第5話 神話。その2
「お天気になって良かったわ!!」
馬に乗るのも上手だったんだね、、、僕としては、二人乗りでもいいかな、なんてな、、まあ、いいけど。
「そうでございますね。エヴァ様。」
大公殿がアカデミアに要請を出したようで、馬車に鉱物学の専門家と、地質学者、それからいわゆる山師、、、とかが詰め込まれている。
・・・・・デート、、、、ま、いいか、、、
セント・アンブロス山は聖地なので、王家の管轄になっている。
もう一台の馬車には、王城から監督官と、神官、、、、もちろん護衛、、、、結構な人数になってしまった。
別荘で、景色を見ながら、、ゆっくり昼食?、、ま、、、いいか、、、
僕たちは早朝に出発した。エヴァは、北部での移動はほぼ馬だったらしく、扱いも上手だ。休憩時間には、馬をいたわっている。馬ね、、、
昼前には山のふもとまでついて、別荘で昼食。手配済みだったので、すぐ食事がふるまわれた。
「ベル様?私、ベル様のお昼を作ってまいりました。サンドイッチですけど、、、、」
「ああ、ありがとう。」
(すごく嬉しい。)
僕たちは、中庭の椅子に座って二人でお弁当を広げる。
「え、、と、、、見かけはいまいちですが、、、栄養重視で。」
照れながら言うエヴァは、、、、かわいい。僕のために作ってくれたと思うだけで、、、
鶏肉を豪快に焼いたものにレタスとトマトのサンド。
魚を揚げた物とネギのサンド。
ゆで卵と胡瓜とハムのサンド。
・・・・美味しい、、、、
隣でエヴァも豪快に食べている、、、
お茶は良く冷えている。ささやかだけど、、、初めてのデート、、、うん、、、幸せだ。
その他大勢はこの際、見なかったことにしよう。
昼食後から、早速、神話でピンポイントに語られている場所を探しに行く。
女神が、ここよ!って言ってくれていた場所。まあ、普通はただのお話で終わりそうだけどね、、、、
「もう少し上りますかね?」
「もうちょっと、西の方角ではないですか?」
神官たちも、興味津々である、、、地質学者たちは、なおだろう。なにせ、普段は入れない領域だから。
歩き始めて2時間くらい。目的の地点に着く。もちろん、、、槍は刺さっていない。
でかい白っぽい石が一つ転がっている。
「ここですか、、、硫黄臭くはないですねえ、、、」
温泉があることを期待していたのか、エヴァがガッカリした声だ、、今度、温泉に誘おう。と、思う。
山師と学者たちが、転がっている石、岩か?を囲んで話しこんでいる。
どう見ても、その上部の山肌から転げ落ちたもののようだが?
神官と監督官を呼んで、許可を仰ぎ、、、岩を砕き始めた。
「ルビーの母岩です!!!」
*****
まあ、、、大概のことには驚かないけどね?
エヴァといたおかげで。
大陸の南部でしか取れないと言われていたルビーが、セント・アンブロス山から見つかった。鉱脈としてはまだ調査が必要だが。
色も中々いい色らしい。
「そうかあ、、、、女神の瞳は、、、赤でしたね、、、読みが足りなかったな、、、」
国を挙げての地質調査になりそうだ。国は、、、神話で女神が語った通り、豊かになるだろう。
「凄いね、エヴァ?」
「いいえ、、、ベル様が、私の言うことを疑わずに聞いてくださったおかげです!神話を伝えてきてくれた神官たちの功績とも言えますね?」
そう言うと、、、、神官たちは嬉しそうに笑った。そうだよね、、、伝え続けるのって、大変なことだよね?
ねえ、エヴァ、今度は温泉に行く?