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それは蒼穹より量産型少女とガラクタ王子とロボットと  作者: 秋天
第五話「大空のソラとリヒト」
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第五章「いま、見ゆる――決意を」


「いやはや……あのモモンガが役に立っちゃうんだから」

――ほんっと、世の中解らない。

両手足を広げ、ファウ製の被膜ひまくがぶわーっと、文字通りにモモンガ滑空かっくうしていた。

「とてつもなく文句を言いたいが。合理性を優先する、で納得したのだぞ」


御多分に漏れず王子の『馬鹿っちょ待て、姉上の至高のアゥエ(以下略)』が

あったものの『リヒト先生、現在のあんたの状況は?』と凄んだら

『はい……デザインは――お任せを』となりましてーの、

妙にとんがったデザインのモモンガ形態になって現在に至ります。はい。


「はは。年末歌合戦のラスボスみたいでいいのかなコレ」演歌歌手のアレです。

「俺達が新しいスタンダード(標準)になればいいだけだっ」

「そのドヤ顔、調子戻ってきたじゃん。ちょっと惚れそう」

「あぁ、俺達がナウなエイジでイケボーイだ!」

撤回てっかいしたいと思います」

「な、なんだとぉ?」

リヒト読んでた本、おとぅの世代のばかりだから知識が化石だった(泣)

巫秋が聴いたら「くそダサ。しね(ニッコリ)」で終わりだったんだぞ。


「さて……モズ子対策だけど――何か超必殺技ちょーひっさつわざが欲しいよね、空中だし」

「超必殺技か――――あるにはあるぞ」

思わぬ王子の一声。

「え?なんで……今までそんなこと一言も言ってなかったじゃんか」

「そうだな、常に使用してたからな」「は?」

またしても大事な説明をどっぷりするかと思えば予想外の発言。


「《吸収》《融合》《再生》がフィエーにあると言ったな、あれがそもそもの

 この機体の《インペリアル・ラスター》――簡単に言えば超必殺技だ」

「あれって超必殺扱いだったの――確かにスペシャルな性能だなって思ってたけど」

ゲームでよくある超必殺は特大攻撃ってイメージで。

防御デバフよか強化バフ寄りの性能だから、超必殺と言われればそうなのかもしれない。


「固有能力でな。アゥエスによって超必殺技の特性が違うと理解していい」

「前に言ってた吸収能力とは別なの?」

ILインペリアルラスターは操舵士とアゥエスのファウを結集して成る

 文字通りの超必殺技だ。吸収能力はILをさらに強化させる補佐で備えたのだ」


”姉上は曰く、『日々強化される量産機の能力に対抗するには

特性を増やして幅を持たせよう』という狙いだ”、と付け足す。


「超必と通常スキル(技能)合わせ技、しかも学習型ってお姉さん念入りだね。

 ……あれ?って事は、アイレちゃんの方の機体にもILってあるのよね?」

「あぁ、《《先程からだいぶ使っておる》》」

「はい?」と返すと指を指す王子。


「《ウェルテクス・トゥルボー》という技皇インペリアルラスター名だ。力場を後方へ押し出し高速移動」

そういやさっきから不可思議な挙動がたまにあった。

「あの――謎の空中で止まったりーの、特攻したりーの、ってアレ?」

「それだな――そしてそれを全快に使って特攻〈《とっこう》〉するのがアイレの趣味だ」

「趣味?――ちょうどあんな感じ?」

指を指す方角に――――こっちへ高速移動してくる鳥の姿が。

「は~趣味の特攻ね――なんてお転婆さん……って、わわ!マジで来てる!」

「ちぃ!……回避だ!」

わー!とか、ぎゃー!とか言いながら四方八方からのモズ子の特攻をいなす。

〈ファウ〉を使うと虹緑色エメラルドグリーン燐光りんこうの様なのを発しているので

辛うじて行動の軌跡がわかるくらいだ。それが縦横無尽でかっとんでくる。


「くっそ、超必殺技ってさ、連発できないからこそじゃないの!?」

「量産機に汚染された身体で倍化ばいかでもしてるのか?底なしか……くっ」

ヤツらには判っていない特性がある、みたいなの言ってた。それならば厄介だ。


「――こっちの超必殺技もさ、結集すると何かでっかい技になるとかないの?」

無茶ぶりだと思うけど……直撃されたらこっちが終わる。

「姉上なら何か出来るのやもしれぬ、だが専用機で無い俺では……そうだな、

 〈応用性おうようせい〉だ。三つの特性を創意工夫と臨機応変で掛け合わせ、技を作りだせる。

 フィエーニクスの強みは応用性だと知れ」

「応用性……?」

「俺でも出来るのは。一度攻撃を喰らい特性をある程度は模倣マネが出来る技」

「カウンター攻撃?結構すごいんじゃソレ……場合によっちゃ本当に切り札だ。

 ……悪く言えば、行き当たりばったりロボ?」

「――……そうとも言う」

「強いのか弱いのか分かんないロボ!!」

そんな雑談(対策会議とも言う)の最中にも鼻先をかすめて飛んでゆくモズ子。


「危な!……あ、もしかしてさ」「ん?」

「あたしの家に来る前に、アレ喰らって堕ちて来た……とか?」

「……あぁ」

「やっぱか……妹さんに超必殺技で相打ち。そりゃ言い出しにくかった訳だ」

肉親の超必殺技なんて、そりゃ心までダメージ来る。


「あれ?『一度喰らった技が模倣出来る』て言ったよね……今すぐ出来るんじゃ」

「――気付いたか、相打ちになった時に使用したのでな。

 ……が、自滅覚悟だから出来た訳で現状では、ソラへの負担が大きい、危険だ」

リヒトが少し気遣ってくれてたのは嬉しい。

「ばっかだね!そんな躊躇ちゅうちょしてる暇ないよ」

「だが、お前は天威の民ではない……補正も何もない」

「心配してくれてありがと、ちょっと嬉しいよ……でもね」

王子の胸を軽くたたく。

「あの子はだいぶ頑固だってわかった――こっちも全力でぶつかってかなきゃ

 主人公がすたるってモンだよ。妹さん、助けたいんでしょ?」

「……あぁ、そうだ。主人公はこんなトコでヘタれてはいけないな――信じる」

「うん!……負けない意思があたしたちの美徳!それが最強。

あわよくば恋縫ちゃん時みたいに心象世界《ココロの中》へ潜って説得できるかも。行こう!」

「そうか。救う闘いだ。俺達は救う主役、――征くぞ!」


王子の瞳が力強い、あたしの心も決まった。


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