Bパート(一部ざっくりと)
【カードゲーム転売ヤー、またも集団摘発へ】
【海賊版を意図的に転売しようとした出品者を、オークションサイトが締め出し】
【無人販売店を狙う転売ヤー強盗、連日出没。転売ヤーハンターが摘発する光景が日常茶飯事に】
埼玉県内にある、配信者事務所……その会長室でパソコンに表示されたニュースとにらみ合いをしている身長170センチと言う長身の女性がいた。
外見的には、いかにも一般社員にも見えるのだが……事務所なのでスタッフの可能性も否定はできない。
バーチャル配信者の事務所としては中規模を持つバビロンフォース、事務所内には数十人規模でスタッフが行きかう光景も描写されている。
そんな中で、ニュースの内容に関して頭を抱えているのが、ブレイズヴェルグである。モブスタッフの一人と思われていた長身の女性が彼女だ。
「このニュースをどう思う?」
会長室の席にいたのは、バビロンフォースの会長をしている男性だった。
ブレイズヴェルグは、あくまでもバビロンフォースに所属している配信者の一人。呼ばれたのには理由があるようにも見えるが、本人は若干自覚はない。
それだけではなく、彼女は都市伝説系サイトの管理人もしているのだが、それを踏まえても困惑をしている様子。
「転売ヤーって、どの時代でもろくなことをしていませんよね……」
「様々なものが流行れば、それに便乗して株式投資のように売りさばくのが転売ヤーだ。政府として規制法案や転売罪と言われるものが施行されても……というのはある」
会長の方は転売罪が施行されても株式投資のような感覚で転売を行う転売ヤーは減らないと考えている。
実際、投資を推奨するような政府の動きはあるので、それを都合よく転売行為も推奨していると考える人物はいるだろう。
近年は政府公認で行われる投資システムの対象年齢を0歳にしようという動きもあった。
ブレイズヴェルグは株式投資の対象年齢を引き下げて、そこから有り金を溶かすような人間が増え、転売ヤーが増殖するようなことも考えている。
それを踏まえ、会長は転売罪を大きく宣伝する必要性が……と言う事なのかもしれない。
何となく、ブレイズヴェルグは会長の考えがある程度読めている傾向が……あるのだろう。
「国内では転売罪もあって、転売ヤーが減っていますが……海外勢で知っている人はいるんですかねぇ?」
「転売罪は転売ヤーであることが認められれば、国籍は問わないという感じにはなっている」
「今の世界、全てを乱しているのは転売ヤーなんですよねぇ、と」
「確かに。ここ最近の小規模テロのニュースを見ると、転売ヤーの暴走がきっかけであると報道されている」
ため息をしたくなるような話を聞かされ、耳が痛いのは事実だが……会長に呼ばれた以上はバビロンフォースとしても、そちら路線をやっていくと言う事なのだろう。
それを覚悟しつつ、会長室へやってきた彼女だった一方で、会長は別の意味でも衝撃的な一言を発する。
「それを踏まえて、こちらのニュースサイトを見てほしい」
この一言とともに会長がスマホ経由で見せたのは、エクストリームパルクールのレース映像だった。
丁度、表示されているのはデュランダルが走っているレース……あの時には映像が配信されていなかった物である。
「そういえば、パルクールで様々なジャンルが存在するって聞いたことはありますね」
ブレイズヴェルグもエクストリームパルクールに関しては、若干の関心は持っている。
その一方で、シグルドリーヴァや転売ヤー狩りの部分は……と言う感じではあるが。
「今もブームが存在するパルクール・サバイバーをはじめ、パルクールの集客は日々増していると言えるだろう。だからこそ、我々もそれに……」
会長が何かを続けようとしたのだが、それを遮ったのはスマホの着信音だった。
その着信音は、会長が見せたスマホからである。通知表示は【非表示】となっていたのはブレイズヴェルグも気になるが……。
「私だ……」
『こちらはガーディアンです』
「ガーディアン? さて、あなた方が本物なのか疑わしい所ですが。非通知でこういった連絡をする段階で、特殊詐欺であると思いませんか?」
会長は、そういって通話を切る。明らかに会長がガーディアンを知っているかのような発言だったのは、ブレイズヴェルグも黙っているようだが。
「話がそれてしまったな。我々バビロンフォースとしては、このエクストリームパルクールにネームド配信者を送り込もうと……」
またもや着信音で会長の発言は遮られた。今度はブレイズヴェルグのスマホ経由で、着信音と言うよりは着信メロディと言う具合だ。
しかも、流れているのは実在するリズムゲームに収録されている楽曲で、この曲を使用するのにメーカーからの許諾をわざわざ取っていたレベル。
「こちらブレイズヴェルグ……」
この楽曲が流れた以上、まったく知らない人物からの通話ではない。
それは一番彼女が把握していることだ。その予想通り、通知表示の人物名は何と諸葛亮孔明である。
『先ほど、不審な通信があったのを確認したが……』
「不審な通信? 何のこと? まさか……ハッキングとか」
孔明の声はボイチェンを使っている方なので、男性声である。
孔明の言う不審な通信と言うワードに反応するブレイズヴェルグだったが、思い当たる個所がない。
『こちらとしても気になっていたが、どうやら転売ヤーらしい。盗聴をしようとしていた転売ヤーを確保した』
「転売ヤー? 話が読めないのだけど?」
孔明から出たのは転売ヤーのワード。更に盗聴と言うワードまで飛び出し、ますます困惑する。
会長の方も「?」と頭の上に出てきそうな表情をしていた。一体、どういうことか。
『以前、様々なVtuberのコラボグッズが転売ヤーによって買い占められ、オークションサイトに出品されていた話は覚えているな』
「うちもその被害を受けたのは知ってるけど、それが何か?」
『盗聴をしていた転売ヤーが事務所に盗聴器を仕掛け、その情報を拡散して買占めを行っていたことが判明した』
「その犯人を捕まえたから、わざわざ報告をした、と?」
ブレイズヴェルグも話が話なので、会長にも言おうとはしていたが、スピーカーをオフにしているので、会長には聞こえていない。
まさか、盗聴してまで情報を仕入れ、そこから転売を考えていたとは……まるでフィクションのスパイとか、その辺りの規模だ。
『それもあるが、気を付けた方がいい事がある』
「??」
『シグルドリーヴァの動向には気を付けろ』
その言葉を最後に、孔明は通話を切った。
(シグルドリーヴァ……?)
彼女は別の意味でもシグルドリーヴァに関しては完全に信じられない箇所がある。
だからこそ、会長の言うエクストリームパルクール参戦に関しても、断ろうと考えていた。
しかし、公明がこういう発言をするのには理由がある。そう考えた彼女は……。
「私でよければ、参加します」
まさかの参戦表明をしたのだった。これには会長も喜ぶと思ったが、表情はそんな感じが読み取れない。
むしろ、他にも数人声をかけたが断られた、と言うような感じである。
つまり……ブレイズヴェルグが断った場合、この話はなかったことになる、という感じだった。
この後は、デンドロビウムがエクストリームパルクールの動画をチェックし、ルールをチェックしているシーンが入る。
動画配信サイトの公式動画経由で、いわゆる非公式的な動画と言う訳ではない。説明もしっかりしたものだ。
しかし、小説で書こうとするとどうしても箇条書き的なテイストになってしまうため、ここではざっくりと省略。
おそらく、メディアミックスしたらこの辺りはフォローされるだろう。
小説の方では、あえて第3話でパルクールのシーンが入るため、その際に追記を行う事とする。




