透明人間のかくれんぼ
もういいかい? 君は訊ねてきた そもそも僕がここにいるかさえ知らないが
もういいよ 僕はそう呟いた 声に出さないから君には聞こえていないが
「ああ、君はうまく隠れているようだ」 君は疲れた声で、でも探す手は止めない
もう僕は誰にも見つけられない 理想の透明な体を手に入れたんだ
遊びは終わり 早く帰ってくれ
憎悪 嫉妬 悲哀 憤怒 バカバカしい感情
もうたくさんだ 何もかも嫌になったんだ
人に見えない 誰の目も気にしなくていい
僕は自由だ なんて素敵な人生だろう!
いいのかい? 心の声が聞こえた ずっと僕に語りかけ続けてきた声だ
もういいよ 僕はまた呟いた 君は見当違いの場所を探していた
それ本当? 声が訊ねてきた
こんなはずじゃなかったんだ 望んだわけがない
本当はみんなと笑って生きていたかった
黒い感情に支配され 心閉じこめた
どうしてこんなことになってしまったのだろう
なら話は簡単だ、声が言う
思うだけじゃ伝わらない
声に出さなきゃ聞こえない
動かなくちゃ見つからない
ほら、どうすればいいかわかるだろう?
声が消えた 顔を上げる
ここにいるよ 大声で叫んだ
早く見つけて 僕はずっとここにいたんだ
ねえ君は僕にアイたいの? アイしてくれるの?
僕はここにいていいの? 許されることなの?
わからないことだらけ でも君を呼び続けた
声を嗄らして叫んで 体を大きく振って
顔は涙まみれ なんて不格好なんだろう!
そんな僕を見つけて君が笑う 僕も笑う
――みいつけた