#70 よく分からないエリア
昼食を終え、49階層に戻って来て探索を再開した俺達は、40分程で50階層への階段を発見する事が出来た。
「このペースで行ければ、今日中にボス部屋までは行けそうだな」
「そうだね~出来ればもっと先まで進んじゃいたいけどね~」
「そうですね」
「このダンジョンは何階層まであるんだろうねー」
「70階層よりも深いといいんだけどな」
「ゆきとくんとエレンくんの食事用の魔石の事を考えると、そうであって欲しい所ではありますね」
「いつまでも1日1個じゃ可哀想だもんね~」
「うんうん。そだねー」
「取り敢えず、この階層のボスを倒して先に進めば分かるさ」
「うん。さっさとこの階層を攻略しちゃお〜」
「おー!」
「ふふっでは、行きましょうか」
大食漢の雪兎とエレンにとって、1日1個の魔石だけというのは、見ているこちらも可哀想で居た堪れない気持ちになるので、出来れば早く解消して上げたいと思う。
その為にも、ここのダンジョンが70階層よりも深い事を願っているのだが、果たして願いは叶うのか、雛がいるから大丈夫だと思いたい。
「あれ?お城?」
降りて来た50階層の造りを見て、雛が疑問の声を上げる。
「お城って言うよりお屋敷の中って感じに見えるけど...」
「どちらにしろ、かなり立派な造りですね」
「だねー」
階段から出た場所は建物内の廊下の様で、赤いカーペットが敷かれていて、格式高い造りに見える。
「窓の外には街が見えますね」
「外に出れるのかなー」
「窓開けてみよっか」
そう言って雛は窓に手を掛け押し開いた。
「外にも出られるみたいだな」
「そうですね。街型の階層の大きな家の中に上層からの階段が偶々あったみたいですね」
「そだねー」
「どうする〜?ここから出ちゃう?」
「ん?このお屋敷は探索しないで外に行くのか?」
「多分ここには次の階層への階段はないと思うよ?」
「雛さんがそう感じるのなら、その感覚に従いましょう」
「さんせーい」
「じゃあ、いつも通り頼むな。雛」
「オッケ~」
ウィンドアーマーを掛け直してもらい、雛が開けた窓から飛び出した俺達は、いつも通り雛を先頭に空を駆けて行く。
途中、はじめましての魔物を見つけて鑑定してみた結果。
〘ワイト〙
〘触れた相手の生命力を吸い取る。生前は権力者だった為、装飾品を含めて高価な物を身に着けている〙
「死んでも高価な物を身に着けているって、どんだけがめつかったんだよ...」
「ワイトは、他のダンジョンでもよく出て来る魔物ですから、通常ドロップとレアドロップを1つずつ持ち帰ればいいと思います」
「オッケ~」
「楽でいいねー」
ボス部屋を探しながら見つけたワイトを討伐して、ドロップアイテムをゲットしながら進む事3時間、街の門の所でボス部屋を発見する事が出来た。
部屋の中にいたのはワイトキング。
ワイトの上位種で、ワイト同様触れた相手から生命力を吸収する他、王の威圧というスキルで相手の動きを止める事まで出来るらしい。
「厄介なスキルを持っているな」
「斬ってくるね」
「キュッ!」
3人の雛と雪兎が飛び出して行った。
ワイトキングがスキルを使う前に4人が斬り付けた。
ワイトキングはスキルを使う事も出来ずに光の粒子へと変わって行った。
50階層のボスとはいえ、4人から同時に攻撃されたら一溜まりもないな。
「ワイトキングも他のダンジョンでも出て来る魔物ですから、さっさと先に行ってもいいと思います」
「これドロップしてたよー」
「それはワイトキングの王冠という、ワイトキングのレアドロップですね」
「王冠なんて何に使うん?」
「錬金術の素材になるそうですよ」
「一応、通常ドロップも持ち帰ろう」
「分かりました」
「「は~い」」
という事で、ワイトキング戦を更に2回行い、通常ドロップも確保してから、51階層へと進んだ。
「うわー何これー」
「海?」
「それか湖ですかね?」
目の前に見えるのは階層一面が水に浸かっている風景だった。
「足元は何か建物の屋根の上って感じだし、何だろうな?」
「そう言われれば、確かに屋根の上ですね」
「そだねー瓦だねー」
「瓦が左右にずっと続いているね〜」
「後ろは街が見えるけど、見えない壁で行けなくなっているな」
「という事は、ここが階層の端だという事ですね」
「そういう事だな」
「後ろに街があるっていう事は、街の外がすぐに海っていう階層なのかなー?」
「て事はここは海エリア?」
「考えても分からないし、移動してみないか?」
「そうですね」
「アタシこっちの屋根の上を進みた〜い」
「何処まで続いてるんだろうねー」
「じゃあ、そっちに行ってみるか」
「そうですね。雛さんの行きたい方に行きましょう」
という事で、雛の提案により右の屋根の上を進む事にした。
30分程進むと、屋根は街とは反対方向に曲がっていて、階層の端にも到達してしまった。
「この屋根の下の壁って、街を守る為に街を囲んでいるんじゃないん?」
「私も街の外壁だと思っていたのですが...」
「何の為の壁なんだろうねー?」
「取り敢えず、屋根の上を進んでみるか?」
「そうですね。そうしてみましょう」
「「は~い」」
それから更に30分程進んでみたものの、何もなくただ壁が続いているだけだった。
「そういえばさ~この階層ってワイトとかメラゾンもいる筈じゃん?やっぱり水の中にいるのかな~?」
「そうだと思いますよ」
「息どうしてるん?」
「雛ちゃん、アンデッドは息してないんじゃない?」
「あっ!そっか〜」
「まあ、呼吸は必要なくても、動き辛い事は間違いないだろうな」
「そうだね~」
「時間的にそろそろ終わりにしませんか?」
「そうだな。帰るか」
「「は~い」」
「キュッ!」
「パオ!」
結局、この階層では魔物との戦闘どころか、魔物を見る事すらなく、支部に戻る事になってしまった。
「可憐ちゃんただいまー」
「おかえりなさい」
「これよろしくー」
「はい。今日は何処まで進めたの?」
「今日はねー51階層までだよー」
「じゃあ、50階層のボスのドロップアイテムもあるのね?」
「うん。これとこれー」
「これはワイトキングの王冠?って事は50階層のボスはワイトキングだったのね?」
「そだよー」
「なら、既存の魔物だしすぐに換金しちゃうわね」
「はーい」
換金を終え、可憐さんも一緒に学校の支部の個室に戻って来た。
「じゃあ、私は紗奈ちゃんに声を掛けて来るわね」
「はい。着替えたら合流します」
部屋から出て行く可憐さんを見送り、それぞれ着替えを済ませて行く。
着替えを終え、可憐さんと紗奈さんと合流して、歩いて俺の家に向かった。
「紗奈ちゃーん、明日行く所で何が釣れるのー?」
「えっとね〜今の時期だとシーバスとかクロダイとかアジとかかな〜他にも結構色々釣れるよ」
「タイ釣れるん?」
「ええ、あそこはクロダイはよく釣れると思うわよ」
「じゃあ、アタシはタイ狙う〜」
「じゃあ雛ちゃん、私と一緒にクロダイ狙いで行きましょう」
「可憐姉もタイ狙うん?じゃあ、一緒に頑張ろ〜」
「私はどうしよー」
「私はやった事ないので、釣れたらラッキーくらいの感覚ですね」
みんな明日の釣りの事で盛り上がっている。
俺も釣りは久しぶりだから楽しみだな~
「春斗くんと唯佳ちゃんは釣りやった事あるんだよね?琴子さんがそう言っていたけど何釣りしてたの?」
「僕は渓流釣りですね。海釣りは初めてやります」
「そうなんだ。唯佳ちゃんも?」
「うん。私も渓流釣りは何回かやった事あるけど、海釣りは初めてだよー」
そんな話をしながら歩いていると、あっという間に家に着いてしまった。
「「ただいまー」」
「「「「おじゃましま~す」」」」
「おかえりなさい。みんなもいらっしゃい。女の子達はお風呂に入っちゃいなさい」
「はーい。雛ちゃん、ほのかちゃんお風呂行こー」
「行こ〜」
「ふふっ行きましょうか」
まずは唯佳達3人が一緒にお風呂に入りに行った。
リビングに入り、明日の事を紗奈さんに質問してみた。
「紗奈さん、明日は何時に行くんですか?」
「レンタル出来るのが、確か10時からだったからそれに合わせてでいいと思うわよ」
「釣り場も10時からなの?」
「いえ、釣り場は3ヶ所あるんですけど、防波堤が6時からで他の2ヶ所は全日なので、夜中でも釣りを出来ます」
「場所はなくならないかしら?」
「土日祝は結構混雑するので、何とも言えませんね」
「そうよね。うちは人数も多いしね」
今回行くのは、クローバーの4人とばあちゃんと紗奈さんと可憐さん、それと智佳姉と凛と優佳おばさんも行くので、全部で10人だ。
これだけの人数が場所を取れるかちょっと心配だな。
「釣り道具一式買って来ちゃいましょうか?」
「えっ?今から?」
「唯佳が風呂から出たら、転移で連れてってもらって、買った物は空間収納にしまっておいてもらえば荷物にもなりませんし」
「すぐそこに釣具屋さんあったよね?お兄ちゃん、唯佳姉待ってないでパパっと買って来ちゃいなよ」
「いや、凛?10人分の釣具を持って帰って来るのは、1人じゃキツイだろ...」
「春くーん、出たよー入っておいでー」
丁度いいタイミングで唯佳がお風呂から出て来たので、事情を説明して近所の釣具屋さんまで一緒に行ってもらった。
紗奈さんにも一緒に付いて来てもらい、どれがいいか聞きながら道具を揃え、唯佳の空間収納にしまって家に帰った。
道具も揃ったので、明日は6時に現地に行って釣りを始める事にして、今日は早めに寝る事にした。
沢山釣れるといいな~




