表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/139

第二節「ソラと朝と父親と」

24/05/27 修正

第二節「ソラと朝と父親と」



制服に着替え、階段を下りるとまた父と遭遇した。

「おはよー。なんか夜更けに、すっげぇ騒がしかったな」

「……そう?」……声聴こえちゃってたかな?

「若い盛りだ無理ないか。健康健康。回数は増えるよな、うん」

「独りエッチじゃねーし!」

朝から下ネタはやめて下さいお父様……。


「……あぁ、ソラ」「なに?」

「…………始まったのなら、走り抜けよ青春」

「…………ほい?」

昨日といい、奇妙な文言が多い父だった。

そんなんで朝食時も結菜さんと朋輝にまで

「お盛んだな(よね)」と天丼なフリくらったのは言うまでも。はい。


「ソラ先輩、おはよーございますっ」

「おー!朝から天使!恋縫ちゃんおはようだよ!!」

あたしは抱きしめそうになるのを必死にこらえて駆け寄った。

「……あれ?オデコはニキビ?」

「そうなんです……恥ずかし」

テレテレのわんこ後輩。おでこにミニ絆創膏。可愛さ倍増であった。

わたわたと、おでこ抑える、いとをかし。朝から目の保養であります。

「ストレスニキビかな?」「そうかもです……」「新入生、緊張だ」

あたしもロボ戦ってストレスあるし、ニキビ出来てもおかしくない。


バスの車中。つり革に揺られながら二人。

「そんでさ、そのわんこの段ボールさ、張り紙の文字がねー」

今朝の夢の内容を振ってみた。

「……よくある、誰か拾ってくださーい、とかじゃなかったのです?」

仕草が仔犬が段ボールから顔だす『くぅ~ん』って感じに見えた。

「うん、本当。不思議な夢だったよ。何て書いてあったと思う?

 それが、『わたしを捨てないで』って……わんこ目線なの。

斬新だよね。あははは」

「………………」

目を白黒させる恋縫ちゃん。

無理もない、あたしだって意味不明だ。


恋縫ちゃんはつり革を手に、思案に浸って一言。

「……その仔犬のメッセージ、だったのかもですよ?……なんて♪」

「おぉ?おぉー」

言われて昨日の獣犬のことを想いだす。

なるほど、……なるほどなのか?

敵の立場で考えてみよ、って夢の啓示なのかしら。

融合吸収するんじゃなく、見捨てず和解せよ?(なんだそれ)


ま、たかが夢。深い意味はないのかもしれない。

つり革はからからと揺れる。恋縫ちゃんの横顔を朝陽が撫でる。

眩しくて、その表情はよくみえなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ