前世の記憶が蘇りましたが、この世界で馴染めるのでしょうか?
ベタなお話かもしれません。
残念な脳ミソから、漏れでた妄想です。
軽く楽しんで読んで頂けたら幸いです。
2017,11,1公爵に訂正
とある国の公爵邸は、バタバタと落ち着き無く右往左往していた。
その理由は、この家のご令嬢が高い熱を出し苦しそうにうなされているが、意識の無い状態だからだ。
ベッドに寝ている齡五歳のその女の子の周りには、両親と数人のメイド、執事と医師が悲しそうな表情で見守っていた。
銀髪の若い青年が医師に詰めより、医師の肩を掴み叫ぶように話す。
「頼む!ロゼアンヌはまだ五歳なんだ!助けてやってくれ、私は何でもする!だから!」
医師に掴み寄ったのは、公爵家当主であり、熱にうなされているロゼアンヌの父、シモン・クルーズベルトだ。
シモンに掴まれた医師も苦悶の表情でされるがままになっている。
シモンの後ろから抱きつく様に、ストレートの漆黒の髪の女性が涙声で言った。
「シモン、先生はロゼの為に不眠不休で可能な限り手を尽くしてくれたわ、だからシモン・・・」
女性はもう話すことが出来ない、口を開けば嗚咽が漏れそうになり口を嗣ぐんでしまった。
シモンの手が医師からだらりと離れた。
医師は二人に頭を下げた。
「クルーズベルト公爵、私が不甲斐ない為にお嬢様をお助け出来ず、・・・申し訳ありません」
医師は苦悶に顔を歪める。
「先生、申し訳ない、ロゼの事、精一杯見ていただきありがとうございます」
医師を労い、シモンは自分の背中に抱きつく妻マリーローズを悲しそうに見つめ、その肩を抱き声を掛ける。
「マリー、すまない、私は大丈夫だ、さあ、ロゼの側に行こう、そして私達は最後までロぜを見守ろう」
そう言ってシモンはマリーローズの肩を抱いて、ロゼアンヌの側へと向かった。
その他の者達は、そっとその部屋から出ていった。
その日の夜、クルーズベルト夫妻は愛しい娘の側で、涙を流す夜を送った。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
誰か私を呼ぶ声がすると思い、重たい瞼を開けるとそこは白い何もない空間、そこにボンヤリとした何か人の形らしい何かが居た。
「こんにちはロゼアンヌでいいのかしらね」
「えーと、私は」
頭がボンヤリしてぼーとする。
私は誰だっけ?四十五歳主婦パート?転生小説好きで、徐々に思いだし、あれ?でも貴族?五歳?
私が頭に手を置いて首を傾げながらかんがえていると、目の前のボンヤリが、私に話掛けてきた。
「大分、分かってきた?貴方は一度死んで、違う世界に生まれ変わったの、でもこの世界でも貴方は死ぬ運命だったのだけど、何故か半分の魂が天に帰ってしまったわ、だからなのか前の記憶が呼び起こされてしまったの、これから貴方はこの世界にその記憶を持ったまま生きて行くことになるわ、もう半分の自分の分も頑張って生きてね、ほら、貴方を待ってる人がいるわ、行きなさい」
そう言われると、体が後ろに引っ張られる。
そして、今まで体の重さは感じなかったのに、ずしっと重い感覚、辛うじて指先が少し動いた。
瞼を開けようとするが、なかなか開かない。
喉もカラカラで声を出せない、そうやってもぞもぞしていると、顔に影が落ちるのを感じると同時に頬を触られているのがわかる。
そして漸く目を開けることが出来きたら、目の前に超絶銀髪イケメン、黒髪爆乳美女が私を覗き込んでいた!
おお!!中世ヨーロッパの王子様とお姫様みたい!!
そして一瞬誰?と思ったけどすぐに、今のお父様とお母様だと思った。
ああそうだ、私をこの世界に生んでくれた両親だと納得した。
二人とも涙で顔がぐちゃぐちゃだが、泣きながらきごちなく笑ってる。
「マリー!ロゼが目を覚ました!」
「ロゼ、気分はどうなの?苦しい?大丈夫?」
恐らく死の間際の目覚めだと思っている両親に、大丈夫だと言いたいのだけど、喉が渇いていて喋れないので、重たい腕を辛うじて動かし、ベッド脇にある水差しに手を伸ばす。
それに気が付いたお母様が、慌てて水差しを取り私に水を飲ませてくれた。
喉が潤いやっと話せる状態になり。
頑張って微笑み両親に話す。
「お母様、お父様・・・・・・・ロゼ・・は・・だい・・じょう・・ぶ・です、からだ・・おもい・・ですが・・くるしく・・はない・・です」
辛うじて、現状大丈夫と伝えた。
二人は驚きに目を見開き、お母様は私を優しく抱きしめ、お父様は私の部屋を慌てて出ていった。
お母様は私を抱きしめたまま嗚咽する。
「ロゼ、本当に?苦しくないの?」
私は凄く申し訳なく思いお母様に言った。
「しん・・ぱい・・かけて・・ごめん・・なさい」
「いいのよ、ロゼ貴方がこうして生きていてくれただけで、私は嬉しいわ」
しばらくされるがままになっていると、バタバタと数人の足音がして扉が開かれた。
お父様が二つ年上のお兄様の手を引いてやって来た。
その後ろからロマンスグレーの、片眼がねの白衣を着た男性は私に近より手の脈や心音、熱を計り、呆然と言った。
「奇跡ですよ。熱も脈も正常です、お嬢様は回復してます。これからは、胃に優しい物から食事をしていって、少しずつ体を動かして下さい、私は帰ってお嬢様の薬を調合してきますので、何かありましたら、すぐにお呼び下さい、それでは私は失礼致しますので、ご家族でごゆっくりとお過ごし下さい」
そう言ってお辞儀をして、退出していった。
お父様に連れられたお兄様は、ぱっとお父様の手を離し私の方へと走ってきて、心配そうに私を覗き見る可愛らしいお兄様に、思わずにこりと笑いかけると、お兄様が安心した表情をした。
「ロゼ、もう大丈夫なんだね、良かった」
それからの私は皆に至れり尽くせり世話をされ数日を過ごすことになった。
*****
それからの私は皆のお蔭で元気になり、スクスク育っていった。
だけど元気になったら、貴族の礼儀作法や勉学教育が始まった。
優しいシールお兄様は、ご自分の勉強の空き時間であれば、私の勉強を一緒に受けて一緒に居てくれる。
そして先生がいらっしゃらない時には、私に教えてくれるのだ。
勉強、貴族の礼儀作法は私に出来るのかと不安だったのだけど、だって前は一般庶民だったし!乙女ゲーム転生小説好きだったから、中世ヨーロッパの世界感は知ってるけど、さすがに貴族の礼儀は知らない。
だけど、一応精神年齢は若干大人より、きっとやれば出来るわ!っと思ってたけど・・・。
貴族令嬢は優雅に姿勢正しくとは、元庶民にはかくも難しいがと思っていたけど、すんなりマスターする事が出来た。
勉強はお兄様のお陰もあり、わりとすんなり頭に入り、礼儀作法もそつなくこなした。
これってロゼアンヌの頭が物凄く良いから?私は他人事のように凄いと思った。
そして、私の記憶は、これ迄のロゼアンヌの記憶は全部ある、そして、所謂前世の記憶は、年齢と趣味の事、そして少し精神年齢が大人な位だろうか。
だから、そんなに違和感はないと思う。
そんな生活が続いて、私は十歳になった。
ある日お父様から、明日王城へ行くから用意しなさいと言われた。
私は頭の中に?マークを浮かべながらも、綺麗なお辞儀をして了承した。
*****
翌朝、朝からメイド達に私は綺麗にヘアメイクをしてもらい、服も着付けて貰った。
そして鏡の前に立った私は首を傾げる。
あれ?私はこんなに美人さんでした?
よくよく見ると、なんかちょっときつめの顔。
お母様の黒髪を引き継ぎ、瞳は二人の色を混ぜたような藍色の綺麗な色、頭も良い、この雰囲気と感じ、なんか悪役令嬢ぽくない?
身分も公爵だし、いやでも私は傲慢我が儘お嬢様じゃないはず。
大丈夫!乙ゲー転生小説の読みすぎて気にしすぎだ私!っと思いお父様と共に王城へと向かった。
*****
結果、もしかしなくても悪役令嬢なのでは?っと疑いを持ってしまう、そう私が思ってしまう原因は今目の前にいる。
お父様が王様の前で片膝をつき挨拶をする。
「シモン・クルーズベルト、アーサー王の御呼びにより参上致しました」
私も膝を折り、ドレスを摘まんで挨拶をした。
「よく来てくれたクルーズベルト公爵、そちらのご令嬢が貴殿の娘か、成る程まだ幼いのに利発そうだ、私の隣に居るのが息子のアルベルトだ、宜しく頼む」
面白くなさそうに、アーサー王の隣に居る金髪で可愛らしい顔をしたザ・王子様と見るからにわかる男の子。
これはまさかの私が婚約者候補なのだろうか?
いやいや、偶々この場に居たのだろうと思っていたら、アーサー王が言った。
「アルベルトこちらの令嬢が、お前の婚約者となるロゼアンヌ嬢だ、挨拶しなさい」
私に爆弾発言が投下された!驚きに被爆した私。
なっ!?本当に?!まさかこの世界、乙女ゲームや小説の世界じゃないよね?
あまりにもパターンすぎて私は疑ってしまう。
そんな事を考え内心動揺しながも、可能な限りアルベルト殿下に私は丁寧に挨拶した。
「宜しくお願い致します、アルベルト殿下、ロゼアンヌ・クルーズベルトと申します」
「アルベルト・ナインスバルグだ」
ぶっきらぼうに話されるアルベルト殿下。
アーサー王は苦笑しながらアルベルト殿下に話された。
「アルベルト、ロゼアンヌ嬢に庭園を案内してあげなさい」
アーサー王に言われてアルベルト殿下は、渋々と言った感じて、私の目の前まで来て言った。
「行くぞ、付いて来い」とスタスタと歩いていった。
私は慌ててアーサー王とお父様にお辞儀をして、
「失礼致します」と挨拶をして、アルベルト殿下に付いて行った。
*****
私を気にする事なくスタスタ行くアルベルト殿下。
私ははぐれないように早足で追いかける。
すると、綺麗な庭園に着いた。
凄い、乙女ゲームに出できそうなスチル、私は庭園に見入っているとアルベルト殿下から、声をかけられた。
「俺はお前を婚約者とは認めないからな!」
成る程、アーサー王に勝手に決められて怒ってるだなぁと思った私は、にっこりと微笑み一礼して、アルベルト殿下に言った。
「承知致しました、アルベルト殿下はご自分で婚約者を探されたいのですね、では、こう致しましょう、これからアルベルト殿下に好きな女性が出来ましたら、私に教えて下さい、すぐにでも私は婚約者の立場を辞退致します。
ですが、アーサー王からのご指名の為、これから私は王妃教育が始まり、王城へと伺う事になるでしょう、そのためアルベルト殿下に会わなければならない事はご了承くださいね。」
そして綺麗に再度一礼した。
うん、完璧だわ、これならもし私が悪役令嬢で、あるあるの婚約破棄をされる前に辞退するし、アルベルト殿下にも、この婚約に私がしがみついて無い事もわかってくれるだろう、だから国外追放やお家取り潰しにはならないだろう。
顔を上げアルベルト殿下を見ると、ポカンとした表情をしていた。
「アルベルト殿下?」
「お前は・・・名は?」
聞いて無かったのかこのやろっと思いながら、私は保母さんのように微笑ましくアルベルト殿下を見て、にっこり言った。
「ロゼアンヌですわ、これから少しの間宜しくお願い致しますね、アルベルト殿下」
不可思議な表情をしたアルベルト殿下は、その後何故か不機嫌だった表情を柔らげ、子供らしく微笑んだかと思うと、大人の紳士の様に、私をエスコートして庭園を案内してくれた。
そしてお父様が庭園まで私を迎えに来てくれたので、お父様と私は王城を後にした。
*****
それから私の予想通り、翌日から週三で王城へ王妃教育の為に行くことになった。
王妃教育は大変だったけど、やはりロゼアンヌの頭は良い様で教えられた事はすんなり覚えていき、なんと一ヵ月で一カ国語を覚えた、凄い凄すぎるぞ私!っと思っていたら、先生がにっこり無言で微笑み、語学の本を六冊扇状に開いた。
そうですか、まだまだ序章だったのですね。
少し遠い眼をしてしまいます。
これは結構な心理的ダメージです、こんな時は勉強が終わった後にあの場所に行って心を癒すのです。
あの場所とは、私が登城する様になり日課が出来た、勉強が終わった後に、王城の庭園の休憩所へ行く、ここは少し奥まっていて、大きな木の下にある東屋で周りから判りずらいのだ、でも、そこのベンチにはいつもふかふかのクッションが置かれており居心地がいい、ローテーブルを挟んで向かいには一人掛けの椅子がある。
そして今日もやってきた私はベンチに座り、周りに人が居ないのを確認して、精一杯背伸びをして、ぼーっと庭園を見ていると、心が安らぎうとうとと眠気が来たのでパタリと横になった。
気持ちよく数十分寝た頃、意識が徐々に覚醒する。
まだこの微睡みに居たいと思うけど、そろそろアルベルト殿下に、ご挨拶に行かないとと思い、目をゆっくりと開けると、目の前にドアップのアルベルト殿下が、呆れた表情で私を見ていた。
ぎょっとした私は慌てて体を起こした。
アルベルト殿下も立ち上がり、椅子に座ったままの私を見下ろして、くっと何故か悔しそうな表情をして私に言った。
「お前はこんな所で何してる?」
「いやあのえーと」しどろもどろに何て言ったら言いのか考えるが、何を言っても寝ていた事はバッチリ見られているのでだめだと思い、それなら開き直るしかない。
「ここでお昼寝をさせて頂いて居りました」
「くっ、お前は勉強が終わったら、俺に会いにくるのではなかったのか!」
何で殿下は怒ってらっしゃるのか?と思い、首を傾げて一応お詫びをする。
「申し訳ありません、今からお伺いしようと思って居りました」
私がそう言うと、殿下は何故か悔しそうにされています。
「アルベルト殿下、何か嫌な事でもあったのですか?私で良ければお話してください」
「いや、何もない」
「はっ!もしかして私が王城へ登城する度に、アルベルト殿下に伺う事を、厭っておられるのですか?でしたら「違う」」
私の言葉を切るようにアルベルト殿下が言ったので、私はますます何故なのかわからなかった。
「ロゼアンヌ嬢、これからはロゼと読んでいいか、面倒くさいから、俺の事もアルと呼んでいいぞ」
アルベルト殿下が不機嫌に言われ私は「はい、承知致しました」とお答えしたら、少し不機嫌な顔が揺るんだ。
「ロゼは、いつもここで昼寝してるのか?」
えっ、これもしかして不味い!?
礼儀の先生に報告されるの?それは不味い!?
どうしょうとわたわたする私を見下ろし、クックと笑うアルベルト殿下。
「アル様、私の事おからかいになってます?」
「クックいや、でロゼはいつもここに来てるのか」
「はい、頭を休めるのに、ここは落ち着いてて良いのです」
「そうか、今日はもう帰るのか?」
「はい、アル様にご挨拶したら、退出しようとおもいます」
「わかった、それなら馬車まで送ろう」
えっ?なんで?
「アル様、私に気を使われなくていいのですよ」
嫌なことを無理矢理しなくてもいいよと言ったのだが、アルベルト殿下は、「今暇だからな、散歩のついでだ」と言われ私に手を差し出した。
私は?マークを頭に浮かべながら、出された手を取ってアルベルト殿下のエスコートで馬車まで送って頂いた。
その翌月から何故か王妃教育が、平日は毎日に変わった。
私が思っているより、出来が悪かったのだろう、ちょっと悲しくなった。
拙い文章を、読んで頂きありがとうございます。
楽しく読んで頂けたら嬉しい限りです。