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光の女帝と醜い白鳥 一話
「ここはどこだろう。そして私は?」
――目の前には、荒廃した森が広がっていた。
「……誰かいるのかい……?」
男の声がして、私はどこにいるのか辺りを見渡す。
「そこにいたのね、大丈夫?」
銀の髪も白い服も血に濡れた服、今にも息絶えそうな青年だった。
「水を……頂けませんか?」
青年は苦し気に乞う。
「わかった!」
私は自分がなぜ森にいるのか、己の名前すらわからない。
もちろん彼が誰かも知らないけれど、水を汲むことにした。
「手だと溢れてしまう……」
しかしとにかく水をあげないと。
「ありがとうお嬢さん」
「あまり運べなくてごめんなさい」




