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ある日ダンジョン出現に巻き込まれた  作者: 鹿野
2章 目指せSランクパーティー
85/129

#85 唯佳パワーアップ

 9月30日(月)


「唯佳っち、いえ~い!」

「いえーい!」

「キュッ!キュキュッ〜」

「パオ〜ン!」

「俺達強くなり過ぎじゃないか?」

「そうですね...私も同じ様に思っていました」


 唯佳と雛がハイタッチをしているのを眺めながら、俺とほのかが唖然としてしまっている。

 今日最初の魔物と遭遇した俺達は、当然戦闘になった訳だが、唯佳の弓矢の一撃で、ジャイアントマーダーグリズリーは光の粒子へと変わって行った。


 昨日帰る時には、唯佳の弓矢の攻撃では4〜5回は攻撃する必要があった筈なのに、一夜明けただけで攻撃力が跳ね上がっていたのだから驚くのが当たり前だろう。

 何で雛があっさりこの結果を受け止められているのか不思議なくらいだ。


「唯佳?今のは一体...」

「夜寝る時にねー剛弓っていうスキルを覚えたのー」

「聞いた事がない現象ですね...」

「何かねー女の人の声で願いを受理しましたって言われてねー、気付いたら覚えてたー」

「女の人の声って、もしかして...?」


 俺とほのかの視線が雛に向けられる。


「アタシは何もしてないよ?」


 俺とほのかの視線に気付いた雛が、自分じゃないと言ってくるけど、雛を通して幸運の女神が動いた可能性は拭えない。


「まあ、だとしても、有り難いことだから別にいいか...」

「そうですね...」


 ほのかも俺と同じ結論に至った様だし、有り難く幸運にあやかろうと思う。


 一撃で倒せない雪兎には魔物を撹乱する役目を熟してもらい、他のメンバーが雪兎によって混乱させられた魔物を一撃で屠って進んで行く。


 戦闘時間が圧倒的に短くなった為、階層攻略も格段にペースが上がった。


 本来はレベル上げをする予定だった65階層は愚か、今いる66階層も一撃で倒せる様になったので、更に先に進む事にして、67階層へと続く階段に向かった。


 1時間後、階段に辿り着いた俺達は躊躇う事なく階段を降りて行き、67階層へと足を踏み入れた。


「富士森公園ダンジョンって、何階層まで攻略されてるんだっけ~?」

「73階層までだな」

「因みに富士森公園ダンジョンが、新宿ダンジョンと並んで、日本で1番攻略が進んでいるダンジョンになりますね」

「そうなんだねー」

「他のダンジョンは60階層台で攻略が止まっているか60階層までのダンジョンしかないんだね~」

「そういう事だな。まあ、70階層のボスを倒せるのは今の所、日本では宵闇しかいないから仕方ない事だな」

「そっかー」

「70階層のボスを倒せばSランク探索者ですからね。今は世界でも3組しかいない、最高ランクのパーティーじゃないと、そもそも70階層まで辿り着く事も出来ないという事です」

「アタシ達は行っちゃうけどね~」

「ねー」

「ええ、行ってしまいましょう」


 Sランク探索者が目前に迫って来て、女子達のテンションが異様に高い。


 そんな女子達に引っ張られるように67階層を次階層への階段の方に進んで行く。


 途中で強さを確かめる為に、この階層から出て来たサイレントタイガーという、奇襲を仕掛けるのを得意にしている虎型の魔物を奇襲で攻撃して、一撃で倒せる事を確認した事で、68階層に進む許可を出した。


 結局、1時間10分程で68階層に降りて来た俺達は、今日はここまでにして帰還する事にした。


 帰って来る前に、階段から見えた68階層から出て来たキングウォーターフロッグという魔物を、雛が試し斬りしていたけど、まだ一撃で倒せるようだった。


「可憐姉ただいま〜」

「おかえりなさい。雛ちゃんご機嫌ね」

「雛ちゃんは最後にカエルを斬れてご機嫌なのー」

「カエル?カエルって68階層のキングウォーターフロッグの事?」

「ええ、そうです」

「えっ?あなた達64階層か65階層でレベル上げをする予定だって聞いていたんだけど?」

「その予定だったんですけど、レベル上げをする前に物理攻撃組が雪兎以外全員、攻撃力が上がっちゃいまして、今は適正階層を探して先に進んでいる所なんです」

「因みに68階層のキングウォーターフロッグは?」

「雛が1人で一撃でした」

「えっ?」

「フッフッフ〜」

「フッフッフー」


 雛が自慢気なのは分かるけど、何で唯佳まで自慢気なんだ?


「春くん、それは仲間だからだよー」


 声に出しちゃう癖は直らないらしい。


「68階層の魔物を一撃で倒せるなら、確かに適正階層はもう少し先になるでしょうね」

「恐らく70階層辺りが適正階層になると思っているんですが、そこまでにレベルが上がるような気もするので、取り敢えず手探り状態ですね」

「そうね。私も現役の頃は、レベルと適正階層が合わないまま攻略を進めていたけど、適正階層に着く前にレベルが上がっちゃって、適正階層に着くのが大変だった時期があったわ。まあ、あなた達程深い階層ではなかったけどね」

「可憐ちゃんは何処まで攻略したのー?」

「私達のパーティーは、53階層を攻略中に解散したわ.....」


 そう言った可憐さんの顔は一気に青褪め、唇を噛んで下を向いてしまった。


「可憐、ここはあたしが代わるから、あんたは奥で少し休んでな」

「支部長?い、いえ、彼らは私の担当ですので」

「そんな青い顔してカウンターに出るんじゃないよ。あんたが新人の頃に教えた事じゃないかい。忘れちまったのかい?」

「い、いえ、覚えています。分かりました。宜しくお願いします。みんなごめんね。私はちょっと休んでくるから、後は支部長にやってもらってね」

「う、うん。可憐ちゃん大丈夫?」

「ええ、少し休めば平気よ」


 可憐さんはそう言って、カウンターの奥へと下がっていった。


「ほら、換金するだけだろう?アイテムをお出し」

「は、はーい」


 おばあさんに促され、カウンターの上に唯佳がアイテムを置いて行く。


「ほ〜もう68階層まで行ったのかい。流石に早いね~。あんたら無理はしてないだろうね?」

「ええ、今の所は一撃で倒せているので、無理はしていないです」

「あんたらホントに規格外だね~。なるほど、あんたらの姿に自分の過去を重ねちまったって事かい。まだ、吹っ切れていなかったんだね...」

「おばあちゃん、可憐姉ってアタシ達みたいにレベルと関係なく先に進めるパーティーに入っていたの?」

「ん?ああ、あの娘がリーダーをしていたパーティーはね、あの娘のスキルのお陰でレベル28なのに53階層まで進む事が出来た、当時話題のパーティーだったんだよ。だけどね...これ以上はあたしが話していい内容じゃないね。あの娘が自分から話せる様になるのを待っておやり」

「「「「はい」」」」


 何があったのかは分からないけど、いい事じゃないというのは分かる。

 可憐さんが話してくれるまで、こちらからは触れない様にしよう。


「ほら、換金は終わったよ。気を付けてお帰り」

「可憐ちゃんは今日はどうするのかなー?いつも一緒に帰っているのー」

「ん?ちょっと待っておいで」


 そう言うとおばあさんは奥へと下がっていった。

 10分程して可憐さんが着替えた状態で出て来た。


「お待たせ。心配かけてしまってごめんね。もう大丈夫だから帰りましょうか」

「うん。可憐ちゃんごめんね。私があんな事聞いちゃったから...」

「ううん。唯佳ちゃんの所為ではないわ。今度、ちゃんと話すわね」

「無理に話さなくても大丈夫ですよ?」

「うんうん。話したくない事の1つや2つくらい誰にだってあるんだし、可憐姉も無理はしないでいいよ?」

「ありがとう。でも、私が先に進む為にも誰かに聞いてもらった方がいいと思うの。みんなに押し付けるみたいで申し訳ないけど...」

「それで可憐さんが楽になるのであれば、ちゃんと話を聞きますよ?だから、話せる時に話して下さい」

「ええ、ありがとう」

「今日は取り敢えず帰りますか」

「はーい!可憐ちゃん、今日はうちにおいでよー。一緒に寝よー?」

「じゃあ、アタシも泊まる〜」

「ふふっ私もいいですか?」

「ふふっみんなありがとう。琴子さんの許可が出たらお言葉に甘えさせて貰うわね」

「おばあちゃんがオッケーだってー」

「うちのお母さんもオッケーくれた~」

「うちも許可が出ました」


 という事で、全員でうちに行く事になり、紗奈さんも合流して来た。


 入浴も食事も終わり、客間に4人分の布団を敷いて、女子達が固まって寝るらしい。

 久し振りに1人で寝れる状況を少し寂しく感じてしまった。


 名前:白坂しらさか 唯佳ゆいか 所属:クローバー

 年齢:16歳 誕生日:6月14日

 称号:聖女

 Lv:41

 MP:390/390(1170/1170)

 力:160

 耐久:185

 敏捷:186

 器用:372

 魔力:379(1137)

 運:77/100

 スキル:女神の祝福、光魔法Lv4、MP回復速度2倍、空間収納、誘爆、転移、追尾、剛弓(New)

 ※女神の祝福効果

 魔力3倍、MP3倍

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