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第12話 愚か者ほど大成功する
『列子』には「愚公、山を動かす」との言葉があります。
愚公とは「愚かな老人」という意味です。
むかし九十歳になる愚公がいました。
愚公の家の南には大きな山があって、そのせいで交通が不便。
そこで愚公は家族とともに山を掘り、その土を北の渤海のはずれに捨てにいきました。往復で半年かかる距離です。
その行為を見て笑う者がいましたが、愚公は、
「わしが死んでも子孫がいる。それに山はこれ以上高くならない。
代々山を掘っていけば、いずれ道を開くことができるではないか」
といいました。
これを聞いた天帝(天の神様)は感動し、山を動かしてやったといいます。
愚公を笑った者は賢い人だったのかもしれません。
しかし賢い人はさいしょからリスクを考えてしまい、「できない」と思ってやらない。
逆に愚か者はそれを考えずに実行に移すため、不可能と思われた大きな事業をも成功させることがある。
日本でも「バカほど成功する」のような言葉あります。
成功者はリスクを気にせずに進める人が多いので、まさに「愚公、山を動かす」なのでしょう。