伸びていた。


比較的短距離な依頼は全て出発済みらしく、長距離か重量物しか残っていなかった。

朝は用事があったので、遅れて来た自分が悪いのだが、目的のない旅を配送業務で誤魔化している身としてはちょっと困る。


重量物は面倒だなぁ…しかたない。長距離のコレを請けるか。


モヴァノ教開拓地、エニルB26-874へ消石灰の配送。

消石灰で開拓地っていうと畑の中和かな。まあ、いいや。変な依頼じゃなきゃ何でも。


掲示されている木札を取って受付に向かおうとすると、通運ギルドの職員とは違う制服の人間が事務所に入ってきた。


「狩人協同組合の組合長だ。そちらのギルド長はおいでか?」


ゲッ、狩協。しかもこの街のトップかよ。


「私が支店長だ。狩人ギルドとの協業は昨日で完了したと報告を受けているが、何か手違いでもあったかな?」

「いや、協力の礼に来た。」


トップが頭下げてどうにかなるような現場じゃなかったけどな。

通運ギルド職員もそう思っているのか、歓迎ムードとはほど遠い空気を醸し出している。


「君たちが思っていることは大体わかっている。

通常業務を圧迫させた上にウチの職員が横柄な態度を取っていたという報告も受けているのだ。

われわれ狩人協同組合はそれに対し、金銭的なものでしか補填が出来ないが

せめて組合長として謝罪とお礼くらいはしておかないと、大人としてどうかと考えての事だ。」


わだかまりはわかってるということか。

だが最も被害を受けたのは俺たち運び屋なんだけどな。


「時に、ギルド長。(おもて)に二輪の魔道具があったが、二輪の運送屋はここにおられるか?」

「それなら、そこにいるのがそうだ。」


こっちを顎で指すんじゃねえ。

あ、こら。こっちくんな。


「君があの魔道具の所有者かな。ウチの職員が無体を働いたそうで、申し訳なかった。」


そういって組合長が俺に対して頭を下げた。

付き添いで来た秘書らしい人が驚いている。


「いくら運搬の効率が良いからといって、台車を連結させたり何度も往復させたりしたという報告を昨日受けた。

該当の職員は減俸処分としたのでそれで許してやって欲しい。」


現場の暴走ということで片を付けたいらしい。

減俸は再発防止を兼ねており、再教育もするという事も聞いたので、許すことにした。

どうせ許さないと言っても減俸の額が増えるか首が飛ぶだけだろうし、丁度良い落とし所だからな。



それでは失礼するといって、帰って行く組合長。


そして微妙な空気の中、仕事を再開する通運ギルド職員たち。

やりにくいなぁ。



受注手続きをしている間、通運ギルド長に声を掛けられた。


「これでしばらくは狩人ギルドも大人しくなるだろう。

通運ギルドとしても大きな貸しが出来たとみている。

よって運搬に携わった連中には追加報酬を支払うことに決めた。

他より運んだお前さんには悪いが、人頭割りだ。」


といって1,000エーペ白銅貨3枚(約8万円)を渡される。

引っ込んだ支店長と入れ替わるように受注手続きを追えた職員が配送伝票を渡してきた。


「俺達内勤もお前等ほどじゃないが追加報酬が出たんだ。

これでかあちゃんにすこし贅沢がさせられる。感謝してるぜ。」


嫁と母、どっちの意味の"かあちゃん"なんだろう。




さて。今回の騒ぎで荷台の必要性を感じ、今日仕事を受けられないリスクを冒してまで買った物のお披露目である。

幌馬車だ。

中古だがわりかし美品で、2頭立て用の小さいものだ。


これと特注して作って貰ったハーネスをバイクに巻いて取り付け、馬車と接続する。

荷物を載せずに試運転をして、良さげだったので配送物である消石灰の麻袋を積載していく。


消石灰は6袋だけだったので馬車はまだ広々と使えるが、混乱するから追加の受注はしないでおこう。

そのかわり以前暇なときに作った濾過装置と洗濯用の桶と板を置いて、荷物との仕切り板を付けて生活感を出す。

ついでに寝袋代わりのマントと物干し竿を屋根に取り付けて完成だ。


俺専用、異世界式のキャンピングカー。

男の夢ってやつだね。


モチベ維持のためブクマ、評価、感想、レビューお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ