第1夏「ある夏の日」
少し過激な描写がございます。※血の表現など
苦手な方は閲覧をお控えくださいませ。
ヒュー、ドカン。と、花火の音がする。夏祭りの終わりが近づいていることを告げる音だ。
なのに、ゆうが居ない。どこに行ったのだろうか。
―数時間前、佐藤家にて―
「ねぇ、晴。今日夏祭りに行く約束してたの、忘れてないよね?」
凄い圧だ。有無を言わせないほどの。僕はそっと目を逸らした。
「…………」
「……」
ちらっと見ると笑っていた、目以外は。
「もしかして…夏休みの課題、"何も"終わってないとか言わないよね?」
「……すみませんでした」
「もう、はるってば……。夏休みの課題終わらせとかないと、夏祭りに行かせないってお兄さんに何度も言われてたじゃない。」
「ごめんなさい……」
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
僕とそんな会話をしている彼は、幼なじみであり、親友の『小鳥遊 ゆう』である。
そして僕は、『佐藤 晴』。僕たちは高校生なりたての1年生だ。
今日、8月31日はこの近くで夏祭りがある。ここらに住んでいる人なら、誰もが知っているような結構大きなお祭りだ。恋人の居ない悲しい僕たちは、夏休み最終日、男2人で夏祭りに行く約束をしていた。
僕はともかく、ゆうは時々告白されているのを見掛ける。
まぁ、顔も性格も良いし、勉強も運動もできる。モテるのは当然だろう。
……ゆうには好きな人でもいるのだろうか?
「とりあえずはる、僕も手伝ってあげるから。絶対夏祭りに間に合わせるからね。」
「はーい。」
―しばらくして―
「終わったー!!」
「うん、お疲れ様。やればできるじゃん。」
「やれば出来るんだよ、やらないだけで。」
「それが問題なの。」
「ごめんって。」
現在は午後7時だ。夏祭りは午後6時〜10時までなので、今から向かえば間に合うだろう。
「ほら、ゆう早く!行こ!!」
「もう、本当に調子がいいんだから。」
ゆうを急かしながら、急いで準備をする。
「兄ちゃん、いってきまーす」
「ゆうくんに迷惑かけるんじゃないよ。」
「はーい。」
「お兄さん、お邪魔しました。」
ゆうは恭しくお辞儀をして家を出た。
―夏祭り会場にて―
「いや〜、満喫したよ。」
「ちょっと食べ過ぎなくらいだよ。」
「今日ぐらいいいじゃないか。」
少しムッとしてしまった。わからず屋!酷いやつだ!僕が"夏祭りと言えば"というものを片っ端から買って食べていたら、結構な量になってしまっただけなのに。
ゆうはというと、そんな食事ばかりの僕を横目に、くじ引きや射的をしていた。どちらでも一等を当てていて、流石としか言いようがなかった。
「ほら、これあげるから機嫌直してよ。」
くじ引きで当てた最新のゲーム機だった。
「……!ありがとう!!」
前言撤回、やっぱりこいつは良い奴だ。
既に時刻は8時50分、9時から花火が始まるから、そろそろ移動したい。
「ゆう、もうこんな時間だよ。早くいつもの場所に行こう。」
スマホの時間を見せながら言う。
ゆうとは2人きりでなくとも、何度も夏祭りに来ている。だから、秘密の場所があるのだ。とっても花火がよく見える。
「そうだね。その前に、御手洗に行ってくるからそこのベンチで待っててくれる?」
「わかった。」
言われた通りにベンチに座って待っていると、だんだん眠くなってきてしまった。うとうとしているとそこで意識が途絶えた。
―はっとして起きると、時刻はくじを回っていた。現在9時10分、花火はもう始まっている。
ゆうはどこに行ったのだろうか?トイレを見に行ってもおらず、向かって声をかけるも、返答はない。
自分を置いて先にいつもの場所へ行ってしまったのかと思い、向かうことにした。早足で向かいながら、電話をかける……一向に繋がらない。自然と駆け足になる。
息が絶え絶えになりながら、いつもの場所、神社付近の山頂へと辿り着く。時刻は9時20分。
……僕はそこでの光景に目を疑った。
そこには、包丁で胸を刺されて倒れているゆうの姿があった。急いで駆け寄って、声を掛ける。
「ゆう。ゆう。目を開けてよ。」
血なまぐさい香り、触るととても冷たい身体、今も流れ続ける鮮血。呼吸の音も聞こえない。現実を認めるしか無かった。
「あ…救急車…119番しなきゃ……」
そうして119番をし、救急車を呼んだ。病院に着き、ゆうの死亡が確認された。その後の記憶は曖昧だ。
次の日から始まった学校にも行ってはみたが、授業の内容は全然頭に入らなかったし、ゆうの居ない世界は灰色に見えた。ゆうが死んだことを信じたくなかった。食欲もわかないし、寝れなくて、兄ちゃんに心配された。
数日経って、やっと気持ちが落ち着いてきた頃、警察から話を聞いた。凶器であると思われた包丁には、ゆうの指紋しか付いておらず、事件性はないとして自殺ということになった。
しかし、改めて考えてみるとそんなわけが無い。他殺に違いない。
だって、あいつは約束は守るやつだ。
僕との『来年も花火を見に行く』という去年した、約束を忘れているわけではないだろう。だって、今日はそのために来たのだから。なのに、まだその約束は果たされていないのだから。
ということは、犯人がいるはずだ。僕はそいつを許せない。ゆうは僕にとって本当に大切だから。
ゆうは嫌がるかもしれないが、復讐してやる。そう決意した。
犯人の手がかりを掴むには情報収集をしなくてはと思い、家を出た。その時、車が突っ込んできて、僕は轢かれた。
9月6日の日付が変わる直前のことだった。彼、佐藤晴は絶命した。
《続く》
皆さんこんにちは、こんばんは。
真颯月と申します。初めまして。
今作が初めての作品なので、拙いところがあったと思いますが、最後までご覧頂きありがとうございます。
今回のお話はいかがでしたか?感想お待ちしております。誤字、脱字報告もしていただけると嬉しいです。
それでは、皆さん良い小説ライフを。また次回お会いしましょう。




