表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七彩ノ瞳ノ”観測者”  作者: 所為人
7/40

「襲撃」②

感想、レビューなどお待ちしてます!

バンッ

乾いた、重い銃声。

しかし、私は死ななかった。

引き金が引かれるのとほぼ同時に、私の手から拳銃が強引にひったくられたからだ。

誰かの深く息を吐く音が、耳元で聞こえる。

(・・・死ねてない、私)


「おい、目開けろ、目」


なんだか、ひどく懐かしい声がする。

その声に刺激されて、私の天邪鬼な部分が騒ぎだす。

・・・少しだけ、黙っててやろう。


「いや、なあ、おい」


ちょっと困ってやがる、この男


「・・・遅いじゃない」


言われた通りに目を開いて、にらみつけてやった。ジト目というやつか。

五年ぶりだ。


「悪かった・・・。頑張ってはみたんだけど」


相変わらず、変に素直な所は変わらない。

不意に足から力が抜けた。床にそのまま座り込んでしまう。


「・・・腰、抜けた」

「そのまま、休んでな」

「・・・うん」


見上げる形で、もう一度私は幼馴染を見る。

伊吹は優しい顔で、ゆっくりと頷いた。


----------


「一般の学生さんには、ご退場頂きたいんだが」


背後からの声に振り向く。

大男を筆頭に、武装した男達の銃口が僕一点に集中していた。


「そいつは申し訳ない。この子を連れて帰りに来たもので。お邪魔でしたらお暇します」

「いやいや、そんな必要はない。戻る手間なんてかけさせないさ」


それにしても、と大男が続ける。


「君は今、私たちの頭を飛び越えてそこに着地したのか・・・。何かの選手か?」

「ただの一般学生ですよ。体の堅さは折り紙付だ」

何か面白かったのか、大男が少し笑った。


「そうか、もったいない。正直、君の身体能力には興味がある。もしよければ、うちに来ないか?」

「お断りだ。君たちが何者かも知らないし、興味もない。おまけにネーミングセンスも悪そうだ」

「それは残念だ。すまないが、我々も少々時間が押していてね。ここでサヨウナラだ」


男達の銃が構え直される。


「でしょうね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


大男の眉が、ピクリと動いた、次の瞬間。


「撃て!」


大男の声が響いた。


ただ、銃声は続かない。


「どうした、撃て!」


大男が再び叫ぶ。

しかし、その後に響いたのは周りの男達が床に崩れ落ちる音だった。

地面に血だまりが少しずつ広がっていく。

大男の顔が、みるみると強張っていく。


「な、なにが起こった・・・!?」

「・・・こいつはね、まだ退場してもらうには早いんだ」


一歩、大男に近づく。


「ましてや、あんたらみたいなクズに拉致られて、クソみたいな政治の道具にされるのは見過ごせない」

もう一歩、大男に近づく。


「き、貴様、一体何を・・・」


大男が、一歩、後ずさりする。


「何をした・・・!?」

「僕らの祖先の言葉を借りれば、天誅ってやつさ。トゥルアクル人には、馴染みはないだろうが」


もう一歩、近づく。


「語源から考えれば、確かに()()()()()()()天誅なわけなんだが、まあそれは置いておいて」


もう一歩。

そして、僕の瞳に七彩(なないろ)の光が灯る。

「失せろ」


横一閃、腕を振り抜いた。

()()()()()()顕れた剣が、大男を横に薙ぐ。

一瞬の静寂の後、ゆっくりと大男の首がその胴体からずり落ちる。

やがて、その首は鈍い音を立てながら地面を転がった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ