「・・想い出の公園/逢魔が時・・」
「そんな出来事があったんだね。なんだ……面白い体験ばかりじゃないか」
太陽兄さんは言う。公園の夕日は今日の役目を終えつつあった。
ひとしきり語り終えて赤面した。夢中で話してたんだなって。
「そ、そっかなぁ?世間知らずな異国の王子……あいつは面倒なだけでさ」
王子とロボの詳細は概容だけでボカして語った。
二人は無言で微笑んでた「まるで彼氏みたいに語るよね」と。
まさか幼馴染の二人にも、《彼氏》とかさ……
こ、困るよあんな奴……あんな……?
……あいつってあたしの何?
「ソラは面倒と言いながら、結局誰かの役に立とうとする、《《善くも悪くもね》》」
「月子姉さんまで……」
「でもさ」
そう言うと、月子姉さんはブランコから降り、あたしを抱きしめた。
「え?」
「なんか、もう蒼穹は一人で十分やっていけるんだな、て思った」
「……え?なに?何改まって……ソラなんてまだまだ半人前で」
「卒業の時が近いから、蒼穹が心配だったの……でも」
「あぁ、見つかったんだな……てな」
「え?え?何なに?どしたの改まって」
そりゃ来年で卒業だけどさ二人は、と内心突っ込んだけど。
「蒼穹、進みなさい」
「そうだ。お前はもう羽ばたける」
二人の笑顔も夕日を背負って輝いた。なんだろう、いつもの笑顔のはずなのに。
「……うん。わかった、よ……」
あたしはおずおずと頷く。何だか、なんかだった……一
「………………」二人はそれから一言も発せず、今日はお開きとなった。
夕暮れに二人のシルエットが沈む。今日が晴れで好かった。
梅雨に入れば、暫くこの笑顔も見られなくなるなって
ふと……思ったんだ。
【第三話 おわり】




