第1話 おともだち
「う、うーん…。」
私の名前はクラシー。16歳のひよっこ冒険者!
今日はなにがあったんだっけ…、えーっと、初めての討伐依頼!ゴブリン!を受けて、初心者用ダンジョン!に入って、えー‥そうだ!
「ミミック!あれ?生きてる…?」
『あ、起きたぁ。よかった、目が覚めて!わたしのおうちまで運んでくるの大変だったんだから!』
「もしかして、ミミッk…あなたが私を助けてくれたの?」
『そうだよー。でも、わたしが怖がらせちゃったみたい。ごめんなさい…。』
「そんな!気にしてないわよ!怖かったのはほんとなんだけど、もうちっとも怖くないもの!危ないダンジョンで気絶した私を運んでくれたし、今もこうやってお話できてるし、なにより、あなたは私をスライムから守ってくれたもの。信用するのは当たり前よ!ありがとう!」
なんでミミックなのに動けるの?だとかスライムって美味しいの?だとか聞きたいことはあるけど、そういうことはまた後で聞くべきだよね。
『ありがとう、か…うん!どういたしまして!』
「あなたのその姿も、とってもイカしてるわね!」
『ほんと?ありがとう!嬉しいな。ねぇ、わたしの夢、聞いてくれる?』
「もちろん!」
ミミックの夢かあ、物騒じゃないといいけど。
『わかった。じゃあ話すね。わたしの夢は、ちょっと変わってるけど、人間と仲良くすることなの。』
人間と仲良く?
『わたしね、生まれたときから一人だったの。ちゃんと暮らしていけたし、同族もいたから大丈夫だったけどね。』
『だけどね、その同族たちもずっと生きてるわけじゃなかったの。みんな人たちを待ち伏せして、返り討ちになって死んでったの。』
まあ、そうだよね。襲われたら戦う。それが冒険者とモンスターの関係だもの。
『それでもね、見つけてもらえなくて、人を襲わなかった同族たちはみんな生きてるんだよ。だからね、わたし考えたの。襲わなかったら生き残れるんだったら、仲良くしちゃえばもっと良いんじゃないの?って!』
わ、話がすごい飛んだ!
でもそれは…
「うん!すごーく良いと思うわ!少なくとも私は、あなたと仲良くなりたいわ!」
『ほんと!?じゃあ、わたしたちこれから仲良しさんなんだね!』
「うん、お友だちだよ。」
『おともだち?うん!おともだちだね!』
「じゃあ、お友だちなんだから、お名前で呼び合いましょう!私はクラシー、冒険者よ!」
『くらしー、クラシーって呼んだら良いのね!でも、おなまえ?わたしそんなの無いよ?』
しまった!モンスターには名前が無いんだった!危険らしいけど…こうなったら…
「じゃあ、私が付けてあげるわ!安直だけど、ミミックだから『ミック』ってのはどうかしら?可愛いと思わ…な……い……?」
『クラシー?クラシー!?どうしたの!?』
あれ?力が…?意識が途切れ…て……。
「う、うーん…。」
『クラシー!目が覚めたんだね!また倒れちゃうなんてびっくりしちゃったよ。』
そうか、私、また倒れたんだ。やっぱり、おじいちゃんが気をつけなさいって言ってた『モンスターへの名付け』のせいなのかな?位が高いモンスターほど負荷が高いって言ってたけど、どうして普通のモンスターのミミックで気を失っちゃったんだろう…。
「ありがとう、ミック。また迷惑かけちゃったね。」
『全然!わたし達は友達なんだから、なんてことないわよ。それよりも、どうしてかしら?クラシーがわたしに名前を付けてくれてから、なんだか強くなった感じがするし、二人の間に『繋がり』を感じるの。』
そういえば、私もそんな感じがあるわね。ミックもなんだか一回り大きくなったように見えるし…あ!
「思い出したわ!人がモンスターに名前を付けると、『従魔』と『主人』の関係になるのよ!」
『それって、どうなっちゃうの?』
「主人と従魔が一緒に強くなったり、従魔が主人の命令を聞いたりするようになるのよ。でも、それは主人側の匙加減によるから、私達は対等なお友だちのままよ!それに、従魔だったら、人の街にも入れるわ!」
『じゃあ、他の人とも仲良くなれるかもしれないってこと?』
「そうよ!」
『やったぁ!じゃあ、早速行こうよ!わたし、まだ外に出たことが無かったんだぁ!』
うっ、なんか可哀想…。
というか、ここ、どこ?
『じゃあ、上に登っていったら地上に出れるんだよね?行こ!』
「ねえミック、ここって最初に私が気絶した階と違うの?」
あの時私、1階層にいたんだけど。
『えっとね、階段を9回降りたとこだよ。』
「このダンジョンの最下層じゃないの!?」
私レベル1なんだけど!?ここレベル10相当なんだけど!?
『強くなりながら行こうぜ♡』
いきなり最下層なんて嫌だぁ!




