第八節「ソラと生徒会長と」
24/06/02 修正
「――汪鳥さん。部は安泰そうかな?」
昼休み。
階段上から声が。スラックスから伸びる脚線が細い。
「生徒会長。……うん、部員は結構集まってきてますよ」
生徒会長の時司だ。
書記の子も一緒だ。この春、就任した。あたしの元クラスメイトだ。
生真面目で、こう、融通が利かない感じで。
知った仲といった感じで少し距離がある。
美形な顔立ちだけど、異性の噂とか全くない、まさに生徒会長な。
「何だか昼休みに中庭に張り込んでいた様なウワサ聴いたのだけど……」
(あちゃ。アレちょい目立っていたか)
「いやー中庭でお昼するのにハマってて、今からもね」
恋縫ちゃん家に行ってからも、彼女に逢えない状況は続いていた。
「……去年の事もあって、私も少し気に留めている。
キミが元気そうなら……それはそれで良いのだけども」
「ん?え、あぁ……何かありましたっけ」
本当に記憶ない。すごく気の合う仲でもなかったので
少しくらい口論くらいはあったよね。そん時だっけかなぁ……。
「いや、いいんだ。模型部という部は中学には無かったのでね。
私もまだ扱いが不慣れでね。君が充実してるようなら行幸だ。
「はは。ウチの学校のはまさに父が創設者だった部ですもんね」
「君の父は有名だ。私の親もヴァンダム世代だが、私は未知でね」
疎いんだ、と生徒会長。
「えー。じゃ、初心者お薦めヴァンダム教えましょか?」
「好意だけ受け取っておくよ。では、部長がんばって」
「ははー。部長候補としてはガンバってますよ」
「候補?部長、確定ではないのか。それでは生徒会の……」
「あーいえいえ!副部長の夜鳩のが向いてそーだな、って」
「……私は、キミがやり通すべきかなと思う。今はそれが理想だ」
時司氏の顔はなぜ曇るのだろう。
クソ真面目な性分だとしても、何であたしに拘るん?
じゃ、よもやあたしに……気があるのか?
……――無いな!
何でも恋愛ネタに結び付けるのはいけませんね。恋愛脳はノン。
「あなたも生徒会長ぴったしね!じゃ、あの二人にもよろしくね」
「………………」
その言葉に少し無言だったものの、
生徒会長は軽く会釈をすると、書記の子たちを連れて去ってった。
固いなー。
太陽&月子の二人もアレに付いてくの、ちょい大変かもね。




