#126 可憐の八つ当たり
11月25日(月)
「予定通りレベル上げをしながらボス部屋を探して進んで行こう」
「オッケ~。じゃあ、行くよ~」
「はーい」
「ふふっ90階層に初めて挑むテンションじゃありませんね」
「.....そうね」
「可憐さん、いつも通りリラックスして行きましょう」
「可憐ちゃん、ボス部屋行くまでに疲れちゃうよー」
「かれんさん気を楽に行きましょう」
「ふぅー。そうね。ふふっありがとう」
「どういたしまして〜」
「キャッ?!ひ、雛ちゃん!?私のおっぱい揉んでも雛ちゃんのと変わらないでしょ?!揉むなら唯佳ちゃんのを揉みなさい」
「は~い」
「ちょっ、ちょっと可憐ちゃん?!私のもダメなんだよ!?それに冗談でも雛ちゃんにそんな事言ったrキャッ?!」
「唯佳っち隙あり〜」
「雛ちゃん、ダンジョンの中では駄目って言ってるでしょー!?メッー!!」
女性陣がわちゃわちゃやっている間、俺は従魔とアペフチカムイと一緒に魔物を倒していた。
女性陣のああいうノリには関わっては行けない。恋人の3人だけならまだしも、可憐さんもいるので尚更だ。
女性陣のわちゃわちゃが終わり、可憐さんもいつも通りの落ち着いた雰囲気を取り戻したので、移動を始めた。
「春斗っちも唯佳っちのおっぱい揉めばよかったのに~ドサクサに紛れて可憐姉のも揉めたかもよ~?」
「あのな~雛。ダンジョン内でそんな事しちゃ駄目だからな?ましてや可憐さんのもなんて、倫理観的にもあり得ないだろ...」
「そうよ雛ちゃん。それに春斗くんには雛ちゃん達みたいなカワイイ恋人が3人もいるんだし、私みたいなおばさんに興味なんてないでしょ?」
「おばさんだなんて思ってないですよ?」
「春斗くん、かれんさんも狙ってるんですか?」
「そうなのー?でも、可憐ちゃんならいいよー」
「春斗っち頑張れ〜」
「ふふっ私狙われてたのね」
「いやいやいや、そんな目で見てないですからね?可憐さんだって17歳は恋愛対象外だって言って、交際の申し込みを断っていたじゃないですか。俺はそれより若い16歳ですからね?」
「ふふっ冗談よ春斗くん」
「春斗っちカワイイ〜」
「慌てている春斗くんは可愛いですよね~」
「春くん、昔から変わらないねー」
くっ!女性陣に誂われてしまった。
90階層の魔物でも特に連携が必要だとは感じず、各々が物凄いスピードで魔物を討伐しながら進んで行く。
「やっぱり最終エリアだとレベルアップが早いですね」
「そだねー」
「昨日の最後の方にレベルアップしたばかりで、まだ今日の攻略を始めて2時間半しか経っていないのに、もうレベルアップしちゃったわね」
「80階層台の最終エリア+スタンピードだと、俺達のレベルでもどんどんレベルアップして行くな」
「そんなに魔物は強く感じないのにね~」
「キュッ!キュッキュッ!」
「ご主人様。僕達もレベルアップしていますよ」
「ハハッお前らも昨夜久し振りに魔石を沢山食べてレベルアップ出来たな」
これ以上進化されるとエサ問題に頭を悩ませそうだったので、雪兎とエレンの食事量を抑えていたのだが、90階層に到達出来たので雪兎達もレベルアップしてもらった。
久し振りに出された大量の魔石を見てテンションの上がった雪兎とエレンは、唯佳が空間収納から出した1人辺り3000個、合計6000個の魔石を1晩で食べ切ってしまっていた。
結果、雪兎もエレンもレベルが9まで上がっている。
「あと500個で2人共また進化するのかなー?」
「エレンくんは進化するのは分かっていますが、ゆきとくんはどうなんでしょうね?」
「雪兎っちも進化出来るといいね~」
「雛、雪兎も進化出来ると思うよ」
「そうなのか?」
「はい。雪兎がそう言っています。僕達はそういうのは自分では何となく判るんです」
エレンの説明で、雪兎も更に進化する事が判明した。
雪兎もエレンみたいに話せる様になるのかな?エサの問題はあるけど楽しみだな。
その後も魔物を倒しながら2時間くらい進んだ所で、ボス部屋が見えた。
「ボス部屋に着いちゃったー」
「...あそこにキマイラがいるのね」
「可憐さん。気持ちが逸るのは分かりますけど、念の為もう1つレベルアップしてから行きましょう」
「ええ、分かっているわ」
「可憐姉、焦らなくてもキマイラはボス部屋からいなくなんないから大丈夫だよ」
「慌てずにレベルを上げてから行きましょう」
ボス部屋が見える辺りで魔物を倒しまくる事2時間、全員のレベルが上がったタイミングでボス部屋に入る事にした。
「よし!じゃあボス部屋に行こうか」
「「「は~い」」」
「ええ、いよいよね」
「可憐さん、雪兎にサポートさせるので、焦らずに戦って下さい」
「ありがとう春斗くん。雪くん宜しくね」
「キュッ!」
「他のメンバーは可憐さんの様子を見ながら、ダンジョンの気まぐれが発生したら、そっちに対応する事。ただし唯佳とほのかとエレンは可憐さんの方も気に掛けておいてくれ」
「「「「はい!」」」」
ボス部屋に入ると同時に可憐さんがキマイラに向かって斬り掛かった。が、オープニングヒットは影移動で接近した雪兎の一撃だった。
厄介そうなヘビで出来ているキマイラの尻尾を、纏雷を使った一撃で斬り落とした。
「グガァ゙アアオオオーー」
突然の激痛に流石の90階層のボスも悲鳴にも似た雄叫びを上げた。
「キマイラーーーー!私の八つ当たりに付き合ってもらうわよ!!ハアアァァァァッ!!」
そんなキマイラに可憐さんも雄叫びを上げながら、自身のスキルも武器の能力もフルで使った全力の大剣の一撃を振り下ろした。
いきなり討伐出来たかと思ったのだが、そこは90階層のボスだけあって、ギリギリの所でキマイラは可憐さんの一撃を躱して見せた。
だが、アグニの能力とスキル 木花之佐久夜毘売の能力で炎の斬撃を飛ばし、キマイラの脇腹に大きな傷を負わせる事に成功した。
「グギャアァァァーー」
傷を負ったキマイラは背中の羽を羽ばたかせ、上空へと退避し、そこから風魔法で攻撃して来た。
上空のキマイラに向かってジャンプしていた可憐さんの目の前に、大きな竜巻が現れ可憐さんの行く手を阻んだ。
だが、可憐さんはスピードを緩めず、竜巻を打ち消すでもなくそのまま突っ込んで行く。
その時、可憐さんとは別の方向から斬撃が飛んで来て竜巻を打ち消した。
やったのは可憐さんのサポートに付いている雪兎で、竜巻を打ち消すと同時にキマイラの所に瞬歩で移動して、可憐さんが攻撃を仕掛けるタイミングでキマイラの左後ろ脚を纏雷を使った一撃で斬り飛ばした。
竜巻を突破して来た可憐さんの攻撃を躱そうとしていたキマイラは、雪兎の一撃でダメージを受け、躱すのが一瞬遅れ可憐さんの攻撃が確実に当たると思われた。
だが、そのタイミングでダンジョンの気まぐれがキマイラのいる所で発生し、キマイラは雷に打たれて地面に叩き付けられ可憐さんの一撃から逃れる事に成功した。
「困るのだよ。折角スタンピードを起こしているのに、こんなにあっさりとボスを討伐されてわn」
「邪魔だ!」
ドンッ!!
現れた邪神の眷属を光の粒子へと変えるつもりで攻撃したのだが、残念ながら仕留められなかったようだ。
「グワーッ!我の左腕がー!貴様ーー!!許さんz」
「うるさいっつうの!!」
「ギィヤァァァーー!!わ、我の手足、我の手足がーーー!!」
俺に吹き飛ばされた邪神の眷属を、3人の雛が残っていた3本の手足を斬り飛ばし、まるでダルマの様な格好にして地面に転がした。
「少し黙って大人しくしていろ。もう決着がつく」
可憐さんとキマイラの方に視線を向け、地面に転がっている邪神の眷属に声を掛ける。
視線の先では可憐さんの攻撃を躱してはいるものの、追撃の炎の斬撃によってダメージを蓄積させているキマイラが、息を切らして足元もふらついていた。
「私の八つ当たりに付き合わせて悪かったわね。そろそろ本気で行ってあげる」
可憐さんはそう言うと今までよりも数段速いスピードでキマイラに斬り掛かり、キマイラの首を斬り落とした。
「ふふっ雪くん、最後見守ってくれてありがとう」
「キュッ!キュッキュッ!!」
最後、わざと手を出さずに可憐さんだけに任せた雪兎を撫でながら、可憐さんがお礼を言っている。
「さて、ディストル。邪神テュポルディアは何処にいる?」
キマイラがあっさりと倒された事に言葉を失っている邪神の眷属の長ディストルに声を掛けた。
「貴様、何故テュポルディア様のお名前を知っているのだ?」
「お前らってホントに連携が取れていないんだな。お前以外の邪神の眷属はもう倒されているぞ。その倒された奴らがお前の名前と邪神テュポルディアの名前を喋ったんだよ」
「馬鹿共が...テュポルディア様のお名前を出すなど。まあよい、テュポルディア様にお会いしたいのならば我を殺せ。それがテュポルディア様がこの世に顕現される最後の条件である。テュポルディア様が顕現なされたあとは、貴様らにとっての地獄が始まるであろう!!」
「テュポルディアはここに現れるのか?」
「知らん!我が死んだ後の事で我が知っているのは、貴様らに地獄が訪れるという事だけよ」
「そうか。じゃあ、もういいや」
そう言ってディストルの首を刎ねた。
「みんな、私のわがままに付き合ってくれてありがとう。お陰で気持ちに整理を付けられそうよ」
スッキリとした晴れやかな表情でそう言って来た可憐さん。目には涙が残ってはいたけど、今までで1番の笑顔を見せてくれている。
「可憐姉お疲れ〜気にしなくていいよ〜」
「かれんさんお疲れ様でした。仲間なんですからどんどんわがままを言って下さい」
「可憐ちゃん、動画撮ったよー」
「ふふっありがとう」
「さて、スタンピードを終わらせようか」
「「「「は~い」」」」
ボス部屋の後ろにある転移陣で支部に戻り、スタンピードの鎮圧を報告した。
「あんた達がいてくれて助かったよ。90階層まであるダンジョンのスタンピードなんて、あんた達がいなかったら誰も鎮圧なんて出来なかっただろうからね」
「報告はちゃんと受けたから、全員今日は帰って休め。テュポルディアの件は分かり次第知らせる」
「そうさせてもらうよ」
「おじさんは帰んないのー?」
「まだ昼過ぎだし、普通の時でも帰れない時間だな」
「春輔は暫くは帰れないかもしれないね。スタンピードで上がって来た、魔物の討伐をする探索者の纏め役をやってもらわなないとだからね」
「まあ、そういう事だ。佳代には連絡してあるから」
「分かった。じゃあ、無理しないようにね」
「ああ」
挨拶を済ませて俺の家に全員で戻った。
テュポルディアの件の連絡が来るまでは全員うちに泊まり込むそうだ。
テュポルディアの件の連絡が来たのはその日の夕方だった。
俺達はすぐさま移動を始めた。
名前:黒木 春斗 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:6月26日
称号:創造の女神の寵愛を受けし者
歩数:2,444,538歩
従魔:雪兎Lv5⇒9(風雷忍雪うさぎ)
エレンLv5⇒9(ケラヴエレ)
Lv:57⇒59
MP:372/372⇒387/387
力:528⇒548
耐久:466⇒484
敏捷:485⇒502
器用:402⇒416
魔力:272⇒285
運:76/100
スキル:ウォーキング、サーチLvMAX、剣術LvMAX、纏雷、リペアLvMax、鑑定、神力、神職人、テイム、せいおう、瞬歩、槍術Lv2、演算、速読、雷化、雷魔法、言語理解、■■■
※ウォーキング
10万歩毎にスキルを1つ取得又は、既存スキルのスキルレベル1上昇
名前:白坂 唯佳 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:6月14日
称号:聖女
Lv:57⇒59
MP:544/544(1632/1632)⇒563/563(1689/1689)
力:239⇒249
耐久:265⇒277
敏捷:270⇒281
器用:517⇒535
魔力:520(1560)⇒538(1614)
運:77/100
スキル:女神の祝福、光魔法Lv5、MP回復速度2倍、空間収納、誘爆、転移、追尾、剛弓、魔力操作
※女神の祝福効果
魔力3倍、MP3倍
名前:桃井 雛
年齢:16歳 誕生日:5月5日
称号:幸運の女神の巫女
Lv:57⇒59
MP:393/393⇒408/408
力:482⇒500
耐久:450⇒467
敏捷:548⇒565
器用:434⇒449
魔力:300⇒316
運:93/100
スキル:レア率固定、剣術LvMAX、忍術Lv9、アクセラレーション、選択ドロップアイテム
※レア率固定効果
ドロップアイテムのレア率がパーティーで倒した魔物の数の1割で固定される
・選択ドロップアイテム
スキル保持者が倒した魔物に限り、ドロップアイテムを通常ドロップかレアドロップかを選択する事が出来る。
エピックドロップは条件を満たした時のみ選択可
名前:青山 ほのか 所属:クローバー
年齢:16歳 誕生日:7月1日
称号:大賢者
Lv:57⇒59
MP:520/520(2080/2080)⇒539/539(2156/2156)
力:241⇒251
耐久:266⇒278
敏捷:256⇒267
器用:322⇒335
魔力:532⇒550
運:69/100
スキル:創造魔法、MP回復速度2倍、火水土風属性、消費MP半減、演算、雷魔法、言語理解
※創造魔法
・イメージした魔法を所持属性に限り創る事が出来る。
・最大消費MPは、イメージした時に自動で設定され、それ以上にはMPを込められない。
・最大消費MP以内であれば、自由に調整出来る。
・大賢者の効果:MP2倍
源 可憐
年齢:28歳 誕生日:4月7日
Lv:52⇒54
MP:304/304⇒320/320
力:367⇒385
耐久:364⇒381
敏捷:386⇒405
器用:330⇒342
魔力:259⇒272
運:69/100
スキル:レベル倍化Lv5、剣術Lv8、身体強化、サーチLv9、鑑定、木花之佐久夜毘売命
※木花之佐久夜毘売命
力と敏捷に大幅にプラス補正。火の斬撃を飛ばして攻撃出来る
名前:雪兎
種族:風雷忍雪うさぎ
主人:黒木 春斗
Lv:5⇒9
スキル:突進、氷雪魔法、瞬歩、風魔法、神力、纏雷、凍結、忍術Lv3、雷魔法
名前:エレン
種族:ケラヴエレ
主人:黒木 春斗
Lv:5⇒9
スキル:風魔法、水魔法、土魔法、突進、火魔法、魔力2倍、創造魔法、MP回復速度2倍、雷魔法、纏雷、雷操作




