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アルベルト殿下視点 入学前 前編

本編多くの皆様に読んで頂き嬉しかったです。

密かにランキングに入った時には、驚き過ぎてあわあわしておりました。

思いきって、アルベルト皇太子殿下視点でのお話を、なるべく本編とずれない様には頑張って書いてみました。

アルベルト殿下の言葉は悪いです。

合言葉はファンタジー&作者のご都合主義&作者の残念な脳ミソ妄想と言う事で、許して頂けますと有難いです。


 俺は、この国グレートナイン王国の王族で、皇太子のアルベルトだ、八歳の頃から将来の婚約者を誰にするかを決めるにあたり、お茶会を催し同じ歳頃の令嬢を招待して、十歳になったらその中から選ぶように父王から、言われていた。

 政略結婚ではなく、俺が気に入った女の子と一緒になるのが良いと父王は思ったのだろう、だが、俺はそのお茶会に辟易していた。


 *****


 初めてのお茶会の時、俺は同じ年頃の女の子に初めて会うので、緊張していた、そして王妃である母上には、女の子は弱いから優しくねっと言われていたので、言葉遣いや態度に注意しようと、まるで壊れ物を扱うようにと気合いを入れたのだが・・・。



 初めてのお茶会、大体十人位招待していて、父王夫妻と俺の挨拶が終わった後に、父王が「後は子供達で暫く遊んでなさい」と大人達が離れた場所に移動した瞬間、女の子達が一斉に俺に集ってきた。

 そして、口々に話し出した。

「アルベルト殿下!私はアンヌです!」

「アルベルト殿下!私はシャルロットです!」

「じゃ!私も・・・」

 そんな感じで一斉に名前を名乗り始めて、詰め寄って来た。

 まあ、それは良いとしよう、しかし、その後は俺にベタベタとふれ、上目使いで猫なで声で話しかけてきたのにはびっくりする。

 そのうち女の子同士の牽制、にらみ合い、俺の取り合い。

 それを見た俺が急激に醒めたのはわかってくれるだろう。


 そう、俺は八歳で肉食女の子に幻滅したのだ。

 その後のお茶会も同様だった。

 どうも俺の見た目が、良いみたいだ。

 髪はよくある金髪で、目は碧眼、顔のパーツの位置がバランス良く配置されているようだ。

 俺の性格と異なり見た目は、優しく見えるようだ。


 十歳までお茶会は続き、俺が誰も選ばない好きに決めてくれと父王に言った時に言われた。


「それなら仕方ないな、一人、病気でこれ迄のお茶会に参加してないご令嬢がいる。私の親友であり、腹心の臣下のご令嬢だ、聞くところによると、なかなか出来たご令嬢とのことだ、明日呼んであるそのご令嬢と婚約となる、いいな」


「そうですか?まあ俺にしたら女なんてどれも同じです、父上の政略的に都合がいいのであれば、誰でもいいですよ」

 俺の返事に父王は、ガックリ肩を落とされた。

「アルベルト、まだ十歳なのに、なんでそんな悟ったようになるんだ?」

「あのお茶会を見れば一目瞭然でしょう」

「そうか?」

「では、俺は失礼しますね」

「全く、もう少し子供ぽく、そして王子ぽくしないかね」

「一応、対外的には皇太子として対応してるからいいでしょう」

 そう言って俺はニヤリと父王に笑って、扉から出ていった。


 *****


 そう、お茶会に来てなかった令嬢がロゼアンヌだった。

 その時の俺は、どうせ今までの女と同じで、俺を見て、目の色を変えてベタベタと触り、あの気色の悪い声で話されるのだと思っていた。


 そして次の日、父王と一緒にクルーズベルト公爵とその令嬢に会った。

 その令嬢は、落ち着いていたが、何故か俺の婚約者になると言われた時、ぎょっとして目を見開き驚いていた。

 珍しい反応だが、どうせ大人が居なくなれば、こいつも今までの女と同じだと思っていた。

 父王に、王宮の庭園に案内するように言われて、仕方なくロゼアンヌに声をかけ移動した。


 普通の紳士なら、令嬢に手を差し出しエスコートするのだが、俺はしなかった。

 今までのお茶会は、皇太子として差し障り無く対応していたが、ロゼアンヌがこの婚約が嫌だと言っても王命の為、婚約破棄出来ない、ならわざわざ猫を被る必要も無いだろうと思っての対応だ。


 後ろでロゼアンヌが父王達に挨拶をして、俺の後ろを黙って付いてきた。


 庭園に着き、ロゼアンヌはどうせ俺に見とれているのだろうと思い振り返ると、ロゼアンヌは庭園を見て、嬉しそうにしていた。


 俺の方を見てないロゼアンヌに驚いた、だがこれも女の新たな攻撃だと思い、俺は騙されないぞと、一つ試しに俺から攻撃してみた。

「俺はお前を婚約者と認めないからな!」


 ふふん、さて怒るか泣くかどうするんだ?と思っていたら、ロゼアンヌが、どちらでもなく俺ににっこり微笑み言った。


「承知致しました、アルベルト殿下はご自分で婚約者を探されたいのですね、では、こう致しましょう、これからアルベルト殿下に好きな女性が出来ましたら、私に教えて下さい、すぐにでも私は婚約者の立場を辞退致します。

 ですが、アーサー王からのご指名の為、これから私は王妃教育が始まり、王城へと伺う事になるでしょう、そのためアルベルト殿下に会わなければならない事はご了承くださいね。」

 と綺麗に一礼をして、微笑んでいた。


 言われた事に俺はびっくりして、ポカンと呆気にとられた。

 多分だが、普通のご令嬢なら、こんな返答はしないだろう。

 それとも強かな女の攻撃か?と思い。


 再度ロゼアンヌを、じっくり観察するが、含みの無い微笑みだ。

 俺が何も言わない事に、不思議そうに俺を見て、問い掛けて来たロゼアンヌを再度試してみる。


「アルベルト殿下?」

「お前は・・・名は?」

 一度聞いたのに再度名乗らせるのは、プライドの高い令嬢は怒るか、それか強かな令嬢なら、ここぞとばかりに上目遣いで俺の腕など触れてきて、名乗るのではと思ったのだが、ロゼアンヌは違った。


 柔らかく微笑んで丁寧に名乗った。

「ロゼアンヌですわ、これから少しの間(・・・・)宜しくお願い致しますね、アルベルト殿下」

 しかも、先程の言葉は偽りでは無いことを念押ししてきた。


 面白いと俺は自然に笑っていた。

 そして思った、ロゼアンヌを知るのに付き合うのも一興だと、俺はロゼアンヌを、ご令嬢として初めてエスコートする事にした。


 そんな俺達を、まさかクルーズベルト公爵に見られていたとは思わなかったが。


 ロゼアンヌを迎えに来た時のクルーズベルト公爵の目が、物凄く怖かった。

 その後に、再度クルーズベルト公爵が来て、色々と話をした結果、色々約束させられた事だけ言っておこう。

 後に俺は、この約束をした俺のバカと嘆く事になる。


 それからロゼアンヌとの付き合いが始まったのだが、まず、ロゼアンヌは、本当に俺に興味が無い様だと痛感した。


 *****


 一ヶ月たち、週三日のロゼアンヌの王妃教育の日程を、全て把握してた俺は疑問に思った。

 ロゼアンヌは一日の王妃教育が終わり、最後に俺に挨拶をして退出するのだが、その挨拶に来る時間が遅いのだ。

 不信に思った俺は、早くに勉強を切り上げ、ロゼアンヌの王妃教育の授業を受けてる部屋へと向かい隠れた。


 ロゼアンヌが部屋から出て移動したので、隠れながら付いていく。

 すると案の定、俺の部屋に向かってなくて庭園に来ていた。


 俺は少しショックを受けた、まさか、ここで誰かと逢い引きか?とギリと歯を噛み締めてロゼアンヌの後を付けると、庭園の奥の判りにくい所にある東屋に、ロゼアンヌが入って行った。


 こんな場所があったのか、奥まって大きな木の下で庭園の散策路から判りにくい、そして俺は木の影に隠れ、誰が来るのか待つ事にした。

 隠れてロゼアンヌを見ると、手を上にあげ背伸びをしてパタンと横に倒れた。


 はっ?誰か来るのではないのか?俺は数十分待ったが誰も来そうに無いので、思いきってロゼアンヌの元へと行くことにした。


 そっと近づくと、ロゼアンヌがすやすや寝ている。

 しゃがんで寝顔を見ていると、瞼がピクピク動いた、もうそろそろ起きるのだろう、本気で寝てると思うと、思わず呆れた表情になる。


 目を覚ましたロゼアンヌが、驚いた様に俺を見る。

 なかなか面白い反応だ。

 俺は立ち上がり真相を聞くことにした。


「お前は何でこんな所で寝ている」

「いやあのえーと」

 ロゼアンヌが起き上がり、初めてしどろもどろになっている事に、俺は嫌な気分になる。

 やっぱり誰かと会って居たのかと、そう思った時、ロゼアンヌが言った。


「ここでお昼寝をさせて頂いて居りました」

 その呑気な言いように、俺はそうかと安心したが、だが俺に直ぐに会いに来ない事に悔しく思い、思わず言ってしまった。


「くっ、お前は勉強が終わったら、俺に会いにくるのではなかったのか!」

 ロゼアンヌは、少し首を傾げて俺に謝った。

 少しも俺の事を思って無いことに悔しく思っていると、ロゼアンヌが心配そうに嫌な事でもあったかと聞いてきた。


 お前だ!と思ったがそんな事言えないので、普通に無いと答えたら、今度はロゼアンヌの事を厭っているなら、もう会わないと言いそうだったので、慌てて違うと言葉を切った。


 そして、俺は思いきって聞いてみた。

 ロゼと呼んでいいかと、そして俺の事もアルと呼んでいいぞとちょっとひねくれて言ったが、ロゼアンヌは了承してくれた。


 俺は少し嬉しくなり、続けてロゼに聞いた。

 するとロゼは、いつも勉強が終わった後に、ここで休憩してから、俺に会いに来ていたようだ。

 それを言った後に、何故か慌てているのを見て笑ってしまう。


 ロゼはからかってますか?と聞いてきたが、違う。

 ロゼは素直で優しい、そして俺を見る目は澄んだ落ち着いた目だ。

 これ迄の令嬢と全く違う、いつもここに来ているなら俺がここに来よう、ここなら誰も居なくて俺も飾らなくていい、しかも、ロゼは俺の乱暴な話し方でも引かない、だが、今日はここまでだな、そろそろ帰るのだろうと、ロゼに手を差し出し、エスコートすると、不思議そうな表情をした。

 そして嫌なら無理に送らなくてもいいと言った。

 そんな事を言うロゼにがっくりしたが、そんな事はおくびにも見せず「散歩のついでだ」と言った。


 ロゼは、将来婚約を辞退する気なのだろう、だが、そんな事はさせない、絶対に逃がさない、ロゼには俺の事を好きになって貰おう。

 そして、その為に翌月からの王妃教育は、普通なら週三を平日は毎日のスケジュールに俺の権限で変更した。


 そう俺はこの時にはすでに、ロゼの事が好きになっていたのだ。


 ****


 それからは庭園の東屋へ行き、ロゼが眼を覚ます頃を見計らって椅子に座る。

 大概が俺が終わって来る頃には、ロゼは眼を覚ます。


 ある日何時もより少し早くに終わった俺は庭園に向かった、すると池の畔でロゼの前に男が居た、そして何か話していた。


 それを見て思わず不機嫌になり、そのままイラついた口調でロゼに声を掛ける。

 しかしロゼはいつもの通りに俺に挨拶をする。

 そして、俺はロゼを見てから奥の人物を見た。


 幼なじみのハインツだった。

 俺はまさかと勘繰りハインツに声を掛けた。

「ハインツ何してるんだ?帰ったのではないのか?」

「アルベルト殿下、彼をご存知なのですか?」

「ああ、一緒に勉強している友達だ、だが、何故二人でここにいる?」

 相手の名前も知らないとわかるロゼの言葉に、少しざわついた心が落ち着いた。

 ロゼから説明されて安心するが、ハインツが困った表情をしている、恐らくハインツは俺が猫を被って無い事に大丈夫か?と思っているのだろう、それか無いとは思うが、一応釘を刺しておこうと、俺はロゼを婚約者だと紹介する。

 そして少し話して、その場からロゼを連れて離れた。


 ロゼはハインツの事どう思っているのだろう?

 いつもの東屋に着いた俺達、俺はロゼに思いきって聞いてみた。

 ロゼはハインツの事は、なんとも思ってないようだった。

 俺はほっとした。

 その日はハインツの思ってる事を聞いたりして、ロゼと話した。


 *****


 今日からロゼの護身術の授業が始まったようだ。

 俺が護身術を習い始めた頃を思い出す、最初の頃は慣れなくて、体中が痛かった。

 そんな事を思いながら、東屋へと行くと、ロゼがぐったりと寝ていた。

 疲れたのだろう、普通の令嬢はここまでみっちりやらないからな、柔らかそうなほっぺたを撫でてみる。

 すると俺の頭に何か当たった。

 チラリと後ろを振り返り地面を見ると、小さな矢の矢尻の所に丸い木の玉が付いた矢が落ちていた。


 この程度でも、警告対象になるのか!

 そうこれがクルーズベルト公爵との約束の一つだ、ロゼが俺を好きだと言わない限り、手を出してはならないと、その為ロゼに護衛に付け、警告攻撃は護衛の判断となることを、それが嫌ならすぐに婚約解消してくれと言われた、俺はその時そこまでロゼに触れたいとかなかったから、それぐらいならいいかと了承したのだが・・・俺がバカだった。

 だが、俺はこれくらいの攻撃ならいいかと思った。


 その矢をベンチの下に足で蹴り込んで、再度ロゼを見て、そろそろ話もしたいと思い、撫でていた手でほっぺたをつねってやる。


「いたい」と声をあげロゼが起きた。


 びっくり顔のロゼがかわいい、さあ、どうくるのか。

 俺に頬っぺたをつねられたまま、ロゼがレディに対してどうかと思うと言った。

 やっぱりロゼの反応は面白い、ロゼとのやり取りは本当に楽しい。

 話をするのに今日は隣に座ると、ロゼがあきらかに動揺した。

 そして、おそらく筋肉痛で痛いだろう太腿辺りを突っつくと、案の定うめき声を上げた、そして、俺が解してやろうかと言ったら、普通の令嬢なら顔を赤くして恥じらうのだろうが、ロゼはやはり違った。

 これくらいでは、俺を全く意識しないか、暫く話してロゼが帰る時間になり、動けないであろうロゼを俺が抱き上げて運ぶ事にした。


 さすがのロゼもこれには驚き、顔を真っ赤にして慌てていた。

 そして、人とすれ違う時には恥ずかしいからか、俺の胸にしがみつく様に顔を埋めた。

 ロゼと一緒に居ると俺は楽しくてしょうがなかった。


 その時のロゼは凄く可愛かった。


 まあ当然、庭園の散策路に出るまで、矢でポコポコ何発か警告される事になったが。


 *****


 ある日の事、俺が二階の廊下を歩いていたら、渡り廊下にロゼが歩いてるのを見つけた。

 そこは闘技場から、ロゼの使う控え室へ向かう道の途中なのだろう、その渡り廊下の柱に持たれる様に立っている騎士の足だけが見えていた。


 その騎士の前でロゼが立ち止まっている。

 なっ!?と驚き俺はショックを受けた。

 誰だ、あれは、まさかロゼの思い人なのか!?

 呆然として、再度二人を見るとロゼは渡り廊下を進んで行き、その騎士の足がロゼを追うように動いたが、数歩歩いて止まった。


 俺は落ち着く様に一息深呼吸して移動した。


 *****


 そしてそのまま俺はいつもの庭園の東屋へ行き、ベンチに座ってロゼを待っていた。

 何もせずに座っていると、あの光景が浮かんでしまい、イライラしてしまう。


 ちょうど俺のイライラが絶頂の時に、ロゼがやって来た。

 そしていつもの様に俺に挨拶をして、最初に俺に“どうかされましたか?”と聞いてきた事に、少しイライラが収まり、あの事を聞こうと、ロゼに座るように言った。


 そしてロゼに問うと、初めて見るロゼの怒った表情に驚いた。

 おもわず宥める様に名前を呼ぶと、ロゼが理由を話した。


 その理由を聞いた俺はほっとして、しかし、ロゼは俺が増やしてしまった王妃教育の為、しなくてもいい護身術を文句も言わずに頑張ってる。


 俺のせいだなと思い、ロゼの頭を撫でて、ロゼが頑張ってる事を俺は知っていると言って、守れなかった事を謝ったが、ロゼは慌てたように言った。

「いえ?!大丈夫ですよ!腹が立っただけですから!だから、無視して直ぐに立ち去りました」

 俺に気にしなくていいように言ったロゼの言葉に、ロゼはやっぱりロゼだと、微笑ましくロゼを見たら、何故かロゼがピクリと驚いていた。


 気になり聞いてみたが、なんでもないと言われ、これ以上は聞かずに、そう言えばとロゼの誕生日だなっと思い話を変えた。


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