クレーム係
墓地に向かう途中
また あの歌声が聞こえてきた
お眠りください
つらいことを全部私にください
お眠りください
そうすればすべて忘れられるでしょう
「辛いことを全部忘れて・・・・か」
その歌を聞きながらそうつぶやいた
♪~♪~
「わっわっ!」
感情に浸っていると胸ポケットに入れていた携帯が可愛げのない着信音でなりだした
最新のスマートフォンに変えてからまだ日が浅いので慣れずなかなかボタンが押せない
慌てて電話に出ると聞きなれた渋い声が聞こえた
『おう、蝶夜か。仕事だ。』
「え?」
突然の上司からの電話
『ビルの裏側に集合な。じゃ、』
それだけ言われ電話は切れた
「ビルの裏側ってどこのビルっすか先輩!!!」
蝶夜は叫ぶが既に電話の通信は切れており
一瞬携帯を投げ捨てようと思ったがまだ新しい携帯なので
押しとどめUターンするようにさっききた道をとにかく走り出した
そのビルを見つけるのは案外あっさりと見つけることができた
多くパトカーと野次馬が蝶夜の住むマンションの近くのビルに異様な空気が放っていた
「あれだけじゃ場所分かりませんよ先輩」
「わかったじゃねえか」
先程の電話内容に不満をもらす蝶夜に謙造は笑いながら煙草をふかす
がんばったんですーと蝶夜は口を尖らせながら 『その』現場にはいった
なんとも言えない臭いが部屋に充満している
「三日前から捜索願いがだされている。地元の公立高校に向かう途中、消息が途絶えたそうだ。」
「性別は?」
蝶夜は目の前にある、それ に近づく
「女だ…いや…」
謙造はもっていた煙草を落とし踏み潰す
「女だった」
溶けた肉と赤い赤い血
女子高生だったものが『そこ』に広がっている
「おぅえぇええええ」
謙造の後ろにたっていた新人 高橋秀哉が それ、をみて 崩れ落ちた
「いったい…これは何なんですか……?」
秀哉は 目を見開き吐き出した嘔吐物をみた。目の前にあるのはまるでそれのようで
人間としての原型がない
骨と血と溶けだした肉がかろうじてのこっているだけでもうそれは 人間と呼べなかった
「なにも聞いてないんだ…秀くん、それは幸運だね」
目の前に広がるそれ、をしゃがんでじっとみていた蝶夜は立ち上がり秀哉の方を振り返り言った
「警視庁公安部公安第六課の本当の仕事だよ」
『ふふふ、おなかいっぱい…幸せですわ』
『つーぎはだーれっかなー?♪』
『頭いたい…』
『Let's go!』
『……わかった』
『らんらーん♪元気になーれっ』
『大丈夫…大丈夫…』
『…………』
『それはね…』