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コスプレイオブパルクール  作者: 桜崎あかり
第1話『転売ヤー狩り』

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3/11

Bパート前半

 諸葛亮孔明しょかつりょうこうめいがコンビニで転売ヤーと偽者の転売ヤーハンターを確保して数時間後、やはりというか偽者の転売ヤーハンターはバズっていた。


 ハンター自体、ライセンスが必要である。それも、二重三重の厳重な審査を通り抜けたものが。


 免許申請に色々とザルな箇所があったようなパターンとは、次元が違うのである。


 ライセンス申請にも、日本国内でも迷惑系や暴露系のような配信者はライセンスを取れないし、そういった分野ではなくても海外の配信者では取れない。


 仮にそういった配信者が取ったとしても、ゴーサインを出す前に取り消しされるケースが存在する。それを動画や配信で流すというような……言わなくても分かるだろう。



 様々な事例を踏まえ、日本国内の迷惑系や暴露系と言ったネガティブなものをメインで扱わない配信者、にライセンスの付与は限定されている。


 だからこそ、偽者の転売ヤーハンターや無許可で転売ヤー狩りを行うような自称正義マン……そういった勢力の存在はシグルドリーヴァにとっても頭の痛い問題だった。


 そこで、彼らは新たな手段と言う意味でもフィールドを作ることにした。


 当初はFPSなどのようなものを考えていたが、最終的にはパルクールフィールドと言う事となる。


 それが後に『エクストリームパルクール』として拡散していくこととなっていくのだが……。


 この誕生秘話をやろうとすると、それこそスピンオフ1本分に該当しそうなので、ざっくりと割愛する。


 一方で、転売ヤーの指名手配制度とほぼ同時に進行していたのだが、指名手配制度の方が先に動き出した……と言うのは事実らしい。



 孔明のケースが拡散してから数時間が経過した午前10時、今度は家電量販店に並ぶ行列で転売ヤーが確認された……と言う事が拡散された。


 対象となったものは、ショートアニメで有名なマスコットキャラクターのプリントされたポータブルプレイヤーで、完全予約限定と言う中で、転売ヤーが出現している。


 当然、オークションサイトも注意喚起をしているが、それも無駄と言う事だろう。


 過去にも同じ作品のコラボ商品が次々と転売ヤーによって出品されていたので、それを踏まえると……と言う事かもしれない。


 そういった事情もあり、オークションサイトは古物商許可証を必須、確定申告の提出も義務化、更なる条件を追加することで悪質な転売ヤーとは無縁であることをアピールしていた。


 それでも違法ルートは存在するので、シグルドリーヴァが転売ヤーに対しての指名手配制度を生み出すきっかけになったのは間違いない。


 転売ヤーが警察に逮捕された場合、どんな理由であろうと古物商許可証は永久に取得不能となり、ざっくりいうとアカウントの永久凍結やBANと一緒だ。


 それとは別に1兆円を超えるような罰金が請求されるのは、こういう事も絡んでいるらしい。


 罰金か永久凍結か……冷静に考えれば、どちらの方が良いかは分かるだろうが。それでも転売ヤーが減らないので、指名手配制度が出来たのだろう。


 それを知らない転売ヤーが後を絶たないことが、一連の転売ヤー狩りを行うパルクーラーを生み出す結果になり……。



「まさか、ここにも転売ヤーハンターがいたとは……?」


 とある男性が別の転売ヤーハンターを見つけて逃げることにした。目視できたハンター以外にも混ざっている可能性はあるかもしれないが……。


 作戦は完全に失敗したので他のメンバーに撤収を指示しようとスマホを取り出すも、そのスマホを操作しようとした右腕をつかむような左手が見えた。


 通話をする前だったので、グループメンバーの電話番号は見えていない。


『見つけたわよ。賞金額……500万円の転売ヤーさん?』


 男性が自分の腕をつかむ左手の方を見ると……そこには1人の女性がいた。


 外見はARゲームで使用するインナースーツを着ており、そこに軽装型ガジェットアーマーを装着していた。


 身長は150センチ台、髪型はセミロング……の一方で、ARゲーム用のメットをかぶっているので顔は分からない。


 女性だとすぐに分かったのは……そういう事かもしれないが。


 ざっくり言うと、分かりやすくARパルクールをプレイしていた女性プレイヤー……である。


「お前も転売ヤーハンターなのか?」


 この男性の問いに対し、首は横に振った。どうやら、ハンターとは違うらしい。


『ハンターのライセンスはあるけどね、私の場合は個人的事情で……』


 女性は台詞を言い終わった辺りで左手を離す。個人的と言うワードに対し、男性は無反応だったが……。


 その行動を安易に転売ヤーである自分を見逃してくれる、と勘違いした男性転売ヤーは全速力で逃げた。


 しかも、その逃げた先はARパルクールの特殊フィールド。


 ここは自動車も通行できない。パルクールプレイヤーしか入ることのできないフィールドである。


 パルクールフィールドが形成されている間は、フィールドに自動車が侵入することも不可能となり、電動アシスト付き自転車なども侵入不能。


 AIナビが各種車両に必須実装となり、それを利用した形でパルクールフィールドが道路としては未使用な箇所を設定し、コースを生成しているのだ。


 そういった事情を転売ヤーは当然知るわけがない。そして、このフィールドに侵入したことは、転売ヤーにとっても負けフラグ一直線だった。



「そっか。この私から、本気で逃げられると思っているのか」


 逃げた男性転売ヤーを若干だが目で追う女性、メットをかぶったままなので表情は不明だが……何となくだが男性転売ヤーの行動を『勝負を挑む』と認識した様子。


「……パルクーラーを無礼なめるなよ!」


 彼女の口調が変わった。ある意味でも勝負に挑むような表情で、転売ヤーをターゲットにしたのち、彼女はガジェットを展開して走り出した。


 その速度、転売ヤーも若干の陸上をかじったような走りをしていても……わずか数秒で追いつくというレベルで桁が違う。


 下手をすれば、瞬間移動をしたのではないか、と認識するようなギャラリーもいるかもしれない。


 しかし、エクストリームパルクールでは瞬間移動のような不正ツールの使用は禁止されている。


 つまり、あの走りはガジェットを駆使した上での速度……と言えるのだ。


 明らかに人間が自動車にも匹敵するような速度を出せるのかと言われると……という話はフィクションの世界なので「そういう世界」で片づけられるだろう。


 おそらく、今回もそれで対応されるのは確実である。



 彼女の名前、コードネームはデュランダル。


 そういえば、色々な所でデュランダルの名前を目にするだろうが、パルクーラーとしてのデュランダルは彼女のみ。


 なりすましでも行おうとすれば、シグルドリーヴァに偽のアカウントが秒で消されるのは目に見えているだろう。


 その彼女だが、獲得賞金は20兆円にも及ぶ。だからと言って、豪邸生活などをしているわけではない。


 転売ヤーの摘発は『あくまで』副業の一環である、という認識かもしれないが。


 あくまでもエクストリームパルクールを盛り上げるために活動しているパルクーラー、それが彼女のメインなのだろう。



「これが、エクストリームパルクール……」


 1人の女性が、今回の配信を目撃していた。


 外見は普通に私服、明らかにスポーツを何かしているわけでもないような体格でもある。


 その割には筋肉はある方なので、スポーツ未満な運動を行っているというべきかもしれない。



 エクストリームパルクールは、配信がゲリラ的に行われている一方で、運営側でもピックアップではある物のサイト内で直接のライブ配信を行う。


 一方で、シグルドリーヴァがピックアップ配信を行うケースには転売ヤーが絡んでいるという噂もあるのだが。


 今回の配信も転売ヤーが乱入してきたと言う事で、急遽のゲリラ配信が行われている状態。


 中にはこうした配信を利用し、オンラインカジノなどに悪用しているような勢力もいるかもしれないが、そうした勢力はガーディアンに摘発されるのがオチだろう。


 しかし、彼女はそれを気にすることなく配信を見て、一喜一憂している。



 彼女の名は春日部皐月かすかべ・さつき、21歳。


 1人暮らしではないものの、そこそこの生活をしているといってもいいだろう。


 その一方で、彼女には憎むべき存在があった。それが転売ヤーである。


 様々なニュースで転売ヤーのワードを聞くたびに、その怒りの矛先は……と言うレベルだ。


 転売ヤー以外は特に関心がないというよりは、色々な事情があって興味を持てないというべきか。それも転売ヤーが影響しているといってもいい。


 しかし、転売ヤーこそがコンテンツ流通を妨害している元凶と言う事で指名手配制度を生み出したシグルドリーヴァと比べると……そこまでではないのだろう。


 いわゆる転売ヤーを敵と認識しているような一般人やインフルエンサーより上……くらいの気配かもしれない。



(転売ヤーが、この世界から消えてしまえば……)


 彼女が様々なコンテンツがありつつも、基本無料のソーシャルゲームやWeb小説の類辺りしか触れていないのには、こうした事情もあるのだろう。


 せっかく購入しようと考えていたものを転売ヤーに独占され、自分は手に出来ないでいると言う事。


 その彼女は……転売ヤー指名手配制度が出来る前に、このようなことをつぶやいていたことがある。


【転売ヤーが存在しないようなコンテンツ流通を望む】


 七夕の短冊アプリなどの類ではなく、だからと言ってエイプリルフールのつぶやきなどでもない。


 そんな一言をSNS上で、彼女はつぶやいていた。


 このつぶやきは万バズに到達するようなことはなかったが、思わぬ人物の目に留まることとなり……。


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