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第1話 魔王

魔王と主人公の登場です

とある美しい少女は手元にある写真を見つめ微笑みを浮かべる。


その微笑みはまるで慈愛の女神のように美しく、照らし出された月の光が彼女の銀髪に反射しその姿をますます神秘的なものしていた。

その光景は絵画にしたいほどの光景をしているのだが、その美しい少女には明らかに人間とは違う部分があった。


その頭には少女の髪の色と同じ透き通った銀のツノ、そして背中には銀の翼が生えていたのである。


そんな少女は写真から視線を外し妖艶な息を吐く、すると突如爆発音の様なものが聞こえ部屋を揺らした。

彼女の部屋はこの建物の最上階に位置していることからどうやら下の階でその爆発音は起こったらしい。


不意に扉を叩く音が聞こえ1人の青年がその姿を表し少女に灰色の髪に真っ赤なツノを生やした頭を垂れ報告を開始した。


「魔王様。どうやら勇者達がこの城に侵入した様です。」


そうその美しい少女は人類を脅かす天敵であり、魔を導く者や世界を変える者と恐れられている魔王という存在なのだ。


そんな美しい魔王は視線を写真からこうべを垂れる側近の方へと向け、一つ頷くと手に持っていた写真を壊れ物を扱う様に出現した魔法陣の中へそっと入れると大きな窓から照らし出される月を見上げた。


「貴方には色々と迷惑をかけるわねダリュウス。」

「いえ。私の使命は魔王様を支えることですから。」


と側近の会話の合間にも爆発音は段々と近づいていく、ダリュウスはチラリと後ろを振り返りおもむろに立ち上がると扉の方へと体の向きを変え、魔法陣から禍々しい剣を取り出す。


「私は全てを捨てて彼の元へいくのを決めました。こんな王は失格だと思うかしら。」


と美しい魔王は青年の背中に向かい尋ねた。

するとそれを聞いたドリュウズはフフフと笑い、


「そんなことは思うわけありません。ここまで魔族の領地を拡大し率いてきた貴方に王失格だ。などと言う輩はこのドリュウズめが拳骨を喰らわせましょう。

まあ強いて言えば魔王様のお心をそこまで射止めたその異世界の人間を私は恨みたいです。」


美しい魔王はそれを聞くとキョトンとしなぜです?と返し垂れる。


「ドリュウズは勘違いしているは彼はとても努力家だし、とっても一途な子なの彼をずっと見守ってきた私が言うの間違いないは!」


そんなことを聞きたかったのではないが、あまりの魔王の熱弁ぶりに青年ドリュウズは苦笑する。


本当に愛しているのですね・・・。


とどこか寂しげに呟く、すると今まで聞こえたはずの爆発音が突然聞こえなくなり静寂が建物を支配する。


だが次の瞬間複数の足音が扉越しに聞こえたかと思うと突如扉が吹き飛び、白銀の鎧を着た端麗な少年や白い僧侶服を着た黒髪の可憐な少女、碧緑色に輝くローブを着た耳の長い美しい少女に獣のような耳を持つ槍を肩に置く青年達が部屋の中へと侵入してきたのだ。


「勇者ついにきたな!」


と吠えるドリュウズを無視し白銀の鎧を着た端麗な少年はスッと前に出ると、手に持っていた神々しいまでの剣を床に突き刺し未だこの様な状態でも夜空を見上げる魔王へ向けて声を掛けた。


「魔王リア。もうこの城は勇者であるこの僕ユウジが制圧した!大人しく降伏しろそうすれば危害は加えない!」


と白銀の鎧を着た勇者ユウジは美しき魔王リアに手を差し伸べる。


「僕の者になってくれ!そうすればこの戦いも終わる!」


勇者ユウジの問い掛けにもリアは全く反応せず只々夜空の月を眺めている。

そんなリアの態度にさすがに激怒した耳の長い少女がリアに向かって怒りの声を発した。


「あなた人の話位を聞いてるの!?」


と少女の怒鳴り声リアはようやく振り返るとその顔には満面の笑みが浮かんでいる。

その種族異性関係なしに魅力してしまう彼女の笑みはこの部屋全ての者たちをいとも簡単に魅了させてしまう。


「勇者ユウジよ。私がたとえあなたのものになったとしてもこの戦いは終わらない。」

「そんなことはない!少なくとも王都はそうすると王は約束してくれた。」

「それでは貴方は具体的にどうやって今まで戦い続けた魔族と人間を和解させるの?」

「そ、それは・・・。」


と何も考えていないこと見透かされたユウジは口ごもるとリアはほら見たことかとでも言う風な雰囲気を出す。


「私は貴方のものになる気などさらさらありません。

私にはこの世界がどうなろうとも気にならない程に愛しい人がいる。その人のためなら何人でも何千人も人を殺せます。そしてこの地位を捨てることも例外ではない!」


とリアは一息つくと大きく息を吸い彼女には珍しく感情のこもった声で言い放つ。


「私は魔王の地位を捨てます!そしてドリュウズ次なる魔王の地位を貴方に託します!」


そして魔王リア否魔王の名を捨て今では只の美しき恋する少女となったリアは、魔法陣を出現させそこから拳大の水晶を取り出した。


「時は満ちました。私はここで退場させていただきます。」


水晶を床へと落とし粉々に砕けると突如突風が出現しリアの周りに複雑怪奇な魔法陣が広がる。

そんな光景を見たユウジは床に突き刺さった剣を引き抜くとリアの元へと走り出す。

しかしそこに新たなる魔王ドリュウズがたちはだかる。


「どけ!お前に興味なんてないんだよ!俺はリアが必要なんだ!」

「ふふふ!それが本当のお前か気に入った!しかしつれないなこの新たなる魔王の誕生に挨拶もなしか?」

「うるさい!そこをどけーーー!!」


と勇者ユウジは魔王ドリュウズへと斬りかかるが魔王も禍々しい剣でその刃を受ける。


「無駄だ。あの方はもう止まらない。お前じゃない別な男があの人をああさせているのだから。」


ユウジは歯ぎしりをすると白い僧侶服を着た可憐な少女が突如叫んだ。


「ユウジさん!あの魔法陣は貴方がこの世界へ召喚された術式を元に作られた転移魔術です!」

「!まさかリアは・・・」

「その通りだ。あの方は地球へと向かわれる。そのためにもお前らをここで止める!」


そして魔王はそのまま勇者を吹き飛ばすと片手を上げて詠唱を開始。

そしてドス黒く巨大な火球を複数生み出すと勇者たちへ向け放つ。


「今のうちですリア。」

「ありがとうドリュウズ!また機会があれば会いましょう。」

「ええ必ずや」


とそうして少女の体はだんだんとその姿を粒子へと変え消えていく、勇者達が複数の火球を耐え凌いだ頃にはもうすでにリアの姿はなかった。

どこか満足げな魔王ドリュウズの顔を呪い殺すかのようにユウジは睨み付けると剣を向けた。

その怒りに反応しているのか神々しい剣が眩いまでの光を放つ。


「このままじゃあ済まないぞ!僕は必ずリアを僕のものにする!」


吠える勇者に魔王は不気味な微笑みを浮かべると禍々しい剣が反応し黒い瘴気を出現させる。


「そんなことは一生できないよ。なぜなら私がお前達を滅ぼすからだ!」


そして勇者と魔王はそのまま激突したのである。






勇者と魔王が激闘を繰り広げる中、リアは少年への思いを募らせながら一人眠るように目を閉じた。

そして一枚の写真を抱くような姿になると静かにだが思いを乗せて呟く、


「神よ。私は今ここで初めて貴方に願う。どうか私の愛しい人 八雲 ハルトくんとの恋が叶いますように。」


そしてここで一の物語に終止符が打たれ、新たなる物語へとその姿を変えた。




朝日が差し込む時間帯となってサンドバックにスパークリングを行っていた少年は長い息を吐き出しようやく止めシャワールームへと向かった。


身体中から噴き出した汗をすべて洗い流すようにシャワーを浴び、シャワー終わりに淹れておいたコヒーを飲んで一息つく、そして冷凍していた朝食を取り出しチンしている間にその身を学校の制服へ身を包みこんだ。いつものようにニュースを見ながら朝食を取り、今日も変わらない日でありますようにと願いながらも黒く塗られたリボルバー型の銃をホルスターへとしまい腰にナイフを二本仕込こむ。

少年 八雲 ハルト ハルトいつも通りの時間に靴を履き玄関に置いてある家族写真に向かって「行ってきます」とどこか寂しげな声で告げると扉を閉め、日常へとその身を置いたのである。


次は主人公の日常です。

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