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アルベルト殿下の親友と筋肉痛と

勝手な妄想で、私がそうなんかな~って思って書いてます。

恥ずかしいので、あまり深く考えずにかる~く読んで頂ければと思いますm(_ _)m

 

 それから何日かたったある日、いつもの様にお昼寝場所へ向かう庭園の道のりで、一人の同じくらいの歳の男の子が、庭園の池を煤けた背中をさらして見ていた。

 あんまりのどんよりを背負った背に思わず声を掛けてしまう。

 貴族令嬢としてはアウトだけど、精神的に大人な私は見過ごせない、そしてまだ子供だから、セーフと自分を正当化した。


「大丈夫ですか?もし宜しければ私に話を聞かせて貰えませんか?誰かに話す事ですっきりするかも知れませんよ」


 その子は突然話し掛けた私にびっくりしたのだろう、体をビクリと震わせ振り返り言った。

「大丈夫です、ありがとう、自分の不甲斐なさに少し嫌になっただけですから」


 この子凄い十歳ぐらいで、“不甲斐ない”は普通出ないよっと思い、気になったので聞いてみる。


「どうして、貴方が不甲斐ないのですか?」

「僕は友人よりも賢くならなければならないのに、友人の方が賢く完璧で、これから僕がお支えしていく自信がないのですよ」

 ふふっと力なく笑う男の子。

 達観し過ぎじゃない?この子と思い、私はその子に問いかけた。


「そのご友人に、一つでも勝てることはないの?」

「チェスでは負けたことないですが、ゲームで勝てても何にもならないです」

 再度ふーっと疲れたサラリーマンの様な男の子に私はにんまり言ってあげる。

「それは凄いではないですか、チェスで負けないというのはなかなか出来ない事だと思いますよ、貴方はチェスの一手を指してから、相手の一手を何通りも読むのではなくて、そのご友人も貴方より賢いのかも知れませんが、先を読むことは苦手なのでしょう、先を読むことは中々出来る事ではないと思います、その貴方のお力を伸ばせば、ご友人を支える力になると思いますよ」


 私の言葉に目を見開いたその子は、たどたどしく話した。

「それが本当に力になるのですか?」

「だって考えてみてください、貴方が大人になって、もしもこの国の宰相様になったとしましょう、外交では近隣国の情勢を詠んで我が国に有利に進める為に、相手国の一手を数通り詠まないといけません、その相手の回答次第ですぐに対応出来る、凄くないですか?相手に隙を見せること無く対応出来れば、逆に相手国の隙を突けたりするのですよ」

 私の言うことにビックリ顔の男の子。


「僕にそんな事が出来るようになるでしょうか?」

「それは貴方の頑張り次第ではないでしょうか、その為に基礎勉強を頑張れば、応用力でその能力を伸びるのでないかと私は思いますが」

 私はにっこり微笑んだ所で、後ろから声を掛けられた。

「何している、ロゼ」

 その声に私は慌てて振り返り、一礼して挨拶する。


「アルベルト殿下、ごぎげんよう」

 声を掛けてきたのはアルベルト殿下だった。

 アルベルト殿下は私を見てから、私の後ろに居る人物を見た。

「ハインツ何してるんだ?帰ったのではないのか?」

「アルベルト殿下、彼をご存知なのですか?」

「ああ、一緒に勉強している友達だ、だが、何故二人でここにいる?」

 ちょっと不機嫌気味にアルベルト殿下が私をチラリと見た。

 私が何かいらん事を言ったか気にされているのですね、大丈夫、殿下の事は何も言ってませんよと思い話した。


「いつもの通りここを通りましたら、ハインツ様?がこの池の畔で何か悩んでらしたので、私がお声を掛けました」

 ああ成る程、彼はハインツ様と言うのか、で、アルベルト殿下が彼の友達で支えたいと思ってる相手なのだろうと思った。

 そして彼を見てみると、困ったようにアルベルト殿下を見て一礼して挨拶した。


「アルベルト殿下、彼女を知ってられるのですか?」

「なんだ互いに知らずに話していたのか?俺の婚約者のロゼアンヌだ、ロゼこいつは宰相ルーベンドの令息のハインツだ」

 あー成る程だから、あんなに悩んでいたのか、アルベルト殿下は良いご友人を持たれていますね。

 私はニコニコと微笑ましく二人を見て挨拶をした。

「名も名乗らず失礼しましたハインツ様、私はロゼアンヌ・クルーズベルトと申します」

「ハインツ・ルーベンドです、ロゼアンヌ嬢、ありがとうございます、貴方のお蔭て僕は頑張れそうです」

 そう言いながら一礼したハインツ様。


 するとアルベルト殿下が私の隣に立ち、ちょっと不機嫌にハインツ様に言い放った。

「ハインツまた明日も来るだろう、俺達はもう失礼するぞ、また明日な、行くぞロゼ」

 そう言って私に手を差し出した。

 出された手を取らない訳にもいかず、私はあらっ?と思いながら、表面上は当たり前の様にアルベルト殿下の手をとった。


 そして、ハインツ様に一礼して、アルベルト殿下に引かれ歩き出した。


「では、ごきげんようハインツ様」

「ごきげんよう、アルベルト殿下、ロゼアンヌ嬢」


  そしてハインツ様と別れアルベルト殿下にエスコートされて移動した。


 *****


 アルベルト殿下にエスコートされて、いつもの場所へ到着した私達。

ベンチに座り私はアルベルト殿下に話し掛けた。

「アル様、良いお友達を持たれてますね」

「ロゼはハインツの事をどう思う?」

「ハインツ様ですか、友達思いの良い方ですね」

「それだけか?」

「はい?」

 私の返事にアルベルト殿下が、少し表情を和らげて今日の事を互いに話す。


 あの私のお昼寝事件から、何故かアルベルト殿下はここに来るようになったのだ、私が少し昼寝をして起きる頃にやって来られて、ここで互いにその日の事を話するのだ。

 だけど今日は私がここまで来る途中でハインツ様に会ってしまい話をしていたので、私のお昼寝時間が無くなってしまった。

 そして今日はお昼寝なしでアルベルト殿下とお話する事にとなった。



 これまでの話でもアルベルト殿下はダンスや乗馬や音楽に楽器にお勉強をこなしてられる、私には大変だったとか愚痴を言ってたので、ハインツ様がアルベルト殿下が完璧で落ち込んでらしたのを思いだして、ふふと少し笑ってしまう。


 私が思い出し笑いをしたのを訝しげに見たアルベルト殿下は、ぶっきらぼうに言った。

「なんだ?ロゼ、急に笑うと気味悪いぞ」

「失礼しました、ハインツ様がアル様の事を完璧で、ご自分が不甲斐ないと仰ってましたよ」


「あいつそんな事を言ってたのか、俺もあいつには勝てない事があるのだかな」

「チェスですね」

「あいつそんな事まで」


 そしていつもの様にアルベルト殿下とお話をしてから、私はアルベルト殿下にエスコートされて馬車まで送ってもらい、家へと帰っていった。


 *****


 それからいつもの毎日が数日たったある日、いつもの様に王城へ行くと、今日から護身術を習うことになった私、この為に毎日ストレッチや歩くことを宿題にされていたのかと納得した。


 そして今日どのぐらいの体力があるか確認するらしい。


 一応言われた事はこなしてはいたけれど、私に護身術なんて出来るのかしらっと思う。


 元の私はどちらかと言えばインドア派だ。

 だけど宿題のメニューは難なくこなした。

 恐らくまだ体年齢は十歳だし、ロゼアンヌの運動能力が高いからだと思う。


 そして闘技場で先生に言われた通りに動いた。

 先生は満足げに頷いて「これなら訓練に入れます」とおっしゃった。


 その日からどこの熱血部活ですか?!という護身術の訓練が始まった。



 初日の訓練が終わり、私は王城でお湯を頂き汗を落としてから、いつもの場所へと痛む体をおして、いつもの様に優雅に姿勢よく頑張って歩いていった。


 到着した時は、そのベンチに崩れ落ちる様に寝転んだ。

 そして私はどっぷり寝てしまった。


 誰かにそっと頬を撫でられている感覚がしたと思ったらムニっと頬っぺたをつねられたので、思わずばちりと目を開け叫ぶ。


「いたい」と私は叫んだけど、頬っぺたはつねられたまま、目の前に誰かの足があり、すうーと見上げると見下す様にアルベルト殿下が私を見下ろしていた。


「アル様、ごきげんよう?」

 そう言いながら、頬っぺたをつねられたまま私は体を起こした。

「あの、アル様、お手を離して頂けませんでしょうか?これはレディに対してアル様といえど、どうかと思うのですが」

 アルベルト殿下は漸く私の頬っぺたから手を離してくれたが、はっと鼻で笑いながら言った。

「俺が来てからも、グースカ寝ているからだ」

「ええまあ、それは失礼致しました」

 だってしょうがないじゃない!

 体力何時もより使って疲れたんだもの!と思うけど、さすがにアルベルト殿下に言うのは憚られた。


「ああ、そうか今日から護身術の訓練が入ったのか」そう言いながらアルベルト殿下は私の隣に座った


 私は驚き、えっ?となる。

「あのアル様?」

 いつもは向かい側に座られるのに、隣に座られた事で私はどきりとする。

 私が呑気に寝ていた罰を与えられるのではないかと。

 少し寝たせいなのか、今私の足はプルプルして恐らく立てない。

 この状態では、殿下の意地悪を避けきれない。

 バレないようにしないとと思っていたら、殿下がニヤリと笑われた。

「ロゼ今、立てないだろう?」

 私はぎょっとして殿下を見る。

「どどうして判ったのですか・・・」

 思わず肯定の呟きを漏らしてしまった私。

 殿下は、意地悪な顔をして、私の太ももを服の上から突っついた。

「はぐっ」と呻く私に殿下はふうっとため息を吐いて話された。


「俺も、武術をならい始めた頃はなった、今はもうここまでの筋肉痛にはならないが、ロゼ俺が解してやろうか?」

「いえ、アル様にそんな事をさせられません、お構い無く、アル様も通られた道なのでしょう、私だってこれくらい耐えてみせますとも」


「ふふふ、だが今立てないだろう?それにそろそろ帰る時間ではないか?」

「そうですね、アル様申し訳ないのですが、馬車に侍従が居りますので呼んできて頂いても宜しいでしょうか」

「呼ぶ必要ない」

「えっ?!私にここで一晩過ごせと言われるのですか!?」

「ロゼ、お前は俺をなんだと思ってるんだ?まあいい」

 そう言われアルベルト殿下が、立ち上がり私の前に立たれて屈んだと思ったら、私の膝裏と背に手を回し持ち上げた。


 突然の事に私は呆気にとられ、今の状態を思うとかっと顔が熱くなる。

「手を俺の首に回せ、流石に少し不安定だ」

「いいえ、わ私が歩けばいいだけです。アル様、お 下ろして頂けますか」

 動揺してどもってしまう。

すでに庭園の道を歩いている。

「いや降ろすのも面倒だから運んでやる」

「アルベルト殿下!?いやでもほら色んな人に見られてしまいます!?」

 そうこうするうちに、向かいから誰か来る、顔を見られたく無い私は思わずぎゅっとアルベルト殿下に抱き付き、顔を殿下の胸に付けて目をぎゅっと瞑る。


 恥ずかしすぎる!!私は頭に血が登りぼーとしたままアルベルト殿下に馬車に乗せられ、ろくな挨拶も出来ないまま家に帰った。


 家に着いてもふらふらと覚束ない私は、家族に心配されるのでした。



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