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殿下と私 学園へ入学しました。

 舞踏会の翌日、いつものように王城へやって来た私は、勉強部屋で先生を待っていた。

 すると、扉がノックされたので、メイドさんが扉を開けるのと同時に私も立って先生を迎える。

「先生、本日も宜しくお願い致します」

 そう言って顔を上げると、いつもの先生じゃなかった。

 うん?と疑問に思っていると、その人が自己紹介した。

「はじめまして、ロゼアンヌ様、私は魔導師のマーレイと申します、今日から魔法の勉強をしていきますので宜しくお願い致します」


 そうそう今まで言わなかったけど、この世界には魔法がある。

 しかし、使える魔法はごくわずか、適正により皆違うのだ。

 貴族は皆なにかしらの魔法適正がある。

 三年後に通う学園では、魔法も習う。

 学園に行く前に適正と基礎を学ぶのだ、少しテンションがあがった。


 私もマーレイ先生に挨拶をする。

「はじめまして、マーレイ先生、ロゼアンヌ・クルーズベルトと申します、宜しくお願い致します」


「ロゼアンヌ様お座り下さい、今日は適正を見ることにしましょう、ご自分の適正はわかられてますか?」

「いえ、わかりません」

「では、この水晶に手を乗せて下さい」


 言われるままに水晶に手を置く。


 淡く黄色と水色の光が輝いた。

 それを見たマーレイ先生が話された。

「ロゼアンヌ様は、防御魔法と水魔法が使えるようですね、淡く光る感じだと、補助魔法も使えそうですね、では、授業もその方向でやって行きますね」


 *****


 今日の授業が終わり、いつもの私の憩いの場所へと向かった。

 久しぶりに頭が疲れたようだ。


 なんかこの場所に来たのが久しぶりな気がする。

 三日間だけ来てなかっただけなのにね。

 そう思いながらバタリと横になり眼を瞑った。


 頭を撫でられてる気がすると意識が浮上する。

 瞼がピクピクしながらも、瞼がなかなか開けにくく奮闘していると、撫でていた手が離れた。


 それから暫くして、鼻を摘ままれた。

 驚いて眼をパチっと開けるのと、アルベルト殿下が私を見下ろすように立っていた。

「ロゼ、起きろ」

「アル様、最近私の扱いが酷いと思うのですが・・・」

「はっ、お前が無防備に寝ているからだ」

 アルベルト殿下そう言いながらやっと私の鼻から手を放す。


 私は摘ままれた鼻を手で擦る。

「今日、魔法の勉強が始まりまして、アル様は?」

「ああ、俺も始まった、あー、それで疲れてたのか」

「ええまあ、いつも以上に頭を使いました」

 それからいつもの様に殿下と話して私は家に帰った。



 それから二年間の間、こんな感じで殿下と過ごした。

 ちょくちょく殿下に意中の女性が出来たか確認していたのだけど、殿下に「そんな女性が出来たらロゼにちゃんと言うから!俺から言うまでもう聞くな!」と怒られてしまって、私から聞くことが出来なくなった。


 そして、月日は過ぎて私達は学園へ、入学する事になった。


 ****


そして十四歳の春、入学式前日の夜、お父様が号泣して私を抱き締めている。

「ロゼ!お父様は寂しいよ!本当に行ってしまうのかい!嫌だったら行かなくていいんだよ」

 お母様にお父様を止めて欲しくて見てみると、微笑ましく私達を見てらっしゃる。


「お父様、お休みの日には戻って参ります、それに私はお父様、お母様の様な立派な大人に成りたいのです。ですから、学園に行くのはお父様お母様と離れて寂しいよですが、嫌ではないです」

「ロゼ・・・・」

「お父様、明日は笑って私を見送って下さいね」

「シモン、ロゼの方が大人ではないですか、そのままではロゼに呆れられてしまいますよ、ほら、しっかりなさって下さい」

 お母様、やっと止めて下さいましたか、お母様が止めればお父様はすぐ止まるのに、


 お父様は、キリッとされていつものイケメンに戻られてました。

「ロゼなら、学園でもしっかりやって行けるだろう、うっ、が がんばって来なさい、だが、困った事があればシールに言いなさい、ロゼの力になってくれるだろう」

 最後は少し涙ぐんでらっしゃいました。


 そんなお父様を後目にお母様が私をぎゅと抱き締める。

「ロゼ、あなたはとても強くて優しい私達の娘だわ、あの病から戻って来てくれた、だから私は心配してない、だってあなたは自分の力で未来を切り開いて行けるのだもの、だけど何か困ったら言ってね、いつでも私達はあなたの味方だから」

「はい、お母様、ありがとうございます、私、精一杯頑張ってきます」


 *****


 入学当日の朝、学園へ行くのだが、アルベルト殿下が私を迎えに来てくれる。


 婚約者が居る人は、相手に迎えに来て貰うのが当たり前との事だ。

 それは婚約者が居ますよと学園に知られる事になるので、嫌ならいいですよと殿下に進言したのだけと、殿下に「俺を常識の無い男にさせる気か」と怒られた。

 そして殿下は鼻でふふんと私を笑って言った。


「何を今さら、散々舞踏会を二人で出てるんだ、上流貴族で知らぬ者など居ないぞ」

「いや、まあ、はい」としか答えられなかった私。

 うーといいのかな?と考えていると、急に抱き寄せられビックリして見上げると、殿下が不適に笑われる。

「俺では不満と言うのか?ロゼ」

 私は慌てて首を横に振り言った。

「滅相もございません!?宜しくお願い致します!!」

 私の答に満足したのか、にっこり王子様スマイルで私に微笑み言った。

「入学式の日、迎えに行く」

 そんなやり取りが前日にあった。

 なんか最近殿下の事が分からない私だった。



 そして、そのアルベルト殿下が今、私の家にいらっしゃった。

 私の両親に挨拶をされて、少し話をしてから、私の前に来られて手を出されて、私はエスコートされて馬車に乗った。


 馬車が出発して、殿下がふうっと息をつかれた。

「アル様、ありがとうございます、両親も安心してました」

「そうか、それなら良かった、俺はクルーズベルト公爵に良いように思われて無いからな、まあ、自業自得なんだが」

 私はうん?と首を傾げて殿下を見て問いかけた。

「そうなのですか?でもなんでですか?」

「いや、まあ、気にするな」

 そんな会話をしながらも、馬車は学園についた。

 荷物は前日に部屋に運び込んである。


 殿下にエスコートされ馬車から出ると、すでに周りは大勢の生徒が居た。

 みんなアルベルト殿下を拝見しに来たのね。

 私も殿下に恥を掻かせないように振る舞う。

 そうして、入学式の会場へと殿下と向かった。


 入学式は滞りなく進み、殿下が新入生代表として話されるのを見た。

 こうやって見てると、本当アルベルト殿下は完璧皇太子だ。

 優しそうな笑みを浮かべ、柔らかい雰囲気で、私と二人の時とはまるっきり違う、まあ、いいんだけどね、ずっと皇太子状態の殿下と居たら私は悶え死ぬ、だけど最近二人の時、俺様度が上がってる気がするのだけど。


 そんな事を考えていたらアルベルト殿下と目が合った。

 ふっと優しく私に笑いかけた。

 えっ?!っと思うと周りが少しきゃきゃと小さく騒いでいた。

 私は居たたまれなくても、頑張って姿勢を伸ばし、アルベルト殿下に微笑み返した。

 これじゃ相思相愛の二人に見えるじゃないですか?!いいんですか?殿下!?と心での中で叫んだ。



 *****



 入学式が終わり、午後はお茶会、夕方は入学祝いの舞踏会だ。

 午後のお茶会は、繋がりのある貴族で上位貴族の元へ下位貴族が伺うのだ。

 私はアルベルト殿下の元へお伺いする。

 それまでは自由時間。

 ふぁーっと大きく背伸びをしてソファに座る私に、紅茶を出してくれるメイドのマリ。

「ありがとうマリ」

「お疲れ様です、ロゼアンヌ様」

「マリ、学園に居る間、マリだけだから大変だと思うけと宜しくね、私が自分で出来る事は覚えて行くから、これから三年間宜しくね」

「ロゼアンヌ様、私はお嬢様に学園に付いて来て欲しいと請われて嬉しかったのです、ですので、お嬢様は学園での勉強と生活を頑張って頂ければいいのですよ、後の事は是非私にお任せ下さい」

 なんて良い人なんだマリは、私は嬉しくなり微笑んで言った。

「ありがとうマリ、そうまで言ってくれるなら私は頑張らないとね」

その時扉をノックする音がした、マリが応対すると、面談室でお兄様が来られているとの事だった。


急いで面談室へと向かった私。


「シールお兄様!」

部屋に入るなり私はお兄様に抱きついた。

「やあ、ロゼ、久しぶりだね、元気そうでなりよりだ」

「シールお兄様、なかなか家に帰って来て下さらないので、私、寂しかったですわ、でも、お兄様学園の生徒会長されてたから忙しかったのはわかりますが、あっ先程の入学式のご挨拶、流石お兄様素晴らしかったです!!」


お父様そっくりな銀髪で私と同じ藍色の瞳で、イケメンお兄様は私に優しく微笑んで、頭を撫でてくれる。


「お兄様と一年しか学園でご一緒出来ませんが、宜しくお願い致しますね」

「そうだね、何か困った事があれば私に言うんだよロゼ」

「はい!ではでは、お休みの日にお兄様の時間が空いていれば、またお勉強を教えて下さい」

「いいけど、ロゼは学園の勉強は全て王城で終わってるから、必要ないのでは?」

「ご迷惑ですか?」

お兄様にも婚約者がいらっしゃるので、妹に会うなら婚約者に会いたいのだろう。

少し、がっくりしてしまう私。

そう言えば、将来お姉様になるエヴァ様にも会ってない。

エヴァ様もお兄様同様優しくて、私とよくお茶会をしてくれた。


「シール兄様、では、たまにで良いのでお休みの日にエヴァ姉様も一緒にお茶会させて下さい」

お二人の邪魔はしませんよと、にっこり微笑んだ。


「ロゼ、変な気を使わない、私が遠慮したのは休みの日はアルベルト殿下とご一緒するのだろう?聞いているよ、ほぼずっと王城へ上がっていたと」

「でも、それは王妃教育の為ですわ」

お兄様はうーんと首を傾げて「確か王妃教育は週3日位だったと思ったが・・・」私には聞こえなかったけど何か呟いてらした。


そして、お兄様がにっこり微笑み私に言った。

「では、一度アルベルト殿下と四人でお茶会をしようか」

そんなことを話していたら時間が無くなってしまった。


「お兄様、申し訳ありません。これからアルベルト殿下のお茶会へ向かわなければなりません」

「そうだね、頑張っておいでロゼ、近いうちに私も殿下にご挨拶に行くと伝えてくれるかな」

「はい!」



 そうして一時の休憩を終え、アルベルト殿下のお茶会の会場へと向かった。


 *****


 お茶会は学園でも一番綺麗な庭園の東屋がある所だ。

 まあ、アルベルト殿下が学園内で一番地位が高いから当たり前だけど。


 それにしても本当に綺麗だ、王宮のいつもの東屋辺りも綺麗だけど、また違った感じだ。

 こちらは、大きな木が一本で後は花が植えられて見晴らしがいい。


 ほぉーと見ていると、声を掛けられた。

「ロゼ、本当に庭園が好きだな」

「アルベルト殿下、素敵な所ですね、見晴らしが良いのも気持ちが良いものですね」

「そうか、良かった、では、案内しよう」

 そう言って私に手を差し出すアルベルト殿下。

 その手に私の手を乗せてエスコートして頂き、席へと移動する間に、シールお兄様の事を話した。


 私の席は石畳にセットされたテーブルではなく、石畳から階段を数段登った所にある東屋の中だった。

 えっ?いいのかしら?ちょっと動揺しつつ表面上は優雅に座る。

「アルベルト殿下、わたしがこの様な上座で宜しいのですか?殿下の側近候補の方々の席では?」

 そう言った私に殿下は、少し呆れた表情をされて話された。

「ロゼは俺の婚約者だ、という事は皇太子妃だ、側近達にとっては俺と同等の存在の筈だ、丁度紹介もしようと思っていたからいいんだ」

 皇太子妃?!いや、まあ、今はそうだけど、いづれお役ご免になるんですよね?

 まだ、殿下のお眼鏡に叶う女性はいないから、確かに私が皇太子妃だけど。

 私が頭の中で?マークを一杯浮かべていると、ハインツ様がやって来られた。

 私は立ち上がって少し膝を折り挨拶をした。


「アルベルト殿下、お招き頂きありがとうございます」

「ハインツ、よく来てくれた、そっちに座ってくれ」

 ハインツ様が来られて、他の方々も順にやって来られた。

 五人が東屋の席に座られ、他の貴族は庭園の石畳の所にセットされたテーブルに座られた。


 招待した全員がいらっしゃったのを、侍従から聞いた殿下が、私をエスコートして東屋から出て、石畳にセットされたテーブルにいらっしゃる方々に向け話される。

 殿下と私の後ろには側近の方々が立たれていた。


「皆、来てくれてありがとう、学園では皆と同じ学生だ、皆と切磋琢磨して学園生活を良きものにしたいとおもっている、皆も既に知っているとおもうが、私の婚約者も同学年だ、ロゼアンヌ・クルーズベルト公爵令嬢だ宜しく頼む」

 なんと!?わざわざ紹介しなくてもいいではないですか?!っと私は心の中で、あわふたとおののいていた。

 しかし、王妃様教育で礼儀を叩き込まれた体は、ゆったりと優雅に挨拶をする。


「アルベルト殿下より、ご紹介頂きました、ロゼアンヌ・クルーズベルトと申します、皆様宜しくお願い致します」

「では、お茶会を楽しんでくれ」

 そして、殿下のエスコートで東屋に戻った私達。

 アルベルト殿下に言いたい事があるけれと、側近の方々が居るので今は黙って置くことにした。


 そして、改めて側近の方々を殿下に紹介された。

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