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ある日ダンジョン出現に巻き込まれた  作者: 鹿野
1章 学校ダンジョン
27/129

#27 未発見ダンジョン

 7月29日(月)


 俺達の学校は、今日終業式だった。

 ダンジョン出現事故が起こったせいで、ずれ込んでしまった為だ。


「やっと終わった~」

「「ホントだよ~」」

「ふふっ美紅とここなは、息ぴったりね」

「双子みたいだったね~」

「「え〜イヤだよ〜」」

「ふふふ」

「アハハハ、ほら〜」


 雛が、ギャル仲間と楽しそうに話している。


「えっ!ほのかちゃん達ってもう、20階層まで攻略したの?」

「はい。幸い移動に適した魔法を覚えたので、砂漠エリアはほぼ、無視出来ました」

「無視ってどういう事?」

「方法は企業秘密?ですが、砂に足を取られる事なく、魔物ともほぼ戦う事なくボス部屋まで行く方法がありまして」

「いや、行けたとしてもボスに勝てなくない?」

「そこは何と言いましょうか、勝てちゃいましたとしか...」

「「「...」」」


 うん。ほのかも友達と楽しそうだな。

 今日もパーティー活動は休みにした。


 理由は、登校前にばあちゃんから頼み事をされたからだ。


「じゃあ、お疲れ。また2学期な」

「おう、春斗ダンジョンで怪我すんなよ!」

「ああ、陸人も道路に飛び出しちゃダメだぞ?」

「俺は子供か!!」

「ハハ、じゃあな~」


 陸人と軽口を交わして席を立つ。


「春斗くん、唯佳さんまた明日」

「春斗っち、唯佳っち明日ね~」

「ああ、また明日」

「雛ちゃん、ほのかちゃんまた明日ねー」


 ほのかと雛とも挨拶をして、唯佳と教室を出た。


 学校を出てから約2時間、ばあちゃんの運転する車で俺達は海沿いの街に来ていた。


 場所は神奈川県三浦市、マグロで有名な三崎漁港がある所だ。

 他には、三浦大根やキャベツ、スイカなどが名産品らしい。


「春くん、あれスイカだよ!」

「よく見えるな?」

「まあるくなってるよー」

「葉っぱと同化していて分かんないんだけど...」


 唯佳も付いて来ていた。


「車内が明るくなって嬉しいわ」


 とばあちゃんは喜んでいた。


「あそこの家がそうよ」


 今回のばあちゃんの頼み事とは、ばあちゃんの従姉妹の家の畑から変な物が出て来たらしく、久し振りに電話を掛けて来たばあちゃんに近況として話した所、孫を連れて見に行くと言った事が始まりで、ちょっと鑑定で見てやってというお願いだった。


七重ななえちゃん来たわよ~いる〜?」

「は~い。今行くから待ってて〜」


 家の裏手から返事が返って来た。


琴子ことこちゃんいらっしゃい。会うのはいつ振りかしらね?」

「うちの主人のお葬式以来だから、2年振りかしらね」


 何処かで見た事あると思ったら、その時に会ってるのか。


「早速見てみる?」

「ええ、春斗。出番よ」

「は~い」

「春斗くんの出番て何?」

「この子探索者をやってるんだけどね、鑑定のスキルを持ってるのよ。それで、ちょうどいいから連れて来たの」

「あらあら、しゅんちゃんの子ね〜」

「ほんとにね~親子揃って心配掛けるんだから」

「ご心配お掛けしてます」

「ホントだよ?春くん」

「唯佳ちゃんもよ?」

「ご心配お掛けしてまーす」

「琴子ちゃん、その娘は?」

「隣のうちの娘で、春斗の幼馴染の唯佳ちゃん。春斗とパーティー組んで一緒に探索者やってるのよ。13年前にこの娘のおじいちゃんとおばあちゃんが事故で他界しちゃってね、両親も共働きだからうちでこの娘とこの娘のお姉ちゃんも、私が預かる時間が長かったの、だから孫みたいな感じなのよ」

「そうだったのね。ごめんなさいね、辛い事を思い出させちゃったかしら?」

「ほんとのおじいちゃんとおばあちゃんの事はよく覚えてないから大丈夫です。私はこのおばあちゃんが大好きですし」

「ふふっありがとう」

「ふふっ本当に孫娘って感じね」

「はい!」


 唯佳がばあちゃんにくっついたまま、家の中に入って行く。

 あっ俺も行かなきゃ。


「これがそうよ」

「拝見します」


 鑑定で見てみた結果がこちら


 〘スライムゼリー〙

 〘様々な加工品に用いられる素材〙


 スライムゼリー?誰かが畑の中に捨てたのか?

 取り敢えず、鑑定結果を伝える。


「これ、スライムゼリーですね」

「スライムゼリー?何でそんな物が畑に?」

「それは分かりませんけど、誰かが捨てたとか?」

「ちょっと待ってね。雄大ゆうた!ちょっと来て〜」

「なあに〜?」


 呼ばれて現れたのは、5歳くらいの男の子だった。


「雄大、これどこで拾ったの?」

「畑だよ~」

「畑のどこら辺だった?」

「あっち〜」


 雄大くんが指差したのは、道路とは反対の方角で、外からスライムゼリーを投げ捨てる事は難しそうな場所だった。

 少し気になったので雄大くんに質問してみた。


「雄大くんこんにちは。ちょっと聞いてもいいかな?」

「なあに〜?」

「これは畑の土の上に落ちてたの?」

「うんとね~畑の向こうの林の中にね~階段があってね~その中にいたうねうねの奴を鎌でエイッてやったら出て来たの」

「「「「えっ!?」」」」

「どうしたの〜?」

「雄大くんを鑑定してもいいですか?」


 俺は雄大くんの祖母である七重さんに聞いた。


「えっ?ええ、お願い」


 鑑定の結果


「雄大くんはステータスシステムを獲得しています」

「えっ?ゆ、雄大の体に、成長に悪影響はないわよね?」

「僕ではなんとも言えません。ダンジョン協会に連絡を入れて、すぐに人を寄越してもらいます。それと、雄大くんが言っている場所も念の為に確認して来ます。唯佳、悪いけどここで協会の人が来るのを待っていてくれるか?」

「うん。春くん気を付けてね」

「ああ、七重さんここの住所をメモってもらえますか?ここに来てもらう様にするので雄大くんは、ここにいさせて下さいね」

「分かったわ」


 七重さんに住所をメモってもらい、俺は1人でダンジョンと思われる場所に向かう。


「春斗、気を付けてね。あと、巻き込んじゃってごめんね」

「気にしないで。畑から変な物が出たって言われても、流石に未発見のダンジョンがあるなんて思わないのが普通だよ。じゃあ俺、ちょっと行ってくるね」


 謝るばあちゃんに気にしない様に伝え、俺は歩き出した。


 七重さんの家から歩いて2、3分の場所に下りの階段があった。


「今、下りの階段を発見しました。降りてみるので、一旦切りますね」

「はい。気を付けて」


 俺は一旦近隣のダンジョン協会の支部との通話を切った。

 ダンジョン内は、電波が飛んでないからね。


 階段を降りた先には、洞窟が広がっていた。

 試しにサーチを使うと、赤い点が無数にあった。

 その内の1つに向かうと、そこにはスライムがいた。


 スライムを確認した俺は、近づいて来たスライムを蹴って倒し、魔石を拾って地上に戻った。


「中を確認しました。幅4〜5m高さ3〜4mくらいの洞窟型のダンジョンで間違いなさそうです。サーチで探ってみた所、魔物の反応があって、近づいてみたら発見者の男の子の証言通り、スライムがいました。1体倒して魔石も取って来てます」

「分かりました。職員が着くまで、その場でお待ち頂く事は可能でしょうか?出来れば、誰も入らないように見張っておいて頂きたいのですが」

「分かりました。先程お伝えした住所には、僕のパーティーメンバーが1人いますので、職員の方が到着されたら、彼女に案内してもらって下さい。伝えておきますので」

「分かりました。あと、30分程掛かると思いますが、宜しくお願い致します」

「はい。お待ちしてます」


 通話を切って、今度は唯佳に掛ける。


「あっ唯佳?うん。確認した。やっぱりダンジョンだった。うん。それで、協会の職員さんが来てくれるんだけど、30分くらい掛かるんだって、だから俺は、職員さんが来るまでここで誰も入らないように見てるから、うん。そう、だから雄大くんがどっか行かない様に遊んで上げてくれないか?えっ?もう遊んでる?ハハッそうか。あと、職員さんが来たら、ここに連れて来て欲しいんだけど、うん。そう、頼むな。うん。分かった。それじゃあまたな」


 通話を切って、木に寄り掛かって待つ事にした。


 暫くしてサーチに変化があった。

 七重さんの家に5人の人が訪れた。

 その内の4人と唯佳が、こちらにやって来る。


「春くーん、連れて来たよー」

「ああ、ありがとう。はじめまして、連絡した黒木です」

「ご連絡ありがとうございました。調査隊のリーダーの後藤です」

「早速ですが、これがさっきスライムを倒して拾って来た魔石です。」

「預かります。一応、こちら代金です」

「あっはい。」

「それで、中は洞窟型のダンジョンで、幅4〜5m高さ3〜4m、スライムがいるという事でしたね」

「はい。これが発見者の男の子がスライムを倒した時に拾ったらしいスライムゼリーです」

「預かります。代金はどうしましょうか?」

「一旦僕が預かって、発見者のおばあさんにお渡ししておきます」

「分かりました。では、お願いします」

「確かにお預かりしました」

「では、あとは我々が引き継ぎます。ご協力ありがとうございました」

「はい。宜しくお願いします」


 後を後藤さん達に任せて、俺は唯佳と七重さんの家に戻った。


 雄大くんは、俺の鑑定通りステータスシステムを獲得していたが、職員さん曰くステータスシステムを獲得しても、レベルが上がらなければ影響は出ないとの事だった。


 レベルが上がると、それぞれの数値が上がるが、人の成長によって伸びる能力値もその都度加算されて行き、結局は普通に探索者になってレベルアップした人と、変わらなくなるらしい。


 俺達は思わぬ事態に巻き込まれてしまったが、無事に帰路に着く事が出来た。


 あ~よかった~

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