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黒い影
「こんなに時間がたっても綺麗なんてやっぱり香花ちゃんのお花は最強よね」
走っていく女性を見ていると
「何を見ているんだ?」
黒い影が少女に問いた
「あのことっても可愛いですわ」
少女はにっこりと笑いかぶっていたフードを外した
濃い緑色の髪は顎のあたりに綺麗に切り揃えられていてゆらりと一本だけ長い髪の束が揺れた。まつげの長い目はキラキラと輝いており口は上下に『縫われていた』
「星野蝶夜か・・・」
「星野?あの一族まだ生きてたんですの?」
黒い影の呟きに驚いたように目を見開いていて
少女は言う
「あぁ、でもやっぱり可愛いですわ。星野の娘でしたら食べてもいいかしら」
両頬を両手で押さえ愛しい人を見るかのようにとろける目をする
「ふーこ」
黒い影は少女の名前を呼んだ
「ロワが許可しない」
ぽふっと少女 ふーこの頭に手を乗せ振った。
ふーこはぷくっと頬をふくらませぷいっと顔を横に向ける。
「そんなことないですわ。ロワさんだって許可します。だって星野の子ですのよ?」
「だからだよ」
黒い影はひとりごとのようにポツリとつぶやいた
「?」