#21 2度のレベルアップ
7月20日(土)
「今日は、ボス部屋まで魔物を倒しながら進んで、ボス戦をやって転移陣で帰る。そしたらまたここに戻って来て、魔物を倒しながら進んでボス部屋でボス戦をやる。それの繰り返しで行こうと思う」
「「「は~い!」」」
この階層から出て来たグレーグリズリーは、マーダーグリズリーの劣化版みたいな魔物だった。
いや、逆か。普通はこっちから会うわけだしな。
それは兎も角、グレーグリズリーは俺が剛力ありで一撃、雛が分身の術で3人で1回づつ攻撃して計3回、ほのかがMP2の魔法で一撃で倒せた。
お試しが終わったので、魔物を倒しながら50分位でボス部屋に着いた。
途中でほのかのレベルが上がった。
「さて、この前は苦戦したけど今回はどうかな?」
「春くん?今度は油断したらダメだよ?」
「春斗っち?油断してたら、怪我しなくてもおばあちゃん達に言うかんね?」
「春斗くん?油断したら、またおかずを煮干しのみにしてもらいますからね?」
「.....気を付けます」
煮干しだけは嫌だ!ホントに嫌だ!絶対油断しない!
「中は100m四方の部屋になってて、今見えてるこの壁と同じ様に、ちゃんと壁も見える形で存在するらしい。唯佳は入ったらほのかと自分の周りに結界を張ってくれ。ほのかは結界の中からコンプレッションファイアーをMP4で1発撃って、その後は待機していてくれ。雛は3人で集中攻撃、俺は剛力で全力で行く。」
「「「はい!」」」
「じゃあ、行こう」
作戦を確認して扉を開いて中に入る。
中に入ると同時にボスと目が合う。
「グオォォォォォ」
「結界!」
「コンプレッションファイアー」
ボスが雄叫びを上げると同時に唯佳が結界を、ほのかがコンプレッションファイアーを発動し、俺と雛が駆け出す。
まず、コンプレッションファイアーが着弾。オオアリクイやブーメランスネークを複数纏めて屠った魔法でも倒し切れなかったが、続く雛の一撃で光の粒子へと変わり、消えて行った。
「いえ~い!楽勝じゃ〜ん」
「前回も焦らず対応していれば、あんなに苦戦しなかったのか?」
「どうでしょうか?私と雛さんはレベルアップしましたし、あの時はコンプレッションファイアーもなかったですから、一概には較べられないかと思いますよ」
「あれが練習になったんだよー」
そうか、そうだな。俺がダメージ食らったのも無駄じゃなかったって事だよな
「いや、あれはムダでしょ〜」
「春斗くん、あれは無駄です」
「春くん?反省してないの?」
「...すみませんでした」
また、口に出していた様だ。このクセをまずは治したい。
「因みに、俺も今の一戦でレベルアップしたよ」
「おーこれでみんなレベル4だねー」
「だね~お揃いだね~」
「このレベルでここに来る様な事は、普通ないですからひょっとしたら、今日中にまだ、レベルアップするかもしれないですよ?」
「お〜どんどんやっつけよ〜!」
「おー!」
ボス部屋の先にある転移陣で協会支部に戻り、トイレ休憩を挟んで10階層に戻った。
因みに、ボスの復活までの時間は10分で、どこのダンジョンのどの階層でも変わらない。
また、ボスが復活するまで部屋の扉は閉じられ、開ける事は出来ない。
「道は覚えたし一気に行こ〜」
「おー」
「ふふっ」
「じゃあ、行くぞ!」
「「「は~い」」」
今度は40分程で辿り着いた。魔物の討伐数は変わらないけど、さっきは最初に検証したりしてたからな。
「今度は俺と雛だけで戦ってみよう。勿論、分身も剛力もありでね」
「オッケ~」
「頑張って下さいね」
「頑張れー」
「扉を開けたら一気に行くぞ!」
「分かった~」
扉を開け、一気に駆け出す。
まず、雛が辿り着き集中攻撃を浴びせる。直後に追い付いた俺が、剛力+纏雷の全力の一太刀を振り抜いた。
ボスは呆気なく光の粒子となり消えて行った。
前回あれだけ苦戦したのは何だったのかと思ってしまうが、剛力がそれだけ凄いのだろう。
「2人共お疲れ様でした」
「あっという間だったねー」
「うう~また、1回しか斬ってな〜い」
「いや、3回斬っていただろ?」
「2人と合わせればそうだけど、私は1回だも〜ん」
そこって1人1人別計算なのか?まあ、言われてみればそれはそうだなと思うな。
「次は私がやる〜2人共手出し禁止だよ!」
ビシッと指を差し、そう言ってくる雛。
「分かりました。応援してますね」
「いいけど、危なそうなら介入するからな?」
「春斗っちじゃないから油断しません!」
「おー確かにー」
「クッ」
俺だってもうしないもん。きっと。
転移陣で戻り、先程と同じルーティンでボス部屋へと突入。
「ハアァァァァッ」
「グオォォォォ」
上下左右前後から縦横無尽に動き回る3人の雛が、ボスを翻弄し圧倒している。
時間にして40秒弱、ボスは光の粒子に姿を変えた。
「ちょうど12時だし、ご飯食べに行こうか?」
「「「は~い」」」
転移陣で戻り、専属カウンターの可憐さんの所に行き、換金してもらう。
「マーダーグリズリーの熊の胆が3つもあるんだけど...」
「うん!調整したのー」
「雛さんのスキルのお陰ですね」
「えへへ~それ程でも〜」
可憐さんの計算が終わった。
「お待たせ。まずは、極小魔石が327個、小魔石が3個、通常ドロップが乾燥ブーメランスネークが72個、ビッグホーンの角が38個、グレーグリズリーの革が20個、レアドロップがブーメランスネークの蛇皮が13個、ビッグホーンの小間切れ肉が7個、グレーグリズリーの熊の手が10個、マーダーグリズリーの熊の胆が3個で、合計1,116,700円よ」
「「「お〜!!」」」
「10階層は、収入面ではかなり優秀ですね。熊の手も1個5,000円で買い取ってもらえますからね」
「でも、普通はこんな収入にはならないわよ?レアドロップがこんなに出るのはあなた達くらいだし、そもそも通常アイテムのドロップ率だってこんなに良くないもの」
「そういえばそうでしたね。雛さんがいてこそですね」
「つまり雛ちゃん最強って事だねー」
「ヘッヘッヘ〜」
「みんなお昼でしょ?お財布取ってくるから一緒に行きましょう?」
「「「「は~い」」」」
いつもの中華屋さんで、食事を摂ってダンジョンに戻る。
天津飯美味かったな~
午後も午前中と同じルーティンを繰り返した。
ボス戦はやり方を替えて色々試しながらだったけど、特に失敗という失敗もなく、無事に全員がレベルアップに至った。
「ほのかっちと春斗っち、1日に2回もレベルアップするってヤバいね!」
「ねー凄いよねー」
「ふふっありがとうございます。でも、2人も変わらないですよ?」
「ああ、普通に考えたら2人も有り得ないからね」
「「えへへ~」」
「あと、俺はサーチと剣術のレベルも上がったよ」
「アタシも剣術上がってた~」
「私の光魔法もレベルアップしたよー浄化っていうのと、アンチポイズンっていうのが使える様になったよー」
「私は演算というスキルを覚えました。戦闘やダンジョン探索には関係ないスキルですけど、テストで役立ちそうです」
「ほのかっちのスキルいいなぁ~アタシも欲しいよ~」
「私も欲しいー」
考える事はみんな同じ様だ。俺も欲しいよ。ウォーキングさんお願いします。
「もうすぐ18時だし終わりにして帰ろうか」
「「「は~い」」」
協会支部に戻り換金を済ませた。
午後の成果は、1,868,500円の稼ぎ、討伐数は557体だった。
「あっそうだ!可憐さん、パーティー口座からみんなの口座にこの金額ずつ振り込んでもらえますか?」
「ええ、分かったわ」
「春斗っちこれ、何の金額なの〜?」
「装備を買った時の金額だよ。パーティーで活動するのに必要な買い物だったんだから、パーティー口座から出すべきだったんだけど、あの時はお金なかったから出せなかったんだよ。けど、やっとみんなに払っても平気なくらいにお金が貯まったからさ」
「今日で一気に貯まりましたもんね」
「お〜やった〜」
「春くん、ありがとうー」
「みんなが頑張った結果なんだから、俺にお礼を言うのは違うだろ?」
「それでも、ちゃんと覚えていてくれて、考えてくれていた事が嬉しいんですよ」
「そうだよ春斗っち!だ~い好き!」
「お、おう!?あ、ありがとう」
雛に急に好きと言われて、そういう意味じゃないとは分かっているものの、ドギマギしてしまった。
みんなで帰っている時に、中学の同級生からコミチャが届いた。
同窓会のお誘いだった。
日時は8月5日(月)17時から、場所は日野駅の所にある猫のマークのカラオケ屋さんとの事。
「春くん、梶くんからコミチャ来たー?」
「ああ、同窓会のお誘いだろ?」
「うん。どうするー?」
「久しぶりにみんなに会うのもいいんじゃないか?」
「そうだねー」
「中学の同窓会ですか?」
「ああ、時間が17時からだから、その日は少し早く終わってもいいか?」
「はい。構いませんよ」
「アタシもいいよ~」
「ありがとう。じゃあ、参加で返事するかな」
「2人共ありがとうー私も参加っと、
送ったー」
「2人も何かあれば言ってくれよ?」
「はい。ふふっありがとうございます」
「オッケ~」
中学時代の仲良かった奴らの顔を思い浮かべ、同窓会を楽しみにしながら2人と別れ、家路に着いた。
名前:黒木 春斗 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:6月26日
歩数:538,561歩
Lv:3⇒5
MP:30/30⇒44/44
力:30⇒49
耐久:29⇒46
敏捷:30⇒49
器用:28⇒42
魔力:17⇒25
運:76/100
スキル:ウォーキング、サーチLv4⇒5、剣術Lv4⇒5、纏雷、リペアLv1、鑑定、剛力
※ウォーキング
10万歩毎にスキルを1つ取得又は、既存スキルのスキルレベル1上昇
名前:白坂 唯佳 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:6月14日
Lv:4⇒5
MP:53/53(159/159)⇒62/62(186/186)
力:19⇒24
耐久:25⇒30
敏捷:21⇒27
器用:40⇒50
魔力:43(129)⇒53(159)
運:77/100
スキル:女神の祝福、光魔法Lv1⇒2、MP回復速度2倍、空間収納
※女神の祝福効果
魔力3倍、MP3倍
名前:桃井 雛
年齢:16歳 誕生日:5月5日
Lv:4⇒5
MP:39/39⇒45/45
力:37⇒47
耐久:29⇒37
敏捷:41⇒51
器用:35⇒41
魔力:25⇒31
運:93/100
スキル:レア率固定、剣術Lv4⇒5、忍術Lv2
※レア率固定効果
ドロップアイテムのレア率がパーティーで倒した魔物の数の1割で固定される
名前:青山 ほのか 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:7月1日
Lv:3⇒5
MP:43/43⇒62/62
力:16⇒22
耐久:16⇒25
敏捷:17⇒24
器用:19⇒38
魔力:36⇒56
運:69/100
スキル:創造魔法、MP回復速度2倍、火水土風属性、消費MP半減、演算(New)
※創造魔法
・イメージした魔法を所持属性に限り創る事が出来る。
・最大消費MPは、イメージした時に自動で設定され、それ以上にはMPを込められない。
・最大消費MP以内であれば、自由に調整出来る。




