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1  後宮の物書き女官

「ねえ、女知青(ジョチセイ)先生の新作が刷られたそうよ!」

「本当! 早く読みましょう!」


 皇帝の情けを賜われていない妃妾たちが、すぐそばで噂を紡ぐ中。

 (ペン) 梨翠(リツイ)は早足で、花乱れる園を歩いて行った。




 大国、(メイ)の後宮は噂の花園(はなぞの)だ。

 国を統べる皇帝を中心として、唯一の正妻である皇后、最上位の妃である四妃、その下には様々な妃妾を抱え、あとは女官と宦官が大勢いる。その数は、片田舎の町の五倍、おおよそ一万人。

 国中から選りすぐりの美女をかき集め、あとは見合う姑娘(むすめ)をわんさか連れ込み、去勢を望んだ男児を入れ込んだ結果、こんなことになった。


 梨翠はその中で、女官と呼ばれる人間の一人である。

 所属の尚宮局(しょうきゅうきょく)は、皇后の引率、後宮の文書や帳簿の管理・署名をしている。といえばそれなりに高い位に聞こえる。

 もちろん梨翠は決して身分が低いわけではないのだが、実際には華がない、女としての美しさを奪われたようなもの、地味、という声が多いのだ。


 女官として目立たずに生涯を終えたいという人もいれば、妃になって皇帝から寵愛を受けたい、という人もいるし、妃妾としてそれなりの贅沢はしたいけれどもお手付きは要らない、という人もいて、むらが多い。

 そんなのを無視してあっという間に寵愛を(たまわ)妃嬪(ひひん)は恐ろしい、と思いながらも、梨翠は毎日のように、その恐ろしいと評する妃嬪のところへ通っている。

 女色、というわけでもなく。

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