ようこそ聖峰魔法学院へ
アルバーンと言う国がある。そこには十万人の人々が住んでおり、皆魔法が使える。
魔法とは、己れの体内にある魔力を自分の属性に変え発動させることを言う。
属性には、火、水、雷、土、風の基本属性と、聖、闇、無の特殊属性がある。
そしてこの物語は無の特殊属性が使える少年の物語である。
良く晴れた日、森の中を一人の少年が下ろし立ての制服を着て、肩からスクールバックを下げ歩いていた。
「…どうしよう、完全に道に迷った。」
と言いながら「はぁー」とため息をしている少年の名は『笹原 翔』、顔は普通より少し上で髪は短めとごく普通の少年である。そんな彼は今これから通うことになる高校に向かっている途中だが道に迷い途方に暮れていた。
「……迷った事は仕方ないか。…適当に歩けば誰かに会うかもしれないし運良く着くかもしれない。」
などと思いながら再び歩き始めた。
少しの間歩いていると、前方に翔と同じ制服を来た少年が見えてきた。
すると翔はその少年に向かって走り出した。
「おーい、そこの君。ちょっと待って。」
翔は走りながら声をかける。
声をかけられた少年は立ち止まり、翔の方に振り返った。
「ふぅ、追い付いた」
「なんやお前、わいになんかようか?」
翔が追い付いたと同時に質問をする少年。その質問に息を整えながら答える。
「うん、…俺の名前は笹原翔。実は道に迷ってて、良かったら一緒に行かない?同じ制服だから一緒の学校と思うし。」
「せやな〜、道に迷ったんならしゃーないな。一緒行こうやないか。」
「本当!?そう言ってもらえると助かるよ。ありがとうえーと…」
「わいは、佐藤大樹や。大樹って呼んでや。」
「わかった、よろしく大樹。」
そう言って大樹に手を差し出す翔。
「こちらこそよろしくや翔」
大樹はその差し出された手を掴み握手する。
「ところでさ、それなに?」
握手をし終えた翔は先ほどから大樹の手にあった手のひらサイズの電子機器が気になっていた。
「これか?これはやな、わいが独自に開発した電子手帳や」
手に持っていた電子手帳を翔の目の前に持ってきて、待ってましたと言わんばかりに話始めた。
「この電子手帳にはな、わいが調べた情報が沢山入っとるんや。」
「いろんな情報?」
「せや、主に魔法関係の情報があるんや。相手の属性、戦闘スタイル、攻撃パターンなど様々や。後、プライベート情報もや。」
話終えた大樹はどうだ凄いだろと言わんばかりの顔をして翔を見た
「へぇ、良く集めたね」
「ま、情報収集が趣味で始めたことやからや。」
「じゃあ大樹の属性は?」
「わいは雷や、そんでもってこれの充電はわいの魔力で出来る優れもんや。」
又もや、自分は凄いだろとどや顔をして翔をみる。
「せや、翔の属性聞いてもええか?」
「いいよ。俺の属性は無だよ。」
翔の属性を聞いたとたん大樹は眼を丸くして驚いた。
「それはほんまか?」
「本当だけど、…何で?」
未だに驚きを隠せないでいる大樹に翔は疑問を感じ質問をした。
「何でって、無属性で聖峰魔法学院に合格する奴なんて初めてや。これは凄いことなんやで!」
少し興奮気味で話す大樹に翔は何が凄いのかが分からずにいた
「なんや翔、何が凄いか分かってへん顔をしとるやないか。せやったらわいが教えたる。」
そう言って大樹は電子手帳を使って翔に説明し始めた
「ええか翔、聖峰魔法学院とはやなこの国で一番レベルの高い学校や。この学校を卒業出来れば絶対に魔術師になれるんや。そんでもって優秀な奴は魔導師になれ魔法騎士団に入れるんや。」
「せやから、いろんな地方から沢山の奴が受験しにくる、せやけど定員は百名。ここまで説明したら分かるやろ」
「なるほど、合格する人は皆凄いんだ。」
翔は大樹の説明を聞いて聖峰魔法学院や合格者の凄さはわかったが何故大樹があんなに驚いたのかがまだ分かっていなかった
「でも何で大樹はあんなに驚いたの?大樹だって試験に合格している筈なのに」
大樹は翔に質問されやっぱりちゃんと説明せなあかんのかと思いながらまた説明しだした
「わいが驚いた理由は、翔が無属性であることと、合格出来たことや。」
「俺が無属性であり、合格出来たこと?」
まだわからないといった感じで翔は首を傾げた
大樹はそんな翔を見て更に説明しだした
「魔法に無属性があっても人に無属性がいるなんて聞いたことなかったからや」
「そういえば中学のとき無属性は俺だけだった」
翔が俺って珍しいのかなぁなんて思っていると大樹は次の理由を説明し始めた
「そんで無属性の魔法はサポート、強化しかないはずや。そんなんで実技試験の教師と闘って良い点貰えるわけないからや。これがわいが驚いた理由。」
説明し終わった大樹がどんな闘いをしたのか考えていると翔が再び質問をした
「聖峰魔法学院って実技試験なんてあるの?やっぱり凄いな」
翔の質問に驚いた大樹は質問に質問で返してしまった
「翔も試験受けたんやないんか!?」
その質問に翔は驚くべき回答を放った
「受けてないよ。だって俺特別推薦で入学が決まったらしいから」
「な、なんやって…それはほんまか?ほんまなんか?どうなんや?」
大樹は衝撃のあまり震える手で翔の肩を掴み前後に揺らしながら聞いてきた
「ちょ、ホント…だから…揺らさ…ないで」
正気に戻った大樹は翔から手を放し揺らすのを止めスマンつい衝撃的で我をわすれとったなどと言って謝っていた
そんな大樹に翔はある物を見せた
「はい、これが特別推薦の紙。でもこれってそんなに凄いの?」
翔から見せてもらった紙を見ながら大樹は興奮気味で答えた
「これは凄いってもんやない!かなり凄いんや!!」
大声を出したせいか息切れをしている大樹に翔はまぁまぁ落ち着いてと促す
大樹は少し冷静になり続きを話出した
「ええか翔さっき定員は百名やと言った。しかしや受験で合格できる人数は百名ではないわけや。毎年推薦枠があるんや、その人数に応じて合格者数も変わるわけや。」
「え!?そんなに凄いの?学費はすべて免除って書いてあったからここに決めたのに…どうしよう。」
自分の置かれた状況の凄さにやっと今気付いた翔は今更焦りだした
「どうしよう大樹。俺魔法の事全然知らないんだけど」
「せやろな。話しててこんなにも無知な奴はおらへんと思うくらい世間知らずや。多分魔法もあまり知らんやろと思ってたわ」
大樹は両手をあげやれやれていった感じでため息をついた
「わいが教えたるって言いたいとこやけど、学校についたからまたあとでや」
そう言って大樹は前を向く翔も吊られて前を向くとそこには大きな門が待ち構えていた
「どうも笹原翔です」
「わいは佐藤大樹や」
「これからは本編とは関係ない日常を短編として書いていくのでよろしくお願いいたします」
「基本会話ばかりやからそこんところよろしくたのむわ」
「それではまた次回会いましょう」