君の横に僕はいない。
いつも君の隣にいるのは僕じゃない。何度想像しただろう、たった四年早く生まれていれば君の隣にいるのはほかの男ではなく僕だったのではないか。
バイト先の二歳年上、蓮さんに恋をしている。彼女は愛嬌があって誰からも好かれるだけでなく、地元で知らない人はいないほどの名門大学に通っている。それに引き換え、僕は名前を書けば入れるような大学に通っている。昔から勉強が苦手だった僕には、ここを選ぶのが精一杯だった。
恋愛経験すらない僕にとって、彼女と付き合いたいなど無謀な願いに等しい。それに、彼女の隣に並ぶのはいつも余裕のある年上の男性だ。バイト先で見せる彼女の笑顔も、僕に向けるのはあくまで「可愛い後輩」へのものなのだと、痛いほど実感している。
「諦めた方が楽だ」と何度も自分に言い聞かせた。けれど、何気ない会話や、ふとした瞬間に彼女が見せる大人びた横顔を思い出すと、どうしても踏ん切りがつかないのだ。
彼女にとっては、中身が大人びているか、落ち着いているかなど関係なく、単に「年上であること」が絶対条件らしい。その事実は、僕にこの恋の終わりを告げるには、あまりに十分すぎるものだった。
どんなに背伸びをしても、僕が彼女の時間を追い越すことはできない。積み上げてきた勉強の差も、生まれ持った年齢の差も、僕のちっぽけな熱意だけではどうにもならない現実だった。彼女が求めて見てきた世界には入ることはできない。けれど、もし彼女が見る「これからの世界」に、いつか僕がいれるのだとしたら。そう思えば、僕の今までの人生も無駄ではなかったのかもしれない。
僕はまた叶いもしない幻想に浸りながら彼女とのバイトの時間を過ごすのだろう。




