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ある日ダンジョン出現に巻き込まれた  作者: 鹿野
1章 学校ダンジョン
13/129

#13 初めての転移陣

「ふんふんふん、ふんふんふん、ふんふんふーんふふーん、ふんふんふん、ふんふんふん、ふふふふふーふん」


 唯佳がご機嫌に鼻歌を歌っている。何でジングルベルなのかは分からんが、ご機嫌なのはいい事だ。


「ふふっ唯佳さんご機嫌ですね」

「ね〜楽しそうだね~」


 2人もジングルベルに関してはスルーする様なので気にしないでおこう。


 ビッグボア5体は問題なかったので、次は鉄砲草を狙う。


 鉄砲草3体が遠距離攻撃をして来たが、顔が向いた方にしか攻撃は来ないので、回避は難しくない。


 ほのかの魔法で1体削り、俺と雛も1体づつ倒して終了である。

 因みにほのかの消費MP3のディバイドファイアーボール1発でも全滅出来るが、俺と雛もいるので、MPの節約の為に消費MP1のファイアーボールを使っている。


 階層が進むと、同じ魔物でも強くなるのだが、今のところ俺達は変わらずに倒せている。


「う〜ん、危なくないのはいいけど、手応えないな~」

「春斗くんのお父様も2〜3階層先なら()()()()倒せると仰ってましたから、もっと先に進んでもいいのかもしれませんね」

「そうだな。ホワイトアントとも戦ってみて、変わらない様なら先に進もうか?」

「「「は~い」」」


 結論から言えば楽勝だった。

 ホワイトアントは、白いアリではなくシロアリだった。しかもでかい、体長1mはあるシロアリは、Gの仲間という情報がなくても鳥肌モノだった。


「ファイアーボール!」


 ほのかが感情の消えた目で魔法を放ち


「春斗っちの鬼〜ホントに斬らないとダメなん?影丸で触るのもイヤだよ~」


 雛が泣きながら斬り伏せる。

 当然、俺も戦ってみた。


「硬った〜!頭も斬れるけど凄い硬いな!って刃毀はこぼれした!?」

「ウッソ!?うわっホントだ!アタシ絶対頭は攻撃しない。影丸が壊れちゃうのイヤだし」

「春くん。ヨシヨシ」

「本当に硬いんですね。春斗くん、まだ戦えますか?」

「ああ、斬れ味は落ちるけど戦える事は戦えると思う」


 それにしても、好奇心で頭を攻撃したのは失敗だったな~まさか刃毀れするなんてな〜帰って砥げばなんとか直るか?ん?直る?


「あっ!」

「春くんどうしたの?」

「いや、この間リペアを覚えてたんだったと思ってな」

「あ~そういえば」

「特に装備が壊れたりしなかったので検証を後回しにして忘れてましたね」

「ああ、俺もだよ」

「リペアってなに?」

「雛ちゃん、英語で修理って意味だよー」

「じゃあ、直せんの?」

「そうなりますね」

「試してみるか、リペア!」


 俺の刀は淡く光ると、刃毀れした箇所が直っていた。


「「おー!」」

「問題なさそうですね。でも、スキルレベルが低い内は、補修部分の強度が元よりも落ちて、壊れやすくなると聞きますから、あまり無茶はしないで下さいね」

「ああ、そうするよ」

「では、5階層に行きましょう」


 10分程走り、5階層に降りてきた俺達は、1度入口に戻る事にした。


 因みに俺達は、ダンジョン内では基本的に走っている。

 理由は、いざという時に走って逃げ続けられる様に体力をつける為と、走って魔物を狩った方が稼ぎがいいからだ。


 他の探索者は、基本的に歩いているらしい、理由は、いざという時に逃げ切る体力を温存しておく為らしい。


 理由は同じでも、アプローチの仕方が違うのは面白いと思う。

 正解は1つじゃないって事だね。きっと。


「お腹空いたし早く帰ろうー」

「アタシもお腹ペコペコ〜何食べよっか〜?」

「何と言っても、この辺り中華屋さん位しか見なくないですか?あの焼肉屋さんは、ランチやってるんでしょうか?」

「お寿司屋さんなかったっけ?」

「あそこはやってないんじゃないか?」


 そんな話をしながら、俺達は転移陣に乗って入口へと戻った。


 ダンジョンには、10階層毎にボスがいて、5階層毎に転移陣がある。ボスのいる階層は、階層の入口とボス部屋の先にもある、親切設計だ。


 これは、人が設置したのではなく、ダンジョンの仕様らしい。

 因みに、人工の転移陣は開発出来ていない。


「可憐ちゃんただいまー」

「可憐姉ご飯行こ〜」

「かれんさん、ただいま戻りました。雛さんまずは換金してからにしましょう?」

「可憐さんただいまです」

「みんなおかえり。ふふっ雛ちゃん換金しちゃいましょうね?」


 唯佳がカウンターに午前中の成果を出す。


「あら?今日は少ないのね?って言っても他のパーティーと比べると異常な量だけど」

「4階層まで行ってから狩ってたからかなー?」

「そうだね~色々検証したりもしてたしね~」

「そうですね。検証をすると、話し合いの時間もそれなりにありますからね」

「午後も最初のうちは検証しながらになるだろうけど、それが終われば狩りまくれるだろ?安全の為でもあるし、成長の為でもあるからお付き合い下さい」

「「「は~い」」」

「ふふっ春斗くんしっかり考えてやれているみたいね。いいリーダーだわ」

「春くんは頼りになるリーダーだよー」

「うんうん。春斗っちだから安心して付いて行けるよね~」

「そうですね。春斗くんはとても頼もしいリーダーです」


 何か急に褒められまくった。

 お昼は俺が奢った方がいいのかな?


「じゃあ、換金しちゃうわね。まず、極小魔石が206個、バラ肉が28個、ゲンノショウコが53個、上質なおがくずが2個、特上ロースが6個、葛が12個、ホワイトアントの外骨格が2個、合計で163,900円よ」

「もう、確認ムリ〜春斗っちに任せる〜」

「ふふっでも雛ちゃん、まだ単価計算は初めて出た階層✕100円もしくは+200円で、最大6種類だから簡単な方よ?ビッグボアみたいに例外もあるけどね」

「基本的には、20階層まではその計算方法でいいので、暫くはまだ楽ですね」

「うん。そうだねー」

「雛、任せるなら俺じゃなくてあっちの2人だぞ」

「そうだった...」


 あっさり認められると、それはそれでモヤッとするけど、事実だから仕方ない。


 結局今日も中華屋さんにやって来た。

 みんな、それぞれ注文をして食べ始める。

 俺は今日はレバニラ炒めとラーメンだ。


「5階層ってどんな魔物が出て来るん?」

「5階層からは、オオシロアリタケっていうきのこの魔物ね」

「聞いた事ないきのこだねー」

「そうですね。私も知りませんね」

「シロアリの巣に生えて、シロアリがいないと育たないきのこらしい、日本だと南西諸島に自生していて、食べられるらしいぞ」

「春斗くん、よく知ってるわね?」

「今、調べました」

「春斗っちカンニングずるい!」

「いや、ずるいって」

「通常ドロップはオオシロアリタケ1kgでレアドロップは2kgよ。1kgの袋が2つ出るわ」

「えっ?重さが違うだけなのー?」

「ええ、単価は500円で変わらないわ」

「1袋か2袋の違いですもんね」

「ええ、正直レアかどうかの違いは分からないわ」

「じゃあ、5階層からは換金時の計算が最大で5種類って事じゃん!やった〜」


 1種類少なくなっただけで喜んでいる雛に、全員苦笑いだった。


 食事を終え、俺達は再びダンジョン5階層へとやって来た。


「よ~し!頑張るぞ~!!」

「おー!」

「ふふっまずは、出て来る魔物の確認をしましょうか」

「ああ、頼む」

「そうだった~忘れてた~」

「えへへー私もー」


 そんな2人に苦笑いしつつ、ほのかが魔物の情報を教えてくれる。


「まず、鉄砲草が最大で10体、ホワイトアントが基本的に5体、オオシロアリタケが最大3体で出てくるそうです。オオシロアリタケは竹とんぼみたいに回転しながら飛んで、攻撃をしてくるらしいですよ」

「きのこが飛ぶの!?」

「オモシロきのこだねー」

「魔物だからな。何でもありなんだろ?」

「そうですね。鉄砲草も種子を弾丸並みに飛ばしてくる時点でおかしいですしね」

「確かにそうだねー頭に角の生えたウサギなんていないもんねー」

「そもそもゴブリンなんて、モデルが何かも分からんもんね~」


 まず、遭遇したのはオオシロアリタケ3体、きのこなのに今までの魔物より硬く感じた。恐らく階層も進んで、魔物のステータスが上がっているからだろう。


 実際に倒すのに俺と雛は、2〜3回掛かった。ほのかは消費MP2のファイアーボールで一撃だった。


「菌糸類とはいえ、植物みたいな物ですから、火には弱いみたいですね」

「それでも今までよりも消費MPを増やしてるんだろ?」

「はい。念の為にですね」

「MP1のファイアーボールも試してみよう」

「分かりました」

「雛、ほのかのファイアーボールで倒しきらないかもしれないから、注意して戦うぞ!」

「オッケー!」

「気を付けてねー」


 検証の為、続けてオオシロアリタケ1体と接敵、MP1のファイアーボールでは倒し切らなかったものの、雛の追撃で光の粒子へと変わった。


「俺か雛の1回の追撃で倒せるならMP1でいいんじゃないか?」

「アタシもそう思うよ。ほのかっちの魔法は、うちのパーティーの最大火力だし、いざっていう時の為に、節約出来るなら節約した方がいいっしょ」

「うんうん。さんせーい」

「そうですね。そうしましょうか」


 MPは5分間で1回復する。唯佳とほのかはスキルの効果で2分30秒で1回復する。

 余程の事態にならない限り、2人がMP枯渇になるとは思えないけど、用心は必要だろう。


「一応MPポーションを用意した方がいいかもねー」

「そうだな。今までは荷物を増やしたくなくて持ってきていなかったけど、唯佳が空間収納を覚えてくれたからな。用意しておいてもいいと思う」

「そうですね。ダンジョンから出たら、母に連絡して帰りに買って来てもらいます。本社の1階がお店なので」

「代金はパーティー口座から出してくれ」

「分かりました」

「それじゃあ、他の魔物の検証もやっちゃおうか」

「「「はい」」」


 検証の結果、ホワイトアントは俺と雛は1回〜2回、ほのかの魔法で1回の攻撃で倒せた。

 鉄砲草は3人共一撃で倒す事が出来た。


「よし!大体分かったし、狩りを始めよう」

「「おー!」」

「はい」


 それからは、狩って狩って狩りまくった。

 鉄砲草以外は確実に一撃でとは行かない為、今までよりは時間が掛かり、被弾する事も出てきたが、唯佳が回復魔法ですぐに回復してくれる。


 被弾すれば当然痛いが、すぐに治してもらえると思えば我慢できる。


 鉄砲草の攻撃は、鉄砲の様な威力でとの情報だったけど、そこまでではなかった。


 最初に回避出来ないと感じた時は死を覚悟したが、死ななくてよかった。


 明日もこの階層で戦って、もっと回避できる様に訓練する事にして、俺達は転移陣に乗って帰還した。

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