最終話 殿下と私
最終話です。
残念な妄想が漏れでたまま書き綴ってきたので、おかしな所が多々あったとおもいますが、それでも最後までここまで、読んで頂き有り難く思います。
それからの学園生活は、割りと平穏に進んでいると思う。
私に関しては、私がリリアンヌ嬢に何か言ったとか、嫌がらせをしたとかの噂も無いのだけど・・・。
アルベルト殿下にまとわり付くリリアンヌ嬢に、クラスの皆は困った様な、嫌な表情をしている。
しかもリリアンヌ嬢は、アルベルト殿下だけかと思ったらハインツ様にも、同じような事をしているのだ。
それを見て私は、六月のある日の放課後ユリティーナに相談した。
「ユーナ、リリアンヌ様のあの行動は、私が注意しないといけないかしら?このクラスで、私が一番の身分的に上だから」
「駄目よ、本当ならあの子の周りに居た子達が教えるべきよ、あなたから声を掛けることなんてないわ」
「私が言えば高圧的に見られるかもしれないものね、ならこっそり一度、リリアンヌ様のお友達に話を聞いた方が良いのかしら?」
「駄目よ、ロゼが気になるなら、私がを話を聞いてくるから、ロゼはあの子関係には絶対近付かない方がいいわ、ろくな事にならない予感がするのよ」
ユリティーナの言葉に私は、はっとした。
なんでリリアンヌ嬢に自分から関わろうとしたのか、ここで私が注意をしたら、まさしく悪役令嬢まっしぐら、いくらリリアンヌ嬢の行いが酷いからと、最低限のマナーを助言しようと、自分からその道に進もうとした自分が怖くなった。
ユリティーナのお蔭で、再度自分のやるべき事を思い出して、ユリティーナにありがとうの意を込め微笑んで言った。
「ユーナがそう言うなら、私は何もしない、でもユーナ、無理しないでね」
「大丈夫よ、任せなさい、ロゼ用事あるんでしょ、ほら行った行った」
「う、うん、ありがとう、また夕食の時に会いましょう」
そして、私は学園のいつもの場所へと向かったのでした。
それからユリティーナの話によると、リリアンヌ嬢の回りに居るお友達は一応それとなく、学園でも貴族の最低限のマナーがあることを言っているらしいのだが、話が通じているのかいないのか、リリアンヌ嬢は“わかったわ”と言うのだが、現在も状況が変わらないとの事だった。
なので、ユリティーナが先生にそれとなくお伝えして、見守る事にしたから、私には彼女に絶対に関わらないでと、お願いされたので、私はユリティーナに「ありがとう」とお礼を言って、ユリティーナの言うとおりにする事にしたのでした。
*****
一期の試験の三日前、学園のいつもの湖の東屋に来ている私は、最近ずっと同じ事を思い悩んでいた。
リリアンヌ嬢が現れて、アルベルト殿下はいつ此所に来なくなるだろうと、最近の私はそんな事を思い、ベンチに座って湖をぼんやり眺める。
今の所、アルベルト殿下が来られない日はない。
でも、よくリリアンヌ嬢とアルベルト殿下お二人で居るのを見てる気がする。
もうすぐ夏休暇が始まる。
今回の夏休暇は一味違う、休暇のうち一週間、魔物の居る森で野営をして泊まり込みで、実戦訓練をするのだ。
といっても、森の浅い場所なので、強い魔物はでないので全く危険はない。
グループは、男女各二人で一つのグループなるのだけど、ユリティーナと相談しなくちゃね、来週中にはグループを提出と言われてた。
アルベルト殿下に一緒のグループをお願いしていいのか、わからず、グタグタ考えていると、眠気がやってくる、何も考えたくないと、横になり目を瞑る。
*****
微睡んいる私の頰を優しく撫でられる感じがして、ぼんやりと眼を開けると、アルベルト殿下が私の頬を撫でているのを見て、これは夢かぁと私は思い、眠気眼でぼんやりと殿下を見て微笑んで、暖かい殿下の手に自分の手を重ねて、宝物のように両手で抱き締めた。
そして優しく私に微笑むアルベルト殿下。
私も眠気眼で、アルベルト殿下を見て微笑んだ。
そしてアルベルト殿下が優しく私に言われた。
「まだ、眠ってていいぞロゼ、疲れているのだろう」
「はい、何故かとても疲れて・・・」
そして私は眠りに落ちた。
*****
暫くたった頃だろう、徐々に意識が浮上する。
目をゆっくり開けたら、アルベルト殿下が椅子に座って居るのを見たら、恥ずかしくなった。
朧気に見た夢を覚えていたから。
そしてそっと再度アルベルト殿下を見ると、椅子に座られて本を読まれていた。
私は動揺を押さえて起き上がり、アルベルト殿下に声を掛けた。
「アル様、いらしてたのですね、起こして下されば良かったのに」
「うん、いや、疲れてるようだからな」
そして、アルベルト殿下が何故か顔を赤くされる。
「アル様、熱でもあるのですか?」
「いや、少し走ったからだな」
「そうなのですか?汗かかれたのでしたら、拭かないと風邪ひかれますよ」
「大丈夫だ、汗まではかいてない」
「そうですか」
「そうだ、ロゼ、夏休暇の実戦訓練のグループは、俺とハインツ、ロゼとユリティーナ嬢で出したからな」
「えっ?」
「なんだ?まさか他で組んだとか言わないよな」
「いえ、あの、私で宜しかったのですか?」
「ロゼ以外誰と組むんだ?」
ちょっと怒ったように立ち上がられるアルベルト殿下。
私の方にやって来て、ドンとベンチの背もたれに両手を置かれ私を囲ってしまわれました。
そしてぐいっと怖い表情をされて、顔を近付けられて言われます。
「俺では不満なのか?誰か他に気になる奴でもいるのか?」
低い声で言われて、私は慌てて横に首を振り否定した。
「いいえ、そんな、誰もいません!」
「本当に?」
「い いません!!」
殿下がさらに近寄ってきます。
それに耐えられなくて、顔を背けてうつむき目を閉じてしまいます。
「それならいいが、ロゼ最近教室で、俺を避けてないか?」
その言葉に私は伺う様に顔を上げ殿下を見ると、殿下が少し悲しげな表情をされています。
何故そんな表情をされるのだろうと、私は無意識にアルベルト殿下の頰に手でふれる。
「アル様、何故そのように悲しそうな顔をなさるのですか?」
「わからないのか?」
そうアルベルト殿下が言いながら、私の手に殿下の手が乗せられて、私は自分が何をしてるのかを気が付き、落ち着き無く視線をさ迷わしてしまう。
「いえ、でも、そんな事はないのでしょうアル様?アル様はだってリ リ」
言いたくない、でも、ここで聞ければ私の心も、進むべき道も、決めれると決心して言った。
「アル様はリリアンヌ様を好いておられるのでしょう!」
言った!でも、怖い、ぎゅっと眼を閉じて俯く、アルベルト殿下の言葉を待つ。
一向に何も言わないアルベルト殿下に、私はそろそろと眼を開けてアルベルト殿下を見ると。
はっ?っという表情のアルベルト殿下の顔。
私は首を傾げて声を掛けた。
「アル様?」
私の声掛けに、大きく息を吐き出した殿下。
そして、私の手に置かれた殿下の手が離れます。
私も殿下の頬から手を離しました。
やはりそうなのですねと私はうつむき思った所で、ぐいっと私の顔が強制的に上げられました。
アルベルト殿下が私の顔を両手で挟んで上げられたのです。
そして私に言い聞かせるように話されました。
「いいか、ビッチモルド嬢の事は何とも思ってない、ていうか、そんな風に見えてたのか!?俺は大体ロゼ以外の女は眼中に無い!」
「え?」
なんか凄いこと言われた気がするのだけど。
「いや、判っていた、ロゼが俺の事を、そんな風に見ない様にしていた事は、元はと言えば俺が悪いのだが・・・」
そこで、ヒュっと何が飛んで来る音がしたと思ったら、アルベルト殿下が、片手で何か掴んで投げる仕草をして、再度何事も無かったかの様に、私の顔を固定する。
今の何?刺客?さぁと血の気が引き私は、アルベルト殿下に言った。
「アル様!今のは刺客ですか?なら早く建物へ避難しないと!いえ、そこの壁際で伏せて下さい!」
「いや、今のは大丈夫だロゼ、刺客じゃない、警告だ」
「警告?!なら、早く先生に言わないと!」
「いや、俺がロゼから手を離せば、もう飛んで来ない」
言われた事の意味がわかりません。
そして、アルベルト殿下は私から手を離されてから、私の隣に座られた。
私は意味がわからなくて思いっきり首を傾げて、ポカンとした顔になってると思う。
だっておかしいもの、殿下を守る護衛の人が、私達に判らないように隠れて居るのはおかしくない。
むしろ納得するけど、さらにおかしいのは、私に殿下が触ったら攻撃する意味がわからない。
まるで主従逆転してるようだ。
いやいや殿下はこの国の次期王になる皇太子で間違いないし。
それに、この国の皇太子に向かって攻撃するなんて、そんなことを誰が指示出来るの?
でもアルベルト殿下は怒ってないし、益々わからない。
なら私がこの国を救う為の人材?まさかと思いつつアルベルト殿下に聞くことにした。
「アル様、私に何か儀式の生け贄要員とか、そんな何か重要な役割があるのでしょうか?」
「いや、そんな事ではないな、取り敢えずロゼには護衛が付いてるって・・・言ってよかったのか?」
私に護衛?
「でも、私はアル様より重要ではありませんよ」
「俺には、ロゼは俺よりも重要で大切だ」
アルベルト殿下の言葉にポカンとしてしまう、そして言われた事を思い返して、ぼっと顔が熱くなった。
確認するように私は呟いた。
「それは、家族としてですか?」
「違う、ロゼは俺の事をどう思ってる?」
「えっ?!いえ、あの」
「言ってくれ、でないと俺からは言えない」
真剣な眼差しで私を見る殿下に、私は意を決して本心を言う。
「す す 好きですよ、婚約辞退の日が来なければいいと思うほどに」
言った、言ってしまった。
「そうか、良かった、俺は最初からロゼが好きだった」
「え?でも、最初婚約者とは認めないと」
「ああ、あれこそ俺の人生最大の失態だった。その後庭園をエスコートしただろ、その時にはもうきっとロゼの事が好きだったんだ」
ええ?!全然知らなかったし、判らなかった。
「そうだったのですか」
いまいち実感がわかないが、リリアンヌ嬢が現れても、アルベルト殿下が私の事を思ってくれているなら、この世界は、ゲームとか小説の世界で無かったと安心していいのね。
「私はアル様の事を、好きでいて良いのですね」
そう言ってアルベルト殿下を見上げた。
するとアルベルト殿下が、がばりと私を抱き締めた。
「ロゼ、そんな可愛い顔をされると、困るけど嬉しい」
え?私どんな表情してたの?と呆然とアルベルト殿下にされるままになっているが、四方八方から小刀が飛んで来ます!?
それをアルベルト殿下は魔法を使ったのでしょうか?全て反射されて返してます!?
そして何事も無かった様に、私に蕩ける様に微笑まれます。
殿下、俺様から超絶デレに変わってませんか?
「あー漸く、ロゼの事を好きだと言える」
そして私に頬擦りするアルベルト殿下。
私は、殿下の変わり様に驚きながらも、問い掛けた。
「あの、アル様は誰かに制約をされていたのですか?」
「そうだな、だが、それは俺がバカだったから、仕方ない、これである程度は、邪魔が入らない、ちょっと前にも邪魔が入って仕方なく、手を離したんだが」
そう言いながら、アルベルト殿下が私の手を取り持ち上げます。
「えっ?先程のでは無くてですか?いつ?」
「ロゼ、寝惚けてたもんな、とても可愛いかった、俺の手を大事そうに抱き締めてくれた時には、嬉しかったな、だから思いきって、俺をどう思っているかを聞くことが出来た」
そう言って私の手を、殿下の頰にあててすりすりしてます!?
そして言われた事を、思い出すと叫んでしまいました。
「い いっやー?!あ あれ夢では、なかったのですか?!」
今の状態も恥ずかしすぎるが、あの夢だと思ってた事を思い出すと、頭に血が昇ってクラクラします。
これ迄の事を嬉々として話す殿下に、私は恥ずかし過ぎて目が回りそうです。
取り敢えず前世の記憶があったせいで、私は変に疑り深くなってしまってたようです。
アルベルト殿下見てみると、少し体を離されて両手で私の顔を優しく包んで、間近に見つめられます。
恥ずかしくてそっと目を瞑ると、優しい口づけが降って来ました。
これからは前世の記憶に振り回されないように、自分の気持ちを大事に素直に生きていこうと思います。
最後まで稚拙な物語を、読んで頂きありがとうございます。
割と急な最後感とちょこっとコメディ感を急に出した感じでありますが、なにぶん文才が無いもので恥ずかしい限りですが、妄想が赴くまま垂れ流してしまいした。
題名とか設定するのが、難しくて残念な頭で一生懸命考えた結果この様になりました。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。