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第2話 ちからがほしいか?

[クラシー視点]


 こんにちは!新米冒険者、レベル1のクラシーです!私は今、レベル10相当の、初心者用ダンジョン10階層、つまりは最下層に来ておりまぁす。なんでよ!ミックが住処に運んでくれたからよ!ありがとう!


 落ち着くのよ、落ち着くのよクラシー。レベルとは、大体の強さを示すもので、上がったら自動的に冒険者カードに記録されるのよね。そして、強さはレベルだけではなく、技術も関係してくる…っと。

 どれどれ?私のレベルはやっぱり1!新米なので技術もありません!

 どうしよう…。


『どうしたの?クラシー。』


「あのねミック、私ね、レベルが1しか無いの。ここもっとレベルがいるのに。」


『あ、やっぱり?なんとなくそんな感じがしたんだぁ。やっぱり従魔だからだろうね。』


 そ、そうなんだ。


「でもどうする?このままじゃ私、死んじゃう気がするんだけど。」


『ちからが、ほしいか?』


 え、どうしちゃったのミック。






[ミック視点]


 案の定、クラシーは結構な弱々だったみたい。でも、このわたしにかかれば問題ないのですよ。


『ふっふっふ。クラシー、わたしのレベルを見てみなさいな。』

「ミックのレベル?どれどれ…こっ、これは!」


 そう!わたしはここではレベルが高い方…のハズなのだ。なんたって生まれてから数ヶ月、ずっとここでモンスターをハントしながらサバイバルしてたんですからね、今のレベルは15なんですよ。


『わたしの今までの感じでね、モンスターにトドメを刺しさえすれば、レベルは上げられるんだよ。』

「ふむふむ。」

『だからね、わたしが弱らせて、クラシーがトドメを刺したら良いと思うんだ。』


 練習にもなんにもならないけど、能力を上げるのはいると思うんだよね。能力さえ多少あれば、一撃食らってお陀仏みたいなことにはならないでしょう!たぶん。今のサイユウセンジコウは無事に地上に出ることなのです!


『じゃあ出発シンコー!』


「えっまだ心の準備が」


『だいじょぶだいじょぶ。強いのとか(たまにしか)出ないから!』


「そ、そうだよね!ここ初心者用ダンジョンだもん!レベル15のミックがいたら大丈夫だよね!」


『大船に、いや、ギガントミミックに乗った気分でついてきなさいっ!』

「めっちゃ怖いんだけど。」








『もうちょっとで階段だよぉ…お?』


 なんやかんやありまして、モンスターとも落とし穴とも遭遇せずに順調でした、今までは。


「ねえ、階段前に居座ってるのって…」


『うん、邪大鬼族(イビルオーガ)だね。』


 説明しよう!邪大鬼族(イビルオーガ)とは!大鬼族(オーガ)という魔族をかたどった理性なきモンスターである!(盗み聞きママ)

 この前コレ倒してた人が仲間?に講釈たれてたんだよね。そういえば、なんかクラシーに似てた気がするなぁ。


「ねえ!どうするの?ミック。流石にアイツは無理なんじゃないの?」


『だいじょうぶだよクラシー。アイツなら一度倒したことがあるんだ。このレベルも、ほとんどそれのおかげだし。』


「え?」


 レベルが上がってくと、弱いモンスターじゃ上がりにくくなるんだよねぇ。

 それはいいとして、アイツ、邪大鬼族(イビルオーガ)には弱点がある。一つに、知能がまるでないこと。二つに酒が異常に好きだということ。コレもその講釈の人から得た情報なのだ。幸い、その人達も酒を利用していたので、酒が何たるかは知っているのだよ!


『クラシーはこっちに隠れててね。出てきちゃだめだよ?』


「? う、うん。」


『さあとくと見よ!これが我が奥義!(小声)』


「!!」


 わたしの自慢のトレジャーボックスヴォディが溶けるように消えていく。だが、これで動揺するわたしではない。(自分でやったこと(・・・・・・・・)に恐れおののくわけがないじゃない?)


 そして現れるのは透明な水たまりだ。だが、これはただの水ではない。神の水!と呼ぶ者もいる…のかな?それはともかくこれは酒だ。遠くに離れていてもしっかりとわかる強い香りの酒である。


 人間以上の嗅覚を持つアイツが気が付かないわけがない。ほら!歩き出した!

 まるで魔素の塊のような真っ黒い筋肉質なヤツが来る。だが、知能はまるでない。それが酒だと認識するほどの知能はあれども、突然現れた疑うということを知らない。


 なぜ疑わないことを気にするのかって?だってコレ、(トラップ)だもん。

 わたしは地面と酒だまりっぽくなってるだけでアイツが向かってるこれらは全部ニセモノ!

 そう!これがわたしの奥義!『擬態』!もう一度言おう、『擬態』だッ!


 そして…

 かかったなッ!アホがッ!


 邪大鬼族(イビルオーガ)が酒だまりに顔を近づけた瞬間、わたしはヤツに牙を剥く。

 地面が、水柱が、―――否、わたしのギッザギザな口が巨体をくわえ込む。

 暴れているが無駄である。ミミック(少なくともわたしは)は、口に入れてしまえばこちらのものなんだ!魔力吸収もしてますからねえ!


 数分間抵抗は続いたが、やがて完全に飲み込むことに成功した。


『あ、倒しちゃった。ごめんねークラシー…どうしたの?』


 どしたのよお口をあんぐり開けちゃって。


「ミック…」


 怯えてる?


「ミックすごい!すごくすごくすごい!あんなに強そうなのをあっさり倒しちゃうなんて!」


『えへへ、ありがと…あれ?レベル上がってない?』


「え?ホントだ!私が8になって、ミックが18になってるよ!」


 おや?『強くなる』だけならまだ簡単かもしれんぞい?

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